エセ関西人(笑)ってなんやねん!? 〜転生した辺境伯令嬢は親友のドラゴンと面白おかしく暮らします〜

紫南

文字の大きさ
上 下
182 / 185
16th ステージ

182 地獄かな……

しおりを挟む
リンディエールの頑張りにより、半年する頃には、授業らしいことができるようになっていた。教師達にお願いしたのは、年齢よりも幼い子を相手するつもりで教えてくれということ。

もちろん、あからさまに子どもだからと扱うのはダメだ。矜持だけは高いため、そうした背伸びをしている子どもを相手していると思って教える。そうした努力をしてもらった。

その甲斐あって、授業らしいものができるようになったというわけだ。とはいえ、リンディエールは補助教諭のような立場で、教室に生徒としての席はなかった。

「ほれ、この問題、ここからやり直してみい」
「ここから? うん……っ、あ」
「できそうやな」
「うんっ」

出来ることを知り、考えることを知った子ども達は、早々泣き言を言わなくてなった。

「ここをよく読むんや」
「う~ん……あ、これ?」
「せやな。ええで」
「えへへ」

本当によくできたという時に褒められることで、努力する意義を理解していく。

なんでもかんでも褒められ、ヨイショされてきた彼らは、何が本当に褒められるべき事なのかわからなくなっていた。そこの修正はかなり手間だった。

座学の勉強もそうだが、彼らはしっかり動けるようにもなっていた。

「ええぞ~! 泥沼は慎重に! 速度だけやあかんぞ! 蔦渡りは腕への意識が疎かやぞ! 身体強化を部分的にかける言うたやろ!」

校庭の半分が、障害物走のためのフィールドだ。もちろんリンディエール作。

泥沼の上を如何に素早く、体重をかけずに飛び石を越えていき、水の上を、蔦にぶら下がりながら渡っていく。

他にも岩山を登り、丸太だけの一本橋を渡り、トンネルを潜っていくなど、さまざまな障害物が用意されている。

「……過酷ですね……」
「……どこを想定されているのでしょう……」
「……地獄かな……」

三クラス合同で行われるこの訓練とも言える授業は、リンディエールが教師としているので、教師達は見学だ。

「私たちも負けていられませんね……」
「子どもの体に合わせたものだから良いですが、そうでなかったら、やれと言われそうですしね……」
「走りましょうか……」
「「そうしよう……」」

こうして、この時間は自主的に教師達は校庭を走るようにしている。

「ちょっと痩せましたよ」
「なんか体力はつきましたね」
「魔力の循環のコツが分かってきました。無駄じゃないですね」
「「だな」」

教師達の結束は、半年前に比べても強くなっているようだ。

そんな日常が当たり前になってきた頃。前期の授業最後にと、課外授業をすることになった。迷宮での実地訓練だ。







**********
読んでくださりありがとうございます◎
今年もよろしくお願いします!

しおりを挟む
感想 571

あなたにおすすめの小説

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」  五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。  他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

【7話完結】婚約破棄?妹の方が優秀?あぁそうですか・・・。じゃあ、もう教えなくていいですよね?

西東友一
恋愛
昔、昔。氷河期の頃、人々が魔法を使えた時のお話。魔法教師をしていた私はファンゼル王子と婚約していたのだけれど、妹の方が優秀だからそちらと結婚したいということ。妹もそう思っているみたいだし、もう教えなくてもいいよね? 7話完結のショートストーリー。 1日1話。1週間で完結する予定です。

婚約破棄されたので、隠していた力を解放します

ミィタソ
恋愛
「――よって、私は君との婚約を破棄する」  豪華なシャンデリアが輝く舞踏会の会場。その中心で、王太子アレクシスが高らかに宣言した。  周囲の貴族たちは一斉にどよめき、私の顔を覗き込んでくる。興味津々な顔、驚きを隠せない顔、そして――あからさまに嘲笑する顔。  私は、この状況をただ静かに見つめていた。 「……そうですか」  あまりにも予想通りすぎて、拍子抜けするくらいだ。  婚約破棄、大いに結構。  慰謝料でも請求してやりますか。  私には隠された力がある。  これからは自由に生きるとしよう。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

処理中です...