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381 手を貸しましょう
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2016. 4. 3
********************************************
侯爵の顔には疲れが見えた。
そこに、ギルドの職員がお茶を運んでくる。
「どうぞ、クスカの花茶です」
それは、とても心の落ち着く香りのお茶だと、侯爵がカップへ目を止めた。
職員が退出すると、静かにシェリスがお茶に手を伸ばし、口をつけた。そこで、そんなシェリスに目を向けてカルツォーネが嬉しそうに笑う。
「なんですか」
シェリスが不機嫌そうにカルツォーネに目を向ける事なく言った。それに、益々機嫌を良くしながら、カルツォーネが答える。
「ふふっ、だって、このお茶は君の指示だろう?」
そう言った後、カルツォーネは侯爵へ声をかける。
「ほら、香りだけでも落ち着くけど、飲むといい。これは、疲労回復の効能があるんだ。体も温まる」
「あ……い、いただきます」
クスクスと笑いながら、カルツォーネもお茶を飲む。それを見て、侯爵も一口飲んでみる。
「……甘い……?」
「うん。酸味があるような香りだけどね。味は甘いんだ。クスカはこの国では手に入らないかもね。知らなかっただろう?」
「はい……初めて聞きました」
「この街でも、シェリーとティアが栽培しているだけだ。育てるのがかなり難しくてね」
どうやらシェリスが気を利かせたらしいと知り、カルツォーネは嬉しくて仕方がないようだ。
そんな様子に、シェリスは少々決まり悪げに睨んでから目をそらすと、侯爵に言った。
「こちらでも調べてみました。ただ、あなたの所だけの問題ではないようです」
「と、言いますと……?」
シェリスは、ティアに頼まれ、この毒についての背後関係なども調べていたのだ。
侯爵か、又は、夫人個人への恨みによって盛られたならば、シェリスは助けてやる気はなかった。
助けるにしても、しっかりと薬代をふっかけてやるつもりだった。怨恨ならば犯人が誰であれ、当人同士で勝手に潰しあってくれればいい。
しかし、風王からの情報や、ギルド経由の情報を集めると、そうではないことが分かったのだ。
「夫人達のお茶会が原因である事は確かなようです。ただ、問題なのは、誰を標的にするでもなく、盛られたという事です。それと、もう既に何人かお亡くなりになっているようですよ」
「えっ⁉︎ そ、それは、妻と同じ茶会に出た者という事ですかっ?」
「そうです」
そんな情報に心当たりはない侯爵は、信じられないと首を振る。
「あなたに情報が入らなかったのは、その情報を故意に操作し、知られないように動いた者達がいたからです」
「それは……いったい」
侯爵という立場である以上、多くの情報を入手する手段を持っている。その侯爵に手に入れられないようにと操作した者がいる。それは、大きな脅威だ。
「あなたは先日、その何者かに襲撃されたでしょう。『神の王国』と名乗る巫山戯た組織の事です」
「なっ、奴らがっ」
「シェリー……私は聞いていないけれど」
「話していませんから」
「君ってやつは……」
この事実に驚く侯爵を前に、カルツォーネがシェリスを責めるような目で見ていた。
そんな視線をものともせず、シェリスは続けた。
「どうも、本格的に貴族達を取り込もうとしているようですね。倒れた夫人達は、呪いにかかったと言って、それを解くには女神の許しを得なくてはならず、その為には、異種族を倒さなくてはならないとかなんとか……即刻潰してやりたいです」
「おや。久し振りに君を止めなくても良さそうだ。私も一口いいかい?」
「っ……」
隠しようのない殺気がシェリスとカルツォーネから漏れ始めていた。しかし、これはいけないとカルツォーネはすぐに意識を切り替え、問いかけた。
「でも、それに賛同したら、夫人達は助かるのかな?」
「いいえ。毒の方は作れても、解毒薬はそうそう作れませんよ。我々、エルフの中でも、難しいとされる薬ですから」
「そんな薬があるのかい?」
「ええ。『幻惑の言の葉』であったならば、まず、正確な診断を出し、その時の状況に合った効能を計算しなくてはなりません。年月が経っていれば尚更です」
ティアにも可能かもしれないが、こればかりは経験がなければ、難しい。
「解毒薬といっても、使うのは同じ毒なのです。体力が落ちた患者には、気を付けなくてはならない……なるほど……それでティアは里に連絡するようにと言ったのですね……」
「どうしたんだい? 君の里がどうかしたかい?」
「いえ、里の者は外には出ないので大丈夫だろうと思っていたのですが……ティアが、この毒が広く使われたのなら、里を封鎖した方が良いと言ったのです。ティアも確信を持っていなかった様子でしたし、深くは聞きませんでしたが……巻き込まれる可能性を考えたのでしょうね」
シェリスは、ティアが言うのならばと、すぐに里を封鎖させていた。
幸い、シェリス以外、この時代に外に出ようとする変わり者はいないようで、問題なく封鎖する事ができていた。
「ふぅ~ん。もしかして、貴族達を信頼させ、取り入れる策かい?まず、エルフと接触させて、この難しい解毒薬を作らせる。完成したとしても、何らかの方法で失敗させる事で、それを理由に取り入れようとしているのか……その中で、エルフ……異種族への反発心を育てようって魂胆だね……これって、うちも危ないかな?」
「あり得ますね。ただ、魔族領は遠いですから、直接接触するのは難しいでしょう」
「あぁ、だから、ドラゴンの渓谷にちょっかいをかけたんだね。あそこの警備を少し考える必要がありそうだ」
気づかないだけで、色々と小細工を仕掛けてきていたようだと分かり、カルツォーネも国での対策を考じる事に決めた。
「それで、侯爵の夫人は助けられそうかい?」
「あ……」
侯爵も長く国政に関わってきた身。そして、怪しげな組織に被害を受けた身だ。
シェリスとカルツォーネの話を聞いて、だいたいの事情が飲み込めていた。
だからこそ、ここで断わられる事も想定できた。しかし、頼れるのはシェリスしかないのだ。
「やりましょう。奴らの思い通りにはさせません」
「そうこなくっちゃ」
シェリスの答えに、侯爵はほっと胸を撫で下ろし、カルツォーネは満面の笑みを浮かべたのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
クレア「まったく、マスターにはおいしい所を持っていかれたねぇ」
フィスターク「何をです?」
クレア「シアンちゃんの事だよ。あんたに男を見せてもらおうと思ったんだけどねぇ。上手くいかないもんさ」
フィスターク「そうでしたか……不甲斐なく、申し訳ありません」
クレア「いいんだよ。ただ、まだまだチャンスはある。夫として、しっかり手綱を握りな。部屋でじっとしてるだけだったシアンちゃんじゃないんだ。これから、ゆっくり見極めていきなね」
フィスターク「はい……クレアさん」
クレア「なんだい?」
フィスターク「ありがとうございました」
クレア「ふふっ、よしとくれ。礼を言われるような事はしちゃいないよ。ただねぇ、やっぱり、支え合って、バランスを取るのがいい夫婦だ」
フィスターク「はい……」
クレア「その間に子どもを乗せて、自分勝手に動き回る子ども達がいても、倒れないようにバランスを取るのが夫婦だよ。あんた達の場合は、ちょいと苦労するけどね」
フィスターク「それは……努力のし甲斐がありますね」
クレア「ははっ。言うようになったねぇ。大丈夫さ。いざとなったら、私やゲイル、ゼノさん、リジットやこの屋敷にいる奴ら、それに、街の人達だって手を貸してくれるよ」
フィスターク「はいっ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
フィスパパは、頼りなく見えますが、人徳があります。
さり気なく手を出してきていました。
潰される日も近い?
国へ思想を定着させるならば、貴族達を取り込むのが一番早い。
エルフの里も、魔族の国も、直接手を出して来ないからと油断してはいられません。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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侯爵の顔には疲れが見えた。
そこに、ギルドの職員がお茶を運んでくる。
「どうぞ、クスカの花茶です」
それは、とても心の落ち着く香りのお茶だと、侯爵がカップへ目を止めた。
職員が退出すると、静かにシェリスがお茶に手を伸ばし、口をつけた。そこで、そんなシェリスに目を向けてカルツォーネが嬉しそうに笑う。
「なんですか」
シェリスが不機嫌そうにカルツォーネに目を向ける事なく言った。それに、益々機嫌を良くしながら、カルツォーネが答える。
「ふふっ、だって、このお茶は君の指示だろう?」
そう言った後、カルツォーネは侯爵へ声をかける。
「ほら、香りだけでも落ち着くけど、飲むといい。これは、疲労回復の効能があるんだ。体も温まる」
「あ……い、いただきます」
クスクスと笑いながら、カルツォーネもお茶を飲む。それを見て、侯爵も一口飲んでみる。
「……甘い……?」
「うん。酸味があるような香りだけどね。味は甘いんだ。クスカはこの国では手に入らないかもね。知らなかっただろう?」
「はい……初めて聞きました」
「この街でも、シェリーとティアが栽培しているだけだ。育てるのがかなり難しくてね」
どうやらシェリスが気を利かせたらしいと知り、カルツォーネは嬉しくて仕方がないようだ。
そんな様子に、シェリスは少々決まり悪げに睨んでから目をそらすと、侯爵に言った。
「こちらでも調べてみました。ただ、あなたの所だけの問題ではないようです」
「と、言いますと……?」
シェリスは、ティアに頼まれ、この毒についての背後関係なども調べていたのだ。
侯爵か、又は、夫人個人への恨みによって盛られたならば、シェリスは助けてやる気はなかった。
助けるにしても、しっかりと薬代をふっかけてやるつもりだった。怨恨ならば犯人が誰であれ、当人同士で勝手に潰しあってくれればいい。
しかし、風王からの情報や、ギルド経由の情報を集めると、そうではないことが分かったのだ。
「夫人達のお茶会が原因である事は確かなようです。ただ、問題なのは、誰を標的にするでもなく、盛られたという事です。それと、もう既に何人かお亡くなりになっているようですよ」
「えっ⁉︎ そ、それは、妻と同じ茶会に出た者という事ですかっ?」
「そうです」
そんな情報に心当たりはない侯爵は、信じられないと首を振る。
「あなたに情報が入らなかったのは、その情報を故意に操作し、知られないように動いた者達がいたからです」
「それは……いったい」
侯爵という立場である以上、多くの情報を入手する手段を持っている。その侯爵に手に入れられないようにと操作した者がいる。それは、大きな脅威だ。
「あなたは先日、その何者かに襲撃されたでしょう。『神の王国』と名乗る巫山戯た組織の事です」
「なっ、奴らがっ」
「シェリー……私は聞いていないけれど」
「話していませんから」
「君ってやつは……」
この事実に驚く侯爵を前に、カルツォーネがシェリスを責めるような目で見ていた。
そんな視線をものともせず、シェリスは続けた。
「どうも、本格的に貴族達を取り込もうとしているようですね。倒れた夫人達は、呪いにかかったと言って、それを解くには女神の許しを得なくてはならず、その為には、異種族を倒さなくてはならないとかなんとか……即刻潰してやりたいです」
「おや。久し振りに君を止めなくても良さそうだ。私も一口いいかい?」
「っ……」
隠しようのない殺気がシェリスとカルツォーネから漏れ始めていた。しかし、これはいけないとカルツォーネはすぐに意識を切り替え、問いかけた。
「でも、それに賛同したら、夫人達は助かるのかな?」
「いいえ。毒の方は作れても、解毒薬はそうそう作れませんよ。我々、エルフの中でも、難しいとされる薬ですから」
「そんな薬があるのかい?」
