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005 全部同機させられるみたいで
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ジルナリスにはシルフィスカの境遇が不憫に映っていた。
シルフィスカの事は、九歳以下の冒険者見習いの頃から知っている。冒険者として正式に認められるのには、十歳にならないといけなかった。
シルフィスカを見かけない日はほとんどなかった。いつだってなんらかの仕事を受け、少ない食事をして夕刻前に帰っていく。
それは、正式に冒険者となってからも変わらず、驚くほどの実力でもって一気に一流へと駆け上がっていった。
直接関わるようになったのは、二、三年前くらいだろうか。付き合ってみるととても気さくで、びっくりするほど気が合った。
「ねえ、シルフィ。あたしの娘にならない? 貯金ばっかりして、好きなことしてないでしょう? 蓄えなんて気にしなくていいからさ。どう?」
実は、シルフィスカを養女にと望む者は多かった。ギルドマスターも、世話になった領主や商家の当主も一度や二度や三度は誘っていたのだ。寧ろ、顔を合わせる度に挨拶代りに言っている。
けれど、シルフィスカは誰にも首を縦に振らなかった。
「お荷物にしかならないよ? でもそうだな。身辺が綺麗に片付いたら……考えてもいいかな」
そう寂しそうな笑みを見せたシルフィスカ。だが、まさかあのベリスベリー伯爵家の娘だとは思わなかった。
一体、シルフィスカはどうやって身辺を綺麗に片付けるつもりだったのだろうか。ちょっと怖くて聞けない。
だが、結果的にこうして義理の娘になった。扱いは信じられないほど劣悪であったとしても、こうして自分の手の届く場所に来てくれた。
ならば、どれほど息子や夫が反対したとしても、自分だけはシルフィスカを愛そう。実の娘のように。信頼できる友人の一人としてでも。
「っ……本当に、これでいいんだね」
「もちろんだ。でも……ありがとうジーナ。心配してくれたんだろう?」
「っ、当たり前でしょうっ。あたしが絶対に幸せにするっ」
そうしなければ、他のシルフィスカを慕って養女にと望んだ者達から、どんな仕置きを受けるか分からない。何より、申し訳なかった。
「ははっ。これじゃあ、ジーナに嫁いだみたいだ」
いつものように明るく笑うけれど。シルフィスカは知らないだけだ。本当に愛されるということを。思われるということを。ならば、教えてあげよう。
「もうっ、冗談ばっかり。いいわ。覚悟なさいっ。娘として溺愛してやるんだからっ」
「それは怖いな。ほどほどで頼む」
「いやよ!」
あんな家の家族を忘れるくらい大事にするんだ。娘として親に愛されるということを教えてやるのだから。
◆ ◆ ◆
屋敷を手に入れてからのシルフィスカは自由を謳歌していた。
転移魔法で外に出かけ、今までと変わらず冒険者として活動する。そして、夜寝るためにだけ屋敷に戻ってくる。
そういう日々を過ごしていたのだが、数日後にこちらも冒険者として出てきたジルナリスに捕まった。
「ちょっとシルフィ。出かけるなら出かけるって言いなさいよっ」
「いや、寧ろ出かけない日の方が稀だと分かるだろうに」
シルフィスカは、呪解の薬をこの国に接収されてから、国外の冒険者ギルドでしか活動しない。どれほど求められても、あの国のために働くつもりはなかった。
それがギルドも分かっているため、特に強要もしない。寧ろ、有能な高ランク冒険者に嫌われた国として、ギルドは何かあれば見捨てる方向で動いていた。それだけシルフィスカは多くの者に慕われている。
だからシルフィスカを外で捕まえようとすれば、ジルナリスも国外まで出なくてはならず、かなりそれに時間がかかったらしい。大変ご立腹だった。
「もうっ、信じらんないわっ。だいたい、何よあの執事っ。あたしは問題ありませんとか言ってお茶出されたわ。ケーキとかめちゃくちゃ美味しかったんだけどっ」
おかしな怒り方だ。
シルフィスカの住む屋敷には、メイドがいない。屋敷の管理を頼む執事もいなかったのだが、現在、それを行う者が一人だけいる。
「ああ。あれか、いい感じだろ。この前ようやく修理と調整が終わったんだ」
「は? いや、あたしが言ってんのは執事よ? 真っ白い髪のキレイな青年のこと」
「わかってるって。だから、あれ人じゃないんだ。古代のゴーレム。機械人形だよ。迷宮で手に入れてさあ、三体あるから三つ屋敷持てるなあって思ってたんだ。全部同機させられるみたいで……って、おーい。ジーナ?」
口を開けてジーナは完全に固まっていた。
「そ、それって、オートマタっていう……アレよね? 古代の城を管理していたっていう……超有能なバトラー……」
「そうそう」
「完全体で手に入れられたら、一生どころか一つの村の人が何もしなくても四代分は生きていけるっていう……アレよね?」
