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2016. 4. 25
◎明日26日 0時より(2時~3時の間に変動予定)
ダイジェスト化作業の為、話数が変動いたします。
削除の時にはまた混乱が予想されます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
********************************************
ティアはシェリスやカルツォーネ同様、サクヤにも伝話心具をプレゼントしていた。
それを思い出し、お茶を用意している間に、サクヤにファルが来た事を伝えていたのだ。
しかし、やって来たのはサクヤだけではなかった。
「お邪魔してもよろしいでしょうか」
「へ? あれ? 大祖父様?」
ひょっこりとサクヤの後ろから顔を覗かせたのはフェルマー学園の学園長だった。
それに気付き、アデルがぴょこんと立ち上がり驚きの声を挙げた。すると、学園長は嬉しそうに目元を緩める。
「アデル。久し振りだね」
「あ、はいっ。大祖父様っ」
「ははっ、ここには煩く言う親族もいないんだ。昔のように気楽に頼むよ」
「うっ……うん。大祖父ちゃん」
「そうそう」
フェルマー学園の学園長、ダンフェール・マランド。見た目は五十代頃だが、実年齢は九十過ぎ、そろそろ百になろうとしているらしい。竜人族の血がそうさせているのだろう。
ダンフェールは久し振りに会った曾孫に笑顔を向けた後、ファルを見て深く頭を下げた。
「はじめまして。ダンフェール・マランドと申します。イルーシュ・マランドの曾孫に当たります」
これには、いつも表情の変わらないファルの頬が緩んだように見えた。ファルは立ち上がると、真っ直ぐにダンフェールを見つめて言った。
「……顔を上げてくれ……」
ダンフェールは少々緊張していたようで、ゆっくりと顔を上げた。そこへファルが右手を差し出す。
「……会えて嬉しく思う……」
言われた言葉に、破顔しながらその手を取ると、ダンフェールが声を震わせていた。
「っ、こちらこそっ……お会いしたかったっ……」
ファルが里へ帰って数百年。竜人族の生存も危ぶまれる昨今、出会えるとは思ってもみなかったのだ。
「良かったわね。ダン」
「ええ。サクヤさんのおかげです」
笑みを交わすサクヤとダンフェール。そこでその後ろにウルスヴァンがいる事にティアが気付いた。
「ウルさんも来たんだね。ファル兄。あの人は、この国の前魔術師長。カル姐とかシェリーとも面識があって、サクヤ姐さんの教え子なんだって」
そうティアがファルに紹介すると、ウルスヴァンは恐縮しながら頭を下げる。
「ウルスヴァン・カナートと申します。今はフェルマー学園の教壇に立たせていただいておりますっ」
ダンフェールとファルの会話からファルの正体が理解できたのだろう。そして何より、初めて見る竜人族に少々動揺しているようだ。
ファルはダンフェールと同じようにウルスヴァンとも握手を交わすと、サクヤに問いかけた。
「……姐さんが魔術を教えたのか……?」
「そうよ」
サクヤの答えを聞いて、すぐにまたウルスヴァンへ顔を向けると、申し訳なさそうに言った。
「……苦労を掛けた……」
「え? あ、いえ。先生に魔術を教えていただかなければ、今の私はおりません」
そう言ったウルスヴァンを、暫く不思議そうに見つめた後、ファルはサクヤへと目を向ける。その目は疑惑に満ちていた。
「……」
「ちょっ、何よその目はっ。私だってちゃんと教えられるわよっ」
「……一時間とひと所にはいられない姐さんが……」
「ぐっ、そ、それは昔の話でしょっ」
「……毎日違う人と出歩かないと気がすまない姐さんが……」
「それも昔の話でしょ! 人を浮気性みたいに言わないの!」
「……いつも違う男と腕を組んでいた……」
「忘れなさい!!」
昔の話を掘り返され、サクヤが真っ赤になってファルの口を両手で塞いだ。
しかしそこで、あまりにも感情が昂ぶったのか、サクヤの本性が飛び出していた。
「ふっ、くふふっ、サクヤ姐さん。耳と尻尾出てるよ」
ティアの指摘でそれに気付いたサクヤは、慌てて耳へ手をやった。
「やだっ! もうっ!! ファルのせいよっ!」
