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417 かなり分が悪いです
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2016. 5. 23
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振り下ろされたハルバードは、大地を深く抉った。半径五メール程の円型の窪み。その中にマティアスとアリアが膝をついていた。
ティアは距離を充分に取ると、ハルバードをアイテムボックスにしまいこむ。代わりに、ふた振りの剣を取り出した。
「ちょっとティア。あなた、それ何⁉︎」
サクヤが驚いたのは、ティアが手にしたものが、普通の剣ではなかったからだ。
反り返ったような緩やかな曲線が美しく、長さは長剣よりも少し短いといった程度。柄はなく、握る場所は中央辺りの刃の横にできている。
用意していた武器が使える好機という事もあって、このような緊迫した状況であっても、ティアのテンションは一気に上がっていた。
「作っちゃった☆」
「「……」」
ルクスとクロノスは声も出なかった。可愛らしく言ってはいても、ティアの目には闘争心が強く宿っている。この間にもマティアスとアリアのいる場所から目を離してはいないのだ。
「作っちゃったって……あんたはまた、なんて凶悪なものをっ……」
「いやぁ~、あの拳鍔をアリアにダメ出しされて取り上げられちゃったから、それならもう、武器ですってヤツを作ってやろうって考えてたんだよね~」
「……本当にあんたって子は……」
呆れるサクヤなどものともせず、ティアは得意げに構えた。
窪みから出てきたマティアスとアリアは、ティアを敵と認識しているのだろう。サクヤ達の方へは目もくれない。
駆け出すのはティアと同時だった。
マティアスが振り下ろした剣をいなし、アリアの剣を避ける。二人の間を縫うように突き出した武器を、体ごと回転しながら斜め上へと切り上げれば、マティアスの肩を深く裂いた。
すり抜けざま、回し蹴りをアリアへとお見舞いしておく。
身体強化をし、充分に捻りを加えた蹴りの威力はかなりのもので、アリアはそのまま数メール転がっていった。
だがそこで気を抜いてはいけない。マティアスは怪我など気にする事なく、振り向きざまに斬りつけてきたのだ。
「くっ」
咄嗟に受け止めはしたが、態勢が整っていない状態からの攻撃であるにも関わらず、その剣撃の重さで少々後ろへと地面を滑ることになった。
その反動でマティアスはティアから距離を取る。
その時、森から更に誰かが出てきた。
魔獣ではない。先ほどから、飛び出してくる魔獣は、マティが地道に殲滅していた。ただ、そろそろ数が多くなっているらしく、対応しきれなくなりそうだ。
「へっ⁉︎ 今度は誰が出てくんの⁉︎」
一体今度はどんな強敵が現れたのかと、ティアはその黒い影を目の端で捉える。しかし、ティアには記憶にない男だった。
その実力が全く分からない相手では厄介だなとマティアスとアリアを注意深く見つめながら考えていたティアだったが、その時、ルクスが呟いた。
「あれ……あの剣……まさか、コルヴェールなんじゃ……」
「はぁっ⁉︎」
ちらりと目を向ける。その剣は確かに見覚えがある。ルクスが持つ剣と同じだ。纏う雰囲気などは違うが、間違いない。
「青剣ルヴィ……まさかの英雄登場なんて……さすがに相手できないんだけど⁉︎」
是非とも一体一でやり合いたい相手なのだが、一度に相手をするには不向きだ。
この状況では遠慮したい。
そして、何よりこの英雄がマズイのは、獲物が魔剣であるという事だ。
「まさかっ……!」
ヒヤリとした感覚を受け、ティアは咄嗟にその場から駆け出した。
コルヴェールが剣を振り下ろすと、電撃が剣から放たれ、大地を裂いていったのだ。
「っ、ふざけんなっ!!」
魔剣から放たれるのは魔術ではない。魔力なのだ。声を出す必要がない。あと一瞬遅ければ、間違いなく真っ二つにされていた。
「ちょっと、さすがにティアでも無理でしょっ⁉︎」
「当たり前だよっ。母様とアリアだけでも遊びにならなくなってるのに、その上英雄ってないでしょっ!! どこの最終兵器よ!!」
