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049 少々腹の立つ条件*
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シルフィスカはあからさまに肩を落として見せると、リンティスの方へ近付いていく。
「今日はいつもと逆だな。いつだってお前は……お前たちは私を上から見下ろしていた。まったく……師匠があの地を穢すのだけはやめてくれと言うから我慢していたが、よく堪えたものだと自分でも呆れるよ」
「っ…….本当に……あなたが…….あいつだっていうの……っ」
リンティスが瞬きもせずに、床に未だ兵に押さえ付けられたまま確認する。
その時、アークィードが動いた。リンティスとシルフィスカの間に割り込んだのだ。これに、シルフィスカは足を止め、リンティスは喜びの声を上げる。
「アーク! やっぱりアークは私のことっ」
アークィードがリンティスを庇うように感じたのだろう。だが、彼にそのつもりはなかった。
「近付くな。穢れる」
「アーク……?」
リンティスの声など、アークィードは聞いてはいない。
「君はこんなにも堕ちた魂に近付いてはダメだ」
アークィードは必死だった。その表情は、本気でリンティスに近付いて欲しくないと伝えて来る。
「触れるなんてもってのほかだ」
「あ、アーク……っ」
リンティスはとても情けない表情をしていた。愛されて当然だと思っていたのだ。とても滑稽で笑ってしまう。
「ははっ。そうだな。あの地では問題はなかったが、この場ではな……是非とも自分の手で顔が変わるくらい殴り飛ばしたかったのだが……残念だ」
シルフィスカが触れれば穢れが移るという心配ではない。その穢れさえ祓えてしまうためだ。もちろん、アークィードは単純に汚いものに触れて欲しくないだけである。
目の前のアークィードは、まっすぐに見つめるシルフィスカの目に気付いて、そっと顔を背けた。気まずいというより、合わせる顔がないといった様子に、シルフィスカはゆるりと目元を緩めた。
「きっと、師匠の前でもそういう顔をするんだろうな」
「っ……」
「私は、呪術がそれほど悪いものだとは思っていないよ」
「っ、そんっ……な……」
アークィードは信じられないと、驚いた表情でこちらを向いた。ようやく目を合わせられたと笑い、シルフィスカは話を続ける。
「師匠もそうだろう。もちろん、神としては許せるものではない。魂に影響を与えるのだからな」
魂を管理する神としては許してはならないものなのだから仕方がない。
「だが……法や人々の力だけでは裁けない者はいる。納得できずに傷付き、弱ってしまう魂は、天に還っても早々に消滅することになる。ならば、せめて恨みを晴らしてと思うのは自然なことだろう?」
「……っ」
シルフィスカは一歩近付き、少し上にあるアークィードの頬に手を伸ばす。びくりと身を震わせ、アークィードはそれを避けようとするが、半歩下がろうとして、体は動きを止めた。そのまま頬に触れる。
「逃げるな」
「っ……」
触れた頬はとても冷たかった。
「……これほどまで弱るか……」
「っ……分かる……のか……っ」
「この姿はどうした? じじいに与えられた姿とは違うな」
「……神になった時の……姿のことか」
「ああ。今の姿は、人であった時のものだろう?」
「ああ……思い出せないんだ……」
「そうか……」
恐ろしいほどの力を持った呪術師であるアークィード。だが、シルフィスカには、行き場を失くした子どものように見えていた。
天に還ることもできず、人として生きることもできない。これほどの罰を受けなくてはならない罪なのだろうか。
シルフィスカは少しだけ目を伏せ、願った。
ふわりと風が生まれる。
「っ……なに……を……」
神の力を感じたのだろう。シルフィスカは既に、神力を宿していた。そのための修行を受けてきたのだ。
触れた手が光を放ち、それが徐々にアークィードの体を包んでいく。驚く彼に、シルフィスカはクスリと笑った。
