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6th ステージ
053 物理かい……
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リンディエールがクイントに連絡すると、すぐに行くと会話をぶった切られた。クゼリア伯爵邸へ来たクイントに、まずリンディエールが注意するのは当たり前だ。
「あんなあ……フットワーク軽い……すぐに動くんは悪いことやない。けどなあ、それは時と場合によるで? 分かっとるやろ」
「はい……すみません」
クイントは、クゼリア伯爵邸の執事に案内されて来た応接室で、部屋に入った途端にリンディエールから向けられた冷たい視線に陥落した。
そして、扉を入って数歩のリンディエールの前で正座したのだ。リンディエールがその前で腕を組んで言葉をかけたというわけだ。何でも形から入るリンディエールらしい行動といえる。
例え、この場の誰もが唖然としていても揺らがない。
「間違いなくあの組織と繋がっとるんよ? そんな家に宰相さんが来て、そんでその組織の者からの連絡がこれから断たれるんや。あっちがどう考えるか分かるやろ」
「はい……すみません」
「もうこうなったら先に頭押さえなあかんやん。どないしてくれんねん。忙しゅうなるやんか」
「本当にすみません……でも、これだけは本心なので言わせてください」
「なんや」
クイントは真っ直ぐリンディエールを見つめて告げた。
「リンに会いたくて仕方なかったんです! 一緒に忙しくなりましょう!」
「何をぶっちゃけとんのや! 確信犯やないか!!」
リンディエールも分かっていた。キレもののクイントが、何も考えずに行動するわけがない。
「分かっとったけどな! 相変わらず質悪いで!」
「リン! 私のこと、分かってくれていたんですねっ。嬉しいです!」
「勝手に脳内変換すなや! まったく、頭どないなっとるんや」
「リンと一緒に居るにはどうしたらいいかなと常に考えてますよ?」
「なんでキョトンと出来んのか分からんわ……」
何を当たり前なことをという表情をされ、リンディエールは頭が痛いと額に手を当てた。
「もうええわ……こっち座りい」
「はい! リンの隣に……」
「リン様。こちらに椅子をご用意しました」
グランギリアが自前の椅子を出したようだ。長テーブルの端に置いていた。
「ナイスやグラン。ほれ、宰相さん。アレに座り。お誕生日席やで」
「……仕方ありません……」
身分の上でも、その席が相応しいだろう。
「では、お話を聞かせていただきましょうか」
クイントが今までの雰囲気をガラリと変えて、真面目な表情でケルミーナへ目を向けた。これに、ケルミーナは立ち上がって指を差す。
「っ、だ、誰よ!」
「あっ。何やっとん。人をそないに指差したらあかんで。やってもうた場合は、すぐに謝りい」
「はあ? なんで私が謝らなきゃならないのよ!」
これはダメだと額を押さえながら、リンディエールはため息をついた。因みに伯爵家一同は、ケルミーナのあまりにも失礼な態度に唖然として震えている。言葉なんて出ない。そのため、リンディエールが続けるしかなかった。
「なんでって……この人はこの国の宰相で、侯爵家の当主やで?」
「さいしょう……こうしゃく? 何言ってるの? なんでそんな人が家に来るのよ」
本気で何言ってんだという表情をされて、さすがにリンディエールもイラつく。
「やからっ。あんたがやっとったことについて、わざわざ聞きに来たんよ! 国の沽券に関わることや言うとるやろ! アレに向かって何を喋ったか、よう思い出して言うてみい!」
「なんで教えなきゃならないのよ! 私とユーア様の秘密に決まってるじゃない! あんたなんかに教えるもんですか!」
ぷにっとした腕を組んで、ふんっと顔を背けるケルミーナ。リンディエールより先にこれにはクイントも我慢ならなかったらしい。どのみちラチが明かない。
「なるほど。あくまで黙秘するということですね。では……」
パンパンっ。
クイントが手を叩く。すると、ドアの外に待機していたのだろう。兵が二人入ってきた。
「その娘を捕らえなさい。反逆罪です。城の地下牢へ」
「「はっ!」」
二人の兵は相手が伯爵家の令嬢であると分かっていても、構わず動いた。
「ちょっ! な、なに!? なんで!? 牢って何!?」
速やかに両側から拘束されたケルミーナ。兵達は無表情のままケルミーナを抱えて部屋を出ようとする。しかし、当然だが伯爵家の者は止めようとした。
「お、お待ち下さい! 娘はまだ成人前ですわ。学園にも通っていないのです。不勉強なだけですわっ」
