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019 絶対に仲良くなれそうにない
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「何かあったのかしらねえ」
ジーナは呑気に、走っていく騎士や兵達を見ながらそんなことを呟いた。すれ違う者たちは、侯爵やレイル、ビスラ達に気付いてサッと頭を下げ、通り過ぎると走り去って行く。
そんな騎士を一人捕まえた侯爵は、事情を尋ねていた。それに構わずビスラとフランに連れられて控え室の一つに進む。ピタリとついてくるジルナリスとレイルも一緒だ。
全員、事情は侯爵が聞いてくると疑わないため、既にすれ違う騎士達のことは気にしない。
「ねえ。そういえば、レイルはあの聖女様のタイプじゃないのかしら?」
ジルナリスが今更のように不思議に思ったらしい。
「あの女は見た目と地位重視なんだ。外れるわけないだろ」
「え?」
真っ先に反応したのはレイルだったようだ。
「結婚も、旦那様の容姿を見ていたら渋っただろうね。まあ、王子が相手にしている以上、その時点であっさり乗り換えたんだと思うが」
見た目はレイルの方が人気がありそうだが、地位を考えると王子の方に軍配が上がってしまう。それに、王子の隣に納まれば、周りの男たち、それこそ、レイルやビスラ達も近付くのが容易になるという打算もあるはずだ。
そこで、控え室に着いた。侯爵家で使うことを部屋に配置されているメイドと兵に告げれば、他家の者はこれ以降入っては来ない。安心して中に入って続ける。
「旦那様はあまり派手な動きはしていないから、目立たなかったということで、目に入らなかったんだろう。多くの者に賞賛を受ける男が自分を選ぶというのが、あの女の理想だから」
「やっぱり、ロクな女じゃないのね。ウチに来なくてよかったわ……」
ソファに腰掛けながら、しみじみと口にするジルナリス。レイルは最早絶句していた。その間に、シルフィスカの両脇には、ビスラとフランが腰掛けている。
「今まで俺らとか、全く眼中になかっただろうなぁ。勲章を貰って、いきなり近寄ってきたし、そんな予感してたわ」
「性格悪い女の典型ですね。あのバカっぽい話し方を聞くだけで、灰にしてやりたくなります」
「手ぇ出すなよ? 可能な限り躱せ。今はまだ、聖女だなんだと、それなりに重要視されているからな。お前らが色々と損をすることになるだけだ」
国にただ一人、聖女と呼ばれ敬われる治癒魔法を使える女性。それが聖女だ。治癒魔法の適性が現れるのは珍しく、国によって基準となる力量は違う。そんな中でもこの国の聖女基準は高い。そのため、他の国の聖女達よりも上位の存在になる。
そんな所も、リンティスの欲求を満たす一因だ。調子に乗るわけである。
「分かっています。ただ、落とせる機会があれば遠慮なく落としますよ?」
「そこはまあ、好きにしろ。あの女には、お前に嫌われたと知る方が衝撃があるだろうな。はっきり言っても気付くかどうかは微妙だが」
「そんな気はしました」
仮に、嫌いだとはっきり面と向かって告げたとしても、リンティスならば『そんなこと言ってぇ。私の気を引きたいのね?』と笑うだろう。残念ながら、更に苛つくだけだ。返ってくる衝撃は笑えない。
そこで、侯爵が部屋に入ってきた。
「何だったの?」
ジルナリスの問いかけに、侯爵は少しだけ眉根を寄せて口を開いた。
「王女が拐われたようなのだ……」
「は? ちょっ、それって、あなた行かなくていいの!?」
「……断られた……第一王子が指揮を執ると……」
「当人、さっき踊ってたわよ?」
「うむ……周りに知られないように……ということらしい」
「バレバレじゃない」
わけが分からない。
「ああ……それで、気付いた第二王子も動き始めたらしいのだが……」
「探されてる王女の方が気の毒になるわね……」
第一王子と第二王子で、何かにつけて競うように行動するのがここ最近目立ってきているらしい。次にどちらが王位を継ぐかということに関わってくるのだ。
「あ~、王女様が拐われたってんなら、第二王子殿下は、一も二もなく動くんすよ」
「へえ。牽制じゃないの?」
ジルナリスは不思議そうだ。本当にここ一年ほどは、実績を積み上げるのに二人の王子は必死なのだ。だから、今回もと思ったのは当然だろう。侯爵もそう思っている。
だが、今回第二王子は競う気はないらしい。
「王女様とは同腹ですからね。最近は第一王子派が王女にも手を出すようになってるって聞いてる。だから、第二王子殿下は必死なわけ」
「継承権云々より、大事な身内ってことか」
「そういうことっス」
シルフィスカの言葉にビスラは深く頷いた。
「巻き込まれてる王女様がかわいそうね。シルフィ、どこに居るかわからない?」
「無茶言うなよ。見たことさえない王女を探すとか……まあ、それっぽい動きしてるのがさっきから西門に向かってるが……」
「マジかっ。スゲェな師匠! あっ、ホントだわ。明らかに怪しい動きしてんのが居るわ」
ビスラもシルフィスカの弟子として、城の敷地内までの範囲の人の気配は感知することができる。場所が特定されれば、更に精度は増す。
「門を出ていかれては面倒だぞ?」
「っスね。行ってきますわ」
「そうだな。フランも行って来い。どうも、二人魔法師と……呪術師が居る」
「っ、わかりました。ビスラだけでは荷が重いでしょう。貴重な師匠との時間を削られるのは不満ですが、仕方ありません」
ビスラに続き、本気で不満そうなフランも立ち上がる。
「レイルも行きなさいな」
「分かりました。シルフィ、あなたはここに居てくださいね」
ジルナリスに言われ、立ち上がったレイルは、シルフィスカにわざわざ近付いてそう告げた。聞いていたビスラとフランが殺気立つ。だが、時間もないと分かっている二人は、舌打ちして扉に向かった。
「行くならさっさと行くぞ、レイル!」
「精々、足手まといにならないでくださいね」
「っ、分かっている……」
言い合いながら三人は部屋を出て行った。
「ふふふっ、絶対に仲良くなれそうにないわねえ」
ジルナリスは楽しそうだ。そのままの表情で、侯爵へ尋ねる。
「あなたはどうするの?」
「そうだな……第二王子殿下に事情を説明してこよう」
「それが良いわね」
侯爵が立ち上がったその時、ドアがノックされた。
「失礼いたします!」
「なんだ」
返事を待たず、騎士が数名入ってきた。
「こちらにシルフィスカ・ベリスベリーが居るはず」
「私ですが」
令嬢らしく優雅に立ち上がり、騎士に相対する。だが、そんなシルフィスカに、騎士達は突然剣を向けた。
「ちょっとっ、何するのよっ!」
ジルナリスが庇おうとシルフィスカの前に出る。しかし、騎士達は一瞥もすることなく、シルフィスカを真っ直ぐに見て告げた。
「大人しくしろ。お前に、王女殿下誘拐の容疑がかかっている」
「はあ!?」
ジルナリスは苛立ちを露わにする。だが、騎士は平然としていた。
「捕縛しろ」
そんな固い声が落とされたのだ。
************
読んでくださりありがとうございます◎
次回、14日の予定です。
よろしくお願いします◎
ジーナは呑気に、走っていく騎士や兵達を見ながらそんなことを呟いた。すれ違う者たちは、侯爵やレイル、ビスラ達に気付いてサッと頭を下げ、通り過ぎると走り去って行く。
そんな騎士を一人捕まえた侯爵は、事情を尋ねていた。それに構わずビスラとフランに連れられて控え室の一つに進む。ピタリとついてくるジルナリスとレイルも一緒だ。
全員、事情は侯爵が聞いてくると疑わないため、既にすれ違う騎士達のことは気にしない。
「ねえ。そういえば、レイルはあの聖女様のタイプじゃないのかしら?」
ジルナリスが今更のように不思議に思ったらしい。
「あの女は見た目と地位重視なんだ。外れるわけないだろ」
「え?」
真っ先に反応したのはレイルだったようだ。
「結婚も、旦那様の容姿を見ていたら渋っただろうね。まあ、王子が相手にしている以上、その時点であっさり乗り換えたんだと思うが」
見た目はレイルの方が人気がありそうだが、地位を考えると王子の方に軍配が上がってしまう。それに、王子の隣に納まれば、周りの男たち、それこそ、レイルやビスラ達も近付くのが容易になるという打算もあるはずだ。
そこで、控え室に着いた。侯爵家で使うことを部屋に配置されているメイドと兵に告げれば、他家の者はこれ以降入っては来ない。安心して中に入って続ける。
「旦那様はあまり派手な動きはしていないから、目立たなかったということで、目に入らなかったんだろう。多くの者に賞賛を受ける男が自分を選ぶというのが、あの女の理想だから」
「やっぱり、ロクな女じゃないのね。ウチに来なくてよかったわ……」
ソファに腰掛けながら、しみじみと口にするジルナリス。レイルは最早絶句していた。その間に、シルフィスカの両脇には、ビスラとフランが腰掛けている。
「今まで俺らとか、全く眼中になかっただろうなぁ。勲章を貰って、いきなり近寄ってきたし、そんな予感してたわ」
「性格悪い女の典型ですね。あのバカっぽい話し方を聞くだけで、灰にしてやりたくなります」
「手ぇ出すなよ? 可能な限り躱せ。今はまだ、聖女だなんだと、それなりに重要視されているからな。お前らが色々と損をすることになるだけだ」
国にただ一人、聖女と呼ばれ敬われる治癒魔法を使える女性。それが聖女だ。治癒魔法の適性が現れるのは珍しく、国によって基準となる力量は違う。そんな中でもこの国の聖女基準は高い。そのため、他の国の聖女達よりも上位の存在になる。
そんな所も、リンティスの欲求を満たす一因だ。調子に乗るわけである。
「分かっています。ただ、落とせる機会があれば遠慮なく落としますよ?」
「そこはまあ、好きにしろ。あの女には、お前に嫌われたと知る方が衝撃があるだろうな。はっきり言っても気付くかどうかは微妙だが」
「そんな気はしました」
仮に、嫌いだとはっきり面と向かって告げたとしても、リンティスならば『そんなこと言ってぇ。私の気を引きたいのね?』と笑うだろう。残念ながら、更に苛つくだけだ。返ってくる衝撃は笑えない。
そこで、侯爵が部屋に入ってきた。
「何だったの?」
ジルナリスの問いかけに、侯爵は少しだけ眉根を寄せて口を開いた。
「王女が拐われたようなのだ……」
「は? ちょっ、それって、あなた行かなくていいの!?」
「……断られた……第一王子が指揮を執ると……」
「当人、さっき踊ってたわよ?」
「うむ……周りに知られないように……ということらしい」
「バレバレじゃない」
わけが分からない。
「ああ……それで、気付いた第二王子も動き始めたらしいのだが……」
「探されてる王女の方が気の毒になるわね……」
第一王子と第二王子で、何かにつけて競うように行動するのがここ最近目立ってきているらしい。次にどちらが王位を継ぐかということに関わってくるのだ。
「あ~、王女様が拐われたってんなら、第二王子殿下は、一も二もなく動くんすよ」
「へえ。牽制じゃないの?」
ジルナリスは不思議そうだ。本当にここ一年ほどは、実績を積み上げるのに二人の王子は必死なのだ。だから、今回もと思ったのは当然だろう。侯爵もそう思っている。
だが、今回第二王子は競う気はないらしい。
「王女様とは同腹ですからね。最近は第一王子派が王女にも手を出すようになってるって聞いてる。だから、第二王子殿下は必死なわけ」
「継承権云々より、大事な身内ってことか」
「そういうことっス」
シルフィスカの言葉にビスラは深く頷いた。
「巻き込まれてる王女様がかわいそうね。シルフィ、どこに居るかわからない?」
「無茶言うなよ。見たことさえない王女を探すとか……まあ、それっぽい動きしてるのがさっきから西門に向かってるが……」
「マジかっ。スゲェな師匠! あっ、ホントだわ。明らかに怪しい動きしてんのが居るわ」
ビスラもシルフィスカの弟子として、城の敷地内までの範囲の人の気配は感知することができる。場所が特定されれば、更に精度は増す。
「門を出ていかれては面倒だぞ?」
「っスね。行ってきますわ」
「そうだな。フランも行って来い。どうも、二人魔法師と……呪術師が居る」
「っ、わかりました。ビスラだけでは荷が重いでしょう。貴重な師匠との時間を削られるのは不満ですが、仕方ありません」
ビスラに続き、本気で不満そうなフランも立ち上がる。
「レイルも行きなさいな」
「分かりました。シルフィ、あなたはここに居てくださいね」
ジルナリスに言われ、立ち上がったレイルは、シルフィスカにわざわざ近付いてそう告げた。聞いていたビスラとフランが殺気立つ。だが、時間もないと分かっている二人は、舌打ちして扉に向かった。
「行くならさっさと行くぞ、レイル!」
「精々、足手まといにならないでくださいね」
「っ、分かっている……」
言い合いながら三人は部屋を出て行った。
「ふふふっ、絶対に仲良くなれそうにないわねえ」
ジルナリスは楽しそうだ。そのままの表情で、侯爵へ尋ねる。
「あなたはどうするの?」
「そうだな……第二王子殿下に事情を説明してこよう」
「それが良いわね」
侯爵が立ち上がったその時、ドアがノックされた。
「失礼いたします!」
「なんだ」
返事を待たず、騎士が数名入ってきた。
「こちらにシルフィスカ・ベリスベリーが居るはず」
「私ですが」
令嬢らしく優雅に立ち上がり、騎士に相対する。だが、そんなシルフィスカに、騎士達は突然剣を向けた。
「ちょっとっ、何するのよっ!」
ジルナリスが庇おうとシルフィスカの前に出る。しかし、騎士達は一瞥もすることなく、シルフィスカを真っ直ぐに見て告げた。
「大人しくしろ。お前に、王女殿下誘拐の容疑がかかっている」
「はあ!?」
ジルナリスは苛立ちを露わにする。だが、騎士は平然としていた。
「捕縛しろ」
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