「それそれ」
「仮に完全体であったとしても、一流の魔術師が何十人と束になってひと月分魔力を注ぎ込んでようやく数分動くっていうアレよね?」
それでも手に入れたいと思うのは、起動中に彼らが話す古代の情報が大変貴重だからだ。これにより、古代の魔導具を再現するきっかけとなったりする。とはいえ、彼らも主人と認めない者に誰彼構わず話しもしなかった。
「それな~。ちょっと元から魔力回路弄ってやったら自分で魔素を供給して半永久的に動くようになったんだ。ってか、元はそうやって動いてたみたいでさあ。なんでその一度の起動中にそれを聞かなかったんだろうな?」
「……古代の魔導具でも弄るのは危険だってわかってるでしょうっ。なんて危ないことするのさっ」
だからこそ、確信が持てるようにオートマタを必死で起動させるのだ。間違って古代の魔導具を弄れば、町一つ簡単に吹っ飛ぶ大爆発が起こる。
「迷宮の中とか、人の居ない場所を選んでるよ。ってか、起爆術が仕掛けてあるだけなんだから、それさえ外せば問題ないんだよ。あれは他人が簡単に使えないようにするためのただのセーフティー装置なんだからさあ」
「……」
それが分かる者がいないのだが、そこにシルフィスカは気付いていなかった。
大体、シルフィスカは自分ができることが他人にできないとは思っていない。努力すれば何だってできるんだという考え方がシルフィスカにはある。
死ぬ気でやれば治癒魔法も覚えたし、使いまくって神にも会えた。そこで出会った神に教えられた武術や魔術は努力しなくては身につかなかった。
これは、いくら夢の中でできても現実は違う。そういう理屈だ。
「それで? 何か用があったのか? ユキトに言ってくれれば、こっちに伝わるんだが?」
「ユキト? それがあの子の名前?」
「名乗らなかったか?」
「……聞いた気もする」
名乗らない訳はないので、聞いている筈だった。
「で? なんだ?」
「っ……もうすぐ舞踏会があるから、ドレスを一緒に仕立てようと思って……」
「ドレス? 必要ないぞ? 結構持ってるしな」
「……え?」
ドレスなんて、冒険者をしていたシルフィスカが持っているとジルナリスは思えなかったのだろう。
「そうだな……じゃあ、ジーナに選んでもらおう。一度も袖を通さず死蔵してるのが沢山あり過ぎて選ぶのは難しいからな」
「……へ?」
そうして、呆然とするジーナを連れて転移で自宅に戻るのだった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
次回、17日に上げます。
よろしくお願いします◎
シルフィスカの事は、九歳以下の冒険者見習いの頃から知っている。冒険者として正式に認められるのには、十歳にならないといけなかった。
シルフィスカを見かけない日はほとんどなかった。いつだってなんらかの仕事を受け、少ない食事をして夕刻前に帰っていく。
それは、正式に冒険者となってからも変わらず、驚くほどの実力でもって一気に一流へと駆け上がっていった。
直接関わるようになったのは、二、三年前くらいだろうか。付き合ってみるととても気さくで、びっくりするほど気が合った。
「ねえ、シルフィ。あたしの娘にならない? 貯金ばっかりして、好きなことしてないでしょう? 蓄えなんて気にしなくていいからさ。どう?」
実は、シルフィスカを養女にと望む者は多かった。ギルドマスターも、世話になった領主や商家の当主も一度や二度や三度は誘っていたのだ。寧ろ、顔を合わせる度に挨拶代りに言っている。
けれど、シルフィスカは誰にも首を縦に振らなかった。
「お荷物にしかならないよ? でもそうだな。身辺が綺麗に片付いたら……考えてもいいかな」
そう寂しそうな笑みを見せたシルフィスカ。だが、まさかあのベリスベリー伯爵家の娘だとは思わなかった。
一体、シルフィスカはどうやって身辺を綺麗に片付けるつもりだったのだろうか。ちょっと怖くて聞けない。
だが、結果的にこうして義理の娘になった。扱いは信じられないほど劣悪であったとしても、こうして自分の手の届く場所に来てくれた。
ならば、どれほど息子や夫が反対したとしても、自分だけはシルフィスカを愛そう。実の娘のように。信頼できる友人の一人としてでも。
「っ……本当に、これでいいんだね」
「もちろんだ。でも……ありがとうジーナ。心配してくれたんだろう?」
「っ、当たり前でしょうっ。あたしが絶対に幸せにするっ」
そうしなければ、他のシルフィスカを慕って養女にと望んだ者達から、どんな仕置きを受けるか分からない。何より、申し訳なかった。
「ははっ。これじゃあ、ジーナに嫁いだみたいだ」
いつものように明るく笑うけれど。シルフィスカは知らないだけだ。本当に愛されるということを。思われるということを。ならば、教えてあげよう。