「……すぐ人のせいにするのは姐さんの悪い癖だ……やっぱり変わっていない……」
「なんですってっ!!」
こんなファルとサクヤのやり取りのおかげで、緊張していたダンフェールやウルスヴァン、そして子ども達も肩の力を抜いてくすくすと笑い出すのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
妖精王 《今頃、サティアに会ってびっくりしてる頃か》
フィン《教えなかったのですか?》
妖精王 《おう。その方が面白い》
フィン《あの方でも驚く事があるのでしょうか……》
妖精王 《そう言われてみると……表情があんま、変わらんからな……》
フィン《想像できません……》
妖精王 《剣の主が決まったと言った時も、変化なかった》
フィン《口数も少ない方ですしね》
妖精王 《……気になるな……》
フィン《ええ……》
妖精王 《……出掛けてもいいか?》
フィン《ダメです。あちらの最終調整をするお約束ですから》
妖精王 《うっ、サティアのお願いだしなぁ……けど、気になるっ》
フィン《そういえば、あの方は子どもの前では笑うと聞いた事がありますね》
妖精王 《笑う? あれが?》
フィン《あれって……》
妖精王 《ますます気になるじゃねぇかっ》
フィン《今度、あの子と一緒に来てもらえば良いのでは? 精霊王様に伝言を頼んでみてはいかがです?》
妖精王 《それだっ。お~い、火王。サティアに伝言を頼む》
火王 《分かった……》
妖精王 《これでいいな》
フィン《あの方……火の方に似ていません?》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
火王も子どもには笑みを見せますよ。
サクヤ姐さんとファル兄さんの関係は、どうやら仲間というより本当に姉弟のようです。
学園長さんはサクヤ姐さんに、いつか会えるようにと頼んでいたのかもしれません。
ルクス君と魔剣の件を放置中でした。
ファル兄さんの合否発表を聞かなくては。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
◎明日26日 0時より(2時~3時の間に変動予定)
ダイジェスト化作業の為、話数が変動いたします。
削除の時にはまた混乱が予想されます。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
********************************************
ティアはシェリスやカルツォーネ同様、サクヤにも伝話心具をプレゼントしていた。
それを思い出し、お茶を用意している間に、サクヤにファルが来た事を伝えていたのだ。
しかし、やって来たのはサクヤだけではなかった。
「お邪魔してもよろしいでしょうか」
「へ? あれ? 大祖父様?」
ひょっこりとサクヤの後ろから顔を覗かせたのはフェルマー学園の学園長だった。
それに気付き、アデルがぴょこんと立ち上がり驚きの声を挙げた。すると、学園長は嬉しそうに目元を緩める。
「アデル。久し振りだね」
「あ、はいっ。大祖父様っ」
「ははっ、ここには煩く言う親族もいないんだ。昔のように気楽に頼むよ」
「うっ……うん。大祖父ちゃん」
「そうそう」
フェルマー学園の学園長、ダンフェール・マランド。見た目は五十代頃だが、実年齢は九十過ぎ、そろそろ百になろうとしているらしい。竜人族の血がそうさせているのだろう。
ダンフェールは久し振りに会った曾孫に笑顔を向けた後、ファルを見て深く頭を下げた。
「はじめまして。ダンフェール・マランドと申します。イルーシュ・マランドの曾孫に当たります」
これには、いつも表情の変わらないファルの頬が緩んだように見えた。ファルは立ち上がると、真っ直ぐにダンフェールを見つめて言った。
「……顔を上げてくれ……」
ダンフェールは少々緊張していたようで、ゆっくりと顔を上げた。そこへファルが右手を差し出す。
「……会えて嬉しく思う……」
言われた言葉に、破顔しながらその手を取ると、ダンフェールが声を震わせていた。
「っ、こちらこそっ……お会いしたかったっ……」
ファルが里へ帰って数百年。竜人族の生存も危ぶまれる昨今、出会えるとは思ってもみなかったのだ。
「良かったわね。ダン」
「ええ。サクヤさんのおかげです」
笑みを交わすサクヤとダンフェール。そこでその後ろにウルスヴァンがいる事にティアが気付いた。
「ウルさんも来たんだね。ファル兄。あの人は、この国の前魔術師長。カル姐とかシェリーとも面識があって、サクヤ姐さんの教え子なんだって」
そうティアがファルに紹介すると、ウルスヴァンは恐縮しながら頭を下げる。
「ウルスヴァン・カナートと申します。今はフェルマー学園の教壇に立たせていただいておりますっ」
ダンフェールとファルの会話からファルの正体が理解できたのだろう。そして何より、初めて見る竜人族に少々動揺しているようだ。
ファルはダンフェールと同じようにウルスヴァンとも握手を交わすと、サクヤに問いかけた。
「……姐さんが魔術を教えたのか……?」
「そうよ」
サクヤの答えを聞いて、すぐにまたウルスヴァンへ顔を向けると、申し訳なさそうに言った。
「……苦労を掛けた……」
「え? あ、いえ。先生に魔術を教えていただかなければ、今の私はおりません」
そう言ったウルスヴァンを、暫く不思議そうに見つめた後、ファルはサクヤへと目を向ける。その目は疑惑に満ちていた。
「……」
「ちょっ、何よその目はっ。私だってちゃんと教えられるわよっ」
「……一時間とひと所にはいられない姐さんが……」
「ぐっ、そ、それは昔の話でしょっ」
「……毎日違う人と出歩かないと気がすまない姐さんが……」
「それも昔の話でしょ! 人を浮気性みたいに言わないの!」
「……いつも違う男と腕を組んでいた……」
「忘れなさい!!」
昔の話を掘り返され、サクヤが真っ赤になってファルの口を両手で塞いだ。
しかしそこで、あまりにも感情が昂ぶったのか、サクヤの本性が飛び出していた。
「ふっ、くふふっ、サクヤ姐さん。耳と尻尾出てるよ」
ティアの指摘でそれに気付いたサクヤは、慌てて耳へ手をやった。
「やだっ! もうっ!! ファルのせいよっ!」
「……すぐ人のせいにするのは姐さんの悪い癖だ……やっぱり変わっていない……」
「なんですってっ!!」
こんなファルとサクヤのやり取りのおかげで、緊張していたダンフェールやウルスヴァン、そして子ども達も肩の力を抜いてくすくすと笑い出すのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
妖精王 《今頃、サティアに会ってびっくりしてる頃か》
フィン《教えなかったのですか?》
妖精王 《おう。その方が面白い》
フィン《あの方でも驚く事があるのでしょうか……》
妖精王 《そう言われてみると……表情があんま、変わらんからな……》
フィン《想像できません……》
妖精王 《剣の主が決まったと言った時も、変化なかった》
フィン《口数も少ない方ですしね》
妖精王 《……気になるな……》
フィン《ええ……》
妖精王 《……出掛けてもいいか?》
フィン《ダメです。あちらの最終調整をするお約束ですから》
妖精王 《うっ、サティアのお願いだしなぁ……けど、気になるっ》
フィン《そういえば、あの方は子どもの前では笑うと聞いた事がありますね》
妖精王 《笑う? あれが?》
フィン《あれって……》
妖精王 《ますます気になるじゃねぇかっ》
フィン《今度、あの子と一緒に来てもらえば良いのでは? 精霊王様に伝言を頼んでみてはいかがです?》
妖精王 《それだっ。お~い、火王。サティアに伝言を頼む》
火王 《分かった……》
妖精王 《これでいいな》
フィン《あの方……火の方に似ていません?》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
火王も子どもには笑みを見せますよ。
サクヤ姐さんとファル兄さんの関係は、どうやら仲間というより本当に姉弟のようです。
学園長さんはサクヤ姐さんに、いつか会えるようにと頼んでいたのかもしれません。
ルクス君と魔剣の件を放置中でした。
ファル兄さんの合否発表を聞かなくては。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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