105 / 416
第三章 秘伝の弟子
105 感心している場合ではないです
しおりを挟む
高耶と源龍は、学校の近くの図書館にドアを繋ぎ、急いで学校までやって来た。
「これは……っ」
まさかと思いながら学校に近付くが、何かに阻まれる感覚があった。
学校の前を通る者達はこの異変に気付いていない。
例えば、学校で遊ぼうと思ってやって来た子ども達も、不意に何かを思い出したように取って返していく。
「もしかして……異界化?」
源龍は驚きながらこの現象を見ていた。
高耶や源龍ほどの術者ならば、学校の中の空間が所々歪んで見えていた。渦を巻いているようにも見え、とても不気味だ。
こんな現象に出会うことなどほどんどない。人のいない山奥などで、ほんの時折見られるものだ。こうした人の住む密集地で起こることは稀だった。
これは強い妖が無理やりこちら側へ来ようとし、それを抑えようと神の力が暴走した時に起きる現象だと言われている。
街中で暴走するほど神の力が強くなることは中々ないし、そもそも、強い妖が無理やり出てくるということは現代では条件的に難しい。
その条件とは生贄だ。
「誰かがおかしなものを召喚しようとしたみたいですね……」
「こんなこと一体誰が……」
高耶は考えていた。突然流行りだしたらしいコックリさん。それは誰が始めたものだったのだろうか。
もしかしたら、神の力を暴走させるために誰かが仕掛けたことだったのかもしれない。
状況を悪化させる条件を満たす場所。そこに目を付けた者がいたのだ。
不意に頭に浮かんだのは、一人の少女だった。
ここに、源龍と共に来たこと。それは偶然ではないのではないか。そう思わずにはいられなかった。
「……考えるのは後にしましょう。中に入ります」
「っ、わかった」
高耶は神の力と同調する。そして、ゆっくりと空間を押しひらくようにして足を踏み出した。
その後に続いて源龍が高耶が開いた場所へ飛び込む。
中に入ると、酷い耳鳴りがした。
「くっ、これはキツイね」
「っ、ええ……そのうち慣れるんでしょうが……急ぎましょう」
一気に気圧が変わったようなそんな感覚だ。しだいに気にならなくなった。
高耶は職員玄関の方へ迷わず向かう。だんだんと生暖かいような、まとわり付く不快な空気を感じる。嫌な予感がして、高耶は水刃刀を作り出した。
「高耶君?」
「何か変です……妖だけの気配じゃない……」
「っ……なるほど……これは、怨念を持った悪霊の気配だね」
源龍に言われて納得する。確かに、これは霊の気配だ。
そうして、見えたのは、ボロボロの鎧を付けた骸骨だった。
「っ、どっから連れてきた!?」
この場所にこんなものは居なかった。それは確認済みだ。
彼らは無念の想いを残しながらも眠っていたものだ。そんな魂を無理やり起こしてここに連れてきた者がいると知って、高耶は一気に頭に血が上るのを感じていた。
その地に囚われている霊の場所を無理に移せば彼らは混乱し、凶暴化する。
これは意思を乱す行為なのだ。その場所に留まっているからこそ、彼らは想いを固定化して存在している。
怨念を晴らす浄化ではなく、こうして移動させる行為だけはしてはならないというのが陰陽師の中での常識だ。
「本当にこんなことになるんだね……絶対やるなって言われて育ったけど、こうして見ると本当にダメなことだって分かるよ……」
「源龍さん、感心してないでくださいよっ」
「あはは。ごめん。なんかもうすごくって」
笑うしかなかったらしい。
確かに笑えるほどの酷い惨状だ。凶暴化した彼らは、手当たり次第に暴れ、学校を破壊しようとしているほどだ。
「早くどうにかしないと、これ戻すの大変ですよっ?」
「うん。高耶君が泣きそうな気持ち、今ちょっと分かった。アレはマズイね……」
窓を割って外に飛び出してくるのを見てしまったのだ。
アレも直さないといけないと思うと源龍も気が重くなったらしい。
「浄化できないほどの頑固者じゃないのが救いだね」
