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032 この国生まれの者が一人
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全員の視線が集まったことで、レイルは動きを止めていた。トゲのない視線がない。
一番に口を開いたのは、それまで静かに聴き役に徹していた王妃だ。
「ねえ、あなたはシルフィちゃんをどうしたいのかしら。昨日一日でも、シルフィちゃんの夫になるのは大変なことだって分かったわよね?」
「っ……それは……」
レイルが言い淀む。
「もちろん、貴族ならば政略結婚というのも納得できるのよ? でももう、シルフィちゃんはあの家とも縁を切っているわ。だから、あなたが手を離してくれれば、シルフィちゃんはただの冒険者……自由になれるの」
「っ……」
レイルは目を見開く。
シルフィスカは、ゼスタート家に嫁ぎ、連れて来た全ての使用人達を家に帰した所で、完全にベリスベリー家と縁を切るという誓約をした。
ベリスベリーとしては、使用人を返すというのは、ゼスタート家からも惨めにも不要と切り捨てられた時だと思っていた。だから誓約したのだ。
シルフィスカは速攻で使用人達を帰した。そこで誓約が完了してしまったことに、あちらは焦ったはずだ。
惨めに泣き付いてくると思っていたのだろう。彼らは、シルフィスカが一人で生きていける冒険者であるとは知らない。家族に虐げられるだけの大人しい子どもだと思っているのだから。
リンティスが王宮で仕掛けてきたのは、ゲスタート家から見捨てられるように仕向けるためだろう。婚約が決まった王女に嫌がらせをと思ったついでだ。
相変わらず、厭らしい手を考えるものだ。しかし、彼らは間違えた。自由になったシルフィスカには味方がいる。何より、ゼスタート家がシルフィスカを離さなかった。これはリンティス達も予想外だろう。
「シルフィちゃんがこの子達に師匠呼びを許しているのがその証拠よ。今までは弟子が居るなんて……シルフィちゃんが特に親しくする者がいるなんて、誰も知らなかったもの。そうではない?」
王妃は、答えを求めてビスラとフラン、ミィアに目を向けた。三人は顔を見合わせて頷く。答えたのはフランだ。
「ご推察の通りです。我々は、師匠に言われておりました。師匠の出自が自然と分かった時、その時は家と縁を切った時だと。そうなるまでは『一切師弟関係にあるとバレてはいけない』と。言われた時は、どうしてなのかは分かりませんでした。ですが、今ならばわかります。師匠は我々があの家に使われることがないようにしてくれていたのです」
これを聞いて、王妃は困った子を見るようにシルフィスカを見た。だが、向けられたシルフィスカはなぜそんな顔をされるのか分からない。ため息を吐き、口にしたのは王だ。
「なるほど。そうだろうね。噂に聞く家のことを考えれば分かるよ。本当にシルフィは困った子だ。王族であっても頼ってくれないのだからな」
「……これは、責められていますか?」
ようやく確認できた。だが、これにもため息を吐かれる。
「責めてるよ。まったく……やはり、早々にウチの子にするんだった」
うんうんと王妃が頷く。この時、第一王子はクスクスと笑った。
「その場合は、私の妻ですね。今からでも遅くないでしょう。予約しておくね?」
「予約……?」
意味が分からないと首を傾げていれば、フランとビスラから待ったがかかった。
「申し訳ありませんが、いくら懇意にしている王族であっても、こちらの方が優先されます」
「レイルと別れたら、俺が嫁にするんで無理ですよ」
「「あ゛?」」
フランとビスラは、シルフィスカを挟んで睨み合いを始める。
「鬱陶しい」
「「うっ」」
一言呟けば、二人は肩を落として大人しくなった。小さな呟きでも、弟子達はなぜかしっかり拾ってくるので、こういう時は助かる。
「ふふっ。今のでよく分かったわ。シルフィちゃんのお弟子さん達はみんなシルフィちゃんの旦那さんになりたいのかしらね」
「……いえ、同性もいますよ?」
男ばかりではない。たまたまあの国に残ったのが男ばかりだっただけだ。
「きっとその子達は義妹候補ね」
「……年上も……」
「義姉か義母かしら」
「……」
言葉が見つからなかった。否定できないのだ。
「ん~。シルフィ。この国の者で弟子はいるかい?」
王の問いかけに、シルフィは少し考え込む。
「この国生まれの者が一人おります」
「誰だい?」
まあいいかとその名を呼んだ。
「マーティウィンです」
表情をそのままに、王族とこの部屋に控えていたメイドや侍従達までもが動きをピタリと止めた。息さえ止まっていそうだ。
シルフィスカはそれを見て、双子に注意する。
「ラスティ、ファルビ。口は閉じるように」
「「んむっ……すみません」」