「じじいは……神はずっと待っていたらしい。お前を解放できる力を持つ者が現れるのを……そして、その条件がようやく揃ったというわけだ」
「条件……」
意味が分からないという表情。それに苦笑する。
「少々腹の立つ条件だったがな」
「それは……」
「一つ、祝福された土地で十余年を生きること。二つ、神の弟子になり、兄弟子であるお前を越えるだけの神力を手にすること。三つ……お前の力を受けていること……つまり呪術だな」
この三つ目はかなり厳しい条件だ。だが、そこは腐っても神。そうなるように仕組んでいた。リンティスの存在がシルフィスカの傍にあったことは偶然ではなかったのだ。こういう人格を持つ者が居なくてはならなかった。
光が完全に手から移り、アークィードが淡く発光するのを確認して、シルフィスカは手を離した。そして、呆れた様子で腰に手を当てる。
「その上で更に、私が生まれた時にその資質を見て、じじいは託宣を下ろした。『生まれた土地で十余年育てること』とな。まあ、その十余年を『十四年』と勘違いしていたようだが、そのお陰であの地の祝福は全て私が受け取ることができた」
神がずっと隠していた託宣がこれだった。『十四年』と勘違いしていることに気付いたのだが、そのままにしていたらしい。早く家を出たくて仕方がないシルフィスカの思いを知っていながらも黙っていたのだ。
どのみち、アークィードから受けた呪術の力が神の予想より強く、若干最初の計算よりも長くあの地に留まらなくては祝福を全て回収できなかったらしいので、結果的には良かったのだが、それにしても事情ぐらい話せと言いたかった。
神としては、呪術王の解放が出来る者としてシルフィスカを見出したことに、多少の負い目があったようだ。
因みに、これを先日知ったシルフィスカは『クソ面倒臭いやつ』と一笑して終わった。神はこれには『悩んで損した……』とウジウジ泣いていた。
「二度と、あの地で聖女の資質を持つ者は生まれない。寧ろ、魔力さえ持たない者が生まれるだろうな」
これに反応したのは、父ベリスベリー伯爵だった。
「なっ、な、なんだと!? なんてことをしてくれたのだ!」
「ん? まさか、この状況でまだ家に帰れると思っているのか? 王よ。こいつらは、家に帰すのか?」
突然振られた王が慌てて答える。
「っ、いや。このまましばらく地下牢行きだ。余罪を精査し、良くても一生牢に繋ぐ。悪くて処刑だ」
「な、なっ!?」
「それなら安心だ。こいつらはあの地に二度と帰さないでくれ。祝福が消えた土地に、このような穢れを持つ者が居座った場合、そこが『呪われた地』になる可能性が高い。できれば、屋敷も壊して草木を植えて欲しい。浄化は必要だ」
「承知した……っ」
呪われた地になるなどと言われては、王も聞いていた貴族達も怯えていた。祝福が一切ない『呪われた地』では作物は育たず不毛の地となり、ゆっくりと周りを侵食していくようになる。これは、祝福の地に接するまでずっと広がり続けることになるのだ。
これにより、かつて亡んだ国があった。この大陸にも、侵食が止まった状態の不毛の地は存在している。
さすがにこれを聞いて、ベリスベリー伯爵夫妻は先ほどよりも顔色をなくしていた。
「さてと、途中で悪かったな。そろそろ姿が変わるか」
「え……」
アークィードを包む光が強くなった。それは瞬き二つほどの間。次の瞬間には、淡い光へと戻る。そして、そこにあったのは虹の色を宿す美しい長い白銀の髪と金の瞳の青年の姿。
肩から流れ落ちてきた白銀の髪を手で掬い上げ、アークィードは目を丸くする。
「思い出したか?」
「っ……」
「その姿が、神になった時のお前の姿だったはずだ。お前が愛した聖女と同じ色だろう?」
「っ、そう……っ、そうだ……っ、なぜ忘れて……っ」
なぜ忘れられたのか。そう自問するが、答えは出ないだろう。彼は心から愛した聖女の姿さえ、もう思い出せなくなっていたのだ。それが理を侵した者への罰の一つなのだから。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、3日の予定です!
