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371 挑戦してきてください
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2016. 3. 20
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妖精王を交えての朝食も終えた一行は、ゲイルとザランを赤白の宮殿に残し、学生組とサクヤ、マティとフラムを連れ、琥珀の迷宮へ来ていた。
琥珀の迷宮は、赤白の宮殿から三十分ほど歩いた場所にあるのだが、その入り口を見上げながらアデルが呟いた。
「なんか、逆じゃない?」
「なにが?」
「だって、ここは迷宮なんでしょ?そんで、あっちが宮殿……どう見ても、入り口がこっちの方が宮殿っぽいよ?」
「……確かに……」
これには、思わずティアも頷いてしまった。
赤白の宮殿の入り口は、ただ四角く広いだけの石組みでできていた。
そして、この琥珀の迷宮の入り口は、王宮のそれのようにも見える大きな扉が開け放たれている。
「そうよねぇ。でもまぁ、あっちには王がいるから。それに、ここの中はとっても広いわ。迷宮と呼ばれるだけの事はあるって納得できるわよ」
琥珀の迷宮は、赤白の宮殿とは違い、かつては多くの冒険者達が挑戦するダンジョンだったという。
妖精達でさえ把握しきれない隠し通路が沢山あり、それを見つけ、古代の遺物や貴重なアイテムも多数見つかっていたのだ。
何よりも、広大なフィールドを持つこのダンジョンには秘密があった。
「ここは、古代の魔導具が生きてるの。一階層だけでも楽しめるよ」
「古代の魔導具だと?」
ティアの言葉に、ベリアローズは顔を顰めた。
「うん。あ、別に危険な物じゃないよ? ただ、その魔導具が未だに見つかってないみたいなんだけどね」
「は?」
これには苦笑いを浮かべるティア。妖精達にはその魔導具の在り処が分かっているようなのだが、あえて触れないようにしてきたという。
何より、そこは強力な封印を施された場所らしい。
長く生きている妖精達でさえ、その魔導具の力が解明できない。もし、封印を解けたとしても、変に触れて誤作動を起こされては困るだろう。
「丸三日の周期で、それぞれの階層の迷路になっている道がね……変わるんだよ」
「……悪い、よくわからない……」
「う~ん……どう説明したら良いのかな?」
ティアは頭を捻った。これから入る場所なのだ。そのティアの様子は不安を煽る。
ティアもそれが分かるから、説明を考えた。
「そうだなぁ。サルバの街がさ、もし、次の日に目が覚めた時、ギルドの位置とか、大通りの場所とか変わってたらびっくりするでしょ?」
「それは確かに……ん?もしかして、そういう事になるのか?」
「うん。三日で別の場所になってるよ」
「……それは……迷宮だな……」
幻覚の作用だと思うのだが、三日経つと世界が一変するのだ。普通に考えたらたまったものではない。
「階層が入れ替わったとかなら、まだなんとかなるんだけど、昨日は通れた場所が通れなくなってたり、方向音痴な人じゃなくても、感覚が麻痺してくるからね。でも、何度来ても違うのって、お徳感はあるでしょ?」
「……それを感じるのは、余裕がある者だけだろうな……」
せっかく脳内に出来ていた地図も、三日経てば意味のない物になってしまう迷宮。
しかし、出られなくはないのだ。
そこは、妖精達のおかげでいつでも脱出できる。
「出てくる魔獣も、数は出てくるけど、そう強いのは出ないの。体力勝負っていうのかな? 制限時間が常に三日って思えば良いしね」
簡単にフィールドの特徴を分けると、奇数階層は魔獣が多い体力重視。偶数階層はトラップが多い察知能力重視だ。それが二十階層ある。
「まぁ、否応無く鍛えられる場所だから、頑張って」
「身も蓋もないな。その上、いかにも私達だけで行けと言わんばかりに聞こえ……」
そうエルヴァストが指摘する間、ティアはにこにこと笑みを浮かべていた。
それに嫌な予感を覚えたエルヴァストは、有る意味正解だろう。
「ティ、ティア……?」
「ふふふっ、うん」
エルヴァストと同じようにその予感を感じ取った学生組が、徐々に顔色を失くしていく。
その間ティアは、変わらず笑顔を向けていた。
不穏な雰囲気の中、呆れた様子でサクヤがティアに尋ねた。
「あんたは、そこのクィーグのシル君だっけ? 彼とそのお仲間と何かあるのね?」
「うん。シルさんに頼んで、場を設けてもらう事になってたから」
そう言ったティアの背後に、昨日、いつの間にか姿を消していたシルが現れた。
「そういう事で、サクヤ姐さん。皆をお願いね。マティとフラムも行っておいで。迷子になって、どうにもならなくなったら『天と地の狭間で願う』って言えば、目の前に転移の宝珠を出してもらえるから、それに触れるだけだよ」
「それは呪文なのか?」
何かが召喚されそうな言葉だなと、キルシュが首を傾げた。
しかし、実際は、その言葉に意味はほとんどない。
「ううん。別に妖精さん達に帰りたいってのを伝えればいいんだけどね。昔、誰だったかが決めたんだって聞いた」
そうだよねとティアはサクヤへ問いかける。
するとサクヤが苦笑していた。
「そうね。確か昔、何かの文献で読んだわ。負けず嫌いの冒険者が、逃げ出すみたいなのが嫌で、そう言ったのが始まりだって」
「……なんだか分かった気がしました……」
キルシュだけでなく、アデルやベリアローズ、エルヴァストも一様に頷き、納得していた。
こうして、サクヤを監督役にして学生組とマティとフラムはダンジョンへと入って行った。
「さてと。それじゃぁ、私達も行こうか」
「はい」
ティアは今回の計画を実行する為、シルに案内され、クィーグの里へと向かったのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
フィン 《ティアちゃんの様子はどうでしたか?》
妖精王 《ん? あぁ、なんとか乗り越えてくれたようだ》
フィン 《よかった……それにしても、何やら上が賑やかでしたね》
妖精王 《おうっ、久々に楽隊を呼んだんだ》
フィン 《楽隊を? 確か、精霊界に預けていたのですよね》
妖精王 《そうだ。大精霊王にな》
フィン 《それを呼んだと?》
妖精王 《ちょい里帰りをって頼んでな。目を覚ました皆にと思ったんだが、思わぬ所で活躍の場が出来た》
フィン 《活躍の場……ですか?》
妖精王 《あぁ、即席の舞踏会をな。あの子と踊ってきた。いやぁ、あの子の闘舞は素晴らしくてなぁ。あいつらの方がその気になったらしい》
フィン 《それは……ならば、後日、改めて場を設けましょうか。精霊王達もお呼びして、ティアちゃんのお友達も呼びましょう》
妖精王 《そりゃぁ良いっ。よし、そうと決まれば色々と用意しないとなっ》
フィン 《はいっ》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
こちらでも計画が?
全員を送り届けてから宿題に取り掛かります。
鍛えていらっしゃいと送り出しました。
ここでの目的を達成する為、ティアちゃんは単身、お話の場へ。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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妖精王を交えての朝食も終えた一行は、ゲイルとザランを赤白の宮殿に残し、学生組とサクヤ、マティとフラムを連れ、琥珀の迷宮へ来ていた。
琥珀の迷宮は、赤白の宮殿から三十分ほど歩いた場所にあるのだが、その入り口を見上げながらアデルが呟いた。
「なんか、逆じゃない?」
「なにが?」
「だって、ここは迷宮なんでしょ?そんで、あっちが宮殿……どう見ても、入り口がこっちの方が宮殿っぽいよ?」
「……確かに……」
これには、思わずティアも頷いてしまった。
赤白の宮殿の入り口は、ただ四角く広いだけの石組みでできていた。
そして、この琥珀の迷宮の入り口は、王宮のそれのようにも見える大きな扉が開け放たれている。
「そうよねぇ。でもまぁ、あっちには王がいるから。それに、ここの中はとっても広いわ。迷宮と呼ばれるだけの事はあるって納得できるわよ」
琥珀の迷宮は、赤白の宮殿とは違い、かつては多くの冒険者達が挑戦するダンジョンだったという。
妖精達でさえ把握しきれない隠し通路が沢山あり、それを見つけ、古代の遺物や貴重なアイテムも多数見つかっていたのだ。
何よりも、広大なフィールドを持つこのダンジョンには秘密があった。
「ここは、古代の魔導具が生きてるの。一階層だけでも楽しめるよ」
「古代の魔導具だと?」
ティアの言葉に、ベリアローズは顔を顰めた。
「うん。あ、別に危険な物じゃないよ? ただ、その魔導具が未だに見つかってないみたいなんだけどね」
「は?」
これには苦笑いを浮かべるティア。妖精達にはその魔導具の在り処が分かっているようなのだが、あえて触れないようにしてきたという。
何より、そこは強力な封印を施された場所らしい。
長く生きている妖精達でさえ、その魔導具の力が解明できない。もし、封印を解けたとしても、変に触れて誤作動を起こされては困るだろう。
「丸三日の周期で、それぞれの階層の迷路になっている道がね……変わるんだよ」
「……悪い、よくわからない……」
「う~ん……どう説明したら良いのかな?」
ティアは頭を捻った。これから入る場所なのだ。そのティアの様子は不安を煽る。
ティアもそれが分かるから、説明を考えた。
「そうだなぁ。サルバの街がさ、もし、次の日に目が覚めた時、ギルドの位置とか、大通りの場所とか変わってたらびっくりするでしょ?」
「それは確かに……ん?もしかして、そういう事になるのか?」
「うん。三日で別の場所になってるよ」
「……それは……迷宮だな……」
幻覚の作用だと思うのだが、三日経つと世界が一変するのだ。普通に考えたらたまったものではない。
「階層が入れ替わったとかなら、まだなんとかなるんだけど、昨日は通れた場所が通れなくなってたり、方向音痴な人じゃなくても、感覚が麻痺してくるからね。でも、何度来ても違うのって、お徳感はあるでしょ?」
「……それを感じるのは、余裕がある者だけだろうな……」
せっかく脳内に出来ていた地図も、三日経てば意味のない物になってしまう迷宮。
しかし、出られなくはないのだ。
そこは、妖精達のおかげでいつでも脱出できる。
「出てくる魔獣も、数は出てくるけど、そう強いのは出ないの。体力勝負っていうのかな? 制限時間が常に三日って思えば良いしね」
簡単にフィールドの特徴を分けると、奇数階層は魔獣が多い体力重視。偶数階層はトラップが多い察知能力重視だ。それが二十階層ある。
「まぁ、否応無く鍛えられる場所だから、頑張って」
「身も蓋もないな。その上、いかにも私達だけで行けと言わんばかりに聞こえ……」
そうエルヴァストが指摘する間、ティアはにこにこと笑みを浮かべていた。
それに嫌な予感を覚えたエルヴァストは、有る意味正解だろう。
「ティ、ティア……?」
「ふふふっ、うん」
エルヴァストと同じようにその予感を感じ取った学生組が、徐々に顔色を失くしていく。
その間ティアは、変わらず笑顔を向けていた。
不穏な雰囲気の中、呆れた様子でサクヤがティアに尋ねた。
「あんたは、そこのクィーグのシル君だっけ? 彼とそのお仲間と何かあるのね?」
「うん。シルさんに頼んで、場を設けてもらう事になってたから」
そう言ったティアの背後に、昨日、いつの間にか姿を消していたシルが現れた。
「そういう事で、サクヤ姐さん。皆をお願いね。マティとフラムも行っておいで。迷子になって、どうにもならなくなったら『天と地の狭間で願う』って言えば、目の前に転移の宝珠を出してもらえるから、それに触れるだけだよ」
「それは呪文なのか?」
何かが召喚されそうな言葉だなと、キルシュが首を傾げた。
しかし、実際は、その言葉に意味はほとんどない。
「ううん。別に妖精さん達に帰りたいってのを伝えればいいんだけどね。昔、誰だったかが決めたんだって聞いた」
そうだよねとティアはサクヤへ問いかける。
するとサクヤが苦笑していた。
「そうね。確か昔、何かの文献で読んだわ。負けず嫌いの冒険者が、逃げ出すみたいなのが嫌で、そう言ったのが始まりだって」
「……なんだか分かった気がしました……」
キルシュだけでなく、アデルやベリアローズ、エルヴァストも一様に頷き、納得していた。
こうして、サクヤを監督役にして学生組とマティとフラムはダンジョンへと入って行った。
「さてと。それじゃぁ、私達も行こうか」
「はい」
ティアは今回の計画を実行する為、シルに案内され、クィーグの里へと向かったのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
フィン 《ティアちゃんの様子はどうでしたか?》
妖精王 《ん? あぁ、なんとか乗り越えてくれたようだ》
フィン 《よかった……それにしても、何やら上が賑やかでしたね》
妖精王 《おうっ、久々に楽隊を呼んだんだ》
フィン 《楽隊を? 確か、精霊界に預けていたのですよね》
妖精王 《そうだ。大精霊王にな》
フィン 《それを呼んだと?》
妖精王 《ちょい里帰りをって頼んでな。目を覚ました皆にと思ったんだが、思わぬ所で活躍の場が出来た》
フィン 《活躍の場……ですか?》
妖精王 《あぁ、即席の舞踏会をな。あの子と踊ってきた。いやぁ、あの子の闘舞は素晴らしくてなぁ。あいつらの方がその気になったらしい》
フィン 《それは……ならば、後日、改めて場を設けましょうか。精霊王達もお呼びして、ティアちゃんのお友達も呼びましょう》
妖精王 《そりゃぁ良いっ。よし、そうと決まれば色々と用意しないとなっ》
フィン 《はいっ》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
こちらでも計画が?
全員を送り届けてから宿題に取り掛かります。
鍛えていらっしゃいと送り出しました。
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よろしくお願いします◎
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