秘伝賜ります

紫南

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第七章 秘伝と任されたもの

384 呪われるらしい

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翌日、午前中の講義を受け、昼休み。

午後から一コマ分は講義がないので、図書館にでも行こうかと昼食後に移動を始めた頃に、電話がかかってきた。

「え? 達喜さん?」

また焔泉の占いメールか電話かと思えば、珍しい人からの着信に動揺し、出るのを少しばかり躊躇ちゅうちょした。

とはいえ、無視するわけにもいかず、諦めて出ることにした。廊下の端に寄ってスマホの画面をタップする。

「もしもし……」
『高耶! やっぱやべえぞ、アレ! 今のままだと、あの辺の土地、全部呪われるっぽい!』
「……」
『いやあ、今起きたんだけどなあ。何回かパターン変えてもダメで、マジでもうヤバいくらいモヤるんだよな~』
「モヤ……」

最近、達喜の言っていることが分からない時があるなと気にしている高耶だ。

『でだ。どうも、鬼が隠れてるっぽいんだよ。あの封印術の中に、神だけじゃなくてさ』
「……え……」
『土地神って、アレだろ? 子ども好きなの多いじゃん? 鬼の見た目はモロにアレじゃん?』
「……あり得なくないですね……山神の所でもありましたし……」

子どもとして保護している土地神も、実際に居るのだ。あり得ない話ではなかった。

『そんで、姫さんがやるだろ。世界を作るってやつ。土地神が作った亜空間? 的なやつに、何匹か鬼が居るみたいでな。それが封印を解くと同時に一緒に出てくんの。それを倒しちまうと、土地神が怒って……ってわけだ! 最悪だろ!?』
「……鬼の対策をすべきというわけですね……」
『そういうこった! ちょい鬼について、もう一回洗い直す必要がありそうだぜ』
「分かりました。こちらでも調べてみます」
『おう。今夜また会合でな』
「はい……」

もう招集が決まっているようだ。昨日の今日で忙しいことだ。

「はあ……鬼……か。どう思うよ。じいさん」
《あの女に聞いてみてはどうだ?》
「あの女?」
《ほれ、鬼渡の女だ。源龍の妹の》
「まだ目を覚さないんじゃ……」

狭間に落ちていた鬼渡薫は、昏睡状態で連盟に預けられている。

《いや。起きたぞ。今朝方な》
「っ、話せるのか?」
《食事とかを拒否しているらしいが、お前、会ってみろ》
「……何か変わるのか?」
《おう。そんな予感がする!》
「……分かった」

何を根拠に言っているかは知らないが、充雪の予感は良い方に当たる。やってみて損はないだろう。

「少しは鬼のこと、分かれば良いんだけどな……」

どんな人なのかも良く分からないが、話してみれば何か分かるかもしれない。

「源龍さんに連絡しておくか」

少しでも何かしなければと、高耶は焦りのようなものを感じていた。それは、薫に対してもだ。

「呪いの対策と鬼の対策、本当に色々とヤバそうだ……」

忙しくなりそうだと高耶は気合いを入れる。

「土地神の守護範囲の確認も必要かもな」

呪われる土地の範囲の把握は必要そうだ。

《いつかの合同の仕事みたいになりそうだなあ》
「連盟で力を合わせるしかないだろうな」

やるべき事は多そうだった。








**********
読んでくださりありがとうございます◎


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