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ミッション10 子ども達の成長
378 泣く程ですの!?
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この日、実は王宮に人が集まっているのは、会議室とホールだけではなかった。
それは、離宮の一つ。ここに、急遽公爵領から戻ってきた先代王妃カティルラと王妹レヴィリアが、昔から王家と付き合いのある主要な貴族家の女性数人を呼んでお茶会を開いていた。もちろん、ここにも小さいが三つのスクリーンが用意されており、ホールと会議室、広場の三箇所を映している。
今現在、会議室で腕輪が配られだした所だ。
「ああ。本当に、お元気になられて良かったですわ。またカティルラ様とこうしてお話できるなんてっ……っ、本当に嬉しいですっ」
「レヴィリア様もお久しぶりでございます。嫁がれる前にお会いした頃とあまり変わりませんのね? まだまだお若くていらっしゃる。本当に、その肌、どうなっていますの!?」
ここに呼ばれた女性達は、カティルラの幼い頃からの友人や、レヴィリアの友人達だ。それなりに考える頭も持っている。貴族の女性の中では、とてもまともな者達だった。
そして、そんな中に数人、現王妃であるメルナの友人が入っていた。友人というか、フィルズに言わせれば信者だろうか。とはいえ、メルナの年代の女性の中では、最も力を持っている四人だった。
今回のこの席は、当日になって決まったもの。ホールに入って間も無く、彼女達は王宮の侍女達に呼ばれてここに集まった。
メルナも今朝方突然、カティルラとレヴィリアに言われてこれに参加することになったのだ。いつものように表情は取り繕われているが、内心は大荒れだろう。しかし、さすがにここでそれを口にすることもできず、大人しくしていた。
そんな様子を、カティルラは少しばかり厳しい目で見ていた。それを不審に思ったのだろう。それでもそれを口にはせずに、カティルラの友人、親友とも呼べる女性がカティルラへと声をかける。少し上げて見せたのは、この部屋に入ってすぐに着けるように言われた銀の腕輪のはまった腕だ。
「それで? カティ。これはなあに?」
「ふふっ。もうすぐ分かるわ。会議室の方の声を少し上げてちょうだい」
声をかけられたのは、お茶の用意を手際良く済ませて、控えていた小柄な侍女だ。その侍女が手のひらより大きめのボードのようなもので操作する。
「まあ、すごいわね。それで色々とできるの?」
「この子は、セイスフィア商会に所属しているの。特別に借りてきたのよ」
「セイスフィア商会っ! ああっ、噂には聞いているのっ。けど、領地から公爵領は遠くて……っ、でも、この王都にも出来たのよね? 是非明日にでも、マーくんと行くわっ」
彼女は、元は隣国の王女。既に息子に爵位を渡して、この国では珍しい愛妻家の夫と共に領地に作った別宅で穏やかに暮らしている。おっとりとした垂れ目の美人だ。歳を重ねて、更にその表情は柔らかく、可愛らしくなっている。
「あらあら。相変わらず夫婦仲が良いのねえ」
「ふふっ。いやだわあ。恥ずかしい。そう言う、カティはどうなの?」
「まあ、そうねえ……かつてないほど仲は良いと言っておくわ」
「まあっ」
そんな二人の話を、微笑ましげに見つめて聞く女性達だが、メルナの関係者としては、居心地が悪そうだった。
この場で、メルナの友人となっている四人以外は、ある意味で『強い女』だ。夫にも時に意見し、第二夫人以降の者を迎えた所で、その夫人達をしっかりと教育、ふるいにかけている。第一夫人としての立場を理解した上で、暴力や実家などの後ろ盾は使わずにきちんと夫人達の上に立っている。そんな女性達でなければ、カティルラやレヴィリアの友人など務まらないだろう。
一方のメルナの友人達はといえば、それほど考える頭も持っていない。ただ、王妃という立場にいるメルナにすり寄っただけの小物というわけだ。長い物には巻かれ、ただ流れに身を任せるという性質の彼女達が、夫に意見出来るはずもなく、この国では顕著な、夫に愛されているのは当然と思い込んで結婚した、典型的な大人になりきれない元貴族令嬢でしかなかった。
「ところで、この銀の腕輪……銀ではありませんわね?」
「あの金も、金ではないのではありません? 綺麗過ぎますわ。それに、重さがわたくし達のものとも変わらないようですし」
「「「「「え……」」」」」
メルナとその友人達が着けているのは、金の腕輪。彼女達は、美しく輝く金の色に魅せられていた。他はカティルラ達も同様の銀の腕輪をしている。その輝きは確かに美しいが、金よりは劣ると思っていたようだ。少し黒っぽく見えるからでもあるだろう。
「そうよ。だって、あなた金属がダメだったでしょう?」
「知っていたの? そうなの。なんだか気持ち悪いのよ。後で肌が赤くなったりするから、若い頃から、服の上から最低限のものしかつけなかったわ。貧乏人だとか陰口をいっぱい言われたけど」
「そういえば、そうだったわね」
「わっ、わたくしもですわっ。不思議でしたの。これは平気なんですもの」
そう言ったのは、レヴィリアの友人だ。これに、レヴィリアが少し怒りながら、立ち上がって告げる。
「っ、ちょっと、なぜそれを、わたくしに言わなかったの? あなたをバカにしたバカに制裁を喰らわしてやったのにっ」
「それをされると思ったからですわ……ヴィ……あなた、なんだかまた逞しくなっていない?」
「おーっほっほっほっ。よく気付きましたわねっ! わたくし、更に強くなりましたのよっ!」
「……どこを目指しているのか、相変わらず分かりませんわ……」
呆れながらも、レヴィリアの友人達は、それもレヴィリアだしねと笑っていた。
久し振りに振り切っているレヴィリアに頭を抱えるカティルラだが、これはもう仕方がないかとこちらも諦め気味だ。だから、レヴィリアは放っておいて友人に続ける。
「もう、この子は……あ、そうそう。金属アレルギーというのがあるそうなの。体質なのですって。セイスフィア商会で相談したら、これのように、問題の起きにくいものを用意してくれるわ。是非、今度一緒にアクセサリーを選びに行きましょう」
「っ、そんなっ。ふふっ。こんなおばさんになってから宝石を付けたら笑われてしまいますわよ」
「そんなことないわ。女性はいつまでも着飾って良いのですって。もちろん、家計を圧迫しない程度に」
「まあっ、ふふふっ」
少し寂しそうに笑うカティルラの友人に、レヴィリアは自信満々に告げた。
「そうですわよ! 綺麗なものを綺麗だと思うことも、何かを欲しいと思う心も、人には大事なのですもの! いつまでも心は豊かに! これが美しく、長生きするコツでしてよ!」
「っ、まあ、レヴィリア様……ステキなお言葉ですわ」
「うっ、先生……なぜそのように驚いた顔を?」
「いえ。ふふふっ。『力こそ全て! 物理でもなんでも、下した方が勝ちですわ!』と言っていた方が……っ、ご立派に……っ」
「えっ! ちょっ、泣く程ですの!?」
カティルラの友人達は、レヴィリアの教師役でもあった。もちろん、元王女もだ。
「まあまあ。レヴィさんもようやく、周りが見えるようになったということではありませんの? もちろん、その考えを口にできるようになるようなきっかけを作ったお方が……どなたか知りたくはありますわ。きっと大切なお方ですわね?」
「なっ、わ、わたくしは別にっ、いえっ、フィルさんは大切っ……あ……っ、ち、違います! これは、推しですわ! 無償の愛ですわ!」
「あらあら。ふふふ。フィルさんと仰るのね?」
「ぐうっ……」
「ヴィ……出してはならない声が出てますわ……」
「レヴィは相変わらずですわね……最後は残念ですわ。昔から詰めが甘いのですよ」
「うぐぅ……っ」
カティルラとレヴィリアの友人達は、これまで会えなかった分の時間を取り戻すように、心から楽しんでいた。
「「「「「……っ」」」」」
そんな中、メルナを含めた彼女の友人達も、いよいよ戸惑いの表情を隠せなくなってきていた。なによりも、こんな穏やかで楽しそうな雰囲気の中に身を置いたことがなかったのだ。
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読んでくださりありがとうございます◎
それは、離宮の一つ。ここに、急遽公爵領から戻ってきた先代王妃カティルラと王妹レヴィリアが、昔から王家と付き合いのある主要な貴族家の女性数人を呼んでお茶会を開いていた。もちろん、ここにも小さいが三つのスクリーンが用意されており、ホールと会議室、広場の三箇所を映している。
今現在、会議室で腕輪が配られだした所だ。
「ああ。本当に、お元気になられて良かったですわ。またカティルラ様とこうしてお話できるなんてっ……っ、本当に嬉しいですっ」
「レヴィリア様もお久しぶりでございます。嫁がれる前にお会いした頃とあまり変わりませんのね? まだまだお若くていらっしゃる。本当に、その肌、どうなっていますの!?」
ここに呼ばれた女性達は、カティルラの幼い頃からの友人や、レヴィリアの友人達だ。それなりに考える頭も持っている。貴族の女性の中では、とてもまともな者達だった。
そして、そんな中に数人、現王妃であるメルナの友人が入っていた。友人というか、フィルズに言わせれば信者だろうか。とはいえ、メルナの年代の女性の中では、最も力を持っている四人だった。
今回のこの席は、当日になって決まったもの。ホールに入って間も無く、彼女達は王宮の侍女達に呼ばれてここに集まった。
メルナも今朝方突然、カティルラとレヴィリアに言われてこれに参加することになったのだ。いつものように表情は取り繕われているが、内心は大荒れだろう。しかし、さすがにここでそれを口にすることもできず、大人しくしていた。
そんな様子を、カティルラは少しばかり厳しい目で見ていた。それを不審に思ったのだろう。それでもそれを口にはせずに、カティルラの友人、親友とも呼べる女性がカティルラへと声をかける。少し上げて見せたのは、この部屋に入ってすぐに着けるように言われた銀の腕輪のはまった腕だ。
「それで? カティ。これはなあに?」
「ふふっ。もうすぐ分かるわ。会議室の方の声を少し上げてちょうだい」
声をかけられたのは、お茶の用意を手際良く済ませて、控えていた小柄な侍女だ。その侍女が手のひらより大きめのボードのようなもので操作する。
「まあ、すごいわね。それで色々とできるの?」
「この子は、セイスフィア商会に所属しているの。特別に借りてきたのよ」
「セイスフィア商会っ! ああっ、噂には聞いているのっ。けど、領地から公爵領は遠くて……っ、でも、この王都にも出来たのよね? 是非明日にでも、マーくんと行くわっ」
彼女は、元は隣国の王女。既に息子に爵位を渡して、この国では珍しい愛妻家の夫と共に領地に作った別宅で穏やかに暮らしている。おっとりとした垂れ目の美人だ。歳を重ねて、更にその表情は柔らかく、可愛らしくなっている。
「あらあら。相変わらず夫婦仲が良いのねえ」
「ふふっ。いやだわあ。恥ずかしい。そう言う、カティはどうなの?」
「まあ、そうねえ……かつてないほど仲は良いと言っておくわ」
「まあっ」
そんな二人の話を、微笑ましげに見つめて聞く女性達だが、メルナの関係者としては、居心地が悪そうだった。
この場で、メルナの友人となっている四人以外は、ある意味で『強い女』だ。夫にも時に意見し、第二夫人以降の者を迎えた所で、その夫人達をしっかりと教育、ふるいにかけている。第一夫人としての立場を理解した上で、暴力や実家などの後ろ盾は使わずにきちんと夫人達の上に立っている。そんな女性達でなければ、カティルラやレヴィリアの友人など務まらないだろう。
一方のメルナの友人達はといえば、それほど考える頭も持っていない。ただ、王妃という立場にいるメルナにすり寄っただけの小物というわけだ。長い物には巻かれ、ただ流れに身を任せるという性質の彼女達が、夫に意見出来るはずもなく、この国では顕著な、夫に愛されているのは当然と思い込んで結婚した、典型的な大人になりきれない元貴族令嬢でしかなかった。
「ところで、この銀の腕輪……銀ではありませんわね?」
「あの金も、金ではないのではありません? 綺麗過ぎますわ。それに、重さがわたくし達のものとも変わらないようですし」
「「「「「え……」」」」」
メルナとその友人達が着けているのは、金の腕輪。彼女達は、美しく輝く金の色に魅せられていた。他はカティルラ達も同様の銀の腕輪をしている。その輝きは確かに美しいが、金よりは劣ると思っていたようだ。少し黒っぽく見えるからでもあるだろう。
「そうよ。だって、あなた金属がダメだったでしょう?」
「知っていたの? そうなの。なんだか気持ち悪いのよ。後で肌が赤くなったりするから、若い頃から、服の上から最低限のものしかつけなかったわ。貧乏人だとか陰口をいっぱい言われたけど」
「そういえば、そうだったわね」
「わっ、わたくしもですわっ。不思議でしたの。これは平気なんですもの」
そう言ったのは、レヴィリアの友人だ。これに、レヴィリアが少し怒りながら、立ち上がって告げる。
「っ、ちょっと、なぜそれを、わたくしに言わなかったの? あなたをバカにしたバカに制裁を喰らわしてやったのにっ」
「それをされると思ったからですわ……ヴィ……あなた、なんだかまた逞しくなっていない?」
「おーっほっほっほっ。よく気付きましたわねっ! わたくし、更に強くなりましたのよっ!」
「……どこを目指しているのか、相変わらず分かりませんわ……」
呆れながらも、レヴィリアの友人達は、それもレヴィリアだしねと笑っていた。
久し振りに振り切っているレヴィリアに頭を抱えるカティルラだが、これはもう仕方がないかとこちらも諦め気味だ。だから、レヴィリアは放っておいて友人に続ける。
「もう、この子は……あ、そうそう。金属アレルギーというのがあるそうなの。体質なのですって。セイスフィア商会で相談したら、これのように、問題の起きにくいものを用意してくれるわ。是非、今度一緒にアクセサリーを選びに行きましょう」
「っ、そんなっ。ふふっ。こんなおばさんになってから宝石を付けたら笑われてしまいますわよ」
「そんなことないわ。女性はいつまでも着飾って良いのですって。もちろん、家計を圧迫しない程度に」
「まあっ、ふふふっ」
少し寂しそうに笑うカティルラの友人に、レヴィリアは自信満々に告げた。
「そうですわよ! 綺麗なものを綺麗だと思うことも、何かを欲しいと思う心も、人には大事なのですもの! いつまでも心は豊かに! これが美しく、長生きするコツでしてよ!」
「っ、まあ、レヴィリア様……ステキなお言葉ですわ」
「うっ、先生……なぜそのように驚いた顔を?」
「いえ。ふふふっ。『力こそ全て! 物理でもなんでも、下した方が勝ちですわ!』と言っていた方が……っ、ご立派に……っ」
「えっ! ちょっ、泣く程ですの!?」
カティルラの友人達は、レヴィリアの教師役でもあった。もちろん、元王女もだ。
「まあまあ。レヴィさんもようやく、周りが見えるようになったということではありませんの? もちろん、その考えを口にできるようになるようなきっかけを作ったお方が……どなたか知りたくはありますわ。きっと大切なお方ですわね?」
「なっ、わ、わたくしは別にっ、いえっ、フィルさんは大切っ……あ……っ、ち、違います! これは、推しですわ! 無償の愛ですわ!」
「あらあら。ふふふ。フィルさんと仰るのね?」
「ぐうっ……」
「ヴィ……出してはならない声が出てますわ……」
「レヴィは相変わらずですわね……最後は残念ですわ。昔から詰めが甘いのですよ」
「うぐぅ……っ」
カティルラとレヴィリアの友人達は、これまで会えなかった分の時間を取り戻すように、心から楽しんでいた。
「「「「「……っ」」」」」
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