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14th ステージ
152 好みだろう?
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先ず、転移門からやって来たのは王宮組だ。
ブラムレース王、王妃リュリエール、魔法師長のケンレスティン、第一王子のマルクレースと第二王子のユーアリア、第一王女のレイシャだった。
ブラムレース王が、人化したヒストリアを見つけて問いかける。
「り、リア殿……? か?」
「ブラムス来てくれたのか。ああ、ヒストリアだ」
「っ、おおっ!! その声は紛れもなくリア殿! なんとっ、いかにもリンが好みそうな容姿ですなっ」
「なんでそんなことまで知っとんの!?」
まさか、好みを知られているとは思わないリンディエールが叫ぶようにツッコむ。
これに、ブラムレース王は首を傾げた。なぜ分からないと思っているのかという不思議そうな表情だ。
「グランギリア殿と同じ系統は好みだろう?」
「そうやけどもっ」
好みをは把握されるのは、意外と恥ずかしいと、リンディエールは珍しく頬を赤らめた。
すると、聞いていた第一王子のマルクレースも頷く。
「『リン嬢は顔で強さも見分ける』と学園で噂になっていましたよ」
「どんな見分け方やねんっ。分かるけどもっ」
「うん。分かるね」
「中身は顔に出るでなっ」
「強くなると、顔付き変わるものね」
「それや! なるほど……ウチ、そこまで目が肥えたんやな……」
なぜかしみじみと、自分を褒めるリンディエールに、ヒストリアが呆れた顔を向ける。
「……嬉しいのか? ただ好みを自覚しただけでなく?」
大袈裟に捉えたものだなと呆れるばかりだ。そこに、夕食の準備を済ませたグランギリアが耳打ちする。
「リア様。よろしいではありませんか。リン様がリア様を好みだと言われるのですから」
「っ、むっ……そ、そうだな……っ」
今度はヒストリアが赤くなる番だった。
それから王妃リュリエールなどと話をしていると、そこに遅れてクイントが長男のスレインを連れてやって来る。
そして、ここでもやっぱり気になったのは、ヒストリアの顔だ。
「なっ、こ、これは……っ、リンの好みの容姿っ……」
「……父上……」
思わず膝をついたクイントに、重症だなと息子のスレインは諦めモードに入る。
「お前は本当に、リンが好きだな……」
「っ、当然です!」
「あ、あ~、うん……まあ、その……立派な跡取りも居ることだし……い、良いんじゃないか……?」
「リア様。この場合、目を泳がせては困ります」
すかさずスレインが指摘する。これにヒストリアは感心した。今度は真っ直ぐにスレインに視線を固定して答えた。
「スレインは出来た子だな。家も安泰だろう」
「お褒めの言葉、光栄です」
視線がブレブレだった後に固定された真っ直ぐな視線での答えは、スレインの自信に繋がったようだ。
この後、魔法師長の師匠であるおばばのファシードや、隣領の領主ベンディ・リフス、リンディエールの父ディースリムなども合流し、開放の祝いを盛大に行なった。
翌日。
リンディエールはヒストリアと共に、王都の迷宮に潜っていた。
「ここなら、存分に調整が出来るやろ!」
「確かに、外より遥かに安心だな!」
そうして、二人のでたらめな実力者達の迷宮攻略が始まった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
ブラムレース王、王妃リュリエール、魔法師長のケンレスティン、第一王子のマルクレースと第二王子のユーアリア、第一王女のレイシャだった。
ブラムレース王が、人化したヒストリアを見つけて問いかける。
「り、リア殿……? か?」
「ブラムス来てくれたのか。ああ、ヒストリアだ」
「っ、おおっ!! その声は紛れもなくリア殿! なんとっ、いかにもリンが好みそうな容姿ですなっ」
「なんでそんなことまで知っとんの!?」
まさか、好みを知られているとは思わないリンディエールが叫ぶようにツッコむ。
これに、ブラムレース王は首を傾げた。なぜ分からないと思っているのかという不思議そうな表情だ。
「グランギリア殿と同じ系統は好みだろう?」
「そうやけどもっ」
好みをは把握されるのは、意外と恥ずかしいと、リンディエールは珍しく頬を赤らめた。
すると、聞いていた第一王子のマルクレースも頷く。
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なぜかしみじみと、自分を褒めるリンディエールに、ヒストリアが呆れた顔を向ける。
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「リア様。よろしいではありませんか。リン様がリア様を好みだと言われるのですから」
「っ、むっ……そ、そうだな……っ」
今度はヒストリアが赤くなる番だった。
それから王妃リュリエールなどと話をしていると、そこに遅れてクイントが長男のスレインを連れてやって来る。
そして、ここでもやっぱり気になったのは、ヒストリアの顔だ。
「なっ、こ、これは……っ、リンの好みの容姿っ……」
「……父上……」
思わず膝をついたクイントに、重症だなと息子のスレインは諦めモードに入る。
「お前は本当に、リンが好きだな……」
「っ、当然です!」
「あ、あ~、うん……まあ、その……立派な跡取りも居ることだし……い、良いんじゃないか……?」
「リア様。この場合、目を泳がせては困ります」
すかさずスレインが指摘する。これにヒストリアは感心した。今度は真っ直ぐにスレインに視線を固定して答えた。
「スレインは出来た子だな。家も安泰だろう」
「お褒めの言葉、光栄です」
視線がブレブレだった後に固定された真っ直ぐな視線での答えは、スレインの自信に繋がったようだ。
この後、魔法師長の師匠であるおばばのファシードや、隣領の領主ベンディ・リフス、リンディエールの父ディースリムなども合流し、開放の祝いを盛大に行なった。
翌日。
リンディエールはヒストリアと共に、王都の迷宮に潜っていた。
「ここなら、存分に調整が出来るやろ!」
「確かに、外より遥かに安心だな!」
そうして、二人のでたらめな実力者達の迷宮攻略が始まった。
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読んでくださりありがとうございます◎
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