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第五章 秘伝と天使と悪魔
234 頭が痛いです
しおりを挟む隣のマップに移動した途端、モンスターが溜まっていた。
「あゆ!」
瞬時にあゆが眼前に炎の壁を出す。
「オッケー! カタナはちっちゃいのを!」
「おう」
壁の内側から、敵を四方八方に散らすような技で、敵を壁の向こうに追い出す。
その間に、カタナがやたらと攻撃の早い、素早い敵3匹のタゲを取っていた。
地面に大きな魔法陣か浮かび上がる。
詠唱が長い。これが大魔法ってやつかな。
次の瞬間、魔法陣に囲まれた範囲に、数え切れないほどの雷が降り注いだ。
「ひゃあ」
バリバリと響く音と光に思わず耳を塞ぐ。
ぎゅっと閉じてしまった目をそろりと開けると、もう敵は1匹も残っていなかった。
「みさみさちゃん、驚かせちゃったね、急にごめんね」
あゆが気遣うように言う。
「あ、ううん。大丈夫……」
「あゆ、今のは仕方ない。みさみさ大丈夫か?」
カタナも、あゆを励ましながら私に声をかけてくれた。
「うん、大丈夫だよ」
スマホの音量もそんなに大きくしてなかったから、ちょっとびっくりはしたけど、それだけだし。
「そうか、良かった。人によっては、急な音や激しい光で具合が悪くなる事もあるからな」
そう言って、カタナは少しホッとした表情を見せる。
「そうなんだ……。私が知らないだけで、そういう人もいるんだね」
私の呟きに、カタナがちょっとだけ目を細める。
「ああ……。知っていれば、できる対策もある。白いノートが眩しくて困ってる奴とか、ちょっと暗い色のノートを使えば楽になったりするからな」
「へー。覚えとこう……」
カタナは色んな事を知ってるんだなぁと思いながら、その横顔を見上げる。
突然、横からあゆにぎゅっと抱きつかれた。
「みさみさちゃん素直っっ!! 良い子っっ!!」
「えっ、ええっ!?」
あゆがなでなでなでと私の頭を撫でる。
「ボクもみさみさちゃんと友達になりたいなぁ、ね、フレンド登録しようよっ」
「う、うんっ。私も、あゆと友達になれたら、嬉しい」
「わあーい、うれしいっっ♪♪」
手を取って、あゆがぴょこぴょこ跳ねる。
嬉しいと飛び跳ねるなんて、なんだかきなこもちみたい。
今日は狩場が高レベルで危ないから出してないけど、後であゆにもきなこもちを紹介したいな。
フレンド登録をお互い済ませると、あゆが取引ウィンドウを出してきた。
「良かったらこれもらって!」
なんだろう。と『はい』を押す、ウィンドウに入ってきたのは白いウサミミだった。
「あ、これ……」
「えへへ、お揃いーっ♪♪」
あゆが嬉しそうに笑うので、ありがたく受け取る。
「ありがとう」
「お近付きのしるしだよっ♪」
早速装備してみる。ウサミミはふかふかしていて、雪のような白い色は黒髪にも赤いリボンにもよく映えた。
んーっっ。可愛いっっ!!
視界の端で、カタナが一歩下がった。
「?」
振り返れば、カタナは籠手の甲で顔を半分ほど隠している。
「あれね、顔が赤くなっちゃったから隠してるんだよ」
あゆがそっと私に耳打ちする。
「え?」
「カタナ、可愛いの大好きだから。特に、ウサミミ大好きなんだよねー?」
からかうように、あゆに下から覗き込まれて、カタナが顔を逸らす。
「――っ、余計な事を言わなくていいっ!」
あ、本当だ。カタナはマスクで鼻から下が隠れてるけど、その目元がほんのり赤くなっていた。
「あゆ!」
瞬時にあゆが眼前に炎の壁を出す。
「オッケー! カタナはちっちゃいのを!」
「おう」
壁の内側から、敵を四方八方に散らすような技で、敵を壁の向こうに追い出す。
その間に、カタナがやたらと攻撃の早い、素早い敵3匹のタゲを取っていた。
地面に大きな魔法陣か浮かび上がる。
詠唱が長い。これが大魔法ってやつかな。
次の瞬間、魔法陣に囲まれた範囲に、数え切れないほどの雷が降り注いだ。
「ひゃあ」
バリバリと響く音と光に思わず耳を塞ぐ。
ぎゅっと閉じてしまった目をそろりと開けると、もう敵は1匹も残っていなかった。
「みさみさちゃん、驚かせちゃったね、急にごめんね」
あゆが気遣うように言う。
「あ、ううん。大丈夫……」
「あゆ、今のは仕方ない。みさみさ大丈夫か?」
カタナも、あゆを励ましながら私に声をかけてくれた。
「うん、大丈夫だよ」
スマホの音量もそんなに大きくしてなかったから、ちょっとびっくりはしたけど、それだけだし。
「そうか、良かった。人によっては、急な音や激しい光で具合が悪くなる事もあるからな」
そう言って、カタナは少しホッとした表情を見せる。
「そうなんだ……。私が知らないだけで、そういう人もいるんだね」
私の呟きに、カタナがちょっとだけ目を細める。
「ああ……。知っていれば、できる対策もある。白いノートが眩しくて困ってる奴とか、ちょっと暗い色のノートを使えば楽になったりするからな」
「へー。覚えとこう……」
カタナは色んな事を知ってるんだなぁと思いながら、その横顔を見上げる。
突然、横からあゆにぎゅっと抱きつかれた。
「みさみさちゃん素直っっ!! 良い子っっ!!」
「えっ、ええっ!?」
あゆがなでなでなでと私の頭を撫でる。
「ボクもみさみさちゃんと友達になりたいなぁ、ね、フレンド登録しようよっ」
「う、うんっ。私も、あゆと友達になれたら、嬉しい」
「わあーい、うれしいっっ♪♪」
手を取って、あゆがぴょこぴょこ跳ねる。
嬉しいと飛び跳ねるなんて、なんだかきなこもちみたい。
今日は狩場が高レベルで危ないから出してないけど、後であゆにもきなこもちを紹介したいな。
フレンド登録をお互い済ませると、あゆが取引ウィンドウを出してきた。
「良かったらこれもらって!」
なんだろう。と『はい』を押す、ウィンドウに入ってきたのは白いウサミミだった。
「あ、これ……」
「えへへ、お揃いーっ♪♪」
あゆが嬉しそうに笑うので、ありがたく受け取る。
「ありがとう」
「お近付きのしるしだよっ♪」
早速装備してみる。ウサミミはふかふかしていて、雪のような白い色は黒髪にも赤いリボンにもよく映えた。
んーっっ。可愛いっっ!!
視界の端で、カタナが一歩下がった。
「?」
振り返れば、カタナは籠手の甲で顔を半分ほど隠している。
「あれね、顔が赤くなっちゃったから隠してるんだよ」
あゆがそっと私に耳打ちする。
「え?」
「カタナ、可愛いの大好きだから。特に、ウサミミ大好きなんだよねー?」
からかうように、あゆに下から覗き込まれて、カタナが顔を逸らす。
「――っ、余計な事を言わなくていいっ!」
あ、本当だ。カタナはマスクで鼻から下が隠れてるけど、その目元がほんのり赤くなっていた。
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