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266 サルバのギルドへご案内
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2015. 10. 25
********************************************
キルシュは、徐々に近付いてくるギルドの建物を見て、緊張感を募らせていた。そんなキルシュの気配に、ティアが気付く。
「キルシュ、どうかしたの?」
「い、いや……その……ギルドマスターはどんな方なのかと思って……」
「どんなって……うっ、う~ん……」
そう聞かれると困ってしまうティアだ。
「最初はみんな、見惚れてるかな……実際、女の人より綺麗だし、見た目はまだ三十代……くらい?」
「へぇ~、でも、男の人なんだよね?女の人より綺麗って、不思議っ」
アデルが、会うのが楽しみだと、目を輝かせる。 だが、当のキルシュは、未だ不安そうな顔で訊ねた。
「見た目はいい。人柄が知りたい」
「人柄かぁ……普通に接してる人達なら、全員『いい方だ』って答えると思うよ」
シェリスを嫌う者は、この街にはまずいないというのが、一般的な見解だ。
だが、例外はある。
「それは、客観的な意見だろう。親しくしているお前の意見が聞きたいんだが?」
「あ~……やっぱり?」
ティアがあえて話をそらしている事を察したらしい。そんなキルシュとの会話を聞いていたルクスが、堪らず呟いた。
「腹黒、変態、毒舌家の性格破綻者だ」
「え?」
「う~ん……うん……?」
「「……いい人?」」
冒険者達には、自慢のギルドマスターだ。だが、それはまだ本当のシェリスを知らない、客観的な意見でしかない。
昔から少々毒舌な所はある。マティアス達とパーティを組んでいた時は、作戦を立てる参謀の役割を果たしていたので、その抜かりない目と計画に、腹黒い一面が表れていた事も否めない。
そう思い一度は肯定してしまったティアだが、慌ててフォローする。
「いやいや、そんな酷くないよっ?頼りになる時もいっぱいあるし、薬学師としては最高峰。昔は、天才魔術師って有名でね。冒険者時代は『閃光の隼』って呼ばれてたのっ。かっこいいでしょっ」
「う、うん。凄い人なんだね」
こういう時は勢いだと思い、言い切ったティアに、アデルが素直に乗せられていた。だが、キルシュは冷静だ。
「冒険者達をまとめ上げるギルドマスターである以上、腹黒や毒舌だという事はあってもおかしくはないと思うんだが……変態と性格破綻者というのは何だ?」
やっぱ、そこは気になるかと、ティアは気まずげに頬を掻いた。
「えぇっと……」
そこに助け舟を出したのはベリアローズだ。
「キルシュ。会えばわかる」
「先輩……」
剣の師匠と慕うベリアローズにこう言われては、キルシュも口を閉ざす。
「そうだぞ。それに、マスターは簡単に言葉で言い表せるような方ではないからな」
そんなエルヴァストの言葉で、キルシュは納得する。
「まぁ、シェリーを理解するなんて、ムリなんだけどね……」
そんなティアの呟きは、誰の耳にも届かなかった。
◆◆◆◆◆
ギルドに着くと、多くの冒険者達がティアに気付いて声をかけてくる。
「お、姫じゃん。久し振りだなぁ」
「ちゃんと週末には帰ってきてたんだけど?」
ティアは、週末には欠かさずサルバに戻って来ていたのだ。久し振りに帰って来たという感覚はない。
「帰って来てたって、なんか最近は上から来てたろ。そのままマスターんとこ行ってたらなぁ」
「そうだぜ。マスターがあっさり姫を解放するワケねぇんだからよ」
案外、冒険者達は、シェリスの事を分かってきているようだ。
「お?今日はなんか、この辺じゃ見ないのを連れてんなぁ」
ティアの後ろで、興味深げにギルド内を見回していたアデルとキルシュに気付いたらしい冒険者達が、目を細めて二人を見る。
「同業か?どこで拾ってきたんだよ」
「拾ってって……友達だよ」
「「「っマジでっ!?」」」
「おい……」
あり得ないという表情を浮かべる冒険者達に、ティアが目を鋭く光らせる。その眼光に怯んだ彼らは、揃って目を背けながら口々に言い訳をこぼした。
「だ、だってよぉ……姫に普通の友達なんて……」
「お、おぉ……俺はまたてっきりあの三人みたいな姫の信奉者かと……なぁ」
「思うよなぁ。だって姫だぜ?」
「普通に会話とか成り立つんか?」
「拳で語らうみたいなやつじゃねぇの?あ~……でも、女の子かぁ……」
どうも、ティアの友達というのが想像できないらしい。その上、初めて見る同い年くらいの子ども。冒険者達は、日頃から大人をからかって遊ぶ所は見ていても、同い年の子ども達と楽しく遊ぶティアの姿を見たことがない為、その情景が浮かんでこないのだ。
「まず、姫自体が子どもの枠にはまってねぇもんな」
「だよなぁ。悪女だぜ、悪女」
「無邪気に表で遊ぶ子ども達と一緒にはできねぇもんなぁ」
「……あんたら……」
「「「っ……さ、さぁて仕事、仕事っ」」」
ティアの静かな殺気を感じた冒険者達は、一気に席を立って動きだす。十人程度ではなく、三十人以上が一気に、同時に動きだしたものだから、アデルとキルシュは圧倒されてしまっていた。
そこへ、この気まずげな今の空気を知らない声が、後ろの入り口の方から響いてきた。
「おぉ、ティアか」
「あ、サラちゃん」
そこにいたのは、久し振りに会ったザランだった。
************************************************
舞台裏のお話。
謎の人「警戒しないのか」
ラキア「何をです?」
謎の人「……」
ラキア「少しボケただけなのですが……ティア様が仰っていた通りの方のようですね」
謎の人「……」
ラキア「職務に忠実で、面白味のない、真面目で信頼できる『牙』だと」
謎の人「っ……それは、どなたが……」
ラキア「私の主人です。ティア様は、あなた方を『クィーグ』と呼んでおられましたが、そうお呼びしても?」
謎の人「なぜその名をっ」
ラキア「そこまで動揺されるとは……間違いではないのですね」
謎の人「どういう意味だ……」
ラキア「もしもこうして接触してきたなら、確認するようにと言われていたのです。お陰様で、お役目が果たせました」
謎の人「……試したのか……」
ラキア「確認ですよ?」
謎の人「……」
ラキア「それで、そちらのご用件は?」
謎の人「……そうだな……訓練に付き合ってほしい」
ラキア「訓練ですか?」
謎の人「そうだ。我らの訓練に、付き合ってもらいたい」
ラキア「……成る程。わかりました。では、こちらは私を合わせて三人で参加させていただきます」
謎の人「あぁ。では、日付けと場所は後ほど」
ラキア「……という事になりましたよ」
ユメル「別にいいよ?」
カヤル「うん。あの人達との訓練とか、面白そうだし」
ラキア「だよね。ティア様へも報告できそうだし、いっちょ、やりますか」
ユ・カ「「うんっ!」」
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
こっちも、何やらイベントが発生したようです。
ユメル、カヤルは、意外と訓練好きかもしれませんね。
ティアちゃん、アデルに引き続き、キルシュにも問い詰められました。
シェリスを『こういう人』とは、はっきり説明できませんよね……。
ルクスが酷い事を言っていますが、否定出来ないので仕方ありません。
楽しいギルドへ到着です。
では次回、また明日です。
よろしくお願いします◎
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「それは、客観的な意見だろう。親しくしているお前の意見が聞きたいんだが?」
「あ~……やっぱり?」
ティアがあえて話をそらしている事を察したらしい。そんなキルシュとの会話を聞いていたルクスが、堪らず呟いた。
「腹黒、変態、毒舌家の性格破綻者だ」
「え?」
「う~ん……うん……?」
「「……いい人?」」
冒険者達には、自慢のギルドマスターだ。だが、それはまだ本当のシェリスを知らない、客観的な意見でしかない。
昔から少々毒舌な所はある。マティアス達とパーティを組んでいた時は、作戦を立てる参謀の役割を果たしていたので、その抜かりない目と計画に、腹黒い一面が表れていた事も否めない。
そう思い一度は肯定してしまったティアだが、慌ててフォローする。
「いやいや、そんな酷くないよっ?頼りになる時もいっぱいあるし、薬学師としては最高峰。昔は、天才魔術師って有名でね。冒険者時代は『閃光の隼』って呼ばれてたのっ。かっこいいでしょっ」
「う、うん。凄い人なんだね」
こういう時は勢いだと思い、言い切ったティアに、アデルが素直に乗せられていた。だが、キルシュは冷静だ。
「冒険者達をまとめ上げるギルドマスターである以上、腹黒や毒舌だという事はあってもおかしくはないと思うんだが……変態と性格破綻者というのは何だ?」
やっぱ、そこは気になるかと、ティアは気まずげに頬を掻いた。
「えぇっと……」
そこに助け舟を出したのはベリアローズだ。
「キルシュ。会えばわかる」
「先輩……」
剣の師匠と慕うベリアローズにこう言われては、キルシュも口を閉ざす。
「そうだぞ。それに、マスターは簡単に言葉で言い表せるような方ではないからな」
そんなエルヴァストの言葉で、キルシュは納得する。
「まぁ、シェリーを理解するなんて、ムリなんだけどね……」
そんなティアの呟きは、誰の耳にも届かなかった。
◆◆◆◆◆
ギルドに着くと、多くの冒険者達がティアに気付いて声をかけてくる。
「お、姫じゃん。久し振りだなぁ」
「ちゃんと週末には帰ってきてたんだけど?」
ティアは、週末には欠かさずサルバに戻って来ていたのだ。久し振りに帰って来たという感覚はない。
「帰って来てたって、なんか最近は上から来てたろ。そのままマスターんとこ行ってたらなぁ」
「そうだぜ。マスターがあっさり姫を解放するワケねぇんだからよ」
案外、冒険者達は、シェリスの事を分かってきているようだ。
「お?今日はなんか、この辺じゃ見ないのを連れてんなぁ」
ティアの後ろで、興味深げにギルド内を見回していたアデルとキルシュに気付いたらしい冒険者達が、目を細めて二人を見る。
「同業か?どこで拾ってきたんだよ」
「拾ってって……友達だよ」
「「「っマジでっ!?」」」
「おい……」
あり得ないという表情を浮かべる冒険者達に、ティアが目を鋭く光らせる。その眼光に怯んだ彼らは、揃って目を背けながら口々に言い訳をこぼした。
「だ、だってよぉ……姫に普通の友達なんて……」
「お、おぉ……俺はまたてっきりあの三人みたいな姫の信奉者かと……なぁ」
「思うよなぁ。だって姫だぜ?」
「普通に会話とか成り立つんか?」
「拳で語らうみたいなやつじゃねぇの?あ~……でも、女の子かぁ……」
どうも、ティアの友達というのが想像できないらしい。その上、初めて見る同い年くらいの子ども。冒険者達は、日頃から大人をからかって遊ぶ所は見ていても、同い年の子ども達と楽しく遊ぶティアの姿を見たことがない為、その情景が浮かんでこないのだ。
「まず、姫自体が子どもの枠にはまってねぇもんな」
「だよなぁ。悪女だぜ、悪女」
「無邪気に表で遊ぶ子ども達と一緒にはできねぇもんなぁ」
「……あんたら……」
「「「っ……さ、さぁて仕事、仕事っ」」」
ティアの静かな殺気を感じた冒険者達は、一気に席を立って動きだす。十人程度ではなく、三十人以上が一気に、同時に動きだしたものだから、アデルとキルシュは圧倒されてしまっていた。
そこへ、この気まずげな今の空気を知らない声が、後ろの入り口の方から響いてきた。
「おぉ、ティアか」
「あ、サラちゃん」
そこにいたのは、久し振りに会ったザランだった。
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ラキア「何をです?」
謎の人「……」
ラキア「少しボケただけなのですが……ティア様が仰っていた通りの方のようですね」
謎の人「……」
ラキア「職務に忠実で、面白味のない、真面目で信頼できる『牙』だと」
謎の人「っ……それは、どなたが……」
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ラキア「そこまで動揺されるとは……間違いではないのですね」
謎の人「どういう意味だ……」
ラキア「もしもこうして接触してきたなら、確認するようにと言われていたのです。お陰様で、お役目が果たせました」
謎の人「……試したのか……」
ラキア「確認ですよ?」
謎の人「……」
ラキア「それで、そちらのご用件は?」
謎の人「……そうだな……訓練に付き合ってほしい」
ラキア「訓練ですか?」
謎の人「そうだ。我らの訓練に、付き合ってもらいたい」
ラキア「……成る程。わかりました。では、こちらは私を合わせて三人で参加させていただきます」
謎の人「あぁ。では、日付けと場所は後ほど」
ラキア「……という事になりましたよ」
ユメル「別にいいよ?」
カヤル「うん。あの人達との訓練とか、面白そうだし」
ラキア「だよね。ティア様へも報告できそうだし、いっちょ、やりますか」
ユ・カ「「うんっ!」」
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ユメル、カヤルは、意外と訓練好きかもしれませんね。
ティアちゃん、アデルに引き続き、キルシュにも問い詰められました。
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