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010 本当に非常識だわ
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次の日、ジルナリスは、レイルや夫である侯爵、それと数人の使用人たちを連れてシルフィスカの住む離れに来ていた。
出迎えたのはユキトだ。レイル達が息を呑むのが分かる。レイルと同じ三十頃の見た目。白銀の髪ときっちり着こなす執事服がとても魅力的だ。整った顔もそうだが、それは男性でさえも息を呑むほどだった。
「おはようございますジルナリス様。主よりお話は伺っております。どうぞお連れ様もご一緒にお入りください」
そんな彼に完璧にデキる男にしか見えない所作や心地の良い声音が加わったのだ。レイル達は先ほどよりも緊張していた。何よりも同じ敷地内に住んでいて、シルフィスカが彼を招いたことにさえ気付いていなかったということに衝撃を受けたのだ。後で門番に確認をと補佐達は気を引き締める。
それらを背中で感じながらもジルナリスは気になることを尋ねた。
「ありがと……シルフィは……」
綺麗に整えられた内部を見ながら、屋敷内にシルフィスカが居ないことを確認する。
「主は昨晩より仕事に出ておられます。お帰りは昼過ぎになるかと」
「何の仕事? あっ、言えないならいいのよ? でも……怪我させちゃったから……」
地下へ向かう道すがら、気まずげに尋ねれば、ユキトは平然と答えてくれた。
「ヘスライル国で魔獣の集団暴走の兆候があり、それの対応に数日前から度々出かけておいでなのです。あちらの王家から直接依頼されたようで……ただ、王子や王女に寝込みを襲われるので、休息にだけ戻って来られています」
「あの国の王女はまだ小さかったものね……シルフィって子どもに好かれる子だし、王子は……そうね……求婚されたって聞いたわね……でも、スタンピードの危険がある時にってどうなの?」
「お疲れの時だからこそと、あちらは思われたのでしょう。主の寝込みを襲うなど、どのような時にでも無理だというのに……ただ、お疲れの時は手加減があまりできませんので、あちらの安全のためかと」
「あ、なるほど」
シルフィスカならば、寝ていても誰かが近付けば反応できる。どれだけ疲れていてもだ。体が限界ならば魔術を使い、頭が疲れていれば体を使う。反射的に動くらしい。
それらの話に、レイル達はピンときていないが、心には留め置いているようだ。
そうこう話している間に部屋に着いた。
「では、後はキリルに任せておりますので」
「え? あ、キリル……」
部屋には、キリルがいた。
「ご案内させていただきます」
「……キリルあなた……ここで?」
「はい。こちらでシルフィスカ様のお世話をさせていただくことになりました。今朝方、シルフィスカ様にもお許しいただきましたので」
「そう……シルフィをお願いね」
「もちろんでございます」
キリルはあの後、きっぱりと屋敷を出ると告げた。これに侯爵もレイルも反対できなかった。そして、その足でこの屋敷へ移ったのだ。
「……キリル……」
侯爵は一晩中考えていた。自分がどれほど恨まれただろうということ。将来、ずっと側で支えてくれるはずだったキリルを手放さなくてはならなかったことに落ち込んでいた。
今目の前にいるキリルは以前よりも生き生きとしている。それが自分の側でないことがとても悔しかった。
しかし、すぐにそんな気持ちは吹っ飛ぶ。当然だ。ここにはあり得ない量の貴重なものが溢れんばかりに詰め込まれているのだから。
◆ ◆ ◆
メイド達は楽しそうだった。興奮し過ぎて逆上せ、倒れる者も続出している。
レイルも唖然とした。
「ほら、レイル。こっちのはどう?」
「いや……母上……やはり、女性の方のドレスを優先すべきかと……」
レイルは男女ペアの夜会ドレス。その男物の方を何度も着せ替えられていた。
「いいのよ。シルフィはどれでも似合うから。あの子、ドレスによって雰囲気まで変えるもの……潜入捜査用にって昔、散々遊んで身に付けたらしいわ」
「……」
度々、こうしてシルフィスカの話を聞き、レイルはわからなくなっていた。冷静になって昨晩の彼女の様子を思い出すと、最初の印象とも合わない。そして、ジルナリスと一緒に冒険者をやっていたという事実も混乱させる元だった。
だから、今日一日休みを捻出した今、彼女のことを知るにはここしかないと思った。
「その……シルフィスカ嬢とはどのような方なのでしょうか……」
「どのような……そうね……ちょっと休憩しながら話そうかしら」
「お願いします」
レイルは向き合おうとしていた。自分もキリルが怒る原因を作っている。父である侯爵の落ち込みようは凄まじく、自分も他人事ではないと理解していた。
逆上せたメイド達の休憩にもなるからと、一同は揃って休憩室へ入った。
キリルがメイド達に代わり、飲み物などを用意してくれていた。
「どうぞ。メイド達にもあちらに用意させていただきます」
「あ、ああ……」
ぎこちなく侯爵は頷いていた。
「シルフィのことだったわね。でも、多分私よりもキリルの方が教えてもらってるわよね?」
「そうかもしれません……同業の方にも話していないと仰っていましたので」
「それは……私たちに話しても大丈夫なのか?」
キリルが罰せられやしないかと侯爵は心配になった。しかし、キリルは首を横に振る。
「もし、聞かれれば話しても構わないと言われておりますので」
「そうか……」
シルフィスカはこれを予想していた。だから、こちらへ移ってすぐに好きにするようにとキリルに言っていたのだ。
「元々、あの方は過去を気にしておられません。家を正式に出られたことで枷もなくなったと笑っておられました」
「そうよね~。そんなだから代わりに怒っちゃうのよ。借りは返す子だけど、ギリギリまでそういうの感じさせないし」
「はい……ですが、反撃の機会は逃さない方です」
「それよ! 手伝おうと思ってても、気付いた時には終わってるんだものっ。友達甲斐がないわっ」
シルフィスカは全くと言っていいほど人を頼らない。頼る必要がないほど圧倒的な力と能力を持っているのだ。
「あの子、人に当たらないしね。むしゃくしゃしたら、大抵は迷宮に潜って発散してくるのよ」
「一番よく使われるのは確か……『竜の巣迷宮』でしたか。最後の龍王まできっちり倒すと、大抵はすっきりすると言っておられました」
「そうそう。お金も稼げて一石二鳥とか笑ってたわ。上級のパーティ五つで挑んでも倒せないかもしれない龍王を一人でフルボッコよ? 信じられる?」
ジルナリスは以前、一緒にこの迷宮に潜ったことがあるのだ。何か知らないが、むしゃくしゃすることがあって、出かけていくシルフィスカとたまたまかち合い、連れて行ってもらったのだ。
その時、シルフィスカはお腹に酷いアザを作っていた。家の奴に蹴り飛ばされたと言っていたけれど、それがあのベリスベリー伯爵だと知っていれば、放置なんてしなかっただろう。
「いつもほとんど無傷で『スッキリした~』って出てくるのよ? 前は中でケガを治してから出てきてるんだと思ったけど、本当に怪我一つしないんだもの。あの子の今の治癒力じゃかすり傷ですらすぐには治せないものね……本当に非常識だわ……」
あれは呆れるしかなかったとげんなりするジルナリスに、侯爵達は揃って表情を引きつらせていたのだ。
************
読んでくださりありがとうございます◎
次回、二日空いて30日です。
よろしくお願いします!
出迎えたのはユキトだ。レイル達が息を呑むのが分かる。レイルと同じ三十頃の見た目。白銀の髪ときっちり着こなす執事服がとても魅力的だ。整った顔もそうだが、それは男性でさえも息を呑むほどだった。
「おはようございますジルナリス様。主よりお話は伺っております。どうぞお連れ様もご一緒にお入りください」
そんな彼に完璧にデキる男にしか見えない所作や心地の良い声音が加わったのだ。レイル達は先ほどよりも緊張していた。何よりも同じ敷地内に住んでいて、シルフィスカが彼を招いたことにさえ気付いていなかったということに衝撃を受けたのだ。後で門番に確認をと補佐達は気を引き締める。
それらを背中で感じながらもジルナリスは気になることを尋ねた。
「ありがと……シルフィは……」
綺麗に整えられた内部を見ながら、屋敷内にシルフィスカが居ないことを確認する。
「主は昨晩より仕事に出ておられます。お帰りは昼過ぎになるかと」
「何の仕事? あっ、言えないならいいのよ? でも……怪我させちゃったから……」
地下へ向かう道すがら、気まずげに尋ねれば、ユキトは平然と答えてくれた。
「ヘスライル国で魔獣の集団暴走の兆候があり、それの対応に数日前から度々出かけておいでなのです。あちらの王家から直接依頼されたようで……ただ、王子や王女に寝込みを襲われるので、休息にだけ戻って来られています」
「あの国の王女はまだ小さかったものね……シルフィって子どもに好かれる子だし、王子は……そうね……求婚されたって聞いたわね……でも、スタンピードの危険がある時にってどうなの?」
「お疲れの時だからこそと、あちらは思われたのでしょう。主の寝込みを襲うなど、どのような時にでも無理だというのに……ただ、お疲れの時は手加減があまりできませんので、あちらの安全のためかと」
「あ、なるほど」
シルフィスカならば、寝ていても誰かが近付けば反応できる。どれだけ疲れていてもだ。体が限界ならば魔術を使い、頭が疲れていれば体を使う。反射的に動くらしい。
それらの話に、レイル達はピンときていないが、心には留め置いているようだ。
そうこう話している間に部屋に着いた。
「では、後はキリルに任せておりますので」
「え? あ、キリル……」
部屋には、キリルがいた。
「ご案内させていただきます」
「……キリルあなた……ここで?」
「はい。こちらでシルフィスカ様のお世話をさせていただくことになりました。今朝方、シルフィスカ様にもお許しいただきましたので」
「そう……シルフィをお願いね」
「もちろんでございます」
キリルはあの後、きっぱりと屋敷を出ると告げた。これに侯爵もレイルも反対できなかった。そして、その足でこの屋敷へ移ったのだ。
「……キリル……」
侯爵は一晩中考えていた。自分がどれほど恨まれただろうということ。将来、ずっと側で支えてくれるはずだったキリルを手放さなくてはならなかったことに落ち込んでいた。
今目の前にいるキリルは以前よりも生き生きとしている。それが自分の側でないことがとても悔しかった。
しかし、すぐにそんな気持ちは吹っ飛ぶ。当然だ。ここにはあり得ない量の貴重なものが溢れんばかりに詰め込まれているのだから。
◆ ◆ ◆
メイド達は楽しそうだった。興奮し過ぎて逆上せ、倒れる者も続出している。
レイルも唖然とした。
「ほら、レイル。こっちのはどう?」
「いや……母上……やはり、女性の方のドレスを優先すべきかと……」
レイルは男女ペアの夜会ドレス。その男物の方を何度も着せ替えられていた。
「いいのよ。シルフィはどれでも似合うから。あの子、ドレスによって雰囲気まで変えるもの……潜入捜査用にって昔、散々遊んで身に付けたらしいわ」
「……」
度々、こうしてシルフィスカの話を聞き、レイルはわからなくなっていた。冷静になって昨晩の彼女の様子を思い出すと、最初の印象とも合わない。そして、ジルナリスと一緒に冒険者をやっていたという事実も混乱させる元だった。
だから、今日一日休みを捻出した今、彼女のことを知るにはここしかないと思った。
「その……シルフィスカ嬢とはどのような方なのでしょうか……」
「どのような……そうね……ちょっと休憩しながら話そうかしら」
「お願いします」
レイルは向き合おうとしていた。自分もキリルが怒る原因を作っている。父である侯爵の落ち込みようは凄まじく、自分も他人事ではないと理解していた。
逆上せたメイド達の休憩にもなるからと、一同は揃って休憩室へ入った。
キリルがメイド達に代わり、飲み物などを用意してくれていた。
「どうぞ。メイド達にもあちらに用意させていただきます」
「あ、ああ……」
ぎこちなく侯爵は頷いていた。
「シルフィのことだったわね。でも、多分私よりもキリルの方が教えてもらってるわよね?」
「そうかもしれません……同業の方にも話していないと仰っていましたので」
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キリルが罰せられやしないかと侯爵は心配になった。しかし、キリルは首を横に振る。
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シルフィスカはこれを予想していた。だから、こちらへ移ってすぐに好きにするようにとキリルに言っていたのだ。
「元々、あの方は過去を気にしておられません。家を正式に出られたことで枷もなくなったと笑っておられました」
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「はい……ですが、反撃の機会は逃さない方です」
「それよ! 手伝おうと思ってても、気付いた時には終わってるんだものっ。友達甲斐がないわっ」
シルフィスカは全くと言っていいほど人を頼らない。頼る必要がないほど圧倒的な力と能力を持っているのだ。
「あの子、人に当たらないしね。むしゃくしゃしたら、大抵は迷宮に潜って発散してくるのよ」
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「そうそう。お金も稼げて一石二鳥とか笑ってたわ。上級のパーティ五つで挑んでも倒せないかもしれない龍王を一人でフルボッコよ? 信じられる?」
ジルナリスは以前、一緒にこの迷宮に潜ったことがあるのだ。何か知らないが、むしゃくしゃすることがあって、出かけていくシルフィスカとたまたまかち合い、連れて行ってもらったのだ。
その時、シルフィスカはお腹に酷いアザを作っていた。家の奴に蹴り飛ばされたと言っていたけれど、それがあのベリスベリー伯爵だと知っていれば、放置なんてしなかっただろう。
「いつもほとんど無傷で『スッキリした~』って出てくるのよ? 前は中でケガを治してから出てきてるんだと思ったけど、本当に怪我一つしないんだもの。あの子の今の治癒力じゃかすり傷ですらすぐには治せないものね……本当に非常識だわ……」
あれは呆れるしかなかったとげんなりするジルナリスに、侯爵達は揃って表情を引きつらせていたのだ。
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