女神なんてお断りですっ。

紫南

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1ー03 楽しい地獄の鬼ごっこ

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再編集2018.9.9

ーーーーーーーーーー

ベリアローズは、一本の木にもたれながら目を閉じ、マティの気配を追っていた。

「……あの三人が捕まった……」

ティアのようにはいかないが、結界を張った今のこの森の範囲内くらいならば、ベリアローズは全ての気配を察する事が出来るようになっていた。

マティとクレアが三バカ達に接触し、捕まえた事がベリアローズには、はっきりと感じられていた。

「キルシュとアデルは……大分離れたな。次は……ザランさんか……」

マティが方向を変えて駆け出す先。それを知り、次なる獲物をザランに決めた事が手に取るように分かった。

ベリアローズは、ホッと息をつく。

この場から、ザランの居る場所はかなり離れているのだ。もうしばらくは気を抜いても大丈夫だろう。

目を開けたベリアローズは、目の前に咲きほこる小さな白い花に目を向けた。

「綺麗だ……確か……フィスリー……」

その花は、白い翼の形をしている。古代語のフィスマ。翼の意味を持つ言葉から付けられた名前だ。

「花言葉は『未来』だったか……」

ティアについて薬草の採取などに付き合ってきた為に、自然とこんな知識が身に着いてしまっていた。

一つフィスリーの花を手折ると、いつだったか、ティアが気まぐれで冠を編んだ事を思い出す。

ベリアローズはふっと笑みを浮かべると、懐かしいと思いながら、花を編んでいく。気付けば、腕輪くらいの大きさの花輪が二つ出来ていた。

「誰に渡すんだ?」
「っ……え、エルか……驚かすなよ……」

満足気にその二つをアイテムボックスへとしまおうとした時、背後からエルヴァストが近付いてきたのだ。

「えらく夢中になっていたな。そろそろザランさんが危ないようなんだが?」
「え……本当だ……」

言われて気配を読めば、マティがザランと接触寸前にまで迫っていた。

「距離があるとはいえ、油断し過ぎだろ」
「うっ……」

確かに距離的に余裕があるとはいえ、マティとの鬼ごっこの最中にやれるような事ではなかった。

「そろそろ動かないとまずい」
「そ、そうだな……」

先ほどから、何やら大きな音も聞こえてきていた。激しい戦いになっているようだ。

「それで?誰にやるんだ?」
「っ……」

ニヤニヤと笑みを浮かべてそう訊ねるエルヴァストに、ベリアローズは恥ずかし気に顔を赤らめながら目を逸らして小さく答えた。

「は、母上と……土産に……」
「うん?」

最後は聞こえなかったぞと、気付いていてもあえてエルヴァストが更に追及する。

それにベリアローズは目を泳がせながら、しっかりと答えた。

「ユっ、ユフィア嬢にだっ」
「あはは。良いじゃないか。素晴らしいっ。未来の妻に、未来を編み込んだ腕輪とはっ、なかなかにロマンチックなプレゼントだ」
「っ……ち、ちがっ」

たまたま見つけて、たまたま思い出した為に作ったのだが、確かに花の意味を考えればそう取れなくもない。

その事実に気付き、ベリアローズは慌てる。

「こらこら、今更計画を取り消すなよ?ティアがその気だからな。既にお前とユフィア嬢との婚約は決まりだ。今からしっかりアプローチしておけ。女性は、そういう事に敏感だからな。結婚してから、そんな事の一つもなかったと愚痴られるよりは良いと思うぞ」
「……なんでエルがそんな事情を知ってるんだ……」

