38 / 100
第ニ章 王都見学と初めての師匠
038 プロですからね
しおりを挟む
2018. 11. 2
**********
マティアスは、何度か往復しながら地下で何やら調べているカルツォーネに声をかける。
「なぁ、ここって、なんか変な感じするよな?」
「うん? そうだね。ここには晶腐石が使われているから、魔術が働きにくいんだ」
そういえば、シェリスもそんなことを言っていたなと思い出す。
「そのショウフセキってぇのはなんだ?」
「石だよ。魔力を弾くっていうのかな……そもそも、魔術を働かせるには、精霊達の力がいるんだけど、それは分かるかい?」
「おう。ちっさいやつらだろ?」
「もしかして、見えるのかい?」
驚くような表情を向けられて、マティアスは首を傾げる。
「見ようと思えば見えるぞ? 一人の時とか、遊べって近付いてくるからな」
そこで気付く。いつもならば、マティアスが一人でいれば近付いてくるのが分かるのだが、この屋敷に入ってから一度もそんな感じがない。
「見ようと思えば? 常に見えてるんじゃなくて?」
「そうだ。いるって感覚は常にあるんだが、姿を見ようとこう……集中? すると見える。橙色のが一番寄ってくるな」
「それは火の精霊だね……でもそうか……普通の精霊使いとは違うんだね……」
三頭身の小さな子ども達。風は緑、水は青、火が橙で土が茶色、光が白で闇が黒。それぞれの属性を持つ精霊達は、ふわふわと漂っている。
「なんか、この屋敷に入ってから感じないんだよな。呼べば来るって感じで、いつもみたく寄ってこない。そのショウフセキってやつのせいか?」
建物の中にはあまり入ってくることはないが、全く気配が感じられないというのは珍しい。感じる違和感の元が、原因かと予想できた。
「そう。この石だよ」
見せられたのは、黒い水晶のような石の欠片だった。
「へぇ……たしかに、変な感じがするな。ゾワっとするっていうか……」
「君、感覚が優れているんだね。精霊が見えるのも頷けるよ」
「そうか? そんで、もしかして、この石……あの辺にもあるのか?」
これと同じものが、そこここに埋められている感じがあった。
「あ、分かるんだ。助かる。これでその位置に印をつけてくれないかい? 私では感覚が刺激され過ぎて細かい場所の特定がし難いんだ」
「いいぞ?」
受け取った白い石で件の石が埋められているらしい場所をマークしていく。壁や床、天井にもあった。
「これだけだな」
「結構あったね……ありがとう。場所さえ分かれば早く終わりそうだ」
「おう。こいつら連れてったら、手伝いに来ようか」
「いいのかい? お願いするよ」
「わかった。そんじゃ、すぐ戻る」
マティアスは、最後の三人を抱えて地下からシェリスの元へ急いだ。
「これで最後だぞ」
「ああ、マティ、お疲れ様です」
「おう。けど、下であの人の手伝いをしてくる」
「石の回収ですね……あれがなくならないと、この屋敷を調べられませんしね。わかりました。くれぐれも地下を崩壊させないように気を付けてください。なんだか、埋め込まれているような感じでしたから」
シェリスも場所は特定できなくても、石が壁や床に無数に埋め込まれているのは気付いていたらしい。
「仕掛けもあるようですし、本当にくれぐれも気を付けて」
「仕掛け? へぇ……任せろ」
その仕掛けとやらの説明は、カルツォーネに頼もうと決める。シェリスはメイド達を補佐に上手く使い、薬を作り続けている。こうして話していても、一度視線を寄越しただけだった。
邪魔はすまいとマティアスはもう一度メイド達に釘を刺してから地下へ戻った。
それから石を回収し、戻ってきたのは昼頃だ。
「結構時間がかかったなぁ」
「君のおかげで早い方だと思うけどね」
回収した石は、まとめて分厚い袋に入れ、既にカルツォーネの手の者が外に持っていった。
「二人とも、ちょうど食事の用意ができていますよ」
シェリスは全ての人の治療を終え、食事の用意をしてくれていたらしい。
別のテーブルには、軽めの食事が置かれており、行儀が悪いが、地下から運ばれた人々は座り込んでそれらを食べ始めていた。
マティアス達の食事が用意されているのは、シェリスが薬の調合をしていた小さめのテーブルの方だ。
「やぁ、嬉しいね。けど、あまり食欲はないかな」
「ん? 調子悪いのか?」
「はは、君はどうして平気なんだろうね……」
長時間、晶腐石の影響のある地下にいたのだ。魔力の高い魔族であるカルツォーネには少々きついものがあった。
「軽い魔力酔いでしょう。薬も用意してあります。先に飲んでしまってください」
