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ミッション10 子ども達の成長
401 処理完了!
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扉の前まで来た所で、ジュエルがキヨラの背から離れ、扉の横の壁にへばり付いた。
「ジュエル?」
こうなると、羽の生えたトカゲが壁にくっ付いているようにしか見えない。ドラゴンは羽の付いたトカゲだと前世で目にした事があるが、確かにと密かにフィルズは頷いた。
「それで、ジュエル。どうした?」
《クキュ、キュフっ》
「へえ……なら頼む」
《キュフ!》
やる気満々に返事をしてから、ジュエルは目を閉じた。
「え? なに?」
ここで、ラスタリュートが声を上げる。
「ああ。空間支配だそうだ。ジュエルが空間把握と索敵をこの城にかけてる。侵入者は、すぐに分かるらしい」
「へえ~……すごいのね……」
「だな。それも、城を操れる」
「は?」
「っ、待てっ……来た」
部屋の中に気配を感じ、タブレットの画面を見ると、メルナ妃に近付く人影があった。誰よりも素早く、ドアを開け放ったのは、リーリルだった。
「キヨラ!」
《グラァゥ!》
リーリルの声で、キヨラが人影が手にしている暗器を水で撃ち落とし、その人に向かって飛びかかる。
「気を付けろ! 三人居る!」
「メルナ妃をこちらに!」
「きゃぁぁぁっ! いやぁぁぁぁっ!!」
人影に、メルナ妃は気付いていなかったのだろう。キヨラが飛びかかるのを見て、驚いて椅子から転げ落ち、今更になって叫び声を上げる。
「煩いわね! さっさと動きなさい!」
「う、動けないわよぉぉ」
「引き摺って行きなさい!」
「「はっ!」」
「っ、ちょっ!?」
控えていた騎士達は、ラスタリュートの命令を忠実に守り、メルナの腕とドレスを掴んで、二人がかりで引き摺って行った。とは言え、その先でリーリルが助け起こしていたので、機嫌は直ったようだ。若干見惚れているようだが、この場合は良しとしておく。パニックになられたり、必要以上に怯えられるよりは良い。
「ラスタ! 魔導具が使えないようにする! 剣技だけで頑張れよ!」
「望むところよ!」
賢者の魔導具も幾つか持っていそうな奴らなのだ。予想外のものを使われるよりは良いと判断する。
「ジュエル!」
《クキュ!》
魔石や鉱石を生み出すことのできるジュエルは、この場にある魔石を使えなくすることも出来るらしい。壁にへばり付いた時に、『部屋の中の魔導具を使えなくできる!』との説明もあったため、頼んだというわけだ。
一人は、キヨラが対応している。そして、窓際に居た一人をフィルズが、キヨラが対応している者に助けに入ろうとしていた者をラスタリュートが相手をする。
「行かせねえよ!」
「っ!!」
フィルズが相手にしていた者は、子どもだからと侮ったのだろう。相手は、すり抜けようとする所で一撃当てて突き飛ばそうとした。しかし、フィルズは力でも負けない。反対に押し返す。
「舐め過ぎだっ」
咄嗟に相手は大きく一飛び後退する。その着地のタイミングで、フィルズは斬撃を飛ばした。
「ぐっ!」
反射的にだろう。鈍く光る短剣を構えていたが、その刃は切れて、更に体に届く。威力は少し抑えられたようだがそれなりに深く入った。
その傷に手をやり、身を屈めて目を細める様を見て、フィルズは判断する。
「へえ。ラスタ。こいつら、専門じゃねえ」
「あら。なら、情報が取れそうねっ!」
「うぐっ」
ラスタリュートも見た目を裏切る力を出せる。最近は、フィルズやヴィランズがするような、荒っぽい戦い方もするようになったため、騎士だと見て戦っていると痛い目に合う。
「おらっ!」
「ぐあッ」