貴族の女性は大抵が政略結婚だ。結婚してからも、恋に恋する女性は多い。そんな事情を、小さな頃から様々な場所で聞き知っているエヴァストだ。 

「記念日がないとか、思い出の品がないとか、そんな話を茶会で披露するご婦人方に捕まった事があってな。まぁ、まだ私が小さい時だ。あの時は侵入した場所が悪かった」

小さな頃から、護衛や堅苦しい王宮から逃げ出し、隠れていたエルヴァストが、たまたまそんな貴族の奥方達の茶会の場所に入り込んでしまった事があったのだ。

「私は可愛らしかったからな。血がどうの言う前に、悩殺してやっていた」
「……どんな子どもだよ……」

ベリアローズと正反対に、エルヴァストは、容姿を武器に使っていたようだ。

「最近は思うようにこの容姿も使えんがな。本当に振り向いて欲しい者には無意味だ」
「本当に振り向いて欲しい者……?」

そんな事は初耳だと、ベリアローズが目を見張る。

「ふっ、だから、お前が羨ましいよ。ユフィア嬢もまんざらでもない様子だし、お前もな……羨ましい限りだ。アプローチしても、アレは気付いてくれんしな」

それは誰なのかと訊ねようとベリアローズが息を吸った時だった。

「っ……うん?」

なんだか嫌な予感が、エルヴァストとベリアローズを襲った。

ベリアローズは、まさかマティがもうここまで来たのかと、気配を慌てて探る。そこで、またも嫌な予感がした。

「……あ……?クレアさんがいない?」
「なに?」

マティと一緒に感じていたクレアの気配がなかった。そこで、ベリアローズは、感覚を広げる。すると、凄いスピードで、こちらへと向かってくるクレアを見つけた。

「まずいっ!二手に分かれたんだっ」

思いの外、時間が掛かると判断したマティとクレアが、二手に分かれる作戦に出たのだ。

「完全に捕捉されている」
「それは……是非とも迎え打たないとな」

もう逃げる事は叶わないだろうとベリアローズが冷静に告げると、エルヴァストも覚悟を決めた。

ベリアローズはアイテムボックスに花の腕輪を大切に収納する。それから剣を抜き放つのは、エルヴァストと同時だった。

「おやおや。若いのに、判断力も決断力もあるんだねぇ。あの子が兄と呼ぶだけの事はある」

二人とも、声がした方へと既に意識を向けて剣を構えていた。

木の陰からすぐにその姿を確認する。

「残念ながら、兄としてと言う理由よりも、鍛えられてしまったと言った方が正確かもしれない」

そうエルヴァストは笑みを浮かべて言った。

「あれが妹だという事実を、何度疑ったかしれませんよ」

ベリアローズは、苦笑しながらそう正直に告げた。

「ふっ、あははははっ。ティアちゃんには、みんな頭が上がらないんだね。いいねぇ。それじゃぁ、そのティアちゃんが鍛えたって腕を見せて貰おうか」

そう言って、クレアは楽しそうに剣を抜く。

「こういうのもありなんだよね?」

そう確認をすると、エルヴァストが答えた。

「勿論。マティの場合は、前足で潰されたら終わり。ティアの場合は、手で触れて捕まえたと言われたら終わり……だったかな?」

最後は、ベリアローズに確認する。それに頷くのを見て、クレアに笑顔を向けた。

「と言う事で、先ずは私達を降参させないといけませんね」

剣を構えて挑発するエルヴァストとベリアローズに、クレアも俄然やる気が出たようだ。

「そうかい。それは、とっても楽しそうだ」

そして、まずは様子見とばかりに、ベリアローズがクレアへと突っ込んだ。

その剣を何度か受けたクレアは、驚きに目を瞠る。

「騎士の剣とも違う……」

だからと言って、がむしゃらに振るわれる冒険者の剣とも言えない、綺麗な剣だと思ったのだ。

クレアは距離を取る為、大きく剣を払おうとした。しかし、ベリアローズは、それを受ける前に大きく飛び退り、態勢を整えた。

「へぇ……凄く綺麗な型だね。それをティアちゃんが?」

地面に描かれた足の軌跡も、計算されたような美しいものに見えた。

「ティアは、変わった事をよく知っています。私が身につけたのは、『貴族の剣』だそうです。何百年も前に消えたものだとか」
「貴族の……成る程……とても繊細で綺麗だね」

流れるように優美に振るわれる剣。踊るような軽快な足捌き。それを、金の髪に翡翠の瞳という、お伽話に語られるような王子様にしか見えない美しい容姿のベリアローズが見せる。

これには敵にさえ、溜め息をつかせるだろう。

「ここまで完成できたのは、ルクスのお陰でもあります」
「ルクスがねぇ……」

ティアに型を習い、ルクスとの実戦で身につける。それをこの三年間、ベリアローズは続けてきた。

時にはクロノスやゲイルを相手に、そして、冒険者として魔獣を相手にする事で、ようやく完成の域に到ったのだ。

「貴族のと言うより、王子様のだね」

そうクレアが言うと、ベリアローズが笑った。

「いいえ。王族の剣とは、また違いますよ」

そんなベリアローズの言葉を受け、次に動いたのはエルヴァストだった。

「っおっと」

ガキンっと大きな音がする程、エルヴァストの剣を受け止めたクレアの剣は、重い一撃で震えていた。

その一撃の後、素早くエルヴァストは距離を取っていた。

「ティアに言わせると、この一撃を受け止めた相手には名を名乗るのが礼儀らしい。ギルドでは名乗れませんでしたからね」

そう言って、剣を静かに構えたエルヴァストは、正式な名を名乗った。

「私の名は、エルヴァスト・フリーデル。どうぞ、お見知りおきを」
「フリーデル……エル……っ第二王子かいっ!?」

さすがのクレアもこれには驚いたようだ。

「気にする必要はありませんよ。今も昔も、私は王子ではなく、ティアの『兄様』であり、ベルの『親友』だ。そして、サルバを拠点とする冒険者の一人でもある」

エルヴァストはティアに出会って剣を習い、冒険者となる事で変わった。

兄の身代わりでしかないと思っていたかつての自分と決別する事が出来たのだ。

「王子様が冒険者とはねぇ……良いのかい?」

貴族でも、普通はあり得ないのだ。

「まぁ、父上や母上も未だ知らない事ではありますね。護衛の一人はさすがに知っているのですが……ティアが面白いからと口止めを……」

そう言って、エルヴァストは苦笑を浮かべる。

その隣では、ベリアローズが気まずげに目を反らしていた。

「……どんな口止めだったか気になるねぇ……」

今度、是非聞こうと心に決めるクレアだった。

「それじゃぁ、もう少し相手をしてもらおうかね」
「「望む所です」」

ベリアローズの剣は静かに流れるような優美な剣だ。対してエルヴァストの剣は、時に力強く、柔軟性のある剣だった。

「ふっ、ふふっ、凄いね二人とも。その辺の冒険者なんか目じゃないよ」

クレアは、すっかり二人の剣技に魅せられていた。

「いや、クレアさん……余裕過ぎでしょう……」
「くっ、まるで疲れた様子が見えないんだが……」

息が切れかけているベリアローズとエルヴァストとは反対に、クレアは剣を合わせるごとに生き生きと、輝きを増していっていた。

「ティアとはっ、またっ、違ったっ」
「怖さがっ、あるっ、なっ」

もうそろそろ限界らしい。

「なんだいっ!若いのにだらしないねぇっ」
「「若さにも限界がありますっ!」」

そんなベリアローズとエルヴァストを見たクレアは、これ以上は楽しめそうにないと諦める。

「まったく、仕方がないねぇ。まぁ、この後はメインディッシュが残ってるからねぇ」
「「あぁ……ルクスですか……」」

こうして、ベリアローズとエルヴァストは降参だと、剣を下ろすのだった。


ベリアローズ。
エルヴァスト。


失格。

ーーーーーーーーーー

ザランは焦っていた。

先ほどから、一気に距離を詰めてくるマティの気配に気付いていたのだ。

「な、なんで気付きやがったんだ!?」

ザランは、気配も完璧に絶ち、距離も捕捉されないギリギリを見極めていた筈だった。

「くそっ、手加減してやがったな!」

今まで、何度かマティを相手に今回のような遊びと称する訓練をしてきた。

その時の経験から、マティの射程を割り出し、距離もつかんでいたのだが、どうやら手を抜かれていたらしい。

「マティのやろうっ……っ今日は足もいつもよか速ぇじゃねぇかっ」

そんな叫びは、虚しく森に吸収されていく。ザランは、大柄な体を身軽に操り、木から木へと飛び移っていた。

器用に太い枝を選び取り、かなり高い所を飛び回っている様子は、異様な光景だった。

《サラちゃん、はっけ~ん》
「うげっ」

そんな楽し気な声と共に、マティは 土煙りを上げて、ザランが次に飛び移ろうとした木の下へと、お座りの姿勢のまま器用にスライディングを決めた。

「ぶはっ、砂がっ……ジャリジャリする……」

巻き上げられた砂が、上にいたザランに直撃する。その様子を見上げ、マティは満足気に笑った。

《えへへっ、嫌がらせも完ぺきっ》
「嫌がらせかよっ!」

意外と計算しているマティだ。

《サラちゃ~ん。魔術使っていい?》
「な、なんだよ……改まって許可を取るなんて……」
《うん?許可じゃなくて、確認。いくよ~って事。そんじゃぁ、サービスで大きいの行くよぉぉぉ》
「へ?ちょ、ちょっと待てっ!」
《マティは、主と火のパパの待てしか聞かないも~ん》

そう言ってニヤリと笑ったマティは、自身の顔と同じくらいの大きさの魔法陣を、開いた口の前で展開させる。

「マジでデケェよっ!」

ザランは、直撃されれば無事では済まない程近くにいるのだ。大慌てで違う木へと飛び移ろうと宙へと飛び出した。

《えへへ。予想済み~》
「なにぃっ!?」

ザランが、狙いをつけた木へと飛び出したのと同時に、その木がマティの風の魔術によって吹き飛んでしまった。

マティの魔術は、その先の木も十本ほど破砕し、真っ直ぐな道が出来上がる。

当然、空中にいたザランは、飛び移るべき木を失くし、呆気なく地面へと落下する事となった。

「ぐっ、マジで死ぬかと思った……」

けっこうな高さがあったのだ。受け身をしっかりと取れなければ、大怪我をしている所だった。

《サラちゃんが落ちた~》
「落ちたじゃねぇっ!あぶねぇだろっ!」

久し振りに本気で身の危険を感じたザランは、これが鬼ごっこだと忘れてキレた。

《うん?だって、サラちゃんにはこれくらいやらないと、訓練にならないでしょ?》

それにマティは、キョトンと首を傾げて言う。

「……その情報はどっから……いやっ、言わなくていい」
《主からだよ?》
「言わんでいいっつったろッ!!」

精神的な攻撃も得意になってきたマティだった。

《もぉ、サラちゃんはワガママだなぁ。そんなだと、主のお嫁さんになっちゃうよ?》
「なんでだよっ!」

たまに訳の分からない事を言うマティだ。しかし、ちゃんとマティにはマティの考えがある。

《だって、サラちゃん。言う事細かいし、気遣い屋さんだし、色々気付くでしょ?それって、良いお嫁さんの条件だって、主が言ってたよ?》
「……褒められてんだよな?貶されてるようにしか聞こえんのは、ティアのせいだよな?」

ザランは、ヒクヒクと頬を痙攣させていた。

《それでサラちゃん。休憩終わった?》
「休憩?」

パンパンと服に着いた砂を払い、ザランが立ち上がる。

《うん。もういい?》
「な、なんだ?待ってたのか?」

マティもノビをして顔に着いた砂を前足で拭うと、タシタシと地面を叩き始める。

「お、おい……それはまさか準備運動か……?」
《もういい?サラちゃんは、プチっか、ベチャっとどっちがいい?》
「な、何の話だ……?」

マティは尻尾を振りながら、だからこうだと、右前足を上げて宙で何かを払うような動作をする。

《これがベチャっとね》
「お、おう……投げられたトマトの様にって事だな」

そうだと頷くマティは、次に飛び跳ねると、前足二つで地面の一点を押さえる仕草を何度か繰り返す。

《これがプチっとね》
「そうだな。完全に潰れるな」

肉球があっても結構な負荷がかかりそうだとザランは頷く。そして、一瞬後、はっと動きを止めた。

「おい……まさかそれを……」
《うん。サラちゃん。どっちがいい?》
「……どっ……」
《ど?》

顔を伏せ、ワナワナと肩を震わせたザランに、マティは首を傾げた。

そして、次の瞬間。

「どっちもゴメンだぁぁぁ!」
《あ……逃げた……》

ザランは猛ダッシュを決め、一気にマティを置き去りにした。

《ふっ、ふふふふふぅ……なら、どっちもいっちゃうも~んっ》
「くんなぁぁぁぁっ」

この後、数分としない内に、ザランはマティの『ベチャっ、プチっ』を受け、しばらく森に放置されるのだった。勿論、死なない程度ではあった。

ザラン。


失格。




つづく
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