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連載
431 希望を見つけた彼ら
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2016. 6. 12
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まだ真新しい建物の町。
日が暮れ、明るく照らされた大通り。時間もなく、出来たばかりの町ということもあり、祭りらしい装飾までは用意できなかったようだ。
多くの家から持ち寄ったテーブルが並べられ、既に沢山の料理が用意されていた。
大通りの続く先には大宿があり、その前にある広場では、思い思いに着飾った町の住人達が集まっている。そして、生き生きとした笑顔を見せて楽しそうに談笑しながらその時を待っていた。
そんな彼らの前には、大宿の玄関ホール側から上れる高く作られた舞台がある。
そこに先ずラキアが姿を現した。すると、雑談していた人々の声がピタリと止む。
ラキアは町の人々にとってまとめ役のような存在。だがラキアの服装は、初めてこの場に来た時同様、メイド服だ。
舞台の前方の真ん中には、魔導拡声器が立てられている。その前に立ったラキアはゆっくりと口を開いた。
『みなさま。急な呼びかけに応えていただいた事に感謝いたします』
すると、その言葉を聞いた人々が声を上げる。
「こっちこそありがとう!!」
「いつだって、なんだってやるぞ!」
「なんでも言ってくれよ!」
この場にいるもの達は、自分達に新しい生き方を教えてくれた事を感謝していた。
ティアによって連れて来られ、最初は何が何だか分からなかった人々。その中で、クィーグの者達やラキアに先導され、創工士達の力を借りて一から創った町だ。
どこに自分の居場所があるのか分からなかった人々からすれば、まさに自分達で手に入れた自分達が居るべき場所。
それを得た事で、彼らは誰もが笑顔を取り戻していた。
『ありがとうございます。創工士や皆様のお力により、こうして大宿も完成となりました。本日は、この町の……皆様の新たな門出を祝いましょう』
そう、ティアの為ではあるが、何より町が完成し、皆も落ち着いた良い機会だと周りを納得させて、ラキアはこれを実現させたのだ。
『そして、お待たせいたしました。先ずは、保留とさせていただいておりました、町の取りまとめ役を、僭越ながら私がご紹介いたします』
町とするならば、取りまとめ役は必要だ。そうティアはこの場に彼らを連れてくる時から考えていた。
問題だったのは、この場がティアの予想よりも遥かに立派な『町』と呼べるものになってしまった事だ。
ティアが選んだ代表となる人は、最初から村長くらいならと頷いてくれていた。しかし、町となってしまうと、その規模に尻込みしだしたのだ。お陰で説得するのに時間が掛かった。
『皆様のご意見と、当方で行いました調査により、このディムースの長はファスターさんに決定いたしました』
「よっしゃー、おやっさん!」
「ファスさんなら安心だ」
「よろしく頼むぜ!」
ラキアが紹介すると、ファスターと呼ばれる男が舞台に上がってきた。
拡声器の前に導かれ、照れ臭そうに顔を顰めながら挨拶をする。
『ファスターだ。よもや、こんな指名を受けるとは思ってもみなかった……腐ってた俺らを見つけてここに連れてきてくれたティア嬢ちゃんには本当に感謝しても仕切れねぇと思ってる』
ファスターは今年で四十八。まだ若い方だ。ガタイも良く、周りからは『おやっさん』と呼ばれて荒れるスラム街を裏で支えていた人物だった。
「俺は騎士になり損ねたハンパもんだった。腕に大怪我を負って、仲間だった奴らや上司に叩かれて追い落とされた負け犬だ……ここに居んのは、そうやって居場所を追われたもんばっかだ』
正論を説けば上から叩かれ、終いには腕を折られた。握力が低下し、戦いで剣が握れなくなった。そして、いつの間にかあそこに住んでいたという。
夢も失くし、現実を呪いながら生きていたのだ。だが、十年が経った今日、こうしてこの場所に立って笑っている。
『どうしようもねぇ俺らが今ここで笑っていられんのが不思議だ。ティア嬢ちゃんにとっちゃぁ、遊びの一貫みたいなもんらしいが、それでも俺らに希望と夢をくれた。この町で生きるってゆう意味をくれた。それは今まで、どんな奴にも出来なかった事だ』
この演説を、人々は真剣に聞いていた。涙を流す者もいる。頷き、笑みを浮かべる者もいる。皆が共感し、今の喜びを噛み締めていた。
『こんな事、どこの領主や王にも出来る事じゃねぇ。神だって見捨てたと思ってたんだからな。だが違ぇんだ。ちっさい女神様が俺らをここに導いてくれた。ここで生きろと言ってくれた。あんな立派な家まで用意してくれてな』
ティアにとってはたまたま思いついた事を実行するついでだ。スラム街を失くす事と、この場所に宿屋を作る事。そして、ダンジョンで軟弱な騎士や冒険者達を鍛えたかったという事の全てを実現させる為の勝手な思惑でしかない。
それでも、彼らには信じられない幸運だった。