そして、マティアス、アリア、コルヴェールが同時に三方向からティアへと向けて駆け出した。
「ちっ、やるしかないかっ」
ティアは、三人を相手にすると覚悟を決めた。だが、ティアへと三人が到達する前に、その間へと滑り込む者たちがいた。
「っ、ルクス、クロちゃんっ」
コルヴェールと同じ剣でそれを受け止めたのはルクスだった。
「倒せないまでも、足を止めるくらいならできる」
そう言って、ティアから距離を取るように激しく打ち合いながら押し戻していく。
「これも天が与えた好機。先祖であるこの方の技を、実際に受けられるのです。これ程の幸運はありません」
アリアの技を何とかかわしながら言ったのはクロノスだ。アリアの技は本来、魔術との合わせ技だ。魔術が使えない以上、その威力は本物に劣る。しかし、実際に剣技を見られる事に、クロノスはこの機会を逃すまいとしているようだ。
そして、マティアスの前には、長身の旅装束を纏った一人の男。
「ファル兄……」
「……遅くなった……」
それは、里帰りをしていたファルだった。
「ま、間に合ったぁ~」
「カランタ……まさか……」
カランタは、息を弾ませながら、サクヤの隣に降り立った。少々翼に元気がないように見える。
「はぁ……彼ならマティの相手もできるんじゃないかと思って、探して連れてきたんだ。重かった……」
体格差のあるファルを抱えて飛んできたらしい。相当力を消費したようだ。
「へぇ。上からなら迷わないんだ?」
「え? あ、うん。建物の中じゃなければ迷わな……っ褒めてよっ!」
「あ~、はいはい。よくできました~」
「えへへ」
相変わらずティアは素直に礼を言わないようだ。しかし、カランタは満足そうに頬を染めていた。
「……それでいいの……?」
サクヤが呆れる中。三人は激しく剣を合わせる。
だが、やはり分は悪いようだ。
「っ……これの元をどうにかしてくれ……」
ファルがティアへと目配せをしてそう言った。いくらファルであっても、マティアスの相手は簡単なことではないらしい。
何より、仲間思いの彼にしてみれば、かつての仲間を斬りつけるのは心が痛むのだろう。それがこの世を去った相手ならば尚更だ。
「そうだっ。神鏡を見つけて術者を倒すんだ。鏡から手を離す事さえ出来れば、これは全部消える」
カランタが辛そうに顔を歪めながらマティアスを見て言った。
「分かった。マティっ」
《うん。主っ。森の中だねっ》
「そう。術者を見つけるよ」
《任せて!》
そうしている間にも、森からは魔獣達が次々と出てきていた。それをサクヤが魔術で倒したり、漏れたものは、クィーグの者が対処しているのを感じる。
「ここは任せる」
「おぉっ」
「はっ」
「……行け……」
戦っている三人に後を頼むと、ティアはマティの背に乗り、森へと入っていくのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
アデル「ユフィア姉さんは、ウル先生と、ここに居てね」
ユフィア「ええ」
ベル「アデル? いつの間に着替えて……まさか」
アデル「参戦してきまぁす」
キルシュ「僕も行く」
ベル「なっ、いや、二人はユフィと……」
ユフィア「心配いりませんわ。ティアさんがここの守りを考えないはずがありませんし、ベル様も行かれるでしょう?」
ベル「そ、それは……」
ユフィア「ベル様。私はベル様の何でしたかしら?」
ベル「っ、婚約者だっ」
ユフィア「では、ベル様のお帰りになる場所で待つのが私の役目ですわね」
ベル「あ……あぁ……だが」
エル「ベル。ティアが姉となる人を守らない筈がないだろう。ここの守りは万全と信じろ」
ベル「そ、そうだな」
ユフィア「ええ。ベル様、お帰りをお待ちしております」
ベル「っ、分かった。行ってくる」
ユフィア「はい」
アデル「すご~い。これが、ラブラブな新婚夫婦のお見送りなんだねっ」
キルシュ「っ……だな……」
エル「ははっ。まだ夫婦ではないが……羨ましい限りだ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
戦に赴く夫を待つ妻ですね。
是非とも一体一で戦いたい相手。
英雄さんも出てきましたからね。
ですが、そんな悠長な事も言っていられません。
被害が出る前に、さっさと術者を倒してしまいたいです。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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振り下ろされたハルバードは、大地を深く抉った。半径五メール程の円型の窪み。その中にマティアスとアリアが膝をついていた。
ティアは距離を充分に取ると、ハルバードをアイテムボックスにしまいこむ。代わりに、ふた振りの剣を取り出した。
「ちょっとティア。あなた、それ何⁉︎」
サクヤが驚いたのは、ティアが手にしたものが、普通の剣ではなかったからだ。
反り返ったような緩やかな曲線が美しく、長さは長剣よりも少し短いといった程度。柄はなく、握る場所は中央辺りの刃の横にできている。
用意していた武器が使える好機という事もあって、このような緊迫した状況であっても、ティアのテンションは一気に上がっていた。
「作っちゃった☆」
「「……」」
ルクスとクロノスは声も出なかった。可愛らしく言ってはいても、ティアの目には闘争心が強く宿っている。この間にもマティアスとアリアのいる場所から目を離してはいないのだ。
「作っちゃったって……あんたはまた、なんて凶悪なものをっ……」
「いやぁ~、あの拳鍔をアリアにダメ出しされて取り上げられちゃったから、それならもう、武器ですってヤツを作ってやろうって考えてたんだよね~」
「……本当にあんたって子は……」
呆れるサクヤなどものともせず、ティアは得意げに構えた。
窪みから出てきたマティアスとアリアは、ティアを敵と認識しているのだろう。サクヤ達の方へは目もくれない。
駆け出すのはティアと同時だった。
マティアスが振り下ろした剣をいなし、アリアの剣を避ける。二人の間を縫うように突き出した武器を、体ごと回転しながら斜め上へと切り上げれば、マティアスの肩を深く裂いた。
すり抜けざま、回し蹴りをアリアへとお見舞いしておく。
身体強化をし、充分に捻りを加えた蹴りの威力はかなりのもので、アリアはそのまま数メール転がっていった。
だがそこで気を抜いてはいけない。マティアスは怪我など気にする事なく、振り向きざまに斬りつけてきたのだ。
「くっ」
咄嗟に受け止めはしたが、態勢が整っていない状態からの攻撃であるにも関わらず、その剣撃の重さで少々後ろへと地面を滑ることになった。
その反動でマティアスはティアから距離を取る。
その時、森から更に誰かが出てきた。
魔獣ではない。先ほどから、飛び出してくる魔獣は、マティが地道に殲滅していた。ただ、そろそろ数が多くなっているらしく、対応しきれなくなりそうだ。
「へっ⁉︎ 今度は誰が出てくんの⁉︎」
一体今度はどんな強敵が現れたのかと、ティアはその黒い影を目の端で捉える。しかし、ティアには記憶にない男だった。
その実力が全く分からない相手では厄介だなとマティアスとアリアを注意深く見つめながら考えていたティアだったが、その時、ルクスが呟いた。
「あれ……あの剣……まさか、コルヴェールなんじゃ……」
「はぁっ⁉︎」
ちらりと目を向ける。その剣は確かに見覚えがある。ルクスが持つ剣と同じだ。纏う雰囲気などは違うが、間違いない。
「青剣ルヴィ……まさかの英雄登場なんて……さすがに相手できないんだけど⁉︎」
是非とも一体一でやり合いたい相手なのだが、一度に相手をするには不向きだ。
この状況では遠慮したい。
そして、何よりこの英雄がマズイのは、獲物が魔剣であるという事だ。
「まさかっ……!」
ヒヤリとした感覚を受け、ティアは咄嗟にその場から駆け出した。
コルヴェールが剣を振り下ろすと、電撃が剣から放たれ、大地を裂いていったのだ。
「っ、ふざけんなっ!!」
魔剣から放たれるのは魔術ではない。魔力なのだ。声を出す必要がない。あと一瞬遅ければ、間違いなく真っ二つにされていた。
「ちょっと、さすがにティアでも無理でしょっ⁉︎」
「当たり前だよっ。母様とアリアだけでも遊びにならなくなってるのに、その上英雄ってないでしょっ!! どこの最終兵器よ!!」
そして、マティアス、アリア、コルヴェールが同時に三方向からティアへと向けて駆け出した。
「ちっ、やるしかないかっ」
ティアは、三人を相手にすると覚悟を決めた。だが、ティアへと三人が到達する前に、その間へと滑り込む者たちがいた。
「っ、ルクス、クロちゃんっ」
コルヴェールと同じ剣でそれを受け止めたのはルクスだった。
「倒せないまでも、足を止めるくらいならできる」
そう言って、ティアから距離を取るように激しく打ち合いながら押し戻していく。
「これも天が与えた好機。先祖であるこの方の技を、実際に受けられるのです。これ程の幸運はありません」
アリアの技を何とかかわしながら言ったのはクロノスだ。アリアの技は本来、魔術との合わせ技だ。魔術が使えない以上、その威力は本物に劣る。しかし、実際に剣技を見られる事に、クロノスはこの機会を逃すまいとしているようだ。
そして、マティアスの前には、長身の旅装束を纏った一人の男。
「ファル兄……」
「……遅くなった……」
それは、里帰りをしていたファルだった。
「ま、間に合ったぁ~」
「カランタ……まさか……」
カランタは、息を弾ませながら、サクヤの隣に降り立った。少々翼に元気がないように見える。
「はぁ……彼ならマティの相手もできるんじゃないかと思って、探して連れてきたんだ。重かった……」
体格差のあるファルを抱えて飛んできたらしい。相当力を消費したようだ。
「へぇ。上からなら迷わないんだ?」
「え? あ、うん。建物の中じゃなければ迷わな……っ褒めてよっ!」
「あ~、はいはい。よくできました~」
「えへへ」
相変わらずティアは素直に礼を言わないようだ。しかし、カランタは満足そうに頬を染めていた。
「……それでいいの……?」
サクヤが呆れる中。三人は激しく剣を合わせる。
だが、やはり分は悪いようだ。
「っ……これの元をどうにかしてくれ……」
ファルがティアへと目配せをしてそう言った。いくらファルであっても、マティアスの相手は簡単なことではないらしい。
何より、仲間思いの彼にしてみれば、かつての仲間を斬りつけるのは心が痛むのだろう。それがこの世を去った相手ならば尚更だ。
「そうだっ。神鏡を見つけて術者を倒すんだ。鏡から手を離す事さえ出来れば、これは全部消える」
カランタが辛そうに顔を歪めながらマティアスを見て言った。
「分かった。マティっ」
《うん。主っ。森の中だねっ》
「そう。術者を見つけるよ」
《任せて!》
そうしている間にも、森からは魔獣達が次々と出てきていた。それをサクヤが魔術で倒したり、漏れたものは、クィーグの者が対処しているのを感じる。
「ここは任せる」
「おぉっ」
「はっ」
「……行け……」
戦っている三人に後を頼むと、ティアはマティの背に乗り、森へと入っていくのだった。
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舞台裏のお話。
アデル「ユフィア姉さんは、ウル先生と、ここに居てね」
ユフィア「ええ」
ベル「アデル? いつの間に着替えて……まさか」
アデル「参戦してきまぁす」
キルシュ「僕も行く」
ベル「なっ、いや、二人はユフィと……」
ユフィア「心配いりませんわ。ティアさんがここの守りを考えないはずがありませんし、ベル様も行かれるでしょう?」
ベル「そ、それは……」
ユフィア「ベル様。私はベル様の何でしたかしら?」
ベル「っ、婚約者だっ」
ユフィア「では、ベル様のお帰りになる場所で待つのが私の役目ですわね」
ベル「あ……あぁ……だが」
エル「ベル。ティアが姉となる人を守らない筈がないだろう。ここの守りは万全と信じろ」
ベル「そ、そうだな」
ユフィア「ええ。ベル様、お帰りをお待ちしております」
ベル「っ、分かった。行ってくる」
ユフィア「はい」
アデル「すご~い。これが、ラブラブな新婚夫婦のお見送りなんだねっ」
キルシュ「っ……だな……」
エル「ははっ。まだ夫婦ではないが……羨ましい限りだ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
戦に赴く夫を待つ妻ですね。
是非とも一体一で戦いたい相手。
英雄さんも出てきましたからね。
ですが、そんな悠長な事も言っていられません。
被害が出る前に、さっさと術者を倒してしまいたいです。
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