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022 重要な事を忘れていました*
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誰も居なくてなってからしばらくして、ユキトから連絡が来た。
『スタンピードが発生しました』
「……もう少しかかる。持ち堪えるよう、サクラに伝えてくれ」
『……承知しました』
ユキトのことだ。たったこれだけで何かあったと気付いただろう。ユキトは声音だけで様々な事を察せられるのだから。
さてどうするかと考える。足の怪我は刺さっただけなので、何かで止血して固定すれば問題はないだろう。出血多量になる太ももでなくて良かった。痛みがないので呑気なものだ。多少、気持ち悪い感覚だけが残っているが、戦いになれば気にならない。
それからまたしばらくして、第一王子が駆け戻ってきた。数人の魔法師や騎士も一緒だ。
「すぐに彼女を治療師の元に連れて行ってくれ!」
慌てた様子で指示を出す。シルフィスカに目を向けた魔法師や騎士達は、青ざめていた。彼らは第一王子に続いて慌ただしく牢の中へ入って来た。
「すまない! 今、治療をっ。あの騎士ば拘束した。リンティスも探している。見つけたら必ず連れてくるからっ」
第一王子は必死に訴えてくる。しかし、シルフィスカは冷静なまま、抱き上げようとする騎士を手で留める。
「先に確認します。私への疑いは晴れたのですか?」
「っ……」
言葉に詰まる第一王子。その後ろから第二王子がやって来て告げた。
「あなたがレイル・ゼスタートやビスラ、フランと踊っていたことの確認が取れた。控え室に居たと証言した者も、誰かとは言わないが、言わされたとも話している。聖女の証言とは明らかに違うことは確かだ」
「っ……」
どうやら、第二王子が調べに行かせていたようだ。彼が最初に現れた時、シルフィスカと騎士の話を聞き、ここに来る前まで連れていた側近に走らせていたのだ。それに、第一王子が悔しそうに俯いた。
「それと、先程無事に妹が帰ってきた。意識を失っているが、目覚めれば真実も知れるだろう」
「そうですか」
「っ、すぐに治療を……」
第一王子は気まずそうにそう急かす。だが、シルフィスカは動かなかった。
「申し訳ありませんが、あの姉の力は借りたくありません」
「っ、いや、だが、彼女は聖女なのだぞ……」
いい加減分かれと思う。
「あの人と同じ血を引いていると思うだけで寒気がするのです。人を平気で呪うような者が聖女など、吐き気がする。そんな女の側に居る者の気がしれません。なので、あなたの力も借りたくない。何より……私はあなたを許せない」
「っ……そ、それは……すまないと……っ」
第一王子だけでなく、第二王子も目を見開く。ここまで言うとは思わなかったのだろう。ただ、残念なことに『人を平気で呪う』という言葉は、最後の『あなたを許せない』という言葉に消されたようだ。これを、この場に居る誰もが思い違いをしている。
「今のことではありません。知らないのは仕方のないことですから。それよりも、あなたにお会いできたなら伝えて欲しいと言われていたことがありました。以後このような機会はないでしょうから伝えておきます」
「……何だろうか……」
シルフィスカは一度目を閉じ、あの時の情景や声を思い出しながら告げた。
「『私は死んでもあなただけは許さない』」
「っ……」
「元メイドの言葉ですとだけ言っておきます」
「……メイド……」
考えだした第一王子は、もうどうでも良いとシルフィスカが手を差し出してくる騎士を避けて牢を出ようとした時だった。
「師匠!」
ビスラだ。
「師匠! 何もされてないか!? ん? 血の匂い……っ、師匠! 口切ってっ、足! 足に怪我したのか!? ちょい見して!」
ビスラは王子達を押し退けてシルフィスカの前で膝をつくと、遠慮なくドレスの裾をめくって足を確認した。
「おい……お前は、まったく……」
シルフィスカは呆れるしかない。一応の抵抗として、ビスラの頭を軽く叩いておいた。音だけはするが、威力はそれほどでもない。
「っ、痛てっ……あ、すんません。つい」
「つい、で他の令嬢のドレスをめくるなよ? 結婚相手が居なくなるぞ……」
「あ、それは大丈夫っス。師匠を嫁にもらうんで」
「……」
冗談だよなと呆れる一方で、ここまでくると本気かとも思わなくもない。
ビスラは注意を受けたにも関わらずドレスをめくって傷口を見ていた。どうしようかと考えているのは分かる。弟子達はシルフィスカの受けている呪術について知っているのだから。
シルフィスカは持っていたハンカチを差し出す。
「これで止血してくれ」
「うっス」
ドレスの裾をシルフィスカが持ち、キツめに縛ってもらった。足首の方で本当に良かった。
「キツくないっスか……あ~、分からんのでしたね……」
どれだけ締めても違和感があるだけで痛みを感じないシルフィスカは、こういう時、締めすぎていても分からない。
そこへ、遅れてやって来たフランが少し険しい顔で状況を察すると、ビスラの横に屈み込む。
「師匠、痺れる感覚は分かりますよね」
「ああ」
痛覚がないだけなので、一般的な痺れる感覚とは少し違うが、状態の違いは分かる。フランが触れて確認し、これくらいならばと頷く。
