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388 特殊なのしか知りません
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2016. 4. 12
********************************************
軽く実力を見せてくれと言って始まった妖精王とルクスの手合わせは、思いのほか激しいものとなった。
結果、ルクスが完全にスタミナ不足で倒れるまで続けられたのだ。
《すまん、すまん。つい調子に乗り過ぎた》
「い……いえ……っ」
息も絶え絶えに、床に膝をつくルクス。そして、そのまま気絶するように崩折れて眠ってしまった。
《ははっ、限界だったか》
ティアは玉座に座って二人の手合わせを見ていたのだが、ルクスが床に膝をついた所で階段を駆け下りて来ていた。
「ルクス……子どもみたい」
ルクスが完全に眠ってしまうと、ティアはそのやり切ったという満足そうな寝顔を覗き込み、微笑んだ。
《サティア。それ、起きた時に言ってやるなよ?》
「ふふっ、さすがにそれは分かってるよ」
《おっ? 気付いてたのか?》
妖精王は、ルクスのティアへ対する想いを理解していた。ほんの少し接しただけだが、ティアへと向ける視線の意味や態度に気付いていたのだ。
それを、ティアは理解していないと思っていた。
「もうずっと前に、ちょっと言われたからね。私もまだ子どもだし、あえて保留状態にしてるんだ」
《ほぉ……まぁ、悪くない判断だ》
その想いに気付いているのだ。真剣に向けられるそれを、ティアは切って捨てたりはしない。
ただし、ティアは恋愛には疎い。更に、保留にしているのだと言った時のティアの微妙な表情が気になり、妖精王が尋ねる。
《サティア……まさか、自分より良い相手が見つかったらそのまま身を引こうと考えていないか?》
「っ……ダメなの……?」
《……サティア……それは保留とは言えない。恋愛に関しては、それが一番考えてはいけない事だ》
「そうなの……?」
ティア自身、シェリスにもだが、ルクスに対しても自分の気持ちに向き合おうとしていない。
思いを受け止める事は出来ても、返す事ができないのだ。
ティアが王女として生きていた為でもある。姉達のように恋に恋する性格でもなければ、無理に結婚を勧められたりもしない。
あるとしても、兄が決めた相手と結婚するのかなと思っていたぐらいだ。
サクヤや姉達から恋の話を聞かされてはいたから、知識としては持っていても、結局は他人事でしかなかった。
いざ自分の身に降りかかってくると、その知識が生かせない。他人事だから考えられただけで、自身が経験するなど想定していなかったのだ。
《サティア。君は魅力的な女の子だ。これからだって、君に想いを寄せる者が何人も現れるだろう。けれど、まったく気がないなら、今からでもきっぱりと断るんだ。それでも想いを寄せてくる者は放っておいても構わない。それはそいつの自由な意思だ。けど、いつまでも思わせ振りな態度で接するのは良くない。君達はただでさえ、命の時間が短いからな》
エルフや魔族など、長い時を百年単位で生きる者達相手ならば、人族であるティアが命尽きるまで答えを保留にしたからといってたいした損ではない。
だが、人は違う。たった数年でもかけがえのない無駄にできない時間だ。
「時間……そっか……私がその人のあるはずだった次のチャンスを潰しちゃう事になるもんね……」
きっぱりとふる事で、次の出会いに繋げてやらなくてはならない。
希望のない時間を無為に過ごさせるのは不誠実に過ぎるだろう。何より、相手の出会いの可能性を潰す事になってしまう。
《まぁ、エルフでも魔族でも人族でも、早く返事をしてやるのは良いことだ。不誠実な態度はやめなさい。相手に甘えてはいけない》
「うん……」
そうは言うが、妖精王は分かっていた。ティアが未だに恋愛に関して鈍くなってしまった大きな理由が一つあるのだと言う事を。
《あ、森の長は別だぞ? あれは特殊だからな。いつまででも待たせてやればいい。我慢が出来なくなったら、あっちから強引に来るだろう》
「それ、あんまり良くないんだけど……シェリーの場合は言っても無駄か……」
そう、シェリスはティアの返事如何など関係ないのだ。その為、ティアは相手の気持ちに答えるのではなく、いかに上手く受け流すかに特化してしまったのだ。
《そうだな。良く分かってるじゃないか。あぁゆう輩は、いくらでも焦らせて便利に使え。それで多少満足する》
「それは得意。っていうか、それしかできないのかも……」
《……難しいな……》
「うん……シェリーみたいな人ばっかりじゃ困るけど、シェリーみたいな人の対応策しか浮かばないんだよね……」
特殊な対応しかできないティアだ。お陰で答えを先延ばしにする癖がついてしまっている。
《はぁ……こればっかりは確実なマニュアルがあるわけじゃないからな。だが、彼に関してはまんざらでもないんだろう? 》
「そう……かも」
ルクスに目を向け、ティアは小さく呟いた。それに今はそれで充分だなと妖精王は結論を出す。
《ならまぁ、楽しめ。勿論、相手の事をしっかりと常に考えるように》
「はぁ~い」
