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第3章 蒼き海原と氷雪の砦
44話 活路の光
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「いっけええええッ!!」
裂帛の気合とともに放った全力の斬撃が巨大ムカデの凶悪極まりない顎肢に衝突する。びりびりと激しい振動が剣から伝わって腕を叩き傷口から血が噴き出すが、ここで剣を手放すわけにはいかない。砕けんばかりに歯を噛みしめると俺は力ずくで剣を斜めに振り抜いた。刃が欠けたのか、あるいはムカデの頑丈な甲殻が破壊されたのか判断できないつんざくような轟音が耳元で響き渡り、俺の体は反作用で後方に吹き飛ばされた。纏いを発動して持ち上げられた頭部を攻撃したため俺は地面から三メートルほど上空に投げ出されており、再び地面から二撃目を放つのは困難だ。だがしかし、それならば放物線が描く先の壁を地面にすればいいだけの話だ。……もはやどうしようもないレベルにまで思考がこちらの世界に染まってきていることに関しては目を瞑っておこう。
ちらりと後方を見やって壁との距離感を掴むと両足にマナを集中させる。失敗すれば真っ逆さまに転落してほぼ確実に無事では済むまい。びたん! と両足の裏で洞窟の壁に垂直に着地すると、俺は再び纏いを発動してムカデの魔物に向かって飛び出した。当たり前だが奴は俺をはるかに上回る巨体なのでノックバックからの復帰も遅い。大きく体をのけ反らせるムカデに向かって俺は斜め下方向に直線を描きながら二撃目を放った。紫の光をまき散らして上段から左斜め下に突き進む刃はムカデの両触角を半ばから切り飛ばし、そのままバックハンドのプレモーションの位置に収まる。勢いを殺さぬままに流れ星よろしく落ちていく俺は着地すると同時に剣を切り払って先細りの胴を地面ごと分断した。どうやら後方に行けば行くほど細く、また甲殻も薄くなっているらしい。
長剣についた体液を振り払ってムカデの方に向き直ると、奴は先ほどまでの驚異的な空間把握力を失ったかのように壁やら地面やらに体をぶつけまくっていた。触角と胴体を切られた激痛に暴れまわっているのか、それともエコーロケーション能力を失ったのか定かではないが、こちらにとって好都合なのに変わりはないだろう。
かなり暗闇に慣れてきた視界の中でムカデの暴れまわる姿を剣を構えたまま見ていると、不意に俺の鼻先を海の匂いが掠めた。どきりと心臓が跳ねる。一筋の光に縋るように辺りを見回すと、ムカデの暴走で崩壊したのか天井の橋にぽっかりと穴が開いているのが見えた。よくよく目を凝らすとわずかに奥の方で光がちらついているのが見える。あそこまで登っていけばこの洞窟を脱出できるかもしれない。となればひとまず暴れまわる巨大ムカデを何とかしなくては脱出できるものもできなくなってしまう。不意に舞い降りてきた幸運をつかんで離さないように、俺は大きく深呼吸をすると両手の剣をしっかりと握りなおした。
それから十秒ほどの時間がかかってようやく巨大の暴走が止んだ。触覚の損失を補うように、以前よりも激しく顎肢を打ち鳴らして俺の姿を探している。このまま俺が動かなければもしやバレないのでは、という考えが頭の中をちらつくが、それではこの洞窟から脱出することはできなくなるかもしれない。
一挙手一投足に細心の注意を払いながら剣を一旦納めて腰のポーチから投擲釘を三本抜き取ると、俺はまず一本目をこちらに背を向けたムカデの頭のさらに先の地面に向かって振りかぶった。投げられた細長い釘はくるくると回転しながら一直線に洞窟の中を音もなく飛翔し、狙い通り巨大なムカデの赤い頭の真下に到達した。やや遅れてトライアングルを打ったような甲高く澄んだ破砕音が響き渡り、ムカデの頭が音源に向かう。この投擲釘という武器はかなり安価であるがゆえにその耐久力はかなり低い。一見弱点とも取れるこの性質を生かして巨大ムカデを誘導するのが俺の作戦だった。
まさかここまでうまくいくとは思わなかったが、ここで気を緩めるわけにはいかない。間髪入れずに二本目、三本目を岩肌に投げ込み、巨大ムカデが音に引かれて壁を上り始めたところで俺はムカデに向かって音を殺して走り出した。まだ奴までの距離は十分あるので投擲釘の音に夢中になっている今こちらの音に気づかれることはないだろうが、さらに近く、具体的には接触するほど近づけば感知されるのは自明だ。しかしそれが分かっているのならこちらにも策がある。
しかし、これほどまでに思惑通りに事が運ぶことはないと、当の本人である俺が一番悟っていた。慎重に走り出した俺の背中に突如、焼けた鉄を強く押しけつられたかのような、あるいは背中が弾けたかのような激痛が襲い掛かった。とてつもない衝撃が俺の体を押し、バランスを崩した俺は前方にぐらりと倒れていく。さっきまでこの空間には俺とムカデしかいなかったはず。なのにどうして俺は攻撃を受けて今倒れようとしているのか。ぎりぎりで手を突いて踏みとどまった俺は背後にその正体を見た。黒から紫色に遷移した艶のある連続した甲殻、それらを下から支える数本の多関節の脚、そしてその先端からこちらに向けて伸びるのは二本の赤い鞭のような棘……だろうか。俺に奇襲を仕掛けた犯人は俺が切断したムカデの尻尾だった。
「くそ……ッ!」
背中を這い上る激痛をこらえながら俺はミュートで毒づく。恐らくだが胸当ての背中部分についた装甲が破壊され鞭の一撃は生身にすら達している。そして、ムカデの尻尾の攻撃でかなり大きな音が発生してしまったがゆえに、岩壁に這い上っていた巨大ムカデの本体もこちらに頭だけを向けて音を探っていた。まずい、一気に形勢をひっくり返された。焦りに身を任せて強引に長剣を引き抜くと未だこちらにゆらゆらと尾を向けてくるムカデの下半身に刃を向けた。可能な限り粛然と、そしてかつ迅速にこいつを仕留める。
先に動き始めたのはムカデの分裂体の方だった。本体よりもいくらか小柄な脚を巧みに動かして俺の元へ素早く走り寄ると、両の鞭を左右に振りかぶった。鞭の先端部は振り払われたとき音速にも達するという話を聞いたことがある。それがこいつの攻撃にも適用されるのかは定かではないが軌道を見てから避けるのは不可能なように思える。俺は姿勢を限界まで引くしてから右肩に剣を担いで全力で走り始める。ムカデ分裂体との距離が縮まっていく間にも俺は倒れんばかりに姿勢を低くしていき、スローモーションに映る視界の中で鞭が俺を両側から切り裂かんと動き始めた瞬間に俺は纏いを発動した。紫電のような勢いで超低空を滑走すると、俺の体は鞭の交差する点すら通過して奴の体の下に潜り込んだ。
「……ッ!!」
無言の気合を込めて長剣を頭上の体に叩きつける。纏いによって超加速された剣の一撃は比較的柔らかい下側の甲殻を容易く切り裂き、そしてそのまま上側の甲殻すら貫いていく。両手持ちに切り替えて剣を思い切り前方に倒しながら俺はムカデの体の下を通過しきり、奴の体は半ばから縦にぱっくりと裂けて動かなくなった。
あとはあの巨大なムカデを何とかして洞窟を出るだけ。体を起こして剣を振り払って逆手に持つと俺は接近を始めたムカデの本体に向かって疾走を始めた。ムカデの体は前半三分の一ほどが洞窟の壁から離れ、いつでも俺を仕留められるようにこちらに鎌首をもたげている。見た目の生理的嫌悪感とその巨体への原始的恐怖に足が止まりそうになるが、それらの拒否感すら押し殺して俺は纏いを発動させる。景色が瞬く間に後方に流れ、同時にどんどんとムカデの醜悪な顎肢が接近してくる。焦るな。あと二メートル……一メートル……、ここだ!
「飛べえええッ!!」
超加速されたままに地面を粉砕する勢いで踏み込むと、俺の体はまっすぐムカデの頭に向かって飛び出した。飛んで火にいる夏の虫だとでもいうような構図に、巨大ムカデも嬉々として俺に向かって牙を伸ばす。そして俺の体の軌道とムカデの迫る牙が交差し、俺の体をその鋭い得物が軽々と突き破る──寸前に、間に滑り込んだ左手の籠手と右手の長剣がそれらを防いだ。そのままの速度を維持して俺は牙を受け流しながらさらに上空に飛び出す。そしてぎりぎり俺の左手が到達点──外へとつながる穴の縁に引っ掛かった。体を振って穴を奥へと滑り込んだ直後、追跡する牙が縁のすぐ下、つまり俺の体がついさっきまであったところを掠めていった。
「助かった、のか……?」
辛くもムカデの魔の手を逃れて穴の奥へと走った俺の目に映ったのは、一筋の午後の光が洞窟の上部から差し込む、幻想的な、そして俺の最も欲していた光景だった。
裂帛の気合とともに放った全力の斬撃が巨大ムカデの凶悪極まりない顎肢に衝突する。びりびりと激しい振動が剣から伝わって腕を叩き傷口から血が噴き出すが、ここで剣を手放すわけにはいかない。砕けんばかりに歯を噛みしめると俺は力ずくで剣を斜めに振り抜いた。刃が欠けたのか、あるいはムカデの頑丈な甲殻が破壊されたのか判断できないつんざくような轟音が耳元で響き渡り、俺の体は反作用で後方に吹き飛ばされた。纏いを発動して持ち上げられた頭部を攻撃したため俺は地面から三メートルほど上空に投げ出されており、再び地面から二撃目を放つのは困難だ。だがしかし、それならば放物線が描く先の壁を地面にすればいいだけの話だ。……もはやどうしようもないレベルにまで思考がこちらの世界に染まってきていることに関しては目を瞑っておこう。
ちらりと後方を見やって壁との距離感を掴むと両足にマナを集中させる。失敗すれば真っ逆さまに転落してほぼ確実に無事では済むまい。びたん! と両足の裏で洞窟の壁に垂直に着地すると、俺は再び纏いを発動してムカデの魔物に向かって飛び出した。当たり前だが奴は俺をはるかに上回る巨体なのでノックバックからの復帰も遅い。大きく体をのけ反らせるムカデに向かって俺は斜め下方向に直線を描きながら二撃目を放った。紫の光をまき散らして上段から左斜め下に突き進む刃はムカデの両触角を半ばから切り飛ばし、そのままバックハンドのプレモーションの位置に収まる。勢いを殺さぬままに流れ星よろしく落ちていく俺は着地すると同時に剣を切り払って先細りの胴を地面ごと分断した。どうやら後方に行けば行くほど細く、また甲殻も薄くなっているらしい。
長剣についた体液を振り払ってムカデの方に向き直ると、奴は先ほどまでの驚異的な空間把握力を失ったかのように壁やら地面やらに体をぶつけまくっていた。触角と胴体を切られた激痛に暴れまわっているのか、それともエコーロケーション能力を失ったのか定かではないが、こちらにとって好都合なのに変わりはないだろう。
かなり暗闇に慣れてきた視界の中でムカデの暴れまわる姿を剣を構えたまま見ていると、不意に俺の鼻先を海の匂いが掠めた。どきりと心臓が跳ねる。一筋の光に縋るように辺りを見回すと、ムカデの暴走で崩壊したのか天井の橋にぽっかりと穴が開いているのが見えた。よくよく目を凝らすとわずかに奥の方で光がちらついているのが見える。あそこまで登っていけばこの洞窟を脱出できるかもしれない。となればひとまず暴れまわる巨大ムカデを何とかしなくては脱出できるものもできなくなってしまう。不意に舞い降りてきた幸運をつかんで離さないように、俺は大きく深呼吸をすると両手の剣をしっかりと握りなおした。
それから十秒ほどの時間がかかってようやく巨大の暴走が止んだ。触覚の損失を補うように、以前よりも激しく顎肢を打ち鳴らして俺の姿を探している。このまま俺が動かなければもしやバレないのでは、という考えが頭の中をちらつくが、それではこの洞窟から脱出することはできなくなるかもしれない。
一挙手一投足に細心の注意を払いながら剣を一旦納めて腰のポーチから投擲釘を三本抜き取ると、俺はまず一本目をこちらに背を向けたムカデの頭のさらに先の地面に向かって振りかぶった。投げられた細長い釘はくるくると回転しながら一直線に洞窟の中を音もなく飛翔し、狙い通り巨大なムカデの赤い頭の真下に到達した。やや遅れてトライアングルを打ったような甲高く澄んだ破砕音が響き渡り、ムカデの頭が音源に向かう。この投擲釘という武器はかなり安価であるがゆえにその耐久力はかなり低い。一見弱点とも取れるこの性質を生かして巨大ムカデを誘導するのが俺の作戦だった。
まさかここまでうまくいくとは思わなかったが、ここで気を緩めるわけにはいかない。間髪入れずに二本目、三本目を岩肌に投げ込み、巨大ムカデが音に引かれて壁を上り始めたところで俺はムカデに向かって音を殺して走り出した。まだ奴までの距離は十分あるので投擲釘の音に夢中になっている今こちらの音に気づかれることはないだろうが、さらに近く、具体的には接触するほど近づけば感知されるのは自明だ。しかしそれが分かっているのならこちらにも策がある。
しかし、これほどまでに思惑通りに事が運ぶことはないと、当の本人である俺が一番悟っていた。慎重に走り出した俺の背中に突如、焼けた鉄を強く押しけつられたかのような、あるいは背中が弾けたかのような激痛が襲い掛かった。とてつもない衝撃が俺の体を押し、バランスを崩した俺は前方にぐらりと倒れていく。さっきまでこの空間には俺とムカデしかいなかったはず。なのにどうして俺は攻撃を受けて今倒れようとしているのか。ぎりぎりで手を突いて踏みとどまった俺は背後にその正体を見た。黒から紫色に遷移した艶のある連続した甲殻、それらを下から支える数本の多関節の脚、そしてその先端からこちらに向けて伸びるのは二本の赤い鞭のような棘……だろうか。俺に奇襲を仕掛けた犯人は俺が切断したムカデの尻尾だった。
「くそ……ッ!」
背中を這い上る激痛をこらえながら俺はミュートで毒づく。恐らくだが胸当ての背中部分についた装甲が破壊され鞭の一撃は生身にすら達している。そして、ムカデの尻尾の攻撃でかなり大きな音が発生してしまったがゆえに、岩壁に這い上っていた巨大ムカデの本体もこちらに頭だけを向けて音を探っていた。まずい、一気に形勢をひっくり返された。焦りに身を任せて強引に長剣を引き抜くと未だこちらにゆらゆらと尾を向けてくるムカデの下半身に刃を向けた。可能な限り粛然と、そしてかつ迅速にこいつを仕留める。
先に動き始めたのはムカデの分裂体の方だった。本体よりもいくらか小柄な脚を巧みに動かして俺の元へ素早く走り寄ると、両の鞭を左右に振りかぶった。鞭の先端部は振り払われたとき音速にも達するという話を聞いたことがある。それがこいつの攻撃にも適用されるのかは定かではないが軌道を見てから避けるのは不可能なように思える。俺は姿勢を限界まで引くしてから右肩に剣を担いで全力で走り始める。ムカデ