「少しの間、様子を見ましょう。痺れてきたら遠慮なくおっしゃってください」
「……分かった」
「師匠……その間はアレですね? 自分でやるしとか、キツくても違和感あるだけだしとか思ってますね」
「……いや……」
「……はあ……良いです。こちらで強制的に何度も確認しますから」
「……」
返す言葉を選ぶ。だが、その間がいけなかった。
「今、面倒だって思ったっすね」
「今、面倒だと思いましたね?」
「……」
読まれている。
フランはジッとシルフィスカの顔を見つめた後、ムッとしながらハンカチを取り出し、それを魔法で出した水で冷やし、シルフィスカの口元に当てた。
状態が感覚からは分からないので、そんなに気になるかとハンカチをそのまま受け取り、腫れているだろう場所を隠す。
「仕方のない方ですね」
「まあ、こっちはこっちで勝手に気にするんで、良いっスわ」
ビスラはそう宣言して、シルフィスカを横抱きにした。
「っ、おい。歩けるっ……」
問題ないと言おうとしたのだが、なぜかビスラとフランの言い合いが始まって伝わらなかった。
「ビスラっ、私が運ぶつもりでっ、筋トレの成果を見せられる好機だというのにっ」
「はんっ。これは俺の特権だろうが」
「そんな特権ありませんよ。代わりなさい」
「煩え。魔法師なんだから魔法使えよ」
「それを師匠に言えます?」
「っ、くっそ、言えねー」
「ほら見なさい。分かったなら代われ」
「お前、時々言葉悪くなるよな……」
「あなたに言われたくないです。というか……重要な事を忘れていました」
「なんだ?」
第一王子達の存在など完全に無視して、すでに牢を出て、全員に背を向けていたのだが、フランがそんな彼らを振り向く。その表情は、シルフィスカには見えなかったが、フランの背中から感じるのは殺意だ。
「私としたことが、こんなにも重要な事の確認を忘れるなんて……」
「「「「「……っ!!」」」」」
王子達だけではなく、騎士や魔法師達も、これほどの殺気を感じたことはないのだろう。崩れ落ちそうになっていた。その時、背後にレイルの気配を感じて、シルフィスカはそちらへ顔を向ける。
しかし、その姿を確認する前に、一気にビスラからも吹き出した殺気に驚いて、反射的に視線をフランの方へ戻した。そして、フランが口を開く。
「一体、どなたが私の大切な師匠に傷を負わせたのです? 原因となった方も合わせてお教え……いただけますよね?」
魔法師は全員泡を吹いて気絶した。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、7日の予定です。
よろしくお願いします◎
『スタンピードが発生しました』
「……もう少しかかる。持ち堪えるよう、サクラに伝えてくれ」
『……承知しました』
ユキトのことだ。たったこれだけで何かあったと気付いただろう。ユキトは声音だけで様々な事を察せられるのだから。
さてどうするかと考える。足の怪我は刺さっただけなので、何かで止血して固定すれば問題はないだろう。出血多量になる太ももでなくて良かった。痛みがないので呑気なものだ。多少、気持ち悪い感覚だけが残っているが、戦いになれば気にならない。
それからまたしばらくして、第一王子が駆け戻ってきた。数人の魔法師や騎士も一緒だ。
「すぐに彼女を治療師の元に連れて行ってくれ!」
慌てた様子で指示を出す。シルフィスカに目を向けた魔法師や騎士達は、青ざめていた。彼らは第一王子に続いて慌ただしく牢の中へ入って来た。
「すまない! 今、治療をっ。あの騎士ば拘束した。リンティスも探している。見つけたら必ず連れてくるからっ」
第一王子は必死に訴えてくる。しかし、シルフィスカは冷静なまま、抱き上げようとする騎士を手で留める。
「先に確認します。私への疑いは晴れたのですか?」
「っ……」
言葉に詰まる第一王子。その後ろから第二王子がやって来て告げた。
「あなたがレイル・ゼスタートやビスラ、フランと踊っていたことの確認が取れた。控え室に居たと証言した者も、誰かとは言わないが、言わされたとも話している。聖女の証言とは明らかに違うことは確かだ」
「っ……」
どうやら、第二王子が調べに行かせていたようだ。彼が最初に現れた時、シルフィスカと騎士の話を聞き、ここに来る前まで連れていた側近に走らせていたのだ。それに、第一王子が悔しそうに俯いた。
「それと、先程無事に妹が帰ってきた。意識を失っているが、目覚めれば真実も知れるだろう」
「そうですか」
「っ、すぐに治療を……」
第一王子は気まずそうにそう急かす。だが、シルフィスカは動かなかった。
「申し訳ありませんが、あの姉の力は借りたくありません」
「っ、いや、だが、彼女は聖女なのだぞ……」
いい加減分かれと思う。
「あの人と同じ血を引いていると思うだけで寒気がするのです。人を平気で呪うような者が聖女など、吐き気がする。そんな女の側に居る者の気がしれません。なので、あなたの力も借りたくない。何より……私はあなたを許せない」
「っ……そ、それは……すまないと……っ」
第一王子だけでなく、第二王子も目を見開く。ここまで言うとは思わなかったのだろう。ただ、残念なことに『人を平気で呪う』という言葉は、最後の『あなたを許せない』という言葉に消されたようだ。これを、この場に居る誰もが思い違いをしている。
