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連載
350 計画を立てる前に
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2016. 2. 19
********************************************
「それでは、課題を忘れずに」
教師が教室から出て行くと、生徒達はすかさず親しい友人達で輪を作り、口を開く。
今日は通常の授業。
令嬢モードで通しているティアは、昨晩明け方近くまで起きていたとはいえ、いくら眠くても居眠りなどしない。
その表情も明るく、クラスメイト達にはいつも通りの姿に見えている。
しかし、ティアの本当の姿を知るアデルは、そんな上辺の表情に騙されなかった。
「ティア。眠いんでしょう」
「ふふ……わかる?」
遠巻きに見ているクラスメイト達には、アデルと楽しくお喋りをしているだけにしか見えないだろう。その浮かべられた微笑みは、多くの者を魅了してやまない。
「何してきたの?」
「ひみつ。もう少し待って。準備が出来たら、アデルも招待するわね」
「う~ん……なんか企んでそうで怖いんだけど?」
「やぁね。企むだなんて……計画って言ってちょうだい」
「……ティアが言うと、やっぱりちょっと黒いもん……」
「失礼ねぇ。マティの毛より真っ白よ」
「赤は黒に近いと思う」
アデルはティアに自分の黒い性格を認めさせようとしていた。
「アデルったら、そんな事を言って、本当は一緒に行きたかっただけでしょ?」
「うっ……そ、それは……あるかもだけど……」
ここ数日、ティアがいない事で物足りない感じがしたのは否めないらしい。
そんな口ごもるアデルの様子に、ティアは一度目を見開く。ティアとしては予想外の反応で、一気に笑みを深めた。
「アデル……わかった。なら、手伝ってもらえる?」
「え、あ、もちろんっ」
アデルにとっては初めて出来た友人から頼られる事が嬉しいのだろう。生き生きとした笑みを浮かべ、頬を赤く染めていた。
「ふふっ、それならお兄様達とキルシュも仲間に入れなくてはね」
そう、一層美しく笑みを浮かべてティアは呟く。
「みんなでやるの?楽しみっ。あ、楽しみって言えば、今度の合宿も楽しみだねっ」
「まだひと月も先でしょう?気が早いわよ」
「だって、学園の全員で行くんだよ?あたしは、ティアとキルシュとお兄さん達がいればいいけど、違う場所で授業を受けるっていうのがいいよねっ」
ひと月後に予定されている学園の行事。それは、学園街が所有する合宿所で行われる。
「そうは言っても、何もない所よ?周りは草原と森、あとは近くに川と山っていう自然の中ね」
学園街には、多くの学び舎がある。魔術師の学園や、騎士の学園。貴族ではないが、裕福な家の子どもが通う学園もある。
その数多くの学園で、共有している大きな合宿所があるのだ。
この学園街から馬車で一時間といった場所。街の枠に当てはまらない場所に、それはある。
「森歩きとかも授業であるんでしょ?楽しいじゃん」
「……いつも散々やってるのに?」
「学園でって所がいつもと違って良いでしょっ」
「そうゆうもの?」
ティアとしては、安全な森であるとはいえ、団体で森を散策するのはうっとおしいとしか思えなかった。
「みんなでただの山登りとか、おかしくていいよねっ」
「……妙な感じはするだろうね……」
ぞろぞろと並んで山登りをするのは、きっと一人で登るよりも疲れるだろう。
「ティアは楽しみじゃないの?」
アデルは、大勢で動き回る事が何よりも楽しみらしい。
「……遊び場が近くにあるから、多分、ちょっとイラつくかも」
目と鼻の先に昨晩遊んだ赤白の宮殿があるのだ。合宿所に滞在する間、きっと意識の端にそれが引っかかって落ち着かないだろう。
「ティアの遊び場……そんなのあるの?」
アデルはまだこれを知らない。
「ええ。近いうちに、そこへも一緒に行きましょう。注文品もあるし……」
「注文?」
ダンジョン内にあるドワーフの店、ダスバに依頼した物も、あと数日すれば完成する。
そこで重要な事を思い出した。
「……クレアママどうしたかな……」
何よりも先に、シアンへの対策はどうなったのか確認しなくてはならないかもしれないと考えるティアだった。
************************************************
舞台裏のお話。
クレア「リジット」
リジット「はい。何でございましょう」
クレア「昨日の酒の事なんだけどね……」
リジット「二日酔いなどにはなっておられませんか?」
クレア「あ、いや、それはちょっとね」
リジット「後で良いお茶をお持ちいたします。ティア様が二日酔い用に調合されたものですので、良く効きますよ」
クレア「……あの子は……お酒を呑む事も知らないうちにそんな物を……」
リジット「ティア様は銘柄についてもお詳しいようですけれど」
クレア「いや、だから、どこでそんな知識を……」
リジット「そこはティア様なので」
クレア「あんた達、よくその言葉で誤魔化すよね……」
リジット「そうでしたか?それは失礼いたしました。ですが、それ以外言いようがないのです」
クレア「……うん……もうそれでいいよ」
リジット「それで、ご用とは?」
クレア「あぁ、あの酒、ゲイルからかい?」
リジット「はい。お分かりになりましたか」
クレア「ま、まぁね……」
リジット「他は何かございますか?」
クレア「い、いいや……邪魔したね……」
リジット「いえ。すぐにお茶をお持ちいたします」
クレア「頼むよ」
リジット「クレアさんが赤くなるのを見たのは久しぶりですね」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
思い出の品だったのでしょうか。
久し振りの学園。
アデルは本当に明るい子になりました。
何やら楽しい行事があるようです。
では次回、一日空けて21日です。
よろしくお願いします◎
◉お知らせ◉
(以下の情報は、活動報告にも上げさせていただきます)
待っていてくださった皆様。
お待たせいたしました。
『女神なんてお断りですっ』第二巻の発売日が決定いたしました。
出版社アルファポリス様より
レジーナレーベルにて2月25日に出荷されます。
書店には、早い地域で26日に発売される予定です。
但し、地域により配送の関係上3日~5日程掛かる場合があります。ご了承ください。
内容はご存知の方も多いでしょうが、今回はベル兄ちゃんの教育が大きなテーマです。
挿し絵にも沢山出てきます。まだツンツンしています。ついでにその姿をお披露目できた方もおります。
ページをめくって ん?まさか? と思えます◎
初登場はベル兄ちゃんだけではありません。
エル兄ちゃん、ゼノじぃちゃん、ゲイルパパ、クロちゃん達マクレート弟妹も登場です。
クロちゃんが……クロちゃんがちょっといい男過ぎました……いえ、いい男設定ですけどねっ。
こちらも、ステキな挿し絵でご確認ください。
あとは、ティアちゃんが大きくなったり?マティが話しだしたり?
そんな感じで盛りだくさんです。
今回も改稿に当たり、シーンを減らさずを心掛けました。お陰でキチキチです。それなのに、ギリギリまで増やせるだけ増やしました。
書籍として読み応えがかなりあると思います。本であるからこそ、細かくみっちりと。更に読みやすくなった筈です。
作者自身……これ、よく一冊にまとまったなぁ……と思ってしまうボリューム。
これは担当さんに感謝です。
細かくシーンは分かれていますので、お気に入りのシーンが皆様の中で出来て何度も読み返してもらえたら、これ程嬉しい事はありません◎
そして、こちらは3月になってからになるでしょうが、レジーナのサイトにて、一巻の時と同様に、番外編が掲載される予定です。
併せて楽しんでいただければと思います。
それでは、第二巻をお楽しみに◎
この作品を知ってくださった皆様に心からの感謝を。
紫南
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「それでは、課題を忘れずに」
教師が教室から出て行くと、生徒達はすかさず親しい友人達で輪を作り、口を開く。
今日は通常の授業。
令嬢モードで通しているティアは、昨晩明け方近くまで起きていたとはいえ、いくら眠くても居眠りなどしない。
その表情も明るく、クラスメイト達にはいつも通りの姿に見えている。
しかし、ティアの本当の姿を知るアデルは、そんな上辺の表情に騙されなかった。
「ティア。眠いんでしょう」
「ふふ……わかる?」
遠巻きに見ているクラスメイト達には、アデルと楽しくお喋りをしているだけにしか見えないだろう。その浮かべられた微笑みは、多くの者を魅了してやまない。
「何してきたの?」
「ひみつ。もう少し待って。準備が出来たら、アデルも招待するわね」
「う~ん……なんか企んでそうで怖いんだけど?」
「やぁね。企むだなんて……計画って言ってちょうだい」
「……ティアが言うと、やっぱりちょっと黒いもん……」
「失礼ねぇ。マティの毛より真っ白よ」
「赤は黒に近いと思う」
アデルはティアに自分の黒い性格を認めさせようとしていた。
「アデルったら、そんな事を言って、本当は一緒に行きたかっただけでしょ?」
「うっ……そ、それは……あるかもだけど……」
ここ数日、ティアがいない事で物足りない感じがしたのは否めないらしい。
そんな口ごもるアデルの様子に、ティアは一度目を見開く。ティアとしては予想外の反応で、一気に笑みを深めた。
「アデル……わかった。なら、手伝ってもらえる?」
「え、あ、もちろんっ」
アデルにとっては初めて出来た友人から頼られる事が嬉しいのだろう。生き生きとした笑みを浮かべ、頬を赤く染めていた。
「ふふっ、それならお兄様達とキルシュも仲間に入れなくてはね」
そう、一層美しく笑みを浮かべてティアは呟く。
「みんなでやるの?楽しみっ。あ、楽しみって言えば、今度の合宿も楽しみだねっ」
「まだひと月も先でしょう?気が早いわよ」
「だって、学園の全員で行くんだよ?あたしは、ティアとキルシュとお兄さん達がいればいいけど、違う場所で授業を受けるっていうのがいいよねっ」
ひと月後に予定されている学園の行事。それは、学園街が所有する合宿所で行われる。
「そうは言っても、何もない所よ?周りは草原と森、あとは近くに川と山っていう自然の中ね」
学園街には、多くの学び舎がある。魔術師の学園や、騎士の学園。貴族ではないが、裕福な家の子どもが通う学園もある。
その数多くの学園で、共有している大きな合宿所があるのだ。
この学園街から馬車で一時間といった場所。街の枠に当てはまらない場所に、それはある。
「森歩きとかも授業であるんでしょ?楽しいじゃん」
「……いつも散々やってるのに?」
「学園でって所がいつもと違って良いでしょっ」
「そうゆうもの?」
ティアとしては、安全な森であるとはいえ、団体で森を散策するのはうっとおしいとしか思えなかった。
「みんなでただの山登りとか、おかしくていいよねっ」
「……妙な感じはするだろうね……」
ぞろぞろと並んで山登りをするのは、きっと一人で登るよりも疲れるだろう。
「ティアは楽しみじゃないの?」
アデルは、大勢で動き回る事が何よりも楽しみらしい。
「……遊び場が近くにあるから、多分、ちょっとイラつくかも」
目と鼻の先に昨晩遊んだ赤白の宮殿があるのだ。合宿所に滞在する間、きっと意識の端にそれが引っかかって落ち着かないだろう。
「ティアの遊び場……そんなのあるの?」
アデルはまだこれを知らない。
「ええ。近いうちに、そこへも一緒に行きましょう。注文品もあるし……」
「注文?」
ダンジョン内にあるドワーフの店、ダスバに依頼した物も、あと数日すれば完成する。
そこで重要な事を思い出した。
「……クレアママどうしたかな……」
何よりも先に、シアンへの対策はどうなったのか確認しなくてはならないかもしれないと考えるティアだった。
************************************************
舞台裏のお話。
クレア「リジット」
リジット「はい。何でございましょう」
クレア「昨日の酒の事なんだけどね……」
リジット「二日酔いなどにはなっておられませんか?」
クレア「あ、いや、それはちょっとね」
リジット「後で良いお茶をお持ちいたします。ティア様が二日酔い用に調合されたものですので、良く効きますよ」
クレア「……あの子は……お酒を呑む事も知らないうちにそんな物を……」
リジット「ティア様は銘柄についてもお詳しいようですけれど」
クレア「いや、だから、どこでそんな知識を……」
リジット「そこはティア様なので」
クレア「あんた達、よくその言葉で誤魔化すよね……」
リジット「そうでしたか?それは失礼いたしました。ですが、それ以外言いようがないのです」
クレア「……うん……もうそれでいいよ」
リジット「それで、ご用とは?」
クレア「あぁ、あの酒、ゲイルからかい?」
リジット「はい。お分かりになりましたか」
クレア「ま、まぁね……」
リジット「他は何かございますか?」
クレア「い、いいや……邪魔したね……」
リジット「いえ。すぐにお茶をお持ちいたします」
クレア「頼むよ」
リジット「クレアさんが赤くなるのを見たのは久しぶりですね」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
思い出の品だったのでしょうか。
久し振りの学園。
アデルは本当に明るい子になりました。
何やら楽しい行事があるようです。
では次回、一日空けて21日です。
よろしくお願いします◎
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(以下の情報は、活動報告にも上げさせていただきます)
待っていてくださった皆様。
お待たせいたしました。
『女神なんてお断りですっ』第二巻の発売日が決定いたしました。
出版社アルファポリス様より
レジーナレーベルにて2月25日に出荷されます。
書店には、早い地域で26日に発売される予定です。
但し、地域により配送の関係上3日~5日程掛かる場合があります。ご了承ください。
内容はご存知の方も多いでしょうが、今回はベル兄ちゃんの教育が大きなテーマです。
挿し絵にも沢山出てきます。まだツンツンしています。ついでにその姿をお披露目できた方もおります。
ページをめくって ん?まさか? と思えます◎
初登場はベル兄ちゃんだけではありません。
エル兄ちゃん、ゼノじぃちゃん、ゲイルパパ、クロちゃん達マクレート弟妹も登場です。
クロちゃんが……クロちゃんがちょっといい男過ぎました……いえ、いい男設定ですけどねっ。
こちらも、ステキな挿し絵でご確認ください。
あとは、ティアちゃんが大きくなったり?マティが話しだしたり?
そんな感じで盛りだくさんです。
今回も改稿に当たり、シーンを減らさずを心掛けました。お陰でキチキチです。それなのに、ギリギリまで増やせるだけ増やしました。
書籍として読み応えがかなりあると思います。本であるからこそ、細かくみっちりと。更に読みやすくなった筈です。
作者自身……これ、よく一冊にまとまったなぁ……と思ってしまうボリューム。
これは担当さんに感謝です。
細かくシーンは分かれていますので、お気に入りのシーンが皆様の中で出来て何度も読み返してもらえたら、これ程嬉しい事はありません◎
そして、こちらは3月になってからになるでしょうが、レジーナのサイトにて、一巻の時と同様に、番外編が掲載される予定です。
併せて楽しんでいただければと思います。
それでは、第二巻をお楽しみに◎
この作品を知ってくださった皆様に心からの感謝を。
紫南
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