王女はラスティアーナ、第二王子がファルビアークという。二人を愛称で呼ぶのはシルフィスカが教育係もするからだ。口を開けたままでいた二人はヨダレが垂れる寸前だった。
ここでようやく周りの時間が動き出す。だが、まだ正常ではない。
「ん?」
「え?」
「今何と言ったかな?」
「「マーティウィンと聞こえました!」」
不思議に思うのも無理はなかった。
「シルフィ……私の知るマーティウィンという名の者は……叔父上しかいないのだが……?」
この国の前王の弟だ。
「はい。大公であるマーティウィンで間違いありませんが?」
「……叔父上が……弟子? 弟子……弟子!?」
弟子という言葉全ての強さが違った。大混乱中のようだ。予想外も予想外だと何度も頭を振って何かを考えるように動きを止め、また動きを繰り返す。
「あっ、そういえば、マーティおじさんがドラゴンに乗ってたの見た」
「昨日の夜のですわよね! わたくし、夢だと思ってました」
「俺もー。ラスティも覚えてるんなら夢じゃないかも」
「ですわね」
二人の席は離れているため、少し身を乗り出しながらの会話だ。その間にいる両親と兄は眉を寄せていた。これは、マナーがとかそういうことを言いたい顔ではない。まさかという思い。目が泳いでいる。
気にせずシルフィスカは双子に頷いて見せる。
「メルトムールの見回りに行ったんだろう」
「メルトムール?」
「あの大山脈ですか?」
ハルゼンとは反対側になる国境近くに大きな山脈がある。そのことだ。
「ああ。あそこの主がそろそろ世代交代をするから、荒れないように見回りをしているんだ。ハルゼンの国境から移動するのにトラを喚んだんだろう」
マーティウィンは大公ではあるが、戦場の最前線に立てる実力がある。シルフィスカと出会う前からそうだった。そして、今も自領の騎士団を率いてハルゼンとの国境に立っているだろう。
「「トラ?」」
「マーティの相棒のドラゴンの名だ。トランディアでトラと呼んでいる。黄金のドラゴンだ」
「うん! 月光で光ってた!」
「キラキラしてましたわ! あまりにも美しかったので、夢だと思ったんですの!」
「ドラゴンって本当にいるんだ!」
「ドラゴンって本当いるんですのね!」
大興奮する双子。だが、ここでシルフィスカは気付いた。フランやビスラ、ミィアとレイルも目を丸くしてこちらを見ていたのだ。
「ん? どうした?」
「師匠……まさか、師匠の言っていた最高の契約魔法師というのが……大公ですか?」
「ようやく適性のある奴を見つけたとか嬉しそうにしてたのが大公かよ……」
「俺の情報網にもない……大公が弟弟子……」
「あ、そっか弟弟子だ……」
「確かに……弟弟子っぽいですね……」
「そうだな。お前たちの弟弟子になる」
「……」
ドラゴンのことよりも、この国の大公がシルフィスカの弟子の一人だったこと、それも弟弟子であったことの方が三人には衝撃だったようだ。
その時だった。
「おおっ! お久しぶり振りですぞ! お師匠様よ!」
突然扉が開き、その弟弟子が笑顔で部屋に入ってきたのだ。
************
読んでくださりありがとうございます◎
次回、15日の予定です。
よろしくお願いします◎
一番に口を開いたのは、それまで静かに聴き役に徹していた王妃だ。
「ねえ、あなたはシルフィちゃんをどうしたいのかしら。昨日一日でも、シルフィちゃんの夫になるのは大変なことだって分かったわよね?」
「っ……それは……」
レイルが言い淀む。
「もちろん、貴族ならば政略結婚というのも納得できるのよ? でももう、シルフィちゃんはあの家とも縁を切っているわ。だから、あなたが手を離してくれれば、シルフィちゃんはただの冒険者……自由になれるの」
「っ……」
レイルは目を見開く。
シルフィスカは、ゼスタート家に嫁ぎ、連れて来た全ての使用人達を家に帰した所で、完全にベリスベリー家と縁を切るという誓約をした。
ベリスベリーとしては、使用人を返すというのは、ゼスタート家からも惨めにも不要と切り捨てられた時だと思っていた。だから誓約したのだ。
シルフィスカは速攻で使用人達を帰した。そこで誓約が完了してしまったことに、あちらは焦ったはずだ。
惨めに泣き付いてくると思っていたのだろう。彼らは、シルフィスカが一人で生きていける冒険者であるとは知らない。家族に虐げられるだけの大人しい子どもだと思っているのだから。
リンティスが王宮で仕掛けてきたのは、ゲスタート家から見捨てられるように仕向けるためだろう。婚約が決まった王女に嫌がらせをと思ったついでだ。
相変わらず、厭らしい手を考えるものだ。しかし、彼らは間違えた。自由になったシルフィスカには味方がいる。何より、ゼスタート家がシルフィスカを離さなかった。これはリンティス達も予想外だろう。
「シルフィちゃんがこの子達に師匠呼びを許しているのがその証拠よ。今までは弟子が居るなんて……シルフィちゃんが特に親しくする者がいるなんて、誰も知らなかったもの。そうではない?」