「ええ。『幻惑の言の葉』であったならば、まず、正確な診断を出し、その時の状況に合った効能を計算しなくてはなりません。年月が経っていれば尚更です」
ティアにも可能かもしれないが、こればかりは経験がなければ、難しい。
「解毒薬といっても、使うのは同じ毒なのです。体力が落ちた患者には、気を付けなくてはならない……なるほど……それでティアは里に連絡するようにと言ったのですね……」
「どうしたんだい? 君の里がどうかしたかい?」
「いえ、里の者は外には出ないので大丈夫だろうと思っていたのですが……ティアが、この毒が広く使われたのなら、里を封鎖した方が良いと言ったのです。ティアも確信を持っていなかった様子でしたし、深くは聞きませんでしたが……巻き込まれる可能性を考えたのでしょうね」
シェリスは、ティアが言うのならばと、すぐに里を封鎖させていた。
幸い、シェリス以外、この時代に外に出ようとする変わり者はいないようで、問題なく封鎖する事ができていた。
「ふぅ~ん。もしかして、貴族達を信頼させ、取り入れる策かい?まず、エルフと接触させて、この難しい解毒薬を作らせる。完成したとしても、何らかの方法で失敗させる事で、それを理由に取り入れようとしているのか……その中で、エルフ……異種族への反発心を育てようって魂胆だね……これって、うちも危ないかな?」
「あり得ますね。ただ、魔族領は遠いですから、直接接触するのは難しいでしょう」
「あぁ、だから、ドラゴンの渓谷にちょっかいをかけたんだね。あそこの警備を少し考える必要がありそうだ」
気づかないだけで、色々と小細工を仕掛けてきていたようだと分かり、カルツォーネも国での対策を考じる事に決めた。
「それで、侯爵の夫人は助けられそうかい?」
「あ……」
侯爵も長く国政に関わってきた身。そして、怪しげな組織に被害を受けた身だ。
シェリスとカルツォーネの話を聞いて、だいたいの事情が飲み込めていた。
だからこそ、ここで断わられる事も想定できた。しかし、頼れるのはシェリスしかないのだ。
「やりましょう。奴らの思い通りにはさせません」
「そうこなくっちゃ」
シェリスの答えに、侯爵はほっと胸を撫で下ろし、カルツォーネは満面の笑みを浮かべたのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
クレア「まったく、マスターにはおいしい所を持っていかれたねぇ」
フィスターク「何をです?」
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クレア「いいんだよ。ただ、まだまだチャンスはある。夫として、しっかり手綱を握りな。部屋でじっとしてるだけだったシアンちゃんじゃないんだ。これから、ゆっくり見極めていきなね」
フィスターク「はい……クレアさん」
クレア「なんだい?」
フィスターク「ありがとうございました」
クレア「ふふっ、よしとくれ。礼を言われるような事はしちゃいないよ。ただねぇ、やっぱり、支え合って、バランスを取るのがいい夫婦だ」
フィスターク「はい……」
クレア「その間に子どもを乗せて、自分勝手に動き回る子ども達がいても、倒れないようにバランスを取るのが夫婦だよ。あんた達の場合は、ちょいと苦労するけどね」
フィスターク「それは……努力のし甲斐がありますね」
クレア「ははっ。言うようになったねぇ。大丈夫さ。いざとなったら、私やゲイル、ゼノさん、リジットやこの屋敷にいる奴ら、それに、街の人達だって手を貸してくれるよ」
フィスターク「はいっ」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
フィスパパは、頼りなく見えますが、人徳があります。
さり気なく手を出してきていました。
潰される日も近い?
国へ思想を定着させるならば、貴族達を取り込むのが一番早い。
エルフの里も、魔族の国も、直接手を出して来ないからと油断してはいられません。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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