そんな、普段はださない声と共に力一杯、腹の辺りに蹴りが入れられ、壁に背中を打ちつけるようにして、男は倒れた。
《グァウゥゥ、ガウッ!》
「うぐっ、ふぶっ!」
キヨラに襟首を咥えられ、振り回されて、また一人飛ばされる。小さく低い本棚に、顔から激突していた。そのまま気絶したようだ。
「こっちもっ、だ!」
「がはっ」
フィルズも、傷を庇って少し身を屈めていた男の脇腹に回し蹴りを決めて、壁際に追いやった。全員、動けなくなったのを確認して、フィルズは部屋を見回すように視線を向けて、待機していた者達に指示を出す。
「黒子は持ち物を確認してくれ」
「「「はい!」」」
「っ、ちょっ、今どっから現れたの!?」
ラスタリュートが思わず叫ぶ。クローゼットの隙間、長椅子の下、カーテンの中からスルッと現れた背丈や体格も同じような黒子達。それが、素早く倒れた刺客らしき男達に近づき、的確に身体検査を行う。
「口腔内」
「「よし!」」
「魔導具反応」
「「よし!」」
「武装解除」
「「よし!」」
「拘束開始」
「「開始!」」
「投薬!」
「「よし!」」
魔導具らしきものや暗器を全て取り外していく。自害もさせないように、薬で麻痺させておいた上で拘束していた。
これを部屋の外で、メルナを囲みながら見ていた騎士達は唖然とし、ラスタリュートも目を丸くしていた。
「「「「「……っ」」」」」
「あ……相変わらず、手際が良すぎるわ……捕まった子達が気の毒に思えてくるから不思議よね……」
「処理完了!」
「「完了!」」
《グルル?》
縛られて並べられ、転がされた三人の男達を、キヨラは首を傾げながら、前脚で揺らす。それに、リーリルが声をかけた。
「キヨラ、おいで。大丈夫。その人達はちゃんと生きてるからね」
《グルル~ゥ》
キヨラはリーリルの傍に歩み寄り、体を擦り付けて甘えた。
「ありがとう。キヨラ。上手に相手できたね」
《クルルルル~》
褒められたキヨラは、リーリルに甘えた声を出して、頭を撫でられるのを気持ちよさそうに目を閉じて受け入れていた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
「ジュエル?」
こうなると、羽の生えたトカゲが壁にくっ付いているようにしか見えない。ドラゴンは羽の付いたトカゲだと前世で目にした事があるが、確かにと密かにフィルズは頷いた。
「それで、ジュエル。どうした?」
《クキュ、キュフっ》
「へえ……なら頼む」
《キュフ!》
やる気満々に返事をしてから、ジュエルは目を閉じた。
「え? なに?」
ここで、ラスタリュートが声を上げる。
「ああ。空間支配だそうだ。ジュエルが空間把握と索敵をこの城にかけてる。侵入者は、すぐに分かるらしい」
「へえ~……すごいのね……」
「だな。それも、城を操れる」
「は?」
「っ、待てっ……来た」
部屋の中に気配を感じ、タブレットの画面を見ると、メルナ妃に近付く人影があった。誰よりも素早く、ドアを開け放ったのは、リーリルだった。
「キヨラ!」
《グラァゥ!》
リーリルの声で、キヨラが人影が手にしている暗器を水で撃ち落とし、その人に向かって飛びかかる。
「気を付けろ! 三人居る!」
「メルナ妃をこちらに!」
「きゃぁぁぁっ! いやぁぁぁぁっ!!」
人影に、メルナ妃は気付いていなかったのだろう。キヨラが飛びかかるのを見て、驚いて椅子から転げ落ち、今更になって叫び声を上げる。
「煩いわね! さっさと動きなさい!」
「う、動けないわよぉぉ」
「引き摺って行きなさい!」
「「はっ!」」
「っ、ちょっ!?」
控えていた騎士達は、ラスタリュートの命令を忠実に守り、メルナの腕とドレスを掴んで、二人がかりで引き摺って行った。とは言え、その先でリーリルが助け起こしていたので、機嫌は直ったようだ。若干見惚れているようだが、この場合は良しとしておく。パニックになられたり、必要以上に怯えられるよりは良い。
「ラスタ! 魔導具が使えないようにする! 剣技だけで頑張れよ!」
「望むところよ!」
賢者の魔導具も幾つか持っていそうな奴らなのだ。予想外のものを使われるよりは良いと判断する。
「ジュエル!」
《クキュ!》
魔石や鉱石を生み出すことのできるジュエルは、この場にある魔石を使えなくすることも出来るらしい。壁にへばり付いた時に、『部屋の中の魔導具を使えなくできる!』との説明もあったため、頼んだというわけだ。
一人は、キヨラが対応している。そして、窓際に居た一人をフィルズが、キヨラが対応している者に助けに入ろうとしていた者をラスタリュートが相手をする。
「行かせねえよ!」
「っ!!」
フィルズが相手にしていた者は、子どもだからと侮ったのだろう。相手は、すり抜けようとする所で一撃当てて突き飛ばそうとした。しかし、フィルズは力でも負けない。反対に押し返す。
「舐め過ぎだっ」
咄嗟に相手は大きく一飛び後退する。その着地のタイミングで、フィルズは斬撃を飛ばした。
「ぐっ!」
反射的にだろう。鈍く光る短剣を構えていたが、その刃は切れて、更に体に届く。威力は少し抑えられたようだがそれなりに深く入った。
その傷に手をやり、身を屈めて目を細める様を見て、フィルズは判断する。
「へえ。ラスタ。こいつら、専門じゃねえ」
「あら。なら、情報が取れそうねっ!」
「うぐっ」
ラスタリュートも見た目を裏切る力を出せる。最近は、フィルズやヴィランズがするような、荒っぽい戦い方もするようになったため、騎士だと見て戦っていると痛い目に合う。
「おらっ!」
「ぐあッ」
そんな、普段はださない声と共に力一杯、腹の辺りに蹴りが入れられ、壁に背中を打ちつけるようにして、男は倒れた。
《グァウゥゥ、ガウッ!》
「うぐっ、ふぶっ!」
キヨラに襟首を咥えられ、振り回されて、また一人飛ばされる。小さく低い本棚に、顔から激突していた。そのまま気絶したようだ。
「こっちもっ、だ!」
「がはっ」
フィルズも、傷を庇って少し身を屈めていた男の脇腹に回し蹴りを決めて、壁際に追いやった。全員、動けなくなったのを確認して、フィルズは部屋を見回すように視線を向けて、待機していた者達に指示を出す。
「黒子は持ち物を確認してくれ」
「「「はい!」」」
「っ、ちょっ、今どっから現れたの!?」
ラスタリュートが思わず叫ぶ。クローゼットの隙間、長椅子の下、カーテンの中からスルッと現れた背丈や体格も同じような黒子達。それが、素早く倒れた刺客らしき男達に近づき、的確に身体検査を行う。
「口腔内」
「「よし!」」
「魔導具反応」
「「よし!」」
「武装解除」
「「よし!」」
「拘束開始」
「「開始!」」
「投薬!」
「「よし!」」
魔導具らしきものや暗器を全て取り外していく。自害もさせないように、薬で麻痺させておいた上で拘束していた。
これを部屋の外で、メルナを囲みながら見ていた騎士達は唖然とし、ラスタリュートも目を丸くしていた。
「「「「「……っ」」」」」
「あ……相変わらず、手際が良すぎるわ……捕まった子達が気の毒に思えてくるから不思議よね……」
「処理完了!」
「「完了!」」
《グルル?》
縛られて並べられ、転がされた三人の男達を、キヨラは首を傾げながら、前脚で揺らす。それに、リーリルが声をかけた。
「キヨラ、おいで。大丈夫。その人達はちゃんと生きてるからね」
《グルル~ゥ》
キヨラはリーリルの傍に歩み寄り、体を擦り付けて甘えた。
「ありがとう。キヨラ。上手に相手できたね」
《クルルルル~》
褒められたキヨラは、リーリルに甘えた声を出して、頭を撫でられるのを気持ちよさそうに目を閉じて受け入れていた。
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