王妃は、答えを求めてビスラとフラン、ミィアに目を向けた。三人は顔を見合わせて頷く。答えたのはフランだ。
「ご推察の通りです。我々は、師匠に言われておりました。師匠の出自が自然と分かった時、その時は家と縁を切った時だと。そうなるまでは『一切師弟関係にあるとバレてはいけない』と。言われた時は、どうしてなのかは分かりませんでした。ですが、今ならばわかります。師匠は我々があの家に使われることがないようにしてくれていたのです」
これを聞いて、王妃は困った子を見るようにシルフィスカを見た。だが、向けられたシルフィスカはなぜそんな顔をされるのか分からない。ため息を吐き、口にしたのは王だ。
「なるほど。そうだろうね。噂に聞く家のことを考えれば分かるよ。本当にシルフィは困った子だ。王族であっても頼ってくれないのだからな」
「……これは、責められていますか?」
ようやく確認できた。だが、これにもため息を吐かれる。
「責めてるよ。まったく……やはり、早々にウチの子にするんだった」
うんうんと王妃が頷く。この時、第一王子はクスクスと笑った。
「その場合は、私の妻ですね。今からでも遅くないでしょう。予約しておくね?」
「予約……?」
意味が分からないと首を傾げていれば、フランとビスラから待ったがかかった。
「申し訳ありませんが、いくら懇意にしている王族であっても、こちらの方が優先されます」
「レイルと別れたら、俺が嫁にするんで無理ですよ」
「「あ゛?」」
フランとビスラは、シルフィスカを挟んで睨み合いを始める。
「鬱陶しい」
「「うっ」」
一言呟けば、二人は肩を落として大人しくなった。小さな呟きでも、弟子達はなぜかしっかり拾ってくるので、こういう時は助かる。
「ふふっ。今のでよく分かったわ。シルフィちゃんのお弟子さん達はみんなシルフィちゃんの旦那さんになりたいのかしらね」
「……いえ、同性もいますよ?」
男ばかりではない。たまたまあの国に残ったのが男ばかりだっただけだ。
「きっとその子達は義妹候補ね」
「……年上も……」
「義姉か義母かしら」
「……」
言葉が見つからなかった。否定できないのだ。
「ん~。シルフィ。この国の者で弟子はいるかい?」
王の問いかけに、シルフィは少し考え込む。
「この国生まれの者が一人おります」
「誰だい?」
まあいいかとその名を呼んだ。
「マーティウィンです」
表情をそのままに、王族とこの部屋に控えていたメイドや侍従達までもが動きをピタリと止めた。息さえ止まっていそうだ。
シルフィスカはそれを見て、双子に注意する。
「ラスティ、ファルビ。口は閉じるように」
「「んむっ……すみません」」
王女はラスティアーナ、第二王子がファルビアークという。二人を愛称で呼ぶのはシルフィスカが教育係もするからだ。口を開けたままでいた二人はヨダレが垂れる寸前だった。
ここでようやく周りの時間が動き出す。だが、まだ正常ではない。
「ん?」
「え?」
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「メルトムール?」
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ハルゼンとは反対側になる国境近くに大きな山脈がある。そのことだ。
「ああ。あそこの主がそろそろ世代交代をするから、荒れないように見回りをしているんだ。ハルゼンの国境から移動するのにトラを喚んだんだろう」
マーティウィンは大公ではあるが、戦場の最前線に立てる実力がある。シルフィスカと出会う前からそうだった。そして、今も自領の騎士団を率いてハルゼンとの国境に立っているだろう。
「「トラ?」」
「マーティの相棒のドラゴンの名だ。トランディアでトラと呼んでいる。黄金のドラゴンだ」
「うん! 月光で光ってた!」
「キラキラしてましたわ! あまりにも美しかったので、夢だと思ったんですの!」
「ドラゴンって本当にいるんだ!」
「ドラゴンって本当いるんですのね!」
大興奮する双子。だが、ここでシルフィスカは気付いた。フランやビスラ、ミィアとレイルも目を丸くしてこちらを見ていたのだ。
「ん? どうした?」
「師匠……まさか、師匠の言っていた最高の契約魔法師というのが……大公ですか?」
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「俺の情報網にもない……大公が弟弟子……」
「あ、そっか弟弟子だ……」
「確かに……弟弟子っぽいですね……」
「そうだな。お前たちの弟弟子になる」
「……」
ドラゴンのことよりも、この国の大公がシルフィスカの弟子の一人だったこと、それも弟弟子であったことの方が三人には衝撃だったようだ。
その時だった。
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