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7th ステージ
072 最大のライバル
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さて、どう説明しようかとリンディエールとヒストリアが目を見合わせていると、王宮に繋いだままになっている転移門の方から弟のジェルラスが駆け出てきた。
「失礼します! 遅くなりました」
テシルが静かにその後から出てくる。
「ああ、ジェルラス、お帰り。今日もお疲れさんやったなあ。これから食べるところやで、丁度ええで」
「本当ですか? 良かった。あ……もしかして、そちらが……」
ジェルラスはこの時、ようやくリンディエールの前に居るヒストリアに気付いたらしい。動揺する様子もなく、素直に受け止めようとする様子に、リンディエールは満足げに頷く。
「せや。ヒーちゃん。弟のジェルラスや」
《話は聞いている。今日も、保護した子ども達の相談相手になっていたのだろう? その歳でよくやるものだ》
「せやろ? よく出来た子やで。可愛いのもポイント高いで」
「ね、姉さま……っ」
照れる所も可愛らしい。
ブランシェレルを摘発する中で、ジェルラスのように組織に取り込まれようとしていた子どもは意外にも多かった。
商家のようなそれなりにお金を持っている家も、貴族の子どもと同じ状況であったらしく、途中でそれらも知ったリンディエールは、急遽王都の商業ギルド長とレンザー商会長のエルスに事情を説明しに行った。
彼らの手によって、国内の商家の方もなんとかなった。しかし、利用されようとしていた子どもたちは、それを知って深く傷付いた。現在、商業ギルドと王城で、それぞれ被害に遭っていた子どもたちを集めて、色々と相談に乗っている所だ。こうなってしまうのは、子どもたちが親を信じられなくなっているからだった。
その王城にいる貴族の子どもたちの中で、ジェルラスは同じ被害に合った者という立場で接し、相談相手になっていた。
ジェルラスにとっても、同じ立場の者が居たと知るのは良かったらしい。ただ、付き従っているテシルは最初、とても居心地が悪そうだった。
本来ならば、組織の者として捕らえられているはずの者だ。けれど、反省していることと、ある意味間違いなく被害者であることから、条件付きで、捕らえられずにジェルラスの従者として認められていた。
条件とは、彼の知る組織の情報を全て打ち明けること。そして、決してジェルラスを裏切らないことだ。これは『誓約魔法』によって縛っている。細かい誓約内容も取り決め、これに反した場合、苦痛を伴い昏倒する。
この『誓約魔法』は、特殊な魔導具を使って神の前で誓うことでかけられる。
胡散臭い聖皇国も、この魔導具をどうこうすることはできない。なんせこれは、神を祀る神殿を築いた時点で、神によって設置されるのだ。教会関係者でもどうすることもできないため、何よりも公正で安心だった。
「せや。宰相はん達は、ギルド長から連絡あったか? あの魔法陣についての」
昼ごろ、商業ギルド長から連絡を受けたのだ。多くの貴族家や商業ギルドに仕掛けられていた盗聴の魔法陣について。それを仕掛けた者たちが明らかになったのだ。
それは、商家の子どもたちが中心になっていた。能力のある者に、練習も兼ねて仕掛け回らせていたらしい。
「いや。こちらには来ていないぞ?」
「私の方にも来ておりません」
王もクイントも顔を見合わせてないと頭を横に振った。
「あ~、まあ、まだ確実やないからかもしれんわ。犯人は特定できたようやが、大元がな……それも明日、明後日には直で報告に来るやろ。それよか、食事や!」
ヒストリアを見て動きを止めていたテシルもジェルラスが引っ張ってきて、食事が始まった。
「リン嬢ちゃんは、本当に美味いもんを作るなあ」
ブラムレース王が、美味い、美味いと大満足の笑みで次から次へと料理に手を伸ばす。
「どうしましょう……王宮の料理が味気なく感じてしまいそうだわ」
リュリエール王妃が、ため息をつく。それでも食べるのはやめなかった。
「だなあ。リン嬢ちゃん。レシピくれ」
「言い方……王様はそうゆうとこあるなあ……予想通りかい」
「ん? なんだ。予想してたのか」
「ヒーちゃんがな~。今日辺り言うやろから、レシピを商業ギルドで登録しておいた方がええ言うてな」
「さすがリア殿だ!」
自分をわかってくれていたと、ブラムレースは嬉しそうにヒストリアへ目を向けた。
ヒストリアは器用に爪を使って食べながら目元を緩める。
《ブラムスは、連絡してきた時に二回に一回は、リンが差し入れしてくれないかだとか、今日は何を作って食べたかと聞いてきたからな。わかりやすい》
「そ、それは、リア殿が食べても食べなくても問題ないと言っていたのが気になって……」
《心配してくれているのも分かるが、明らかにリンの料理に興味津々だったぞ?》
「うぅっ、でも、これを食べたら、毎日食べたいと思うでしょうっ」
ブラムレースは、少し恥ずかしそうにしながらも本心を吐露する。やけくそ気味だった。
だが、これに反応したのはクイントだ。許せないキーワードがあったらしい。
「毎日ですって……まさかあなたもリンを狙って……」
「っ、おいおいっ。クイント、その殺気っ、マジもんか!?」
「リンは私のです」
「間違いなく違うやろ。どさくさに紛れて私物化発言すなや」
「私だって、リンの手料理を毎日食べたいです!」
「レシピだけで我慢しい」
相変わらず、アピールがすごい。
だが、今回は牽制してくれる者が多かった。
「父上……見苦しいです」
「レングに言われる程とは、父上にしては珍しく正面から行きますよね。分からなくもないですが、さすがに彼女が母になるのは受け入れ難いです。娘にしませんか? 私の妻でもいいのですが、妹というのもいいですね」
「リンは私の妹です! それと、いい加減諦めてください!」
レングは呆れ気味に。スレインは身内にするのはやぶさかではないが、冷静に妥協点を探りながら提案する。抜け目がないのは、やはり父親似だろう。
フィリクスは、リンディエールのこととなると、途端に余裕がなくなるのはいつものことだ。
これに第一王子マルクレースが驚きながらも呟く。
「確かに……彼女、魅力的ではあるものね……」
「マルク兄様も参戦したらいい。宰相の所でリンちゃんの独占は許さない。お父様も頑張るべき」
「お、おう。年齢的にはユーアリアをと思うが……」
「ユーアには無理」
「ユーアには無理だね」
「ユーアには無理だわ」
「だよなあ」
「……」
王家一同全員にダメ出しされたユーアリアは泣きそうだった。
「何より、最大のライバルがあの方」
レイシャが視線で示したのはヒストリアだ。全員がうんと頷く。
《ん? どうした?》
何でもないと首を振りながら、レイシャはそういえばと思い出す。
「……気になることを忘れていた。その鎖……」
目がヒストリアの足についたその枷に向く。これに、ヒストリアは思い出したかと苦笑する。
《そうだったな。コレがある限り、俺はここから出ることはできない。人化もできない。ここ百年で、ようやく外に干渉できるようになった所だ》
「……それまでは、それも出来なかった?」
《ああ。少し意地になって頑張ったんだが……やはりこれは外れなくてな。だが、出来るようになっていて良かった。これで、リンを助けられたからな》
ヒストリアは良かったと笑うが、納得はできない。
「どうしても……ダメなの?」
レイシャは閉じこもること、閉じこもることしか出来ないことが、どれだけ辛いか今はよく分かっている。だから、我が事のように心を痛めていたのだ。
これに、リンディエールが明るくこたえる。
「ウチがその内何とかするで大丈夫やて」
「……リンちゃんが?」
「せや。あの枷はなあ……レベル五百以上の人族が破壊することで無効にできる。やから、今はせっせとレベル上げしとるんよ」
「……五……百? 聞き間違い?」
レイシャだけでなく、ヘルナやファルビーラも驚いていた。二人にも話していなかったのだ。
「五百や。間違いあらへん。幸い、レベル上げに都合のええことに、大繁殖期に入っとる。この機会を逃す手はないで!」
レベル上げは燃えるとリンディエールが拳を握る。だが、大人でも一般平均レベルが三十の世界だ。冒険者で百までいけば英雄なのだから、五百など聞いたこともないだろう。
「……五百って、あり得るのか?」
ブラムレースの問いかけは、当然だが、驚愕と共に静かにこの場に響いた。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
来週です!
よろしくお願いします◎
「失礼します! 遅くなりました」
テシルが静かにその後から出てくる。
「ああ、ジェルラス、お帰り。今日もお疲れさんやったなあ。これから食べるところやで、丁度ええで」
「本当ですか? 良かった。あ……もしかして、そちらが……」
ジェルラスはこの時、ようやくリンディエールの前に居るヒストリアに気付いたらしい。動揺する様子もなく、素直に受け止めようとする様子に、リンディエールは満足げに頷く。
「せや。ヒーちゃん。弟のジェルラスや」
《話は聞いている。今日も、保護した子ども達の相談相手になっていたのだろう? その歳でよくやるものだ》
「せやろ? よく出来た子やで。可愛いのもポイント高いで」
「ね、姉さま……っ」
照れる所も可愛らしい。
ブランシェレルを摘発する中で、ジェルラスのように組織に取り込まれようとしていた子どもは意外にも多かった。
商家のようなそれなりにお金を持っている家も、貴族の子どもと同じ状況であったらしく、途中でそれらも知ったリンディエールは、急遽王都の商業ギルド長とレンザー商会長のエルスに事情を説明しに行った。
彼らの手によって、国内の商家の方もなんとかなった。しかし、利用されようとしていた子どもたちは、それを知って深く傷付いた。現在、商業ギルドと王城で、それぞれ被害に遭っていた子どもたちを集めて、色々と相談に乗っている所だ。こうなってしまうのは、子どもたちが親を信じられなくなっているからだった。
その王城にいる貴族の子どもたちの中で、ジェルラスは同じ被害に合った者という立場で接し、相談相手になっていた。
ジェルラスにとっても、同じ立場の者が居たと知るのは良かったらしい。ただ、付き従っているテシルは最初、とても居心地が悪そうだった。
本来ならば、組織の者として捕らえられているはずの者だ。けれど、反省していることと、ある意味間違いなく被害者であることから、条件付きで、捕らえられずにジェルラスの従者として認められていた。
条件とは、彼の知る組織の情報を全て打ち明けること。そして、決してジェルラスを裏切らないことだ。これは『誓約魔法』によって縛っている。細かい誓約内容も取り決め、これに反した場合、苦痛を伴い昏倒する。
この『誓約魔法』は、特殊な魔導具を使って神の前で誓うことでかけられる。
胡散臭い聖皇国も、この魔導具をどうこうすることはできない。なんせこれは、神を祀る神殿を築いた時点で、神によって設置されるのだ。教会関係者でもどうすることもできないため、何よりも公正で安心だった。
「せや。宰相はん達は、ギルド長から連絡あったか? あの魔法陣についての」
昼ごろ、商業ギルド長から連絡を受けたのだ。多くの貴族家や商業ギルドに仕掛けられていた盗聴の魔法陣について。それを仕掛けた者たちが明らかになったのだ。
それは、商家の子どもたちが中心になっていた。能力のある者に、練習も兼ねて仕掛け回らせていたらしい。
「いや。こちらには来ていないぞ?」
「私の方にも来ておりません」
王もクイントも顔を見合わせてないと頭を横に振った。
「あ~、まあ、まだ確実やないからかもしれんわ。犯人は特定できたようやが、大元がな……それも明日、明後日には直で報告に来るやろ。それよか、食事や!」
ヒストリアを見て動きを止めていたテシルもジェルラスが引っ張ってきて、食事が始まった。
「リン嬢ちゃんは、本当に美味いもんを作るなあ」
ブラムレース王が、美味い、美味いと大満足の笑みで次から次へと料理に手を伸ばす。
「どうしましょう……王宮の料理が味気なく感じてしまいそうだわ」
リュリエール王妃が、ため息をつく。それでも食べるのはやめなかった。
「だなあ。リン嬢ちゃん。レシピくれ」
「言い方……王様はそうゆうとこあるなあ……予想通りかい」
「ん? なんだ。予想してたのか」
「ヒーちゃんがな~。今日辺り言うやろから、レシピを商業ギルドで登録しておいた方がええ言うてな」
「さすがリア殿だ!」
自分をわかってくれていたと、ブラムレースは嬉しそうにヒストリアへ目を向けた。
ヒストリアは器用に爪を使って食べながら目元を緩める。
《ブラムスは、連絡してきた時に二回に一回は、リンが差し入れしてくれないかだとか、今日は何を作って食べたかと聞いてきたからな。わかりやすい》
「そ、それは、リア殿が食べても食べなくても問題ないと言っていたのが気になって……」
《心配してくれているのも分かるが、明らかにリンの料理に興味津々だったぞ?》
「うぅっ、でも、これを食べたら、毎日食べたいと思うでしょうっ」
ブラムレースは、少し恥ずかしそうにしながらも本心を吐露する。やけくそ気味だった。
だが、これに反応したのはクイントだ。許せないキーワードがあったらしい。
「毎日ですって……まさかあなたもリンを狙って……」
「っ、おいおいっ。クイント、その殺気っ、マジもんか!?」
「リンは私のです」
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レングは呆れ気味に。スレインは身内にするのはやぶさかではないが、冷静に妥協点を探りながら提案する。抜け目がないのは、やはり父親似だろう。
フィリクスは、リンディエールのこととなると、途端に余裕がなくなるのはいつものことだ。
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「マルク兄様も参戦したらいい。宰相の所でリンちゃんの独占は許さない。お父様も頑張るべき」
「お、おう。年齢的にはユーアリアをと思うが……」
「ユーアには無理」
「ユーアには無理だね」
「ユーアには無理だわ」
「だよなあ」
「……」
王家一同全員にダメ出しされたユーアリアは泣きそうだった。
「何より、最大のライバルがあの方」
レイシャが視線で示したのはヒストリアだ。全員がうんと頷く。
《ん? どうした?》
何でもないと首を振りながら、レイシャはそういえばと思い出す。
「……気になることを忘れていた。その鎖……」
目がヒストリアの足についたその枷に向く。これに、ヒストリアは思い出したかと苦笑する。
《そうだったな。コレがある限り、俺はここから出ることはできない。人化もできない。ここ百年で、ようやく外に干渉できるようになった所だ》
「……それまでは、それも出来なかった?」
《ああ。少し意地になって頑張ったんだが……やはりこれは外れなくてな。だが、出来るようになっていて良かった。これで、リンを助けられたからな》
ヒストリアは良かったと笑うが、納得はできない。
「どうしても……ダメなの?」
レイシャは閉じこもること、閉じこもることしか出来ないことが、どれだけ辛いか今はよく分かっている。だから、我が事のように心を痛めていたのだ。
これに、リンディエールが明るくこたえる。
「ウチがその内何とかするで大丈夫やて」
「……リンちゃんが?」
「せや。あの枷はなあ……レベル五百以上の人族が破壊することで無効にできる。やから、今はせっせとレベル上げしとるんよ」
「……五……百? 聞き間違い?」
レイシャだけでなく、ヘルナやファルビーラも驚いていた。二人にも話していなかったのだ。
「五百や。間違いあらへん。幸い、レベル上げに都合のええことに、大繁殖期に入っとる。この機会を逃す手はないで!」
レベル上げは燃えるとリンディエールが拳を握る。だが、大人でも一般平均レベルが三十の世界だ。冒険者で百までいけば英雄なのだから、五百など聞いたこともないだろう。
「……五百って、あり得るのか?」
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