「え、用意してくれたのかい?」
意外だという顔をするカルツォーネに、シェリスがぴくりと片眉を上げる。
「要りませんでしたか?」
「いやいや、嬉しいよっ。ありがとう! 代金はいかほどだい?」
「必要ありませんよ。在庫処分の一環です」
「本当に? エルフの薬なんて……すっごい貴重だよ?」
カルツォーネが動揺するのも無理はない。真実、エルフの薬は貴重だ。多少の販路はあるにせよ、エルフ自体が里からほとんど出ない。
そのせいで輸送費が必要になる。外に出回らないレシピの物も多く、調合できるのがエルフのみというのも貴重だと言われる理由でもある。
「要らないんですか?」
「っ、いただきます!」
一気に飲み干し、効果を実感すると、カルツォーネは更に驚いた。
「え……」
今回の薬は魔力酔いを治すための物。一般的に流通しているのは気つけ薬的な強いものだ。飲んだらしばらくは魔力が小康状態になるので、上手く魔術は使えない。
しかし、今カルツォーネが飲んだ物は違った。彼女が疑問を口にする前にシェリスが察してつまらなさそうに告げる。
「強さの調整くらいできますよ。流通しているのは、魔力酔いの症状が強い時のものに合わせてあります。薬師の持つレシピもそうですね。一気に魔力を抑え込んで一定に保ちます。そこから普段の状態に患者自身の体が調整できるまで魔術が使えなくなるんです」
魔力酔いと一言で言っても当然、症状の強さは人や場合による。けれど、薬として出回っているものは一種類のみ。元々、製薬が難しい薬で一定ラインの効果がなければ意味がない。
症状が小さくても一度魔力を最低限のラインまで抑え込むので、魔力が多い魔族なんかは普段の状態に戻るまで時間がかかったりするらしい。
「今回は程度の予想はできましたし、魔族用に調整もしましたから」
「ありがとう……助かったよ」
わざわざ用意して待っていてくれたとわかり、カルツォーネは嬉しそうに笑みを浮かべた。その笑顔を見たメイド達が固まっているのを、マティアスは面白そうに見つめていた。
シェリスを見て、照れているなと思いながら。
**********
舞台裏のお話。
メイドA 「ねぇ……」
メイドB 「う、うん……」
メイドC 「ステキ……」
メイドA・B 「「だよね!」」
メイドB 「エルフ様は人使い荒いけど、指示は的確で、デキる人って感じだしっ」
メイドA 「うんうんっ、それで、そんなエルフ様をあの赤髪のお姉様が大事にしてるって感じがイイのっ」
メイドB・C 「「だよね、だよねっ」」
メイドC 「極め付けがあの黒髪の王子様!!」
メイドA 「え、あれ? 女の人?」
メイドB 「でも紳士だよ! さっきお料理持っていったら爽やかに笑ってありがとうって! なにあの笑顔! あんなご褒美初めて!!」
メイドC 「ズルイ! 私も欲しい!」
メイドA 「もう、女の人でもいい! 王子様でしかない!」
メイドB・C 「「間違いない!」」
メイドC 「あ、デザート用意しなきゃ!」
メイドA 「私は紅茶を用意するわ!」
メイドB 「お皿下げてくる!」
メイド達 「「「ご褒美はいただきよ!!」」」
やる気充分なメイドさん達でした。
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
シェリスは親切ですね。
次回、金曜9日です。
よろしくお願いします◎
**********
マティアスは、何度か往復しながら地下で何やら調べているカルツォーネに声をかける。
「なぁ、ここって、なんか変な感じするよな?」
「うん? そうだね。ここには晶腐石が使われているから、魔術が働きにくいんだ」
そういえば、シェリスもそんなことを言っていたなと思い出す。
「そのショウフセキってぇのはなんだ?」
「石だよ。魔力を弾くっていうのかな……そもそも、魔術を働かせるには、精霊達の力がいるんだけど、それは分かるかい?」
「おう。ちっさいやつらだろ?」
「もしかして、見えるのかい?」
驚くような表情を向けられて、マティアスは首を傾げる。
「見ようと思えば見えるぞ? 一人の時とか、遊べって近付いてくるからな」
そこで気付く。いつもならば、マティアスが一人でいれば近付いてくるのが分かるのだが、この屋敷に入ってから一度もそんな感じがない。
「見ようと思えば? 常に見えてるんじゃなくて?」
「そうだ。いるって感覚は常にあるんだが、姿を見ようとこう……集中? すると見える。橙色のが一番寄ってくるな」
「それは火の精霊だね……でもそうか……普通の精霊使いとは違うんだね……」