「今のことではありません。知らないのは仕方のないことですから。それよりも、あなたにお会いできたなら伝えて欲しいと言われていたことがありました。以後このような機会はないでしょうから伝えておきます」
「……何だろうか……」
シルフィスカは一度目を閉じ、あの時の情景や声を思い出しながら告げた。
「『私は死んでもあなただけは許さない』」
「っ……」
「元メイドの言葉ですとだけ言っておきます」
「……メイド……」
考えだした第一王子は、もうどうでも良いとシルフィスカが手を差し出してくる騎士を避けて牢を出ようとした時だった。
「師匠!」
ビスラだ。
「師匠! 何もされてないか!? ん? 血の匂い……っ、師匠! 口切ってっ、足! 足に怪我したのか!? ちょい見して!」
ビスラは王子達を押し退けてシルフィスカの前で膝をつくと、遠慮なくドレスの裾をめくって足を確認した。
「おい……お前は、まったく……」
シルフィスカは呆れるしかない。一応の抵抗として、ビスラの頭を軽く叩いておいた。音だけはするが、威力はそれほどでもない。
「っ、痛てっ……あ、すんません。つい」
「つい、で他の令嬢のドレスをめくるなよ? 結婚相手が居なくなるぞ……」
「あ、それは大丈夫っス。師匠を嫁にもらうんで」
「……」
冗談だよなと呆れる一方で、ここまでくると本気かとも思わなくもない。
ビスラは注意を受けたにも関わらずドレスをめくって傷口を見ていた。どうしようかと考えているのは分かる。弟子達はシルフィスカの受けている呪術について知っているのだから。
シルフィスカは持っていたハンカチを差し出す。
「これで止血してくれ」
「うっス」
ドレスの裾をシルフィスカが持ち、キツめに縛ってもらった。足首の方で本当に良かった。
「キツくないっスか……あ~、分からんのでしたね……」
どれだけ締めても違和感があるだけで痛みを感じないシルフィスカは、こういう時、締めすぎていても分からない。
そこへ、遅れてやって来たフランが少し険しい顔で状況を察すると、ビスラの横に屈み込む。
「師匠、痺れる感覚は分かりますよね」
「ああ」
痛覚がないだけなので、一般的な痺れる感覚とは少し違うが、状態の違いは分かる。フランが触れて確認し、これくらいならばと頷く。
「少しの間、様子を見ましょう。痺れてきたら遠慮なくおっしゃってください」
「……分かった」
「師匠……その間はアレですね? 自分でやるしとか、キツくても違和感あるだけだしとか思ってますね」
「……いや……」
「……はあ……良いです。こちらで強制的に何度も確認しますから」
「……」
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「今、面倒だって思ったっすね」
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読まれている。
フランはジッとシルフィスカの顔を見つめた後、ムッとしながらハンカチを取り出し、それを魔法で出した水で冷やし、シルフィスカの口元に当てた。
状態が感覚からは分からないので、そんなに気になるかとハンカチをそのまま受け取り、腫れているだろう場所を隠す。
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ビスラはそう宣言して、シルフィスカを横抱きにした。
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問題ないと言おうとしたのだが、なぜかビスラとフランの言い合いが始まって伝わらなかった。
「ビスラっ、私が運ぶつもりでっ、筋トレの成果を見せられる好機だというのにっ」
「はんっ。これは俺の特権だろうが」
「そんな特権ありませんよ。代わりなさい」
「煩え。魔法師なんだから魔法使えよ」
「それを師匠に言えます?」
「っ、くっそ、言えねー」
「ほら見なさい。分かったなら代われ」
「お前、時々言葉悪くなるよな……」
「あなたに言われたくないです。というか……重要な事を忘れていました」
「なんだ?」
第一王子達の存在など完全に無視して、すでに牢を出て、全員に背を向けていたのだが、フランがそんな彼らを振り向く。その表情は、シルフィスカには見えなかったが、フランの背中から感じるのは殺意だ。
「私としたことが、こんなにも重要な事の確認を忘れるなんて……」
「「「「「……っ!!」」」」」
王子達だけではなく、騎士や魔法師達も、これほどの殺気を感じたことはないのだろう。崩れ落ちそうになっていた。その時、背後にレイルの気配を感じて、シルフィスカはそちらへ顔を向ける。
しかし、その姿を確認する前に、一気にビスラからも吹き出した殺気に驚いて、反射的に視線をフランの方へ戻した。そして、フランが口を開く。
「一体、どなたが私の大切な師匠に傷を負わせたのです? 原因となった方も合わせてお教え……いただけますよね?」
魔法師は全員泡を吹いて気絶した。
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