結局確実なアドバイスにならなかったが、妖精王は確かに今、ルクスを救っていたのだ。
「あれ? そういえば、シェリーからの通信……朝もなかった……昼も過ぎてる……」
《どうした?》
見る間に青くなっていくティアに、妖精王が心配する。
「うん……帰るの怖いな……」
《ん?》
お約束の一日三回の通信がシェリスからない事に、何かあったのではとシェリスの身を案じるのではなく、嵐の前の静けさを感じてしまうティアだった。
************************************************
舞台裏のお話。
クロノス「カル様。先ほどは、どなたかと話していらしたようですが……」
カル「うん?あぁ、これで、ティアと通信できるんだ。シェリーが久し振りに本気の仕事モードだからね。心配してるんじゃないかと思って」
クロノス「ティア様とっ……」
アリシア「ティア様は、今のこの状況をご存知なのですか?」
ベティ「察していらっしゃる?」
カル「いや。シェリーに聞いたけど、予定だと明日以降、ここに来ることになる筈だったらしくてね。今のこの状況は知らないよ」
アリシア「では、確かに心配なさっておいででしょうね」
ベティ「マスターは人付き合いがあまり得意ではないとティア様もおっしゃっていましたもの」
カル「あぁ、いや、その心配じゃなくて、シェリーから通信がない事にだよ」
アリ・ベ「「へ?」」
クロノス「マスターの事ですから、毎日欠かさなかったのでしょう」
カル「うん。それも、一日三回必ずだったから」
アリシア「さ、三回……ですか?」
ベティ「きっちり?」
カル「そう。それも朝、昼、晩とね。それなのに、今日は朝もなくて、もうすぐ日暮れる」
クロノス「それは心配されますね……」
カル「うん。いつ通信が来るかって気にしていたみたいだ」
アリシア「それは……生存確認……」
ベティ「うん。その感覚だよね」
クロノス「マスターが倒れられたのではないかと心配なさった事でしょう」
カル「いや……うん……禁断症状が出そうで、帰るのが嫌だと言っていたよ……」
アリ・ベ「「あ~……」」
クロノス「では、症状が進行する前にマスターに通信をお願いしましょう」
カル「……それがよさそうだ。夜になる前にね」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
異常事態ですから。
珍しくティアちゃんに恋の指導です。
ルクスの想いに気付いてからどれだけ時間が経ったのでしょう……。
ティアちゃんのSっ気も、シェリスのせいなのではないかと思えます。
ある意味、良い仕事してます。
では次回、一日空けて14日です。
よろしくお願いします◎
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軽く実力を見せてくれと言って始まった妖精王とルクスの手合わせは、思いのほか激しいものとなった。
結果、ルクスが完全にスタミナ不足で倒れるまで続けられたのだ。
《すまん、すまん。つい調子に乗り過ぎた》
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息も絶え絶えに、床に膝をつくルクス。そして、そのまま気絶するように崩折れて眠ってしまった。
《ははっ、限界だったか》
ティアは玉座に座って二人の手合わせを見ていたのだが、ルクスが床に膝をついた所で階段を駆け下りて来ていた。
「ルクス……子どもみたい」
ルクスが完全に眠ってしまうと、ティアはそのやり切ったという満足そうな寝顔を覗き込み、微笑んだ。
《サティア。それ、起きた時に言ってやるなよ?》
「ふふっ、さすがにそれは分かってるよ」
《おっ? 気付いてたのか?》
妖精王は、ルクスのティアへ対する想いを理解していた。ほんの少し接しただけだが、ティアへと向ける視線の意味や態度に気付いていたのだ。
それを、ティアは理解していないと思っていた。
「もうずっと前に、ちょっと言われたからね。私もまだ子どもだし、あえて保留状態にしてるんだ」
《ほぉ……まぁ、悪くない判断だ》
その想いに気付いているのだ。真剣に向けられるそれを、ティアは切って捨てたりはしない。
ただし、ティアは恋愛には疎い。更に、保留にしているのだと言った時のティアの微妙な表情が気になり、妖精王が尋ねる。
《サティア……まさか、自分より良い相手が見つかったらそのまま身を引こうと考えていないか?》
「っ……ダメなの……?」
《……サティア……それは保留とは言えない。恋愛に関しては、それが一番考えてはいけない事だ》
「そうなの……?」
ティア自身、シェリスにもだが、ルクスに対しても自分の気持ちに向き合おうとしていない。
思いを受け止める事は出来ても、返す事ができないのだ。
ティアが王女として生きていた為でもある。姉達のように恋に恋する性格でもなければ、無理に結婚を勧められたりもしない。
あるとしても、兄が決めた相手と結婚するのかなと思っていたぐらいだ。
サクヤや姉達から恋の話を聞かされてはいたから、知識としては持っていても、結局は他人事でしかなかった。
いざ自分の身に降りかかってくると、その知識が生かせない。他人事だから考えられただけで、自身が経験するなど想定していなかったのだ。
