趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南

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ミッション11 昇級試験と野営導具

438 女性に化ける必要が?

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「交代……? 騙す……」

ユゼリアには全く意味がわからなかった。

「ユゼリアお兄様には見せていませんでしたか?」
「そういえば……?」

最近はユゼリアやワンザ、エンリアントも含めてリサーナとカリュエルはよく一緒にいる。だから、てっきりそれも教えた気でいたのだ。

「見せましょうか」
「そうしよう」
「「では! チェンジ!」」

二人とも衣装変換の魔導具を着けているため、それはいつでもどこでもできた。

そして、見事に姿が入れ替わる。立ち方から仕草も変えれば本当にどちらか分からない。

「「っ……えっ!?」」
「おお……っ」

ユゼリアとワンザは少し引き気味に目を丸くし、エンリアントは思わず感嘆の声を上げていた。

「どうです?」
「まあ、こんなものだな」
「こっ、声もそっくりだ……っ、入れ替わっている……?」
「こんなことが……」
「「まあねっ」」

二人とも満更ではない顔をしていた。

「見慣れてる私たちでもパッと見で見分けられないもんね。兄上も姉上もすごいです」
「いいな~。私も髪伸ばしてみようかな……リュブランはどうやってるの? カツラ? だよね?」

セルジュが羨ましそうにする。そして、リュブランに目を向ける。

「うん。カツラは母上がたまにセットを変えてくれるんだ。今回は確か、姉上みたいな髪型だったかな」
「えっ! 見たい! やってみてよ!」
「いいよ? よっと、こんな感じ?」
「うわ~。あ、並ぶとやっぱり似てるね!」
「本当っ?」

女装も違和感なくできてしまう。それがごく自然で当たり前のことのように受け入れている。

「今度、三姉妹になってお父様を驚かせましょうか」

そうカリュエルが提案すれば、リサーナも頷く。

「それ、良いね。楽しそうだ」
「はい! 是非!」

リュブランもワクワク感を隠そうともせずに同意した。

「ど、どうしてこんなことを……?」

ユゼリアの問いかけに、リュブランが答えた。

「特級の冒険者には必須なんですよ。貴族の礼儀作法や教養も修得しないといけないんだそうです。寧ろ、その辺の令嬢や令息達よりもしっかり身に付けますよ?」
「そうなのか?」
「ええ。それも、冒険者は国も跨いで活動するので、他国の文化や独自の王宮での作法も国ごとで変えて対応できるように勉強するそうです」
「それは……すごいことではないか?」
「そうですよ? なので、貴族が冒険者ごときとかバカにするのが、不思議なんですよね……」
「「っ……」」

ユゼリアとワンザは、それを聞いて目を丸くする。これにセルジュが口を挟む。

「あ~、結構バカにしてるのいそうだよね。今度ある課外授業でも、護衛でついてくれる冒険者の人たちに口答えしそうだもん」
「そこの所、実際どうなのです?」

カリュエルが元の姿に戻ってユゼリアに目を向ける。

「……下に見ているようではあった……」
「あらあら。困ったものですわね。学園の課外授業での護衛となれば、三級以上でしょうか? その辺りから教養とかも学ぶと聞きましたけれど」

リサーナはフィルズへ確認した。

「そうだな。貴族相手の依頼も増える。だから、学園の生徒が知るレベルの礼儀作法や教養は四級から指導があるな。三級で王宮に上がれるくらいのものを身に付けるらしい」
「四級で? あら? では、フィルさんは……とうにということですわね?」
「ああ。だから四級から三級に上がるまで、期間が長くなるんだろうな」
「そうでしたのね」

フィルズが異例なのだ。仮にも貴族の令息として過ごしていたフィルズにとっては、問題なく修得しているもの。そこに、流民として各国での礼儀作法や教養を知っているクラルスやリーリルからの教えが入り、既に特級になれるだけのものは身に付いていた。

これを知っていた公爵領都の冒険者ギルド長のルイリや、一部の冒険者達は、さっさと試験を受けて来いとフィルズを送り出したのだ。

そんなことがと興味深そうに話を聞いていたユゼリアは、疑問を口にする。

「教養や礼儀作法はわかったが……なぜその、女性に化ける必要が?」
「女性の護衛は少ないもの。女性は女性を連れているべきと男性は思われるでしょう?」
「あ、ああ……騎士であっても、あまり近くには配置できないと……っ、なるほど。それで女性に化けた男性の護衛を用意すると」
「ええ。見た目だけでも取り繕う必要がありますもの。どれだけ命の危険があっても、強い男性を傍に置けないというのは理不尽ですわ」
「そうだったのか……」

危険があっても、世間体だけは守らなくてはならない。それがどれほど馬鹿らしいことかとリサーナは吐き捨てるように告げた。

「そういえば、これで思い出しましたわ。あの女との茶会はどうしましょう」
「ん? 茶会?」

フィルズも聞いていない話。首を傾げてみせた。

「ええ。ほら、公開審判の前に、あの女からの茶会の誘いがありましたでしょう?」
「そういえば……ユゼリアと三人でってやつだったな」
「そう。それを改めてしたいと、手紙が来たのですわ。私とお兄様に」

ここでカリュエルも頷く。フィルズは、今の第一王妃メルナの状態を思い出す。

「……離宮の一室に監禁されているはずだが?」
「ですわよね? おかしいと思って、フィルさんに確認をお願いしようと思っていましたの。文字はあの女の侍女のものですわ」
「侍女か……すぐに調べさせる」
「お願いしますわ」

そんな話をしていると、ドアがノックされたのだ。







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読んでくださりありがとうございます◎


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