「もうっ、冗談ばっかり。いいわ。覚悟なさいっ。娘として溺愛してやるんだからっ」
「それは怖いな。ほどほどで頼む」
「いやよ!」
あんな家の家族を忘れるくらい大事にするんだ。娘として親に愛されるということを教えてやるのだから。
◆ ◆ ◆
屋敷を手に入れてからのシルフィスカは自由を謳歌していた。
転移魔法で外に出かけ、今までと変わらず冒険者として活動する。そして、夜寝るためにだけ屋敷に戻ってくる。
そういう日々を過ごしていたのだが、数日後にこちらも冒険者として出てきたジルナリスに捕まった。
「ちょっとシルフィ。出かけるなら出かけるって言いなさいよっ」
「いや、寧ろ出かけない日の方が稀だと分かるだろうに」
シルフィスカは、呪解の薬をこの国に接収されてから、国外の冒険者ギルドでしか活動しない。どれほど求められても、あの国のために働くつもりはなかった。
それがギルドも分かっているため、特に強要もしない。寧ろ、有能な高ランク冒険者に嫌われた国として、ギルドは何かあれば見捨てる方向で動いていた。それだけシルフィスカは多くの者に慕われている。
だからシルフィスカを外で捕まえようとすれば、ジルナリスも国外まで出なくてはならず、かなりそれに時間がかかったらしい。大変ご立腹だった。
「もうっ、信じらんないわっ。だいたい、何よあの執事っ。あたしは問題ありませんとか言ってお茶出されたわ。ケーキとかめちゃくちゃ美味しかったんだけどっ」
おかしな怒り方だ。
シルフィスカの住む屋敷には、メイドがいない。屋敷の管理を頼む執事もいなかったのだが、現在、それを行う者が一人だけいる。
「ああ。あれか、いい感じだろ。この前ようやく修理と調整が終わったんだ」
「は? いや、あたしが言ってんのは執事よ? 真っ白い髪のキレイな青年のこと」
「わかってるって。だから、あれ人じゃないんだ。古代のゴーレム。機械人形だよ。迷宮で手に入れてさあ、三体あるから三つ屋敷持てるなあって思ってたんだ。全部同機させられるみたいで……って、おーい。ジーナ?」
口を開けてジーナは完全に固まっていた。
「そ、それって、オートマタっていう……アレよね? 古代の城を管理していたっていう……超有能なバトラー……」
「そうそう」
「完全体で手に入れられたら、一生どころか一つの村の人が何もしなくても四代分は生きていけるっていう……アレよね?」
「それそれ」
「仮に完全体であったとしても、一流の魔術師が何十人と束になってひと月分魔力を注ぎ込んでようやく数分動くっていうアレよね?」
それでも手に入れたいと思うのは、起動中に彼らが話す古代の情報が大変貴重だからだ。これにより、古代の魔導具を再現するきっかけとなったりする。とはいえ、彼らも主人と認めない者に誰彼構わず話しもしなかった。
「それな~。ちょっと元から魔力回路弄ってやったら自分で魔素を供給して半永久的に動くようになったんだ。ってか、元はそうやって動いてたみたいでさあ。なんでその一度の起動中にそれを聞かなかったんだろうな?」
「……古代の魔導具でも弄るのは危険だってわかってるでしょうっ。なんて危ないことするのさっ」
だからこそ、確信が持てるようにオートマタを必死で起動させるのだ。間違って古代の魔導具を弄れば、町一つ簡単に吹っ飛ぶ大爆発が起こる。
「迷宮の中とか、人の居ない場所を選んでるよ。ってか、起爆術が仕掛けてあるだけなんだから、それさえ外せば問題ないんだよ。あれは他人が簡単に使えないようにするためのただのセーフティー装置なんだからさあ」
「……」
それが分かる者がいないのだが、そこにシルフィスカは気付いていなかった。
大体、シルフィスカは自分ができることが他人にできないとは思っていない。努力すれば何だってできるんだという考え方がシルフィスカにはある。
死ぬ気でやれば治癒魔法も覚えたし、使いまくって神にも会えた。そこで出会った神に教えられた武術や魔術は努力しなくては身につかなかった。
これは、いくら夢の中でできても現実は違う。そういう理屈だ。
「それで? 何か用があったのか? ユキトに言ってくれれば、こっちに伝わるんだが?」
「ユキト? それがあの子の名前?」
「名乗らなかったか?」
「……聞いた気もする」
名乗らない訳はないので、聞いている筈だった。
「で? なんだ?」
「っ……もうすぐ舞踏会があるから、ドレスを一緒に仕立てようと思って……」
「ドレス? 必要ないぞ? 結構持ってるしな」
「……え?」
ドレスなんて、冒険者をしていたシルフィスカが持っているとジルナリスは思えなかったのだろう。
「そうだな……じゃあ、ジーナに選んでもらおう。一度も袖を通さず死蔵してるのが沢山あり過ぎて選ぶのは難しいからな」
「……へ?」
そうして、呆然とするジーナを連れて転移で自宅に戻るのだった。
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