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11th ステージ
118 先ずはそうやな〜
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リンディエールは、怪訝な顔をする生徒達を前に、笑顔で挨拶する。
「さっきの、この学園の創設者……じいじのことについては、また後で」
生徒達の顔を見回し、目を細めた。
「初めましての人が多いなあ。リンディエール・デリエスタや。国王陛下から、学園での魔法、剣術……戦い方の指南役を任された。特別教師として就任するで、これから卒業するまでよろしゅう」
笑顔を振りまいておく。見た目は間違いなく美少女。令嬢らしく話せば、それだけで誰もが見惚れてしまう。
だが、それでは話がしっかりと伝わらない。魔力を乗せるのも次善の策としておくことにした。何より、あまりにもレベルの低い者達へ、魔力を当てるのはよろしくない。
お陰で、抗議しようと口を開きかける生徒が続出する。
それを見越してもいたのだ。なので、すかさず続ける。
「『年下の、それも女に教えられることなどない』とか言いたいんやろうけど……見た目に騙されるとか、貴族としても致命的やな」
「「「「「っ!!」」」」」
カッと顔を赤らめ、口を開き、声を上げようと息を吸った生徒達を見て、リンディエールは指を鳴らして見せる。
パチンッ
すると、声を出すどころか、息が吐けなくて胸を押さえて蹲る者が続出した。それはもちろん、男女関係ない。
それを鼻で笑い、リンディエールはもう一度指を鳴らす。
パチンッ
たった一、ニ秒のこと。息が出来るようになり、慌てて呼吸を繰り返していた。そんな生徒達を、口を開こうとはしなかった生徒達が不思議そうに見つめる。特に手を貸したりもしない。
それも当然かもしれない。リンディエールが口を塞いだ者たちは貴族で、無事な者は庶民出の者たちだったのだ。予想できる結果だった。
「今、蹲っとる奴らは、頭の足りん奴らや。周りでよお見とき。先ずは反発する。そういう風に育てられた可哀想な子らや。大人になった時、会議室から王や宰相に叩き出されるわ。親は既に経験済みやろうな」
「「「「「っ……」」」」」
この言葉に、側に居るマルクレースもスレインも頷いたので、誰も反論出来なかった。
中には、まさかと、親の行動や言動を思い出す者もいるようだ。
今までも、ブラムレース王やクイントは、会議内容にケチを付けるだけしか能がない者たちは、遠慮なく部屋から叩き出したりしていたらしい。
将来、王と宰相になるマルクレースとスレインも同じことをするだろう。口だけで実態が伴わない者は、邪魔なだけだ。無駄に時間を使うのを現王と宰相は一番嫌う。
リンディエールは台から降りて、演台の前に回る。
「今、うちを子どもやと舐めとる奴らは、先ず挫折するやろう。自尊心だけは立派なもんを持っとるらしいがなあ。それを……ぶち壊したるわ。金や権力ではどうにもできん事を教えたる」
「「「「「ッ……っ……」」」」」
苦しいほどの威圧感。圧倒的な強者の前に立つということを、生徒達は経験した。一人残らず、息苦しさを感じている。
目を離したら死ぬとさえ思える。そんな威圧感など、教師達でさえも経験がないだろう。
それがふっと消える。
「今日は挨拶や。これくらいにしといたるわ」
「「「「「っ……」」」」」
一気に圧力が消えたことで、体の力が抜けたのだろう。生徒達だけでなく、教師達も床に座り込んだ。
これを見て、リンディエールは鼻で笑って見せる。
「ほれみい。貴族が偉いとかあらへんのよ。全員平等や。生まれなんてものは関係あらへん。しっかり覚えとき。うちは身分で区別はせん。するんは……努力できる奴か、そうでないかだけや。根性ある奴が生き残る。上に行く。簡単やろ?」
クスクス笑いながら、リンディエールは演台に身軽に飛び乗る。そして、足を組んでそこに肘を突いて不敵に笑む。
その様が、なぜかとてもよく似合っていた。
「助けてくれる両親も、前もって握らせる金もない。先ずはそうやな~……『ご指導よろしくお願いします!』言うて、頭下げるとこからいこか」
「「「「「……っ」」」」」
既に絶望したような顔をしている者もいるのは、少しばかり想定外だ。予想よりもクズが多かったらしい。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、来週です。
よろしくお願いします!
「さっきの、この学園の創設者……じいじのことについては、また後で」
生徒達の顔を見回し、目を細めた。
「初めましての人が多いなあ。リンディエール・デリエスタや。国王陛下から、学園での魔法、剣術……戦い方の指南役を任された。特別教師として就任するで、これから卒業するまでよろしゅう」
笑顔を振りまいておく。見た目は間違いなく美少女。令嬢らしく話せば、それだけで誰もが見惚れてしまう。
だが、それでは話がしっかりと伝わらない。魔力を乗せるのも次善の策としておくことにした。何より、あまりにもレベルの低い者達へ、魔力を当てるのはよろしくない。
お陰で、抗議しようと口を開きかける生徒が続出する。
それを見越してもいたのだ。なので、すかさず続ける。
「『年下の、それも女に教えられることなどない』とか言いたいんやろうけど……見た目に騙されるとか、貴族としても致命的やな」
「「「「「っ!!」」」」」
カッと顔を赤らめ、口を開き、声を上げようと息を吸った生徒達を見て、リンディエールは指を鳴らして見せる。
パチンッ
すると、声を出すどころか、息が吐けなくて胸を押さえて蹲る者が続出した。それはもちろん、男女関係ない。
それを鼻で笑い、リンディエールはもう一度指を鳴らす。
パチンッ
たった一、ニ秒のこと。息が出来るようになり、慌てて呼吸を繰り返していた。そんな生徒達を、口を開こうとはしなかった生徒達が不思議そうに見つめる。特に手を貸したりもしない。
それも当然かもしれない。リンディエールが口を塞いだ者たちは貴族で、無事な者は庶民出の者たちだったのだ。予想できる結果だった。
「今、蹲っとる奴らは、頭の足りん奴らや。周りでよお見とき。先ずは反発する。そういう風に育てられた可哀想な子らや。大人になった時、会議室から王や宰相に叩き出されるわ。親は既に経験済みやろうな」
「「「「「っ……」」」」」
この言葉に、側に居るマルクレースもスレインも頷いたので、誰も反論出来なかった。
中には、まさかと、親の行動や言動を思い出す者もいるようだ。
今までも、ブラムレース王やクイントは、会議内容にケチを付けるだけしか能がない者たちは、遠慮なく部屋から叩き出したりしていたらしい。
将来、王と宰相になるマルクレースとスレインも同じことをするだろう。口だけで実態が伴わない者は、邪魔なだけだ。無駄に時間を使うのを現王と宰相は一番嫌う。
リンディエールは台から降りて、演台の前に回る。
「今、うちを子どもやと舐めとる奴らは、先ず挫折するやろう。自尊心だけは立派なもんを持っとるらしいがなあ。それを……ぶち壊したるわ。金や権力ではどうにもできん事を教えたる」
「「「「「ッ……っ……」」」」」
苦しいほどの威圧感。圧倒的な強者の前に立つということを、生徒達は経験した。一人残らず、息苦しさを感じている。
目を離したら死ぬとさえ思える。そんな威圧感など、教師達でさえも経験がないだろう。
それがふっと消える。
「今日は挨拶や。これくらいにしといたるわ」
「「「「「っ……」」」」」
一気に圧力が消えたことで、体の力が抜けたのだろう。生徒達だけでなく、教師達も床に座り込んだ。
これを見て、リンディエールは鼻で笑って見せる。
「ほれみい。貴族が偉いとかあらへんのよ。全員平等や。生まれなんてものは関係あらへん。しっかり覚えとき。うちは身分で区別はせん。するんは……努力できる奴か、そうでないかだけや。根性ある奴が生き残る。上に行く。簡単やろ?」
クスクス笑いながら、リンディエールは演台に身軽に飛び乗る。そして、足を組んでそこに肘を突いて不敵に笑む。
その様が、なぜかとてもよく似合っていた。
「助けてくれる両親も、前もって握らせる金もない。先ずはそうやな~……『ご指導よろしくお願いします!』言うて、頭下げるとこからいこか」
「「「「「……っ」」」」」
既に絶望したような顔をしている者もいるのは、少しばかり想定外だ。予想よりもクズが多かったらしい。
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次回、来週です。
よろしくお願いします!
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