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416 記憶は不十分
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2016. 5. 22
********************************************
森から飛び出したマティと一緒にその人が見えた時、ティアは心臓が激しく鼓動を打つのを感じていた。
マティの表情は、いつもとは違う。
間違いなく、それが強者と知り逃げてきたのだろう。
それを思うと、ティアは嬉しくて仕方がない。マティは強い。そんなマティが強いと感じている。
《主っ! あいつ、強いよっ!》
ティアの後ろへと回り込んでそう言ったマティからは、少しの怯えを感じた。
毛を逆立て警戒しているのが分かる。その時、静かな視線が向けられている事に気づいた。
正気は感じられない。それでも、そこに闘争心が宿っているように感じられるのだ。
抑えきれない高揚感。こんな感覚など忘れていた。感じたのはまだ幼い頃。戦場にも出たが、どれほど大勢が相手であってもこれ程の昂りは生まれなかった。
ティアには敵などいなかったのだ。強い者は皆味方で、強敵など存在しなかった。
それが今、目の前にいる。嬉しくないはずがない。
肺に溜まった全ての空気を入れ替えるべく大きく吐き出す。そして、ゆっくりとこの場の緊迫した空気を取り込む。
《っ……主……》
マティの心配そうな声など、他人事のように耳をすり抜ける。もうティアの目にはマティアスしか映ってはいなかった。
「母様……いくよっ!」
気合十分。一気に踏み込んで加速すると、マティアスも飛んでいた。そして、中間地点で火花を散らしながら剣を交える。
重たいと思った。これが影であり、生きた者ではないという事が不思議なくらいだ。マティアスはここに確かに存在している。
幾度となく火花を散らし、隙のないマティアスへとハルバードを振り下ろす。
ティアの息が上がる頃。ティアとマティアスは鏡のように同じ反応で距離を取った。
荒く息をつくティア。そこで、自分が薄い夜着のまま、防具もつけていない事に気付いて苦笑する。
「ふふっ、さすが母様」
いつもの防具を着けていたら、早々に傷をつけられていただろう。身軽であったことが幸いしていた。
「だからって、このままって訳にもいかないよね」
そうしてティアは、防具を纏った。魔術によって作り上げた武具だ。だが、薄い布一枚よりかは遥かにいいだろう。
仕切り直しは完了と、ティアは再びマティアスに向かって飛んだ。充分に重さを掛けて下ろした一撃は、剣によって弾かれる。そんなことは想定内と、そのまま空中で回転しながら、今度は下からすくい上げるようにハルバードを振るった。
それも難なく二本の剣で受け止めるマティアス。その反動で宙返りをして、着地する。しかし、そこにマティアスが滑り込んでくる。
「くっ」
一気に内に入り込まれた事で、ハルバードが意味を成さなくなる。それならばと、ティアはハルバードを地に刺し、飛び上がる。そして、魔術を容赦なく叩きつけた。
「【火連弾】!!」
集中して放たれた火の弾丸は、マティアスのいる場所を深く抉っていく。魔術を受けて、地面に刺さっていたハルバードがティアの方へと飛んできた。
受け止めて着地すると、砂煙に覆われるその場所を見つめる。
「まぁ。無理よね」
そうそこには、少々穴の空いた体を気にする事なく、悠然と立つマティアスがいた。
しかし、痛手ではあったようだ。
一歩を踏み出すマティアスの姿は、揺らめいていた。
「やっぱり、偽物なんだね」
マティアスならば、あの攻撃でも飛び出していたはずだ。それが間に合わなくても、結界を張って身を守っていただろう。
「魔術も使ってこないし、これが母様とは……笑わせないでよね」
ティアは知らなかった。魔獣とは違い、人が魔術を発動させる為には言葉が必要だ。言葉を発する事のない影は、これにより、魔術を行使できなかったのだ。
「身体能力だけじゃぁ、母様の強さは再現できないんだよっ」
何より、マティアスも自身と互角かそれ以上の相手など手合わせした事がなかった。よって、そのような相手との戦いの記憶は、世界に存在しない。
本当のマティアスの強さを再現などできなかったのだ。
「そろそろ決めるっ……⁉︎」
マティアスに向かって駆け出したティアだったが、そこへ突然、何者かが駆け込んできた。
咄嗟にティアはそれをハルバードで弾き飛ばす。
何だったのかと目を向けた先にいたのは、銀髪の女性。鎧がなければ、一瞬、ラキアかと思った。その人の手には、レイピアが輝いていた。
「っ……アリア……」
予想していなかったわけではない。もしかしたならばとは思っていた。
そこに、ルクスとクロノス、サクヤが駆けてきた。
「ティア。マティっ⁉︎ それに……確か……アリア・マクレート?」
サクヤの言葉に、クロノスが驚きに目を見開く。
「アリア・マクレート……」
