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第七章 秘伝と任されたもの
402 迷惑な子もいます
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清掃部隊と行脚師部隊の説明が終わる。
しかし、清掃部隊はともかくとして、行脚師については、意味が分からなかったようだ。
「あの……各地を転々とされるというのは分かりました。その土地の調査もやられるとか、ですが、扉というのは……」
『では、実際にご覧に入れましょう。そうですね……高耶さん、宝泉様の所、お会いした部屋に行けますか?』
「はい。問題ありません。あちらの神にも覚えていただいていますし……ただ、人が居ないかどうかの確認だけ、宝泉さんにお願いしても?」
「っ、え? あ、はい。お会いした部屋に……え? もしや、うちにですか?」
「はい。確認していただいても? それで人払いを」
「わ、わかりました!」
宝泉孝己は、慌てて電話をする。高耶達を通した部屋だ。あの時の補佐の一人はあちらに残っているため、すぐに対応してくれた。
「では、あの扉で繋ぎます」
会場のバックヤードに回る扉の一つを、そこと繋いだ。
『どうぞ、数名ずつあっち側を確認ください』
真っ先に宝泉孝己が扉を開けて覗き込むまでもなかった。あの時の部屋がその先にあったのだから。
「っ……間違いありません……っ」
「こ、こんなことが……っ」
「すぐに駆け付けてくるのが不思議だと先代から聞いていましたが、こんなことが……」
「ヤバいっ、あのドアだっ、ピンクだったら完璧っ!」
「確かにっ」
「確かに」
何人か、大興奮しながら確認している。神職であろうと、好きな人は好きだ。
『どこにでも、こうして繋げられるわけではありません。今回は、秘伝の当主が繋げたため、こちらに繋げられましたが、このような常識外れっ……いえ、特別なことができるのは、彼だけですのでご理解ください』
「……常識外れ……」
高耶は少しばかり肩を落とした。
『扉を繋ぐには、術者が何人も時間をかけて術を組み、固定していきます。その扉を守り、管理するのが行脚師の仕事の一つでもあります』
全員が確認出来たようなので、高耶は扉を閉めて術を解いた。もう一度開けて、普通に裏に続く通路となっていることを確認する。
それを見て、また目を丸くしている者もいるが、高耶は気にせず席に戻った。
『最後に、社殿建築部隊です。こちらは、主に、建築に関する部署、部隊となっております。建て方によって、神の力が満ちやすい寺社、間取りなどがあります。それを研究し、生かしていく設計が普段の役割です』
「あのっ、数年前に建て替えの折、いらしておりました……か?」
この部隊は、曲者揃い。服装が魔術師みたいな黒いローブを着ている。引きこもり体質な所があり、光を遮断するためにも、そのローブのフードを深くかぶっていた。
「え~? どこだろ。けど、建て替えなんて大チャンスの時だもんね。行ってるかも。扉近い?」
「え? さ、先ほどの扉ですか?」
『そちらの方の社でしたら、扉は近いですよ』
「なら行ってる~」
全く記憶になさそうということで、質問した側がとても気まずそうな顔になっていた。
「そ、そうですか……あの時はその……失礼いたしました。ご忠告の通りしなかったことで、事故が起き、工期も大幅に遅れて……」
「へえ~。まあ、当然だよね。僕らが忠告したなら、それしかないんだからさ~」
「最善しかないからね~」
「そうそう。それ以外なし~」
「……」
この、人を小馬鹿にする態度だけが、この部隊の問題だ。
『んんっ、失礼しました。この部隊の者は優秀なのですが、性格に難がありまして……本当に、実力は確かなのですが、いつも殴りたくなるような、そんな部隊ですわ』
「「「「「……」」」」」
問題ありそうなのは、神職の者達にも伝わったようだ。
『問題を起こすのに外に出ていくので、ご迷惑をおかけします……もし、この部隊が何か言ってきた場合は、すぐにご連絡を。通訳、説明役を派遣します』
「俺ら優秀過ぎて、一般人には言葉が通じないんだよね~」
「それそれ~」
『……失礼しました。言葉のなっていない子どもだと思ってください』
「え~俺ら……」
『黙るように』
「へ~い」
「へ~い」
お母ちゃんに叱られたねと二人でコソコソ話しているようだが、もう無視だ。
『さて、これまでのことで質問はございますか?』
そこから、細々とした質疑応答が続けられた。
『では、質問も良いようなので、ここで、我々の式についてお話いたします』
そう桂花は話を切り出した。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
しかし、清掃部隊はともかくとして、行脚師については、意味が分からなかったようだ。
「あの……各地を転々とされるというのは分かりました。その土地の調査もやられるとか、ですが、扉というのは……」
『では、実際にご覧に入れましょう。そうですね……高耶さん、宝泉様の所、お会いした部屋に行けますか?』
「はい。問題ありません。あちらの神にも覚えていただいていますし……ただ、人が居ないかどうかの確認だけ、宝泉さんにお願いしても?」
「っ、え? あ、はい。お会いした部屋に……え? もしや、うちにですか?」
「はい。確認していただいても? それで人払いを」
「わ、わかりました!」
宝泉孝己は、慌てて電話をする。高耶達を通した部屋だ。あの時の補佐の一人はあちらに残っているため、すぐに対応してくれた。
「では、あの扉で繋ぎます」
会場のバックヤードに回る扉の一つを、そこと繋いだ。
『どうぞ、数名ずつあっち側を確認ください』
真っ先に宝泉孝己が扉を開けて覗き込むまでもなかった。あの時の部屋がその先にあったのだから。
「っ……間違いありません……っ」
「こ、こんなことが……っ」
「すぐに駆け付けてくるのが不思議だと先代から聞いていましたが、こんなことが……」
「ヤバいっ、あのドアだっ、ピンクだったら完璧っ!」
「確かにっ」
「確かに」
何人か、大興奮しながら確認している。神職であろうと、好きな人は好きだ。
『どこにでも、こうして繋げられるわけではありません。今回は、秘伝の当主が繋げたため、こちらに繋げられましたが、このような常識外れっ……いえ、特別なことができるのは、彼だけですのでご理解ください』
「……常識外れ……」
高耶は少しばかり肩を落とした。
『扉を繋ぐには、術者が何人も時間をかけて術を組み、固定していきます。その扉を守り、管理するのが行脚師の仕事の一つでもあります』
全員が確認出来たようなので、高耶は扉を閉めて術を解いた。もう一度開けて、普通に裏に続く通路となっていることを確認する。
それを見て、また目を丸くしている者もいるが、高耶は気にせず席に戻った。
『最後に、社殿建築部隊です。こちらは、主に、建築に関する部署、部隊となっております。建て方によって、神の力が満ちやすい寺社、間取りなどがあります。それを研究し、生かしていく設計が普段の役割です』
「あのっ、数年前に建て替えの折、いらしておりました……か?」
この部隊は、曲者揃い。服装が魔術師みたいな黒いローブを着ている。引きこもり体質な所があり、光を遮断するためにも、そのローブのフードを深くかぶっていた。
「え~? どこだろ。けど、建て替えなんて大チャンスの時だもんね。行ってるかも。扉近い?」
「え? さ、先ほどの扉ですか?」
『そちらの方の社でしたら、扉は近いですよ』
「なら行ってる~」
全く記憶になさそうということで、質問した側がとても気まずそうな顔になっていた。
「そ、そうですか……あの時はその……失礼いたしました。ご忠告の通りしなかったことで、事故が起き、工期も大幅に遅れて……」
「へえ~。まあ、当然だよね。僕らが忠告したなら、それしかないんだからさ~」
「最善しかないからね~」
「そうそう。それ以外なし~」
「……」
この、人を小馬鹿にする態度だけが、この部隊の問題だ。
『んんっ、失礼しました。この部隊の者は優秀なのですが、性格に難がありまして……本当に、実力は確かなのですが、いつも殴りたくなるような、そんな部隊ですわ』
「「「「「……」」」」」
問題ありそうなのは、神職の者達にも伝わったようだ。
『問題を起こすのに外に出ていくので、ご迷惑をおかけします……もし、この部隊が何か言ってきた場合は、すぐにご連絡を。通訳、説明役を派遣します』
「俺ら優秀過ぎて、一般人には言葉が通じないんだよね~」
「それそれ~」
『……失礼しました。言葉のなっていない子どもだと思ってください』
「え~俺ら……」
『黙るように』
「へ~い」
「へ~い」
お母ちゃんに叱られたねと二人でコソコソ話しているようだが、もう無視だ。
『さて、これまでのことで質問はございますか?』
そこから、細々とした質疑応答が続けられた。
『では、質問も良いようなので、ここで、我々の式についてお話いたします』
そう桂花は話を切り出した。
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