『俺らは返さなきゃなんねぇ。この町を発展させて、ティア嬢ちゃんの力になるんだ。全力で応えようぜ。俺らにとっちゃ、嬢ちゃんが王だからなっ!』
「「「おおっ!!」」」
全員が一斉に腕を上げ、ティアを王だという。その声を聞いて、ファスターから数歩下がった所に控えていたラキアが満足気に呟いた。
「良い町になりましたね」
この後のティアのお披露目が楽しみだと、ラキアは一人密かにほくそ笑んでいたのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
ルクス「な、なんなんだ……この町は……」
クロノス「素晴らしい。これほどの人々の心を掴むとは……さすがはティア様だ」
ベル「……ティアが王……」
エル「これは……うむ。国が乗っ取られるのも時間の問題だな。父上……ご愁傷様」
ベル「エルっ! な、何とかしないとっ!!」
エル「どうにか出来ると思うのか? 既に手遅れだ」
キルシュ「先輩っ⁉︎ こ、これは反逆と見なされかねませんよ⁉︎」
アデル「だめだよキルシュ。ティアの邪魔しちゃ。ほら、この前読んだ本にあったじゃん。国取りも遊びのうちなんだよ」
キルシュ「それは魔王の方だったろ⁉︎」
アデル「うん。魔王様。だって本当の魔王様は思いやりがあって、とってもカッコイイじゃん」
キルシュ「あれは物語の悪虐非道な魔王の話だっ」
カル「おや。それはもしかしたら、父上の若い頃の話が元になったやつかな。『国取りなど、遊戯にも劣るわ』とかいうのが口癖だったからねぇ」
キルシュ「……き、聞かなかった事にさせてください……」
カル「そうかい?」
アデル「ティアだったら何て言うかな?」
サクヤ「ふふっ、ティアならきっとこうね『面倒臭いけど、土地はあるに越したことないよね』って」
アデル「おぉ~」
カル「そうだねぇ。遊び場は広い方が良いと言いそうだからね。こうやって、気まぐれで町を創ったりとかね」
ベル「き……気まぐれで……ふっ……」
ユフィア「あら? ベル様? 大丈夫ですか? アリシア、ベティ。ベル様がっ」
アリシア「気絶なさったんですね。無理もありません」
ベティ「妹の方が大物だと、苦労しますね」
ルクス「……俺も気絶したい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
裏では大混乱です。
女神様で、女王様らしいです。
本人が認めるかは怪しいですが、満場一致ですからね。
回避不可能です。
そして、いよいよ女主人としてのお披露目?
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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まだ真新しい建物の町。
日が暮れ、明るく照らされた大通り。時間もなく、出来たばかりの町ということもあり、祭りらしい装飾までは用意できなかったようだ。
多くの家から持ち寄ったテーブルが並べられ、既に沢山の料理が用意されていた。
大通りの続く先には大宿があり、その前にある広場では、思い思いに着飾った町の住人達が集まっている。そして、生き生きとした笑顔を見せて楽しそうに談笑しながらその時を待っていた。
そんな彼らの前には、大宿の玄関ホール側から上れる高く作られた舞台がある。
そこに先ずラキアが姿を現した。すると、雑談していた人々の声がピタリと止む。
ラキアは町の人々にとってまとめ役のような存在。だがラキアの服装は、初めてこの場に来た時同様、メイド服だ。
舞台の前方の真ん中には、魔導拡声器が立てられている。その前に立ったラキアはゆっくりと口を開いた。
『みなさま。急な呼びかけに応えていただいた事に感謝いたします』
すると、その言葉を聞いた人々が声を上げる。
「こっちこそありがとう!!」
「いつだって、なんだってやるぞ!」
「なんでも言ってくれよ!」
この場にいるもの達は、自分達に新しい生き方を教えてくれた事を感謝していた。
ティアによって連れて来られ、最初は何が何だか分からなかった人々。その中で、クィーグの者達やラキアに先導され、創工士達の力を借りて一から創った町だ。
どこに自分の居場所があるのか分からなかった人々からすれば、まさに自分達で手に入れた自分達が居るべき場所。
それを得た事で、彼らは誰もが笑顔を取り戻していた。
『ありがとうございます。創工士や皆様のお力により、こうして大宿も完成となりました。本日は、この町の……皆様の新たな門出を祝いましょう』
そう、ティアの為ではあるが、何より町が完成し、皆も落ち着いた良い機会だと周りを納得させて、ラキアはこれを実現させたのだ。
『そして、お待たせいたしました。先ずは、保留とさせていただいておりました、町の取りまとめ役を、僭越ながら私がご紹介いたします』
町とするならば、取りまとめ役は必要だ。そうティアはこの場に彼らを連れてくる時から考えていた。
問題だったのは、この場がティアの予想よりも遥かに立派な『町』と呼べるものになってしまった事だ。