はっと思った時、アリアとマティアスが同時にティアへと向かってきた。
「ちょっ⁉︎」
二人が一緒に来るとは、さすがのティアも焦った。取り回しの大きくなるハルバードでは素早いアリアの剣撃と、マティアスの動きを同時に相手にするのは難しい。
一度態勢を立て直す為、ティアは大きく後ろへ後退し、向かってくる二人の足下目掛けてハルバードを振り下ろした。
************************************************
舞台裏のお話。
サクヤ「あら? これって、風の障壁?」
ルクス「どうやら、風王が仕掛けていったようですね」
クロノス「ここから先へ敵の侵入を防ぐ為ですか。さすがはティア様です」
ルクス「いや、これは風王が……」
サクヤ「なら、本当に大丈夫そうね。でも……これって、私達も通れないんじゃ……」
ルクス「いえ、精霊達が……なに?いいから通せ」
サクヤ「え~っと、そっか。ルクス君は精霊視力を持ってたものね」
ルクス「合言葉なんて知るかっ。遊んでないで通せばいいんだっ」
クロノス「これは……大丈夫なのでしょうか……」
サクヤ「そうねぇ……任せるしかないわ……」
ルクス「いい加減にしろっ! 」
サクヤ「あら? ダメそうだわ」
ビアン「サクヤさんっ」
サクヤ「ビアンちゃん?あなたまで来てしまっていいの? エル君の傍にいるんじゃ」
ビアン「エル様が行けと言われまして。それで、これは……あぁ、なるほど」
サクヤ「ビアンちゃん?」
ルクス「ビアン?」
ビアン「ルクス。ここは私が。お前達。私がここで話し相手になってやるから、この三人を通してくれるか? 王に怒られたら大変だろう?」
ルクス「あ……開いた……」
ビアン「行ってこい」
ルクス「あぁ」
サクヤ「ありがとう。ビアンちゃん。なるべく早く戻るわねっ」
ビアン「はい」
クロノス「助かります」
ビアン「お気をつけて」
精霊達 《いっちゃった》
ビアン「ほら、穴を塞げ。それで、何をする?」
精霊達 《しりとり~》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
こっちは精霊ちゃんのお守です。
少々苦戦はしていますが、マティアス ママの実力は再現できていないようです。
世界の記憶ですからね。
マティアスが本気になった所などなかったのでしょう。
それでも充分に強かったのですから、マティアス ママは最強です。
さて、アリアまで登場。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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森から飛び出したマティと一緒にその人が見えた時、ティアは心臓が激しく鼓動を打つのを感じていた。
マティの表情は、いつもとは違う。
間違いなく、それが強者と知り逃げてきたのだろう。
それを思うと、ティアは嬉しくて仕方がない。マティは強い。そんなマティが強いと感じている。
《主っ! あいつ、強いよっ!》
ティアの後ろへと回り込んでそう言ったマティからは、少しの怯えを感じた。
毛を逆立て警戒しているのが分かる。その時、静かな視線が向けられている事に気づいた。
正気は感じられない。それでも、そこに闘争心が宿っているように感じられるのだ。
抑えきれない高揚感。こんな感覚など忘れていた。感じたのはまだ幼い頃。戦場にも出たが、どれほど大勢が相手であってもこれ程の昂りは生まれなかった。
ティアには敵などいなかったのだ。強い者は皆味方で、強敵など存在しなかった。
それが今、目の前にいる。嬉しくないはずがない。
肺に溜まった全ての空気を入れ替えるべく大きく吐き出す。そして、ゆっくりとこの場の緊迫した空気を取り込む。
《っ……主……》
マティの心配そうな声など、他人事のように耳をすり抜ける。もうティアの目にはマティアスしか映ってはいなかった。
「母様……いくよっ!」
気合十分。一気に踏み込んで加速すると、マティアスも飛んでいた。そして、中間地点で火花を散らしながら剣を交える。
重たいと思った。これが影であり、生きた者ではないという事が不思議なくらいだ。マティアスはここに確かに存在している。
幾度となく火花を散らし、隙のないマティアスへとハルバードを振り下ろす。
ティアの息が上がる頃。ティアとマティアスは鏡のように同じ反応で距離を取った。
荒く息をつくティア。そこで、自分が薄い夜着のまま、防具もつけていない事に気付いて苦笑する。
「ふふっ、さすが母様」
いつもの防具を着けていたら、早々に傷をつけられていただろう。身軽であったことが幸いしていた。
「だからって、このままって訳にもいかないよね」
そうしてティアは、防具を纏った。魔術によって作り上げた武具だ。だが、薄い布一枚よりかは遥かにいいだろう。
仕切り直しは完了と、ティアは再びマティアスに向かって飛んだ。充分に重さを掛けて下ろした一撃は、剣によって弾かれる。そんなことは想定内と、そのまま空中で回転しながら、今度は下からすくい上げるようにハルバードを振るった。