「教育が至らず、無礼な態度をとりましたことは謝罪いたします! ですからどうか! もう一度機会を!」
両親は必死だ。一人娘なのだからそれもわかる。だが、だからといって、許されることではない。それを、前伯爵夫妻は理解していた。だから何も言わない。
慌てる伯爵夫妻に、クイントは冷たい視線を向ける。
「既にお披露目会には出ておられるのでしょう。そのように表に出しているのです。今更教育が行き届いていないという理由は通じませんよ。彼女よりうんと年下のリンが何度も諭そうとしていたのです。それに耳を傾けることをしないというのは、人格的にも問題があります。そのような者が、学園に行った所で何が変わるのです?」
「そ、それは……っ」
全否定するクイントの言葉。少々行き過ぎなくらいの断定しているが、伯爵夫妻も何とも言えなくなってしまった。普段から本当にどうしようもないのかもしれない。
ここで取り返しの付かない間違いがあるのだと知れるのは、彼女には良いことだろう。
「この年で、事情を聞いても国にとって悪いことをしたという自覚がないのは貴族として致命的です。牢に入れて、反省できるかどうかも怪しいですが、やらねばなりません。今回の事はそれだけ問題となることなのです」
「……わ、分かりました……っ、娘をお連れください……」
「お父様!?」
ケルミーナは目も合わせなくなった両親に、顔を青ざめさせる。それだけのことをしたのだと、ようやく少しは自覚したようだ。もちろん、遅過ぎる気付きである。
「連れて行け」
「「はっ!」」
「っ……」
そうして、ケルミーナは兵に連行されて行った。顔を伏せる伯爵家一同に、クイントは告げた。
「手荒なことはしませんよ。成人前というのは考慮しましょう。ただし、きちんとこちらの質問に答えるまでは拘束します。明日のお披露目会にも、午後までに間に合えば出席されればいい」
「わ、分かりました……お手間を取らせることになり、申し訳ありません……」
伯爵が深く頭を下げる。それを見てクイントは頷き、立ち上がった。
「構いません。寧ろ、これであの組織に斬り込めるかもしれないのですから。それで? リン、そちらの青年が?」
テシルへ目を向けた。
「テシルや。隣のフライン公国の出で、元の名がテシュール・ブフラン。ブフラン侯爵家の次男やそうや。詳しい資料は……グラン、あるか?」
「はい。こちらに」
「宰相さんにそのまま渡すわ。連れてくか?」
「……しばらくリンが預かってくれませんか? あちらの目を逸らしておけますし、リンなら逃がしはしないでしょう?」
笑って窺い見てくるクイント。これに頬杖をついて答える。少しムスッとしながらだ。
「まあ、ええけど……あんま、当てにされても困んで……」
「リンは頼りになりますからね。あ、王子と話してもらったりできません?」
「どついたっても文句言わんか?」
「構いませんよ。顔の形でも変えてやれば、高く伸びた鼻も一緒に折れるでしょう?」
クイントはニコニコと楽しそうに告げた。第二王子のユーアリアは、見た目が良いというのが自慢なのだ。それで周りが甘やかしている所もあるらしく、クイントとしては気に入らないとのこと。
「物理かい……確かにそのつもりで言うたけどなあ」
「ふふ。どうです? お披露目会の後にでも」
「ついでに言うんは気に入ったわ。ええで」
「助かりますっ」
周りは大混乱だ。正直に口にした内容がそのままというのは、貴族ではあまりない。含ませた会話というのが普通だ。そのため、伯爵一家はグルグルと裏の意味を考えているようだ。
一方、辺境伯夫妻は、そのままだと分かっていても、そうであって欲しくないと、何とか否定できる所を探そうとしていた。
そんな中、答えを出したのはジェルラスとフィリクスだ。
「兄上。どういうイミですか?」
「そのままの意味だよ。大丈夫。ボコボコになってもキレイに治してしまえばなかったことになるからね」
フィリクスは王子にリンディエールが会うことになるというのが不満らしい。黒い笑みがチラついていた。
「姉上は……ちゆのまほうがつかえるのですか?」
子どもらしく純粋なジェルラス。大人たちが『そこじゃない!』という顔をしているが、無邪気に微笑んでいる。
「そうだよ。リンはすごいでしょう?」
「すごいです!」
大人たちの混乱はそのままに。ジェルラスの中の印象は良いらしいと、満足げにリンディエールは頷いた。
こうして、明日のお披露目会で王子に会うことが決定したのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、8日の予定です!
よろしくお願いします◎
「あんなあ……フットワーク軽い……すぐに動くんは悪いことやない。けどなあ、それは時と場合によるで? 分かっとるやろ」
「はい……すみません」
クイントは、クゼリア伯爵邸の執事に案内されて来た応接室で、部屋に入った途端にリンディエールから向けられた冷たい視線に陥落した。
そして、扉を入って数歩のリンディエールの前で正座したのだ。リンディエールがその前で腕を組んで言葉をかけたというわけだ。何でも形から入るリンディエールらしい行動といえる。
例え、この場の誰もが唖然としていても揺らがない。
「間違いなくあの組織と繋がっとるんよ? そんな家に宰相さんが来て、そんでその組織の者からの連絡がこれから断たれるんや。あっちがどう考えるか分かるやろ」
「はい……すみません」
「もうこうなったら先に頭押さえなあかんやん。どないしてくれんねん。忙しゅうなるやんか」
「本当にすみません……でも、これだけは本心なので言わせてください」
「なんや」
クイントは真っ直ぐリンディエールを見つめて告げた。
「リンに会いたくて仕方なかったんです! 一緒に忙しくなりましょう!」
「何をぶっちゃけとんのや! 確信犯やないか!!」
リンディエールも分かっていた。キレもののクイントが、何も考えずに行動するわけがない。
「分かっとったけどな! 相変わらず質悪いで!」
「リン! 私のこと、分かってくれていたんですねっ。嬉しいです!」
「勝手に脳内変換すなや! まったく、頭どないなっとるんや」
「リンと一緒に居るにはどうしたらいいかなと常に考えてますよ?」
「なんでキョトンと出来んのか分からんわ……」
何を当たり前なことをという表情をされ、リンディエールは頭が痛いと額に手を当てた。
「もうええわ……こっち座りい」
「はい! リンの隣に……」
「リン様。こちらに椅子をご用意しました」
グランギリアが自前の椅子を出したようだ。長テーブルの端に置いていた。
「ナイスやグラン。ほれ、宰相さん。アレに座り。お誕生日席やで」
「……仕方ありません……」
身分の上でも、その席が相応しいだろう。
「では、お話を聞かせていただきましょうか」
クイントが今までの雰囲気をガラリと変えて、真面目な表情でケルミーナへ目を向けた。これに、ケルミーナは立ち上がって指を差す。
「っ、だ、誰よ!」
「あっ。何やっとん。人をそないに指差したらあかんで。やってもうた場合は、すぐに謝りい」
「はあ? なんで私が謝らなきゃならないのよ!」
これはダメだと額を押さえながら、リンディエールはため息をついた。因みに伯爵家一同は、ケルミーナのあまりにも失礼な態度に唖然として震えている。言葉なんて出ない。そのため、リンディエールが続けるしかなかった。
「なんでって……この人はこの国の宰相で、侯爵家の当主やで?」
「さいしょう……こうしゃく? 何言ってるの? なんでそんな人が家に来るのよ」
本気で何言ってんだという表情をされて、さすがにリンディエールもイラつく。
「やからっ。あんたがやっとったことについて、わざわざ聞きに来たんよ! 国の沽券に関わることや言うとるやろ! アレに向かって何を喋ったか、よう思い出して言うてみい!」
「なんで教えなきゃならないのよ! 私とユーア様の秘密に決まってるじゃない! あんたなんかに教えるもんですか!」
ぷにっとした腕を組んで、ふんっと顔を背けるケルミーナ。リンディエールより先にこれにはクイントも我慢ならなかったらしい。どのみちラチが明かない。
「なるほど。あくまで黙秘するということですね。では……」
パンパンっ。
クイントが手を叩く。すると、ドアの外に待機していたのだろう。兵が二人入ってきた。
「その娘を捕らえなさい。反逆罪です。城の地下牢へ」
「「はっ!」」
二人の兵は相手が伯爵家の令嬢であると分かっていても、構わず動いた。
「ちょっ! な、なに!? なんで!? 牢って何!?」
速やかに両側から拘束されたケルミーナ。兵達は無表情のままケルミーナを抱えて部屋を出ようとする。しかし、当然だが伯爵家の者は止めようとした。
「お、お待ち下さい! 娘はまだ成人前ですわ。学園にも通っていないのです。不勉強なだけですわっ」
「教育が至らず、無礼な態度をとりましたことは謝罪いたします! ですからどうか! もう一度機会を!」
両親は必死だ。一人娘なのだからそれもわかる。だが、だからといって、許されることではない。それを、前伯爵夫妻は理解していた。だから何も言わない。
慌てる伯爵夫妻に、クイントは冷たい視線を向ける。
「既にお披露目会には出ておられるのでしょう。そのように表に出しているのです。今更教育が行き届いていないという理由は通じませんよ。彼女よりうんと年下のリンが何度も諭そうとしていたのです。それに耳を傾けることをしないというのは、人格的にも問題があります。そのような者が、学園に行った所で何が変わるのです?」
「そ、それは……っ」
全否定するクイントの言葉。少々行き過ぎなくらいの断定しているが、伯爵夫妻も何とも言えなくなってしまった。普段から本当にどうしようもないのかもしれない。
ここで取り返しの付かない間違いがあるのだと知れるのは、彼女には良いことだろう。
「この年で、事情を聞いても国にとって悪いことをしたという自覚がないのは貴族として致命的です。牢に入れて、反省できるかどうかも怪しいですが、やらねばなりません。今回の事はそれだけ問題となることなのです」
「……わ、分かりました……っ、娘をお連れください……」
「お父様!?」
ケルミーナは目も合わせなくなった両親に、顔を青ざめさせる。それだけのことをしたのだと、ようやく少しは自覚したようだ。もちろん、遅過ぎる気付きである。
「連れて行け」
「「はっ!」」
「っ……」
そうして、ケルミーナは兵に連行されて行った。顔を伏せる伯爵家一同に、クイントは告げた。
「手荒なことはしませんよ。成人前というのは考慮しましょう。ただし、きちんとこちらの質問に答えるまでは拘束します。明日のお披露目会にも、午後までに間に合えば出席されればいい」
「わ、分かりました……お手間を取らせることになり、申し訳ありません……」
伯爵が深く頭を下げる。それを見てクイントは頷き、立ち上がった。
「構いません。寧ろ、これであの組織に斬り込めるかもしれないのですから。それで? リン、そちらの青年が?」
テシルへ目を向けた。
「テシルや。隣のフライン公国の出で、元の名がテシュール・ブフラン。ブフラン侯爵家の次男やそうや。詳しい資料は……グラン、あるか?」
「はい。こちらに」
「宰相さんにそのまま渡すわ。連れてくか?」
「……しばらくリンが預かってくれませんか? あちらの目を逸らしておけますし、リンなら逃がしはしないでしょう?」
笑って窺い見てくるクイント。これに頬杖をついて答える。少しムスッとしながらだ。
「まあ、ええけど……あんま、当てにされても困んで……」
「リンは頼りになりますからね。あ、王子と話してもらったりできません?」
「どついたっても文句言わんか?」
「構いませんよ。顔の形でも変えてやれば、高く伸びた鼻も一緒に折れるでしょう?」
クイントはニコニコと楽しそうに告げた。第二王子のユーアリアは、見た目が良いというのが自慢なのだ。それで周りが甘やかしている所もあるらしく、クイントとしては気に入らないとのこと。
「物理かい……確かにそのつもりで言うたけどなあ」
「ふふ。どうです? お披露目会の後にでも」
「ついでに言うんは気に入ったわ。ええで」
「助かりますっ」
周りは大混乱だ。正直に口にした内容がそのままというのは、貴族ではあまりない。含ませた会話というのが普通だ。そのため、伯爵一家はグルグルと裏の意味を考えているようだ。
一方、辺境伯夫妻は、そのままだと分かっていても、そうであって欲しくないと、何とか否定できる所を探そうとしていた。
そんな中、答えを出したのはジェルラスとフィリクスだ。
「兄上。どういうイミですか?」
「そのままの意味だよ。大丈夫。ボコボコになってもキレイに治してしまえばなかったことになるからね」
フィリクスは王子にリンディエールが会うことになるというのが不満らしい。黒い笑みがチラついていた。
「姉上は……ちゆのまほうがつかえるのですか?」
子どもらしく純粋なジェルラス。大人たちが『そこじゃない!』という顔をしているが、無邪気に微笑んでいる。
「そうだよ。リンはすごいでしょう?」
「すごいです!」
大人たちの混乱はそのままに。ジェルラスの中の印象は良いらしいと、満足げにリンディエールは頷いた。
こうして、明日のお披露目会で王子に会うことが決定したのだ。
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読んでくださりありがとうございます◎
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