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第三章 秘伝の弟子
133 ディナーです
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とりあえず、雪を降らせているらしい人物のことは放っておく。
これから楽しい夕食なのだ。
「すごい美味しいっ。家で作れないかしら」
「本当に美味しい……何を使ってるの?」
《全く同じものとはいかんが、スーパーで揃うものでレシピを教えよう》
「ハクさん本当!? 是非っ」
「一緒にお買い物しようよ~」
美奈深と由香理は珀豪と料理の相談中らしい。式神とはいえ、さすがはデキる主夫だ。楽しそうなので良しとする。
《ほら、優希ちゃん。こうしてフォークを持って。あ、可奈ちゃん、上手よ。そう。そうするの。美由ちゃん、肘を少し下げて》
「これくらい?」
「そっか。こうするんだ」
「ふふ。ほめられた」
優希達三人娘は、天柳によるマナー講座を受けながら食べている。固くなりすぎないので、三人も嫌がりもせずに気楽に楽しんでいた。
『目指せ一流レディ』らしい。
「キショウさんのご趣味は」
《……園芸?》
「はっ、お花育てるんですねっ。どんな花が好きですか」
《……小さいの……かすみ草……とか……》
「可愛いですねっ。可憐なキショウさんに似合いますっ」
《……ありがと……》
こちらはお見合いのような感じだ。俊哉はのぼせ上がっているが、綺翔はいつも通りなので、温度差がすごい。
「ねえ。あれいいの?」
「和泉のやつ、舞い上がりすぎだな……」
那津と時島の先生コンビはかなり引いていた。
「今晩だけなので。それに、綺翔も珍しくまともに話しているので、たまにはいいかなと」
「綺翔ちゃんって、普段は『諾』とか『否』しか言わないものね」
「そうそう。高耶君とは意外と喋るけど、僕らとかだとまだ頷くとかが多いかな。あんなに喋ってるの珍しいよ」
美咲と樹は感心している。まともに話せている俊哉がすごいらしい。
「なにこれ……すごい美味いし……本当に金取らないのか?」
「うん。野菜とかも全部、自家製だし。お肉とかは献上品かな。全部がそうじゃないだろうけど、物々交換とかで手に入れてるはずだから」
「……これが普通ってことか……」
「だね。それに、レストランとかって人件費が掛かるから高くなるんだよ。けど、ここの従業員はお金かからないからね。料理とかする家族にお金を払わないようなものだよ」
「……なるほど……やっぱ、これが普通だと……」
贅沢過ぎるなと拓真は料理を噛み締めた。一流のシェフ並みの料理の数々は、統二にとっては家事をする母親と同列らしいと分かり、微妙な気持ちになったようだ。
「本当に素晴らしいディナーですね」
「ふふ。満足していただけて嬉しいわ。ここの子達は、こうして喜んでくださるのを見てまた成長しますわ」
「ここまでレベルの高い式はそうそういませんよ」
「修行に行かせた甲斐がありましたわ」
瑶迦は自慢の式達の仕事振りを褒められて嬉しそうだ。源龍はひたすら感心している。
「そうだわ。高耶さん。一曲弾いていただけないかしら」
「いいですよ」
部屋の隅には、小さめのグランドピアノが置かれていた。いつでも弾けるように準備も万端の状態だ。
高耶はバイト先で弾いているような曲から選曲する。あまりガチャガチャしない大人しめの曲だ。
「た、高耶くん……本当にピアノ上手いのね……」
「ステキね……これは本気でピアノの先生を頼もうかしら……」
美奈深と由香理はうっとりとしながらも食べることも忘れなかった。
そうして、いい雰囲気になってきたのだが、外が大変なことになっていることに気付いたのだ。
***********
読んでくださりありがとうございます◎
これから楽しい夕食なのだ。
「すごい美味しいっ。家で作れないかしら」
「本当に美味しい……何を使ってるの?」
《全く同じものとはいかんが、スーパーで揃うものでレシピを教えよう》
「ハクさん本当!? 是非っ」
「一緒にお買い物しようよ~」
美奈深と由香理は珀豪と料理の相談中らしい。式神とはいえ、さすがはデキる主夫だ。楽しそうなので良しとする。
《ほら、優希ちゃん。こうしてフォークを持って。あ、可奈ちゃん、上手よ。そう。そうするの。美由ちゃん、肘を少し下げて》
「これくらい?」
「そっか。こうするんだ」
「ふふ。ほめられた」
優希達三人娘は、天柳によるマナー講座を受けながら食べている。固くなりすぎないので、三人も嫌がりもせずに気楽に楽しんでいた。
『目指せ一流レディ』らしい。
「キショウさんのご趣味は」
《……園芸?》
「はっ、お花育てるんですねっ。どんな花が好きですか」
《……小さいの……かすみ草……とか……》
「可愛いですねっ。可憐なキショウさんに似合いますっ」
《……ありがと……》
こちらはお見合いのような感じだ。俊哉はのぼせ上がっているが、綺翔はいつも通りなので、温度差がすごい。
「ねえ。あれいいの?」
「和泉のやつ、舞い上がりすぎだな……」
那津と時島の先生コンビはかなり引いていた。
「今晩だけなので。それに、綺翔も珍しくまともに話しているので、たまにはいいかなと」
「綺翔ちゃんって、普段は『諾』とか『否』しか言わないものね」
「そうそう。高耶君とは意外と喋るけど、僕らとかだとまだ頷くとかが多いかな。あんなに喋ってるの珍しいよ」
美咲と樹は感心している。まともに話せている俊哉がすごいらしい。
「なにこれ……すごい美味いし……本当に金取らないのか?」
「うん。野菜とかも全部、自家製だし。お肉とかは献上品かな。全部がそうじゃないだろうけど、物々交換とかで手に入れてるはずだから」
「……これが普通ってことか……」
「だね。それに、レストランとかって人件費が掛かるから高くなるんだよ。けど、ここの従業員はお金かからないからね。料理とかする家族にお金を払わないようなものだよ」
「……なるほど……やっぱ、これが普通だと……」
贅沢過ぎるなと拓真は料理を噛み締めた。一流のシェフ並みの料理の数々は、統二にとっては家事をする母親と同列らしいと分かり、微妙な気持ちになったようだ。
「本当に素晴らしいディナーですね」
「ふふ。満足していただけて嬉しいわ。ここの子達は、こうして喜んでくださるのを見てまた成長しますわ」
「ここまでレベルの高い式はそうそういませんよ」
「修行に行かせた甲斐がありましたわ」
瑶迦は自慢の式達の仕事振りを褒められて嬉しそうだ。源龍はひたすら感心している。
「そうだわ。高耶さん。一曲弾いていただけないかしら」
「いいですよ」
部屋の隅には、小さめのグランドピアノが置かれていた。いつでも弾けるように準備も万端の状態だ。
高耶はバイト先で弾いているような曲から選曲する。あまりガチャガチャしない大人しめの曲だ。
「た、高耶くん……本当にピアノ上手いのね……」
「ステキね……これは本気でピアノの先生を頼もうかしら……」
美奈深と由香理はうっとりとしながらも食べることも忘れなかった。
そうして、いい雰囲気になってきたのだが、外が大変なことになっていることに気付いたのだ。
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