ティアが選んだ代表となる人は、最初から村長くらいならと頷いてくれていた。しかし、町となってしまうと、その規模に尻込みしだしたのだ。お陰で説得するのに時間が掛かった。
『皆様のご意見と、当方で行いました調査により、このディムースの長はファスターさんに決定いたしました』
「よっしゃー、おやっさん!」
「ファスさんなら安心だ」
「よろしく頼むぜ!」
ラキアが紹介すると、ファスターと呼ばれる男が舞台に上がってきた。
拡声器の前に導かれ、照れ臭そうに顔を顰めながら挨拶をする。
『ファスターだ。よもや、こんな指名を受けるとは思ってもみなかった……腐ってた俺らを見つけてここに連れてきてくれたティア嬢ちゃんには本当に感謝しても仕切れねぇと思ってる』
ファスターは今年で四十八。まだ若い方だ。ガタイも良く、周りからは『おやっさん』と呼ばれて荒れるスラム街を裏で支えていた人物だった。
「俺は騎士になり損ねたハンパもんだった。腕に大怪我を負って、仲間だった奴らや上司に叩かれて追い落とされた負け犬だ……ここに居んのは、そうやって居場所を追われたもんばっかだ』
正論を説けば上から叩かれ、終いには腕を折られた。握力が低下し、戦いで剣が握れなくなった。そして、いつの間にかあそこに住んでいたという。
夢も失くし、現実を呪いながら生きていたのだ。だが、十年が経った今日、こうしてこの場所に立って笑っている。
『どうしようもねぇ俺らが今ここで笑っていられんのが不思議だ。ティア嬢ちゃんにとっちゃぁ、遊びの一貫みたいなもんらしいが、それでも俺らに希望と夢をくれた。この町で生きるってゆう意味をくれた。それは今まで、どんな奴にも出来なかった事だ』
この演説を、人々は真剣に聞いていた。涙を流す者もいる。頷き、笑みを浮かべる者もいる。皆が共感し、今の喜びを噛み締めていた。
『こんな事、どこの領主や王にも出来る事じゃねぇ。神だって見捨てたと思ってたんだからな。だが違ぇんだ。ちっさい女神様が俺らをここに導いてくれた。ここで生きろと言ってくれた。あんな立派な家まで用意してくれてな』
ティアにとってはたまたま思いついた事を実行するついでだ。スラム街を失くす事と、この場所に宿屋を作る事。そして、ダンジョンで軟弱な騎士や冒険者達を鍛えたかったという事の全てを実現させる為の勝手な思惑でしかない。
それでも、彼らには信じられない幸運だった。
『俺らは返さなきゃなんねぇ。この町を発展させて、ティア嬢ちゃんの力になるんだ。全力で応えようぜ。俺らにとっちゃ、嬢ちゃんが王だからなっ!』
「「「おおっ!!」」」
全員が一斉に腕を上げ、ティアを王だという。その声を聞いて、ファスターから数歩下がった所に控えていたラキアが満足気に呟いた。
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この後のティアのお披露目が楽しみだと、ラキアは一人密かにほくそ笑んでいたのだった。
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舞台裏のお話。
ルクス「な、なんなんだ……この町は……」
クロノス「素晴らしい。これほどの人々の心を掴むとは……さすがはティア様だ」
ベル「……ティアが王……」
エル「これは……うむ。国が乗っ取られるのも時間の問題だな。父上……ご愁傷様」
ベル「エルっ! な、何とかしないとっ!!」
エル「どうにか出来ると思うのか? 既に手遅れだ」
キルシュ「先輩っ⁉︎ こ、これは反逆と見なされかねませんよ⁉︎」
アデル「だめだよキルシュ。ティアの邪魔しちゃ。ほら、この前読んだ本にあったじゃん。国取りも遊びのうちなんだよ」
キルシュ「それは魔王の方だったろ⁉︎」
アデル「うん。魔王様。だって本当の魔王様は思いやりがあって、とってもカッコイイじゃん」
キルシュ「あれは物語の悪虐非道な魔王の話だっ」
カル「おや。それはもしかしたら、父上の若い頃の話が元になったやつかな。『国取りなど、遊戯にも劣るわ』とかいうのが口癖だったからねぇ」
キルシュ「……き、聞かなかった事にさせてください……」
カル「そうかい?」
アデル「ティアだったら何て言うかな?」
サクヤ「ふふっ、ティアならきっとこうね『面倒臭いけど、土地はあるに越したことないよね』って」
アデル「おぉ~」
カル「そうだねぇ。遊び場は広い方が良いと言いそうだからね。こうやって、気まぐれで町を創ったりとかね」
ベル「き……気まぐれで……ふっ……」
ユフィア「あら? ベル様? 大丈夫ですか? アリシア、ベティ。ベル様がっ」
アリシア「気絶なさったんですね。無理もありません」
ベティ「妹の方が大物だと、苦労しますね」
ルクス「……俺も気絶したい……」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
裏では大混乱です。
女神様で、女王様らしいです。
本人が認めるかは怪しいですが、満場一致ですからね。
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