三頭身の小さな子ども達。風は緑、水は青、火が橙で土が茶色、光が白で闇が黒。それぞれの属性を持つ精霊達は、ふわふわと漂っている。
「なんか、この屋敷に入ってから感じないんだよな。呼べば来るって感じで、いつもみたく寄ってこない。そのショウフセキってやつのせいか?」
建物の中にはあまり入ってくることはないが、全く気配が感じられないというのは珍しい。感じる違和感の元が、原因かと予想できた。
「そう。この石だよ」
見せられたのは、黒い水晶のような石の欠片だった。
「へぇ……たしかに、変な感じがするな。ゾワっとするっていうか……」
「君、感覚が優れているんだね。精霊が見えるのも頷けるよ」
「そうか? そんで、もしかして、この石……あの辺にもあるのか?」
これと同じものが、そこここに埋められている感じがあった。
「あ、分かるんだ。助かる。これでその位置に印をつけてくれないかい? 私では感覚が刺激され過ぎて細かい場所の特定がし難いんだ」
「いいぞ?」
受け取った白い石で件の石が埋められているらしい場所をマークしていく。壁や床、天井にもあった。
「これだけだな」
「結構あったね……ありがとう。場所さえ分かれば早く終わりそうだ」
「おう。こいつら連れてったら、手伝いに来ようか」
「いいのかい? お願いするよ」
「わかった。そんじゃ、すぐ戻る」
マティアスは、最後の三人を抱えて地下からシェリスの元へ急いだ。
「これで最後だぞ」
「ああ、マティ、お疲れ様です」
「おう。けど、下であの人の手伝いをしてくる」
「石の回収ですね……あれがなくならないと、この屋敷を調べられませんしね。わかりました。くれぐれも地下を崩壊させないように気を付けてください。なんだか、埋め込まれているような感じでしたから」
シェリスも場所は特定できなくても、石が壁や床に無数に埋め込まれているのは気付いていたらしい。
「仕掛けもあるようですし、本当にくれぐれも気を付けて」
「仕掛け? へぇ……任せろ」
その仕掛けとやらの説明は、カルツォーネに頼もうと決める。シェリスはメイド達を補佐に上手く使い、薬を作り続けている。こうして話していても、一度視線を寄越しただけだった。
邪魔はすまいとマティアスはもう一度メイド達に釘を刺してから地下へ戻った。
それから石を回収し、戻ってきたのは昼頃だ。
「結構時間がかかったなぁ」
「君のおかげで早い方だと思うけどね」
回収した石は、まとめて分厚い袋に入れ、既にカルツォーネの手の者が外に持っていった。
「二人とも、ちょうど食事の用意ができていますよ」
シェリスは全ての人の治療を終え、食事の用意をしてくれていたらしい。
別のテーブルには、軽めの食事が置かれており、行儀が悪いが、地下から運ばれた人々は座り込んでそれらを食べ始めていた。
マティアス達の食事が用意されているのは、シェリスが薬の調合をしていた小さめのテーブルの方だ。
「やぁ、嬉しいね。けど、あまり食欲はないかな」
「ん? 調子悪いのか?」
「はは、君はどうして平気なんだろうね……」
長時間、晶腐石の影響のある地下にいたのだ。魔力の高い魔族であるカルツォーネには少々きついものがあった。
「軽い魔力酔いでしょう。薬も用意してあります。先に飲んでしまってください」
「え、用意してくれたのかい?」
意外だという顔をするカルツォーネに、シェリスがぴくりと片眉を上げる。
「要りませんでしたか?」
「いやいや、嬉しいよっ。ありがとう! 代金はいかほどだい?」
「必要ありませんよ。在庫処分の一環です」
「本当に? エルフの薬なんて……すっごい貴重だよ?」
カルツォーネが動揺するのも無理はない。真実、エルフの薬は貴重だ。多少の販路はあるにせよ、エルフ自体が里からほとんど出ない。
そのせいで輸送費が必要になる。外に出回らないレシピの物も多く、調合できるのがエルフのみというのも貴重だと言われる理由でもある。
「要らないんですか?」
「っ、いただきます!」
一気に飲み干し、効果を実感すると、カルツォーネは更に驚いた。
「え……」
今回の薬は魔力酔いを治すための物。一般的に流通しているのは気つけ薬的な強いものだ。飲んだらしばらくは魔力が小康状態になるので、上手く魔術は使えない。
しかし、今カルツォーネが飲んだ物は違った。彼女が疑問を口にする前にシェリスが察してつまらなさそうに告げる。
「強さの調整くらいできますよ。流通しているのは、魔力酔いの症状が強い時のものに合わせてあります。薬師の持つレシピもそうですね。一気に魔力を抑え込んで一定に保ちます。そこから普段の状態に患者自身の体が調整できるまで魔術が使えなくなるんです」