それも難なく二本の剣で受け止めるマティアス。その反動で宙返りをして、着地する。しかし、そこにマティアスが滑り込んでくる。
「くっ」
一気に内に入り込まれた事で、ハルバードが意味を成さなくなる。それならばと、ティアはハルバードを地に刺し、飛び上がる。そして、魔術を容赦なく叩きつけた。
「【火連弾】!!」
集中して放たれた火の弾丸は、マティアスのいる場所を深く抉っていく。魔術を受けて、地面に刺さっていたハルバードがティアの方へと飛んできた。
受け止めて着地すると、砂煙に覆われるその場所を見つめる。
「まぁ。無理よね」
そうそこには、少々穴の空いた体を気にする事なく、悠然と立つマティアスがいた。
しかし、痛手ではあったようだ。
一歩を踏み出すマティアスの姿は、揺らめいていた。
「やっぱり、偽物なんだね」
マティアスならば、あの攻撃でも飛び出していたはずだ。それが間に合わなくても、結界を張って身を守っていただろう。
「魔術も使ってこないし、これが母様とは……笑わせないでよね」
ティアは知らなかった。魔獣とは違い、人が魔術を発動させる為には言葉が必要だ。言葉を発する事のない影は、これにより、魔術を行使できなかったのだ。
「身体能力だけじゃぁ、母様の強さは再現できないんだよっ」
何より、マティアスも自身と互角かそれ以上の相手など手合わせした事がなかった。よって、そのような相手との戦いの記憶は、世界に存在しない。
本当のマティアスの強さを再現などできなかったのだ。
「そろそろ決めるっ……⁉︎」
マティアスに向かって駆け出したティアだったが、そこへ突然、何者かが駆け込んできた。
咄嗟にティアはそれをハルバードで弾き飛ばす。
何だったのかと目を向けた先にいたのは、銀髪の女性。鎧がなければ、一瞬、ラキアかと思った。その人の手には、レイピアが輝いていた。
「っ……アリア……」
予想していなかったわけではない。もしかしたならばとは思っていた。
そこに、ルクスとクロノス、サクヤが駆けてきた。
「ティア。マティっ⁉︎ それに……確か……アリア・マクレート?」
サクヤの言葉に、クロノスが驚きに目を見開く。
「アリア・マクレート……」
はっと思った時、アリアとマティアスが同時にティアへと向かってきた。
「ちょっ⁉︎」
二人が一緒に来るとは、さすがのティアも焦った。取り回しの大きくなるハルバードでは素早いアリアの剣撃と、マティアスの動きを同時に相手にするのは難しい。
一度態勢を立て直す為、ティアは大きく後ろへ後退し、向かってくる二人の足下目掛けてハルバードを振り下ろした。
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舞台裏のお話。
サクヤ「あら? これって、風の障壁?」
ルクス「どうやら、風王が仕掛けていったようですね」
クロノス「ここから先へ敵の侵入を防ぐ為ですか。さすがはティア様です」
ルクス「いや、これは風王が……」
サクヤ「なら、本当に大丈夫そうね。でも……これって、私達も通れないんじゃ……」
ルクス「いえ、精霊達が……なに?いいから通せ」
サクヤ「え~っと、そっか。ルクス君は精霊視力を持ってたものね」
ルクス「合言葉なんて知るかっ。遊んでないで通せばいいんだっ」
クロノス「これは……大丈夫なのでしょうか……」
サクヤ「そうねぇ……任せるしかないわ……」
ルクス「いい加減にしろっ! 」
サクヤ「あら? ダメそうだわ」
ビアン「サクヤさんっ」
サクヤ「ビアンちゃん?あなたまで来てしまっていいの? エル君の傍にいるんじゃ」
ビアン「エル様が行けと言われまして。それで、これは……あぁ、なるほど」
サクヤ「ビアンちゃん?」
ルクス「ビアン?」
ビアン「ルクス。ここは私が。お前達。私がここで話し相手になってやるから、この三人を通してくれるか? 王に怒られたら大変だろう?」
ルクス「あ……開いた……」
ビアン「行ってこい」
ルクス「あぁ」
サクヤ「ありがとう。ビアンちゃん。なるべく早く戻るわねっ」
ビアン「はい」
クロノス「助かります」
ビアン「お気をつけて」
精霊達 《いっちゃった》
ビアン「ほら、穴を塞げ。それで、何をする?」
精霊達 《しりとり~》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
こっちは精霊ちゃんのお守です。
少々苦戦はしていますが、マティアス ママの実力は再現できていないようです。
世界の記憶ですからね。
マティアスが本気になった所などなかったのでしょう。
それでも充分に強かったのですから、マティアス ママは最強です。
さて、アリアまで登場。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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