よろしくお願いします◎
「今日はいつもと逆だな。いつだってお前は……お前たちは私を上から見下ろしていた。まったく……師匠があの地を穢すのだけはやめてくれと言うから我慢していたが、よく堪えたものだと自分でも呆れるよ」
「っ…….本当に……あなたが…….あいつだっていうの……っ」
リンティスが瞬きもせずに、床に未だ兵に押さえ付けられたまま確認する。
その時、アークィードが動いた。リンティスとシルフィスカの間に割り込んだのだ。これに、シルフィスカは足を止め、リンティスは喜びの声を上げる。
「アーク! やっぱりアークは私のことっ」
アークィードがリンティスを庇うように感じたのだろう。だが、彼にそのつもりはなかった。
「近付くな。穢れる」
「アーク……?」
リンティスの声など、アークィードは聞いてはいない。
「君はこんなにも堕ちた魂に近付いてはダメだ」
アークィードは必死だった。その表情は、本気でリンティスに近付いて欲しくないと伝えて来る。
「触れるなんてもってのほかだ」
「あ、アーク……っ」
リンティスはとても情けない表情をしていた。愛されて当然だと思っていたのだ。とても滑稽で笑ってしまう。
「ははっ。そうだな。あの地では問題はなかったが、この場ではな……是非とも自分の手で顔が変わるくらい殴り飛ばしたかったのだが……残念だ」
シルフィスカが触れれば穢れが移るという心配ではない。その穢れさえ祓えてしまうためだ。もちろん、アークィードは単純に汚いものに触れて欲しくないだけである。
目の前のアークィードは、まっすぐに見つめるシルフィスカの目に気付いて、そっと顔を背けた。気まずいというより、合わせる顔がないといった様子に、シルフィスカはゆるりと目元を緩めた。
「きっと、師匠の前でもそういう顔をするんだろうな」
「っ……」
「私は、呪術がそれほど悪いものだとは思っていないよ」
「っ、そんっ……な……」
アークィードは信じられないと、驚いた表情でこちらを向いた。ようやく目を合わせられたと笑い、シルフィスカは話を続ける。
「師匠もそうだろう。もちろん、神としては許せるものではない。魂に影響を与えるのだからな」
魂を管理する神としては許してはならないものなのだから仕方がない。
「だが……法や人々の力だけでは裁けない者はいる。納得できずに傷付き、弱ってしまう魂は、天に還っても早々に消滅することになる。ならば、せめて恨みを晴らしてと思うのは自然なことだろう?」
「……っ」
シルフィスカは一歩近付き、少し上にあるアークィードの頬に手を伸ばす。びくりと身を震わせ、アークィードはそれを避けようとするが、半歩下がろうとして、体は動きを止めた。そのまま頬に触れる。
「逃げるな」
「っ……」
触れた頬はとても冷たかった。
「……これほどまで弱るか……」
「っ……分かる……のか……っ」
「この姿はどうした? じじいに与えられた姿とは違うな」
「……神になった時の……姿のことか」
「ああ。今の姿は、人であった時のものだろう?」
「ああ……思い出せないんだ……」
「そうか……」
恐ろしいほどの力を持った呪術師であるアークィード。だが、シルフィスカには、行き場を失くした子どものように見えていた。
天に還ることもできず、人として生きることもできない。これほどの罰を受けなくてはならない罪なのだろうか。
シルフィスカは少しだけ目を伏せ、願った。
ふわりと風が生まれる。
「っ……なに……を……」
神の力を感じたのだろう。シルフィスカは既に、神力を宿していた。そのための修行を受けてきたのだ。
触れた手が光を放ち、それが徐々にアークィードの体を包んでいく。驚く彼に、シルフィスカはクスリと笑った。
「じじいは……神はずっと待っていたらしい。お前を解放できる力を持つ者が現れるのを……そして、その条件がようやく揃ったというわけだ」
「条件……」
意味が分からないという表情。それに苦笑する。
「少々腹の立つ条件だったがな」
「それは……」
「一つ、祝福された土地で十余年を生きること。二つ、神の弟子になり、兄弟子であるお前を越えるだけの神力を手にすること。三つ……お前の力を受けていること……つまり呪術だな」
この三つ目はかなり厳しい条件だ。だが、そこは腐っても神。そうなるように仕組んでいた。リンティスの存在がシルフィスカの傍にあったことは偶然ではなかったのだ。こういう人格を持つ者が居なくてはならなかった。
光が完全に手から移り、アークィードが淡く発光するのを確認して、シルフィスカは手を離した。そして、呆れた様子で腰に手を当てる。
「その上で更に、私が生まれた時にその資質を見て、じじいは託宣を下ろした。『生まれた土地で十余年育てること』とな。まあ、その十余年を『十四年』と勘違いしていたようだが、そのお陰であの地の祝福は全て私が受け取ることができた」
神がずっと隠していた託宣がこれだった。『十四年』と勘違いしていることに気付いたのだが、そのままにしていたらしい。早く家を出たくて仕方がないシルフィスカの思いを知っていながらも黙っていたのだ。
どのみち、アークィードから受けた呪術の力が神の予想より強く、若干最初の計算よりも長くあの地に留まらなくては祝福を全て回収できなかったらしいので、結果的には良かったのだが、それにしても事情ぐらい話せと言いたかった。
神としては、呪術王の解放が出来る者としてシルフィスカを見出したことに、多少の負い目があったようだ。
因みに、これを先日知ったシルフィスカは『クソ面倒臭いやつ』と一笑して終わった。神はこれには『悩んで損した……』とウジウジ泣いていた。
「二度と、あの地で聖女の資質を持つ者は生まれない。寧ろ、魔力さえ持たない者が生まれるだろうな」
これに反応したのは、父ベリスベリー伯爵だった。
「なっ、な、なんだと!? なんてことをしてくれたのだ!」
「ん? まさか、この状況でまだ家に帰れると思っているのか? 王よ。こいつらは、家に帰すのか?」
突然振られた王が慌てて答える。
「っ、いや。このまましばらく地下牢行きだ。余罪を精査し、良くても一生牢に繋ぐ。悪くて処刑だ」
「な、なっ!?」
「それなら安心だ。こいつらはあの地に二度と帰さないでくれ。祝福が消えた土地に、このような穢れを持つ者が居座った場合、そこが『呪われた地』になる可能性が高い。できれば、屋敷も壊して草木を植えて欲しい。浄化は必要だ」
「承知した……っ」
呪われた地になるなどと言われては、王も聞いていた貴族達も怯えていた。祝福が一切ない『呪われた地』では作物は育たず不毛の地となり、ゆっくりと周りを侵食していくようになる。これは、祝福の地に接するまでずっと広がり続けることになるのだ。
これにより、かつて亡んだ国があった。この大陸にも、侵食が止まった状態の不毛の地は存在している。
さすがにこれを聞いて、ベリスベリー伯爵夫妻は先ほどよりも顔色をなくしていた。
「さてと、途中で悪かったな。そろそろ姿が変わるか」
「え……」
アークィードを包む光が強くなった。それは瞬き二つほどの間。次の瞬間には、淡い光へと戻る。そして、そこにあったのは虹の色を宿す美しい長い白銀の髪と金の瞳の青年の姿。
肩から流れ落ちてきた白銀の髪を手で掬い上げ、アークィードは目を丸くする。
「思い出したか?」
「っ……」
「その姿が、神になった時のお前の姿だったはずだ。お前が愛した聖女と同じ色だろう?」
「っ、そう……っ、そうだ……っ、なぜ忘れて……っ」
なぜ忘れられたのか。そう自問するが、答えは出ないだろう。彼は心から愛した聖女の姿さえ、もう思い出せなくなっていたのだ。それが理を侵した者への罰の一つなのだから。
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