源龍がそうして目を向けた先で、常盤が次々に落ち武者達を浄化していた。
「まったくです……【綺翔】」
綺翔が現れると、彼女はすぐに状況を確認して頷いた。
常盤と協力して外に溢れ出た落ち武者達を浄化し始める。
「外は二人に任せましょう。あそこに妹達がいます。そちらへまず行きます。最悪、校舎だけなら、ここの土地神と協力して時間を戻せますから」
「それに期待しようか」
高耶と源龍は、外に溢れ出そうとする落ち武者達を浄化しながら、校舎へ入った。
中はそれこそ、ぎっしりと落ち武者達が詰まっていて驚いた。
「すごい数だね……」
「合戦場のを丸ごと移したんでしょうか……」
慣れている高耶達でも気持ちが悪い。うんざりする数だ。
ただ、廊下は狭いので、水刃刀で一振りすれば一気に数メートル分は片付く。
職員室も覗くと、そこでは教師達が倒れていた。瘴気に当てられたのだろう。高耶は浄化の札を中へ飛ばし、守護の結界を張った。
起きることはないだろうが、これで彼らは大丈夫だろう。あまり瘴気に長く晒されると、後遺症が残る心配があるのだ。
「高耶君って、術を連発しても平然としてるよね……今日は過去視までしてるし、大丈夫かい?」
「特に問題はないですけど」
「……普通はもうとっくにバテて気絶してると思うんだけど」
「平気ですよ?」
「そう……無理しないでね……」
源龍は、改めて高耶の非常識さを再認識していた。
おそらく、源龍でもこちら側へ侵入したあの時点でかなり消耗する。以前にこの地の神と交流があったとはいえ、難しいことなのだ。
それを苦もなくやり遂げ、更に水刃刀を作り、それで悪霊を浄化して先導するなど、まず体力に問題のある多くの陰陽師達では考えられない。
「やっぱり秘伝はすごいんだね……」
純粋な陰陽師の家系ではないということで、秘伝を軽視する者が多い中。それでも無理に首領の座に据えることの意味が源龍には今、分かった気がした。
高耶は羨望の想いでもって見つめる源龍のことなど気にすることなく、校長室の前で立ち止まる。
「これは、統二の結界か」
「統二って、確か秘伝のところの次男じゃなかったかい? すごいね。四等級の結界じゃないか」
「ええ。統二、そのままでいい。入るぞ」
他人の結界に干渉するのは、お互いに負担がかかるものだ。なので、一声かけるのが礼儀だ。本来ならば、結界を解いてもらうか、力を緩めてもらうのだが、高耶はそれを必要とせず、綺麗に同調して扉を開けるようにして入り込んだ。
その際、源龍の腕を引いて一緒に入ることで、高耶の一部として通ることができた。
部屋の中に入ると、優希が飛び付いてくる。それに続いて統二も駆け寄ってきた。
「おにいちゃんっ」
「高耶兄さんっ」
二人とも目を潤ませていた。
「よく頑張ったな」
「ふぇっ………おにいちゃぁん……っ」
「っ、はい……っ」
本気で泣き出したのに苦笑しながら、随分高さの違う二人の頭をよしよしと撫でてやった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
2019. 4. 10
「これは……っ」
まさかと思いながら学校に近付くが、何かに阻まれる感覚があった。
学校の前を通る者達はこの異変に気付いていない。
例えば、学校で遊ぼうと思ってやって来た子ども達も、不意に何かを思い出したように取って返していく。
「もしかして……異界化?」
源龍は驚きながらこの現象を見ていた。
高耶や源龍ほどの術者ならば、学校の中の空間が所々歪んで見えていた。渦を巻いているようにも見え、とても不気味だ。
こんな現象に出会うことなどほどんどない。人のいない山奥などで、ほんの時折見られるものだ。こうした人の住む密集地で起こることは稀だった。
これは強い妖が無理やりこちら側へ来ようとし、それを抑えようと神の力が暴走した時に起きる現象だと言われている。
街中で暴走するほど神の力が強くなることは中々ないし、そもそも、強い妖が無理やり出てくるということは現代では条件的に難しい。
その条件とは生贄だ。
「誰かがおかしなものを召喚しようとしたみたいですね……」
「こんなこと一体誰が……」
高耶は考えていた。突然流行りだしたらしいコックリさん。それは誰が始めたものだったのだろうか。
もしかしたら、神の力を暴走させるために誰かが仕掛けたことだったのかもしれない。
状況を悪化させる条件を満たす場所。そこに目を付けた者がいたのだ。
不意に頭に浮かんだのは、一人の少女だった。
ここに、源龍と共に来たこと。それは偶然ではないのではないか。そう思わずにはいられなかった。
「……考えるのは後にしましょう。中に入ります」
「っ、わかった」
高耶は神の力と同調する。そして、ゆっくりと空間を押しひらくようにして足を踏み出した。
その後に続いて源龍が高耶が開いた場所へ飛び込む。
中に入ると、酷い耳鳴りがした。
「くっ、これはキツイね」
「っ、ええ……そのうち慣れるんでしょうが……急ぎましょう」
一気に気圧が変わったようなそんな感覚だ。しだいに気にならなくなった。
高耶は職員玄関の方へ迷わず向かう。だんだんと生暖かいような、まとわり付く不快な空気を感じる。嫌な予感がして、高耶は水刃刀を作り出した。
「高耶君?」
「何か変です……妖だけの気配じゃない……」
「っ……なるほど……これは、怨念を持った悪霊の気配だね」
源龍に言われて納得する。確かに、これは霊の気配だ。
そうして、見えたのは、ボロボロの鎧を付けた骸骨だった。
「っ、どっから連れてきた!?」
この場所にこんなものは居なかった。それは確認済みだ。
彼らは無念の想いを残しながらも眠っていたものだ。そんな魂を無理やり起こしてここに連れてきた者がいると知って、高耶は一気に頭に血が上るのを感じていた。
その地に囚われている霊の場所を無理に移せば彼らは混乱し、凶暴化する。
これは意思を乱す行為なのだ。その場所に留まっているからこそ、彼らは想いを固定化して存在している。
怨念を晴らす浄化ではなく、こうして移動させる行為だけはしてはならないというのが陰陽師の中での常識だ。
「本当にこんなことになるんだね……絶対やるなって言われて育ったけど、こうして見ると本当にダメなことだって分かるよ……」
「源龍さん、感心してないでくださいよっ」
「あはは。ごめん。なんかもうすごくって」
笑うしかなかったらしい。
確かに笑えるほどの酷い惨状だ。凶暴化した彼らは、手当たり次第に暴れ、学校を破壊しようとしているほどだ。
「早くどうにかしないと、これ戻すの大変ですよっ?」
「うん。高耶君が泣きそうな気持ち、今ちょっと分かった。アレはマズイね……」
窓を割って外に飛び出してくるのを見てしまったのだ。
アレも直さないといけないと思うと源龍も気が重くなったらしい。
「浄化できないほどの頑固者じゃないのが救いだね」
源龍がそうして目を向けた先で、常盤が次々に落ち武者達を浄化していた。
「まったくです……【綺翔】」
綺翔が現れると、彼女はすぐに状況を確認して頷いた。
常盤と協力して外に溢れ出た落ち武者達を浄化し始める。
「外は二人に任せましょう。あそこに妹達がいます。そちらへまず行きます。最悪、校舎だけなら、ここの土地神と協力して時間を戻せますから」
「それに期待しようか」
高耶と源龍は、外に溢れ出そうとする落ち武者達を浄化しながら、校舎へ入った。
中はそれこそ、ぎっしりと落ち武者達が詰まっていて驚いた。
「すごい数だね……」
「合戦場のを丸ごと移したんでしょうか……」
慣れている高耶達でも気持ちが悪い。うんざりする数だ。
ただ、廊下は狭いので、水刃刀で一振りすれば一気に数メートル分は片付く。
職員室も覗くと、そこでは教師達が倒れていた。瘴気に当てられたのだろう。高耶は浄化の札を中へ飛ばし、守護の結界を張った。
起きることはないだろうが、これで彼らは大丈夫だろう。あまり瘴気に長く晒されると、後遺症が残る心配があるのだ。
「高耶君って、術を連発しても平然としてるよね……今日は過去視までしてるし、大丈夫かい?」
「特に問題はないですけど」
「……普通はもうとっくにバテて気絶してると思うんだけど」
「平気ですよ?」
「そう……無理しないでね……」
源龍は、改めて高耶の非常識さを再認識していた。
おそらく、源龍でもこちら側へ侵入したあの時点でかなり消耗する。以前にこの地の神と交流があったとはいえ、難しいことなのだ。
それを苦もなくやり遂げ、更に水刃刀を作り、それで悪霊を浄化して先導するなど、まず体力に問題のある多くの陰陽師達では考えられない。
「やっぱり秘伝はすごいんだね……」
純粋な陰陽師の家系ではないということで、秘伝を軽視する者が多い中。それでも無理に首領の座に据えることの意味が源龍には今、分かった気がした。
高耶は羨望の想いでもって見つめる源龍のことなど気にすることなく、校長室の前で立ち止まる。
「これは、統二の結界か」
「統二って、確か秘伝のところの次男じゃなかったかい? すごいね。四等級の結界じゃないか」
「ええ。統二、そのままでいい。入るぞ」
他人の結界に干渉するのは、お互いに負担がかかるものだ。なので、一声かけるのが礼儀だ。本来ならば、結界を解いてもらうか、力を緩めてもらうのだが、高耶はそれを必要とせず、綺麗に同調して扉を開けるようにして入り込んだ。
その際、源龍の腕を引いて一緒に入ることで、高耶の一部として通ることができた。
部屋の中に入ると、優希が飛び付いてくる。それに続いて統二も駆け寄ってきた。
「おにいちゃんっ」
「高耶兄さんっ」
二人とも目を潤ませていた。
「よく頑張ったな」
「ふぇっ………おにいちゃぁん……っ」
「っ、はい……っ」
本気で泣き出したのに苦笑しながら、随分高さの違う二人の頭をよしよしと撫でてやった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
2019. 4. 10
151
お気に入りに追加
1,452
あなたにおすすめの小説

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

シルバーヒーローズ!〜異世界でも現世でもまだまだ現役で大暴れします!〜
紫南
ファンタジー
◇◇◇異世界冒険、ギルド職員から人生相談までなんでもござれ!◇◇◇
『ふぁんたじーってやつか?』
定年し、仕事を退職してから十年と少し。
宗徳(むねのり)は妻、寿子(ひさこ)の提案でシルバー派遣の仕事をすると決めた。
しかし、その内容は怪しいものだった。
『かつての経験を生かし、異世界を救う仕事です!』
そんな胡散臭いチラシを見せられ、半信半疑で面接に向かう。
ファンタジーも知らない熟年夫婦が異世界で活躍!?
ーー勇者じゃないけど、もしかして最強!?
シルバー舐めんなよ!!
元気な老夫婦の異世界お仕事ファンタジー開幕!!
雇われ側妃は邪魔者のいなくなった後宮で高らかに笑う
ちゃっぷ
キャラ文芸
多少嫁ぎ遅れてはいるものの、宰相をしている父親のもとで平和に暮らしていた女性。
煌(ファン)国の皇帝は大変な女好きで、政治は宰相と皇弟に丸投げして後宮に入り浸り、お気に入りの側妃/上級妃たちに囲まれて過ごしていたが……彼女には関係ないこと。
そう思っていたのに父親から「皇帝に上級妃を排除したいと相談された。お前に後宮に入って邪魔者を排除してもらいたい」と頼まれる。
彼女は『上級妃を排除した後の後宮を自分にくれること』を条件に、雇われ側妃として後宮に入る。
そして、皇帝から自分を楽しませる女/遊姫(ヨウチェン)という名を与えられる。
しかし突然上級妃として後宮に入る遊姫のことを上級妃たちが良く思うはずもなく、彼女に幼稚な嫌がらせをしてきた。
自分を害する人間が大嫌いで、やられたらやり返す主義の遊姫は……必ず邪魔者を惨めに、後宮から追放することを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる