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007 やっぱ悔しいよな……
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とりあえず落ち着いてもらおうと、シルフィスカはジルナリスをドレスのある部屋の隣の小部屋に案内する。
ここは、いくつかのフィッティングルームと、その間の休憩室として用意した部屋だ。
こちらもドロップ品の中では驚くほど貴重な冷蔵保存箱があり、そこには冷えた飲み物が入っている。
お茶も淹れられるように小さなキッチンもあり、カップなどもしっかり揃っていた。
「まあ、飲め」
「あ、ありがと……」
ジルナリスは色々とツッコミたい所があったが、一度冷静になろうと冷たい果実水に口をつけた。
「で、呪術師のことだったな」
「そうよ……」
「呪解石を取られたのは知ってるだろ?」
「ええ。国に接収されたって……それも金貨を投げ寄越されてって聞いたわ。旦那にそれの確認をさせようとしたけど、あなた自分で調べるからいいって……」
貴重なドロップ品は、ギルドの方へ報告する義務がある。それは、万が一盗まれたり、悪用したりした場合に持ち主が分かるようにしておくという意味合いがあった。
呪解石は、その存在は知られていても、実際に手に入れた者はいないという幻のアイテムだった。
それになにより、シルフィスカがそれを手に入れるために頑張っていることは周知の事実だったのだ。
誰もがこの挑戦に邪魔をしないようにと見守っていた。
そして、手に入れた呪解石。
当然のように皆喜び、シルフィスカもギルドへ報告した。しかし、その報告は国にも為される。問題が起きた時のため、これも仕方のないことだ。
だが、その時はタイミングが悪かった。
「ジーナを巻き込めるわけないだろ。そんで、呪術を受けていたのは、この国の王子だったんだが……まあ、そこで意趣返しじゃないが、呪術師の方を助けてやろうと思ってさ。政争関係でのことなら命令された呪術師が哀れだし、個人的な恨みなら弱みの一つも握ってやろうと思ったんだ」
あれだけ苦労して手に入れた呪解石を、たった金貨数十枚で持っていかれるとかバカにしているにもほどがある。この借りは高くつくぞと少々恨んでいた。
そのため、あらゆる手段を使ってそれらを調べたのだ。必死で王宮は隠そうとしていたようだが、そんな全力の隠蔽もシルフィスカには何の意味も為さなかった。
この頃には、シルフィスカはあらゆる国にコネを持っていたのだ。王宮にも当然のようにいる。
「そんでよくよく調べてみると一人のメイドにたどり着いた」
「メイド? 王子の?」
「ああ。そのメイド、結婚して退職を願っていた矢先に王子に襲われたらしい」
「っ、まさかっ」
「殺してやりたくなっても不思議じゃないだろ?」
「当然よ!」
王子は恨まれて当然のことをしたのだ。
「夫や家族にも、さすがに王子に手を出されたなんて言えんよな……それで、まあ、バレた。夫は彼女を捨て、家族も縁を切っていたよ……王子との子どもを、それでも心を殺して育てていた……『子どもに罪はない』ってさ。けど、やっぱ悔しいよな……」
子どもが十五となり、自立を考えるようになった頃。彼女は自身の病を知り、それならばと決意した。
「病でもう何年も生きられないと悟った彼女は、呪術に手を出した。呪解石がなければ、完全に呪術を消すことはできんからな。最高峰の魔術師が呪印を弄ったとしても必ず後遺症は出る。それでも十分だと思ったんだろう」
呪解石がなければ、呪解薬はできないのだ。シルフィスカがそれを手に入れるまでそれは幻の存在だったのだから。
いくら王子であり、国の最高峰の魔術師が側にいたとしても、完全に解くことはできなかったのだ。
「それなのに、タイミング悪く幻の呪解薬が手に入ってしまったんだ。彼女も浮かばれん。だから、せめて病だけはと思って治した。だが、呪術を行使したというのは誤魔化せなくてな……アレは世界の理に反するものだ。神でさえどうにもできん。だから……」
「服を……呪術師のためのものを取ってくるために……」
「ああ……お陰であの通りだ。バカみたいな在庫を抱えることになった」
「……」
今の三分の一ほどだった契約服の量は、倍増どころではなく手に入ってしまった。ドロップ率も呪解石を手に入れた副賞として格段に上がっていたというのもある。
「……ちょうど、ジーナと付き合い出した辺りか……二年前くらいに彼女も亡くなった……穏やかな最期だったよ。息子が男親の方に似なかったのが良かったな。彼女の好きだった亡くなった祖父にそっくりだったらしい」
「……」
微笑みを浮かべて、眠るように逝った。呪術を行使した者にはあり得ない穏やかな最期だった。
「彼女は自力で恨みを忘れようとした。それなら、私も積極的に王子に手を出せないだろう。まあ、もしもアレを次の王にとか言い出したらブチまけてやる気ではいるがな」
軽やかに笑うシルフィスカの前で、ジルナリスは目を赤くしていた。彼女の人生を悼んでくれたのだろう。だが、キッと顔を上げたジルナリスからは、それよりも強い怒りを感じた。
「っ、許せない! それって第一王子よね!」
「ん? ああ。なんでわかった?」
濁していたのは、侯爵夫人であるジルナリスならばこれまでに王子とも関わりを持っていただろうと思ったから。知人の悪口みたいなものは、真実でもあまり聞きたくないだろう。
この国には王子が三人いるのだ。特定は難しいと思っていた。だが、分かってしまったのならば隠す気はない。その表情からも、第一王子を良く思っていないのは一目瞭然だったのだから。
「あのバカ王子はねえっ、人妻でも堂々と口説くのよっ。三十も過ぎてるっていうのに、妃が決まらないのはそのせい。噂だと、聖女を妻にって言ってるらしいけどねっ」
「聖女を? へえ……ふふっ……それはいいなあ……」
「何言ってんのよっ……って、まさか……」
シルフィスカは心の底から愉快だと笑った。
「はははははっ、傑作だっ。これぞ神の采配だろうっ。まとめて地獄に叩き落せそうじゃないかっ」
「……そっか……あんたの姉が……聖女候補だものね……」
「そうだよっ。あのクソ姉が聖女になれば、腐り切った教会ごと消し飛ばしてやろうと思っていたんだが、それにオマケでバカ王子も……っ、ふふふっ、どうしたら一番あいつらは惨めに死ぬかなあ……磔にして干からびるまで晒すか? 簡単に殺してはいかんだろうっ」
「し、シルフィ……っ」
シルフィスカの恨みは深い。そしてただでは済まさない。
ジルナリスはこの時思い出していた。
迷宮狂いと呼ばれるようになった頃にシルフィスカへと付けられた二つ名を。
それは、迷宮で狂ったように殺戮を繰り返していた彼女を見た者たちが囁き出したものだった。
「『殺戮の黒き聖女』……」
魔獣や魔物の血を浴びたとしても構わず攻略しきるまでは洗い清めたりしないが、出てくる時にはきっちりと何事もなかったかのように清めた姿。
そして、ついでのように迷宮の入り口で怪我で動けなくなっている者たちを癒して去っていく。
冒険者たちはそれらを見てこう囁くようになった。
『迷宮内で聖女に会ってはいけない』
それは恐ろしいものだと、この国だけではなく全てのギルドで囁かれることだった。
「どう料理してやろうかねえ……」
「っ……」
艶やかに笑うシルフィスカを、ジルナリスは先ほどの怒りも忘れて悲しい気持ちで見つめていた。
これほど狂ってしまったのは誰のせいかと眉を潜めながら……
***********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、22日予定です。
よろしくお願いします◎
ここは、いくつかのフィッティングルームと、その間の休憩室として用意した部屋だ。
こちらもドロップ品の中では驚くほど貴重な冷蔵保存箱があり、そこには冷えた飲み物が入っている。
お茶も淹れられるように小さなキッチンもあり、カップなどもしっかり揃っていた。
「まあ、飲め」
「あ、ありがと……」
ジルナリスは色々とツッコミたい所があったが、一度冷静になろうと冷たい果実水に口をつけた。
「で、呪術師のことだったな」
「そうよ……」
「呪解石を取られたのは知ってるだろ?」
「ええ。国に接収されたって……それも金貨を投げ寄越されてって聞いたわ。旦那にそれの確認をさせようとしたけど、あなた自分で調べるからいいって……」
貴重なドロップ品は、ギルドの方へ報告する義務がある。それは、万が一盗まれたり、悪用したりした場合に持ち主が分かるようにしておくという意味合いがあった。
呪解石は、その存在は知られていても、実際に手に入れた者はいないという幻のアイテムだった。
それになにより、シルフィスカがそれを手に入れるために頑張っていることは周知の事実だったのだ。
誰もがこの挑戦に邪魔をしないようにと見守っていた。
そして、手に入れた呪解石。
当然のように皆喜び、シルフィスカもギルドへ報告した。しかし、その報告は国にも為される。問題が起きた時のため、これも仕方のないことだ。
だが、その時はタイミングが悪かった。
「ジーナを巻き込めるわけないだろ。そんで、呪術を受けていたのは、この国の王子だったんだが……まあ、そこで意趣返しじゃないが、呪術師の方を助けてやろうと思ってさ。政争関係でのことなら命令された呪術師が哀れだし、個人的な恨みなら弱みの一つも握ってやろうと思ったんだ」
あれだけ苦労して手に入れた呪解石を、たった金貨数十枚で持っていかれるとかバカにしているにもほどがある。この借りは高くつくぞと少々恨んでいた。
そのため、あらゆる手段を使ってそれらを調べたのだ。必死で王宮は隠そうとしていたようだが、そんな全力の隠蔽もシルフィスカには何の意味も為さなかった。
この頃には、シルフィスカはあらゆる国にコネを持っていたのだ。王宮にも当然のようにいる。
「そんでよくよく調べてみると一人のメイドにたどり着いた」
「メイド? 王子の?」
「ああ。そのメイド、結婚して退職を願っていた矢先に王子に襲われたらしい」
「っ、まさかっ」
「殺してやりたくなっても不思議じゃないだろ?」
「当然よ!」
王子は恨まれて当然のことをしたのだ。
「夫や家族にも、さすがに王子に手を出されたなんて言えんよな……それで、まあ、バレた。夫は彼女を捨て、家族も縁を切っていたよ……王子との子どもを、それでも心を殺して育てていた……『子どもに罪はない』ってさ。けど、やっぱ悔しいよな……」
子どもが十五となり、自立を考えるようになった頃。彼女は自身の病を知り、それならばと決意した。
「病でもう何年も生きられないと悟った彼女は、呪術に手を出した。呪解石がなければ、完全に呪術を消すことはできんからな。最高峰の魔術師が呪印を弄ったとしても必ず後遺症は出る。それでも十分だと思ったんだろう」
呪解石がなければ、呪解薬はできないのだ。シルフィスカがそれを手に入れるまでそれは幻の存在だったのだから。
いくら王子であり、国の最高峰の魔術師が側にいたとしても、完全に解くことはできなかったのだ。
「それなのに、タイミング悪く幻の呪解薬が手に入ってしまったんだ。彼女も浮かばれん。だから、せめて病だけはと思って治した。だが、呪術を行使したというのは誤魔化せなくてな……アレは世界の理に反するものだ。神でさえどうにもできん。だから……」
「服を……呪術師のためのものを取ってくるために……」
「ああ……お陰であの通りだ。バカみたいな在庫を抱えることになった」
「……」
今の三分の一ほどだった契約服の量は、倍増どころではなく手に入ってしまった。ドロップ率も呪解石を手に入れた副賞として格段に上がっていたというのもある。
「……ちょうど、ジーナと付き合い出した辺りか……二年前くらいに彼女も亡くなった……穏やかな最期だったよ。息子が男親の方に似なかったのが良かったな。彼女の好きだった亡くなった祖父にそっくりだったらしい」
「……」
微笑みを浮かべて、眠るように逝った。呪術を行使した者にはあり得ない穏やかな最期だった。
「彼女は自力で恨みを忘れようとした。それなら、私も積極的に王子に手を出せないだろう。まあ、もしもアレを次の王にとか言い出したらブチまけてやる気ではいるがな」
軽やかに笑うシルフィスカの前で、ジルナリスは目を赤くしていた。彼女の人生を悼んでくれたのだろう。だが、キッと顔を上げたジルナリスからは、それよりも強い怒りを感じた。
「っ、許せない! それって第一王子よね!」
「ん? ああ。なんでわかった?」
濁していたのは、侯爵夫人であるジルナリスならばこれまでに王子とも関わりを持っていただろうと思ったから。知人の悪口みたいなものは、真実でもあまり聞きたくないだろう。
この国には王子が三人いるのだ。特定は難しいと思っていた。だが、分かってしまったのならば隠す気はない。その表情からも、第一王子を良く思っていないのは一目瞭然だったのだから。
「あのバカ王子はねえっ、人妻でも堂々と口説くのよっ。三十も過ぎてるっていうのに、妃が決まらないのはそのせい。噂だと、聖女を妻にって言ってるらしいけどねっ」
「聖女を? へえ……ふふっ……それはいいなあ……」
「何言ってんのよっ……って、まさか……」
シルフィスカは心の底から愉快だと笑った。
「はははははっ、傑作だっ。これぞ神の采配だろうっ。まとめて地獄に叩き落せそうじゃないかっ」
「……そっか……あんたの姉が……聖女候補だものね……」
「そうだよっ。あのクソ姉が聖女になれば、腐り切った教会ごと消し飛ばしてやろうと思っていたんだが、それにオマケでバカ王子も……っ、ふふふっ、どうしたら一番あいつらは惨めに死ぬかなあ……磔にして干からびるまで晒すか? 簡単に殺してはいかんだろうっ」
「し、シルフィ……っ」
シルフィスカの恨みは深い。そしてただでは済まさない。
ジルナリスはこの時思い出していた。
迷宮狂いと呼ばれるようになった頃にシルフィスカへと付けられた二つ名を。
それは、迷宮で狂ったように殺戮を繰り返していた彼女を見た者たちが囁き出したものだった。
「『殺戮の黒き聖女』……」
魔獣や魔物の血を浴びたとしても構わず攻略しきるまでは洗い清めたりしないが、出てくる時にはきっちりと何事もなかったかのように清めた姿。
そして、ついでのように迷宮の入り口で怪我で動けなくなっている者たちを癒して去っていく。
冒険者たちはそれらを見てこう囁くようになった。
『迷宮内で聖女に会ってはいけない』
それは恐ろしいものだと、この国だけではなく全てのギルドで囁かれることだった。
「どう料理してやろうかねえ……」
「っ……」
艶やかに笑うシルフィスカを、ジルナリスは先ほどの怒りも忘れて悲しい気持ちで見つめていた。
これほど狂ってしまったのは誰のせいかと眉を潜めながら……
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