魔力酔いと一言で言っても当然、症状の強さは人や場合による。けれど、薬として出回っているものは一種類のみ。元々、製薬が難しい薬で一定ラインの効果がなければ意味がない。
症状が小さくても一度魔力を最低限のラインまで抑え込むので、魔力が多い魔族なんかは普段の状態に戻るまで時間がかかったりするらしい。
「今回は程度の予想はできましたし、魔族用に調整もしましたから」
「ありがとう……助かったよ」
わざわざ用意して待っていてくれたとわかり、カルツォーネは嬉しそうに笑みを浮かべた。その笑顔を見たメイド達が固まっているのを、マティアスは面白そうに見つめていた。
シェリスを見て、照れているなと思いながら。
**********
舞台裏のお話。
メイドA 「ねぇ……」
メイドB 「う、うん……」
メイドC 「ステキ……」
メイドA・B 「「だよね!」」
メイドB 「エルフ様は人使い荒いけど、指示は的確で、デキる人って感じだしっ」
メイドA 「うんうんっ、それで、そんなエルフ様をあの赤髪のお姉様が大事にしてるって感じがイイのっ」
メイドB・C 「「だよね、だよねっ」」
メイドC 「極め付けがあの黒髪の王子様!!」
メイドA 「え、あれ? 女の人?」
メイドB 「でも紳士だよ! さっきお料理持っていったら爽やかに笑ってありがとうって! なにあの笑顔! あんなご褒美初めて!!」
メイドC 「ズルイ! 私も欲しい!」
メイドA 「もう、女の人でもいい! 王子様でしかない!」
メイドB・C 「「間違いない!」」
メイドC 「あ、デザート用意しなきゃ!」
メイドA 「私は紅茶を用意するわ!」
メイドB 「お皿下げてくる!」
メイド達 「「「ご褒美はいただきよ!!」」」
やる気充分なメイドさん達でした。
つづく?
なんて事が起こってましたとさ☆
読んでくださりありがとうございます◎
シェリスは親切ですね。
次回、金曜9日です。
よろしくお願いします◎
5
お気に入りに追加
592
あなたにおすすめの小説
【短編】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ、赤ちゃんが生まれる。
誕生を祝いに、領地から父の辺境伯が訪ねてくるのを心待ちにしているアリシア。
でも、夫と赤髪メイドのメリッサが口づけを交わしているのを見てしまう。
「なぜ、メリッサもお腹に赤ちゃんがいるの!?」
アリシアは夫の愛を疑う。
小説家になろう様にも投稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
太夫→傾国の娼妓からの、やり手爺→今世は悪妃の称号ご拝命〜数打ち妃は悪女の巣窟(後宮)を謳歌する
嵐華子
キャラ文芸
ただ1人だけを溺愛する皇帝の4人の妻の1人となった少女は密かに怒っていた。
初夜で皇帝に首を切らせ(→ん?)、女官と言う名の破落戸からは金を巻き上げ回収し、過去の人生で磨いた芸と伝手と度胸をもって後宮に新風を、世に悪妃の名を轟かす。
太夫(NO花魁)、傾国の娼妓からのやり手爺を2度の人生で経験しつつ、3度目は後宮の数打ち妃。
「これ、いかに?」
と首を捻りつつも、今日も今日とて寂れた宮で芸を磨きつつ金儲けを考えつつ、悪女達と渡り合う少女のお話。
※1話1,600文字くらいの、さくさく読めるお話です。
※下スクロールでささっと読めるよう基本的に句読点改行しています。
※勢いで作ったせいか設定がまだゆるゆるしています。
※他サイトに掲載しています。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
王家から追放された貴族の次男、レアスキルを授かったので成り上がることにした【クラス“陰キャ”】
時沢秋水
ファンタジー
「恥さらしめ、王家の血筋でありながら、クラスを授からないとは」
俺は断崖絶壁の崖っぷちで国王である祖父から暴言を吐かれていた。
「爺様、たとえ後継者になれずとも私には生きる権利がございます」
「黙れ!お前のような無能が我が血筋から出たと世間に知られれば、儂の名誉に傷がつくのだ」
俺は爺さんにより谷底へと突き落とされてしまうが、奇跡の生還を遂げた。すると、谷底で幸運にも討伐できた魔獣からレアクラスである“陰キャ”を受け継いだ。
俺は【クラス“陰キャ”】の力で冒険者として成り上がることを決意した。
主人公:レオ・グリフォン 14歳 金髪イケメン
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる