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364 過去からの手紙
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2016. 3. 10
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フィンが呼んでいると言われたティアは、仲間達に先に進んでいてもらう事にして呼びに来たパールファンムについて神殿のある二十九階層へとやってきた。
「何かあったの?」
フラムやマティも置いてきたので、珍しくティアたった一人だ。
案内してくれたパールファンムも、つい先程トラブルがあったばかりなので、ダスバが心配だと言ってすぐに二階層の店へ戻ってしまった。
お陰で、暗く静かな神殿には今、フィンと二人きりだ。しかし、どうやらそれは正解だったようだ。
「ずっと預かってた物があるの」
そう言ったフィンは、真っ白な封書を差し出してきた。
「手紙? 誰から?」
その封蝋は見たことがあるような気がするが、表書きもなく、誰から宛てられたものなのか分からなかった。
不思議がるティアを見て、フィンは少々何かを思い詰めるような暗い表情で言った。
「それをここに持って来たのは、当時のクィーグ一族だったわ。あなたが死んだ後、しばらくして、私はここに神殿を作った。それを知って、この場にそれを保管して欲しいと言ってきたの」
「……クィーグが?」
クィーグと聞けば、相手はバトラール王国の者かと思った。
しかし、それならばこの封蝋に覚えがないのはおかしい。
「本当は、渡すかどうかすごく悩んだの……」
内容は当然、フィンにも分からない。だが、書いた相手の名はフィンも知っていたのだろう。
これを渡す事で、ティアを追い詰めてしまうのではないかと思い、どうするか決めかねていたと言う。
「じゃぁ、なんで?」
そんな物なら、今でなくてもよかった筈だ。ティアはまた顔を出すと言っておいた。
わざわざ仲間達のもとから離し、こうして呼び出す必要はなかっただろう。
だが、フィンに決意させる何かが、今日仲間達といるティアの中に見えたようだ。
「今のティアちゃんなら、一人じゃないって分かってると思ったの。だから……開けてみなさい」
「うん……」
ティアは、神殿の長椅子に腰掛け、そっとその手紙を開いた。そして、その筆跡を見て目を見開く。
「まさか……セリ様……っ」
「ええ……セランディーオ・ラピスタ。あなたの婚約者だったのよね……」
「……うん……」
それは、シェリスは勿論、カルツォーネやサクヤさえも知らない事実。
婚約が決まったのは、サティアが十四になった年。
その時には既にバトラール王国内は混乱しており、サクヤ達のような人族以外の種族の者達は国を出て久しかった。
何より、この婚約は兄であるレナードが独断で取り付けたものだったらしい。国の了承もなく、ただ、レナードがサティアを沈みゆくバトラール王国から逃がす為に用意した約束だったのだ。
この事実をサティアが知ったのは、それから一年後。国を滅ぼし、死ぬ事になる数日前だった。
当時の記憶が断片的に思い出されていく。
特にセランディーオの姿は、鮮明に思い浮かんだ。何の因果か、数ヶ月前に会ったこの国の王。エルヴァストの父親の顔が、彼と良く似ていたのだ。
最後に会った時。サティアは十五歳。セランディーオは三十歳。年の差は父娘まではいかなくとも随分離れていた。
セランディーオは二十歳で王位に就き、戦乱の絶えない世界を相手に国を導いた。その手腕は見事で、サティアは心から尊敬していた。
そして、その力を頼りにしたのだ。
『反乱は止まらない。バトラール王家はここで終わらせる。だから、民達をお願い』
そう言って国へと戻っていくサティアへ、最初は行くなと留めていたセランディーオだった。しかし、サティアの意志が固いと知ると、任せろと言って快活な笑顔を見せた。それが、セランディーオとの最後の会話だった。
「……ここで読んでいく?」
手紙を握り締め、辛そうに顔を顰めるティアを見て、フィンがそっと尋ねた。
それを受け、ティアは微笑みながら顔を上げ、首を横に振った。
「ううん……後でゆっくり読むよ。ありがとうね、フィンさん」
「いいのよ。その……一人で辛かったら、いつでも言って。私も王も、あなたの為ならどんな事でも力になるわ」
「ふふっ、うん……」
一人で決断してしまう事を、かつてのサティアを知る者達は警戒している。
また手の届かない所に一人で行ってしまうのではないか。その不安が、フィンにもあった。
それを、今のティアは理解している。
「大丈夫。心配しないで。まぁ、ちょっとした恨み言が書かれてるんじゃないかな。実際、全部丸投げしたようなものだったし。あ、お墓の場所とか分かんないかな?一応、謝っておかないとね」
「ティアちゃん……分かったわ。任せて。なるべく早く情報を集めて場所を特定するわね」
「うん。変な事頼んでごめんね」
「バカね。もっとあなたは頼りなさい。一人でなんでもやるんじゃないわよ」
「は~い」
フィンには、無理にティアが明るく振舞っていると見抜かれているだろう。だが、気付かない振りをしてくれていた。
それに感謝しながら、ティアはその手紙を大切にアイテムボックスに収納すると、再び仲間達のもとへと戻ったのだった。
************************************************
舞台裏のお話。
ダスバ「うぅ……」
パール《ティアちゃんが来てくれて助かったわ》
ダスバ「うっうっ……」
パール《シャキッとしなさいっ!》
ダスバ「だ、だってぇぇぇ」
パール《まったく、厳つい感じに見えるようにしてるんだから、もっと自信を持ちなさいって言ってるでしょっ》
ダスバ「ムリっ」
パール《なに言ってんのよ!何の為にここにこんな金棒を置いてると思ってるのっ。せめてこれを見せて凄んでみせなさいよ!》
ダスバ「ムリだよぉぉぉ」
パール《あんたは力はあるでしょうがっ》
ダスバ「だ、だって、僕にはこの金棒……っ持つ資格がないんだもん!」
パール《はぁ?》
ダスバ「この金棒にだって、相応しい使い手がいるはずなんだっ。僕なんかが持っちゃいけない!」
パール《……持つのもダメだと?》
ダスバ「ダメに決まってるよ!この金棒を見てよっ。このトゲトゲとした突起。絶妙な間隔。整然と並ぶんじゃなく、下に行くにしたがって……」
パール《……こういうの、職人魂とか言うのかしら……》
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
防犯用であっても、武器は武器なんでしょうね。
セリ様の正体が明らかになりました。
シェリスさえも知らない話です。
知っていたら、きっと大変な事になっていたでしょう。
内緒で話を進めるとは、レナード兄ちゃんはやる奴です。
そして、やっぱりシスコンですね。
受け取った手紙には何が書かれているのか気になります。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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フラムやマティも置いてきたので、珍しくティアたった一人だ。
案内してくれたパールファンムも、つい先程トラブルがあったばかりなので、ダスバが心配だと言ってすぐに二階層の店へ戻ってしまった。
お陰で、暗く静かな神殿には今、フィンと二人きりだ。しかし、どうやらそれは正解だったようだ。
「ずっと預かってた物があるの」
そう言ったフィンは、真っ白な封書を差し出してきた。
「手紙? 誰から?」
その封蝋は見たことがあるような気がするが、表書きもなく、誰から宛てられたものなのか分からなかった。
不思議がるティアを見て、フィンは少々何かを思い詰めるような暗い表情で言った。
「それをここに持って来たのは、当時のクィーグ一族だったわ。あなたが死んだ後、しばらくして、私はここに神殿を作った。それを知って、この場にそれを保管して欲しいと言ってきたの」
「……クィーグが?」
クィーグと聞けば、相手はバトラール王国の者かと思った。
しかし、それならばこの封蝋に覚えがないのはおかしい。
「本当は、渡すかどうかすごく悩んだの……」
内容は当然、フィンにも分からない。だが、書いた相手の名はフィンも知っていたのだろう。
これを渡す事で、ティアを追い詰めてしまうのではないかと思い、どうするか決めかねていたと言う。
「じゃぁ、なんで?」
そんな物なら、今でなくてもよかった筈だ。ティアはまた顔を出すと言っておいた。
わざわざ仲間達のもとから離し、こうして呼び出す必要はなかっただろう。
だが、フィンに決意させる何かが、今日仲間達といるティアの中に見えたようだ。
「今のティアちゃんなら、一人じゃないって分かってると思ったの。だから……開けてみなさい」
「うん……」
ティアは、神殿の長椅子に腰掛け、そっとその手紙を開いた。そして、その筆跡を見て目を見開く。
「まさか……セリ様……っ」
「ええ……セランディーオ・ラピスタ。あなたの婚約者だったのよね……」
「……うん……」
それは、シェリスは勿論、カルツォーネやサクヤさえも知らない事実。
婚約が決まったのは、サティアが十四になった年。
その時には既にバトラール王国内は混乱しており、サクヤ達のような人族以外の種族の者達は国を出て久しかった。
何より、この婚約は兄であるレナードが独断で取り付けたものだったらしい。国の了承もなく、ただ、レナードがサティアを沈みゆくバトラール王国から逃がす為に用意した約束だったのだ。
この事実をサティアが知ったのは、それから一年後。国を滅ぼし、死ぬ事になる数日前だった。
当時の記憶が断片的に思い出されていく。
特にセランディーオの姿は、鮮明に思い浮かんだ。何の因果か、数ヶ月前に会ったこの国の王。エルヴァストの父親の顔が、彼と良く似ていたのだ。
最後に会った時。サティアは十五歳。セランディーオは三十歳。年の差は父娘まではいかなくとも随分離れていた。
セランディーオは二十歳で王位に就き、戦乱の絶えない世界を相手に国を導いた。その手腕は見事で、サティアは心から尊敬していた。
そして、その力を頼りにしたのだ。
『反乱は止まらない。バトラール王家はここで終わらせる。だから、民達をお願い』
そう言って国へと戻っていくサティアへ、最初は行くなと留めていたセランディーオだった。しかし、サティアの意志が固いと知ると、任せろと言って快活な笑顔を見せた。それが、セランディーオとの最後の会話だった。
「……ここで読んでいく?」
手紙を握り締め、辛そうに顔を顰めるティアを見て、フィンがそっと尋ねた。
それを受け、ティアは微笑みながら顔を上げ、首を横に振った。
「ううん……後でゆっくり読むよ。ありがとうね、フィンさん」
「いいのよ。その……一人で辛かったら、いつでも言って。私も王も、あなたの為ならどんな事でも力になるわ」
「ふふっ、うん……」
一人で決断してしまう事を、かつてのサティアを知る者達は警戒している。
また手の届かない所に一人で行ってしまうのではないか。その不安が、フィンにもあった。
それを、今のティアは理解している。
「大丈夫。心配しないで。まぁ、ちょっとした恨み言が書かれてるんじゃないかな。実際、全部丸投げしたようなものだったし。あ、お墓の場所とか分かんないかな?一応、謝っておかないとね」
「ティアちゃん……分かったわ。任せて。なるべく早く情報を集めて場所を特定するわね」
「うん。変な事頼んでごめんね」
「バカね。もっとあなたは頼りなさい。一人でなんでもやるんじゃないわよ」
「は~い」
フィンには、無理にティアが明るく振舞っていると見抜かれているだろう。だが、気付かない振りをしてくれていた。
それに感謝しながら、ティアはその手紙を大切にアイテムボックスに収納すると、再び仲間達のもとへと戻ったのだった。
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舞台裏のお話。
ダスバ「うぅ……」
パール《ティアちゃんが来てくれて助かったわ》
ダスバ「うっうっ……」
パール《シャキッとしなさいっ!》
ダスバ「だ、だってぇぇぇ」
パール《まったく、厳つい感じに見えるようにしてるんだから、もっと自信を持ちなさいって言ってるでしょっ》
ダスバ「ムリっ」
パール《なに言ってんのよ!何の為にここにこんな金棒を置いてると思ってるのっ。せめてこれを見せて凄んでみせなさいよ!》
ダスバ「ムリだよぉぉぉ」
パール《あんたは力はあるでしょうがっ》
ダスバ「だ、だって、僕にはこの金棒……っ持つ資格がないんだもん!」
パール《はぁ?》
ダスバ「この金棒にだって、相応しい使い手がいるはずなんだっ。僕なんかが持っちゃいけない!」
パール《……持つのもダメだと?》
ダスバ「ダメに決まってるよ!この金棒を見てよっ。このトゲトゲとした突起。絶妙な間隔。整然と並ぶんじゃなく、下に行くにしたがって……」
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防犯用であっても、武器は武器なんでしょうね。
セリ様の正体が明らかになりました。
シェリスさえも知らない話です。
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内緒で話を進めるとは、レナード兄ちゃんはやる奴です。
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