《サティア。君は魅力的な女の子だ。これからだって、君に想いを寄せる者が何人も現れるだろう。けれど、まったく気がないなら、今からでもきっぱりと断るんだ。それでも想いを寄せてくる者は放っておいても構わない。それはそいつの自由な意思だ。けど、いつまでも思わせ振りな態度で接するのは良くない。君達はただでさえ、命の時間が短いからな》
エルフや魔族など、長い時を百年単位で生きる者達相手ならば、人族であるティアが命尽きるまで答えを保留にしたからといってたいした損ではない。
だが、人は違う。たった数年でもかけがえのない無駄にできない時間だ。
「時間……そっか……私がその人のあるはずだった次のチャンスを潰しちゃう事になるもんね……」
きっぱりとふる事で、次の出会いに繋げてやらなくてはならない。
希望のない時間を無為に過ごさせるのは不誠実に過ぎるだろう。何より、相手の出会いの可能性を潰す事になってしまう。
《まぁ、エルフでも魔族でも人族でも、早く返事をしてやるのは良いことだ。不誠実な態度はやめなさい。相手に甘えてはいけない》
「うん……」
そうは言うが、妖精王は分かっていた。ティアが未だに恋愛に関して鈍くなってしまった大きな理由が一つあるのだと言う事を。
《あ、森の長は別だぞ? あれは特殊だからな。いつまででも待たせてやればいい。我慢が出来なくなったら、あっちから強引に来るだろう》
「それ、あんまり良くないんだけど……シェリーの場合は言っても無駄か……」
そう、シェリスはティアの返事如何など関係ないのだ。その為、ティアは相手の気持ちに答えるのではなく、いかに上手く受け流すかに特化してしまったのだ。
《そうだな。良く分かってるじゃないか。あぁゆう輩は、いくらでも焦らせて便利に使え。それで多少満足する》
「それは得意。っていうか、それしかできないのかも……」
《……難しいな……》
「うん……シェリーみたいな人ばっかりじゃ困るけど、シェリーみたいな人の対応策しか浮かばないんだよね……」
特殊な対応しかできないティアだ。お陰で答えを先延ばしにする癖がついてしまっている。
《はぁ……こればっかりは確実なマニュアルがあるわけじゃないからな。だが、彼に関してはまんざらでもないんだろう? 》
「そう……かも」
ルクスに目を向け、ティアは小さく呟いた。それに今はそれで充分だなと妖精王は結論を出す。
《ならまぁ、楽しめ。勿論、相手の事をしっかりと常に考えるように》
「はぁ~い」
結局確実なアドバイスにならなかったが、妖精王は確かに今、ルクスを救っていたのだ。
「あれ? そういえば、シェリーからの通信……朝もなかった……昼も過ぎてる……」
《どうした?》
見る間に青くなっていくティアに、妖精王が心配する。
「うん……帰るの怖いな……」
《ん?》
お約束の一日三回の通信がシェリスからない事に、何かあったのではとシェリスの身を案じるのではなく、嵐の前の静けさを感じてしまうティアだった。
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舞台裏のお話。
クロノス「カル様。先ほどは、どなたかと話していらしたようですが……」
カル「うん?あぁ、これで、ティアと通信できるんだ。シェリーが久し振りに本気の仕事モードだからね。心配してるんじゃないかと思って」
クロノス「ティア様とっ……」
アリシア「ティア様は、今のこの状況をご存知なのですか?」
ベティ「察していらっしゃる?」
カル「いや。シェリーに聞いたけど、予定だと明日以降、ここに来ることになる筈だったらしくてね。今のこの状況は知らないよ」
アリシア「では、確かに心配なさっておいででしょうね」
ベティ「マスターは人付き合いがあまり得意ではないとティア様もおっしゃっていましたもの」
カル「あぁ、いや、その心配じゃなくて、シェリーから通信がない事にだよ」
アリ・ベ「「へ?」」
クロノス「マスターの事ですから、毎日欠かさなかったのでしょう」
カル「うん。それも、一日三回必ずだったから」
アリシア「さ、三回……ですか?」
ベティ「きっちり?」
カル「そう。それも朝、昼、晩とね。それなのに、今日は朝もなくて、もうすぐ日暮れる」
クロノス「それは心配されますね……」
カル「うん。いつ通信が来るかって気にしていたみたいだ」
アリシア「それは……生存確認……」
ベティ「うん。その感覚だよね」
クロノス「マスターが倒れられたのではないかと心配なさった事でしょう」
カル「いや……うん……禁断症状が出そうで、帰るのが嫌だと言っていたよ……」
アリ・ベ「「あ~……」」
クロノス「では、症状が進行する前にマスターに通信をお願いしましょう」
カル「……それがよさそうだ。夜になる前にね」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
異常事態ですから。
珍しくティアちゃんに恋の指導です。
ルクスの想いに気付いてからどれだけ時間が経ったのでしょう……。
ティアちゃんのSっ気も、シェリスのせいなのではないかと思えます。
ある意味、良い仕事してます。
では次回、一日空けて14日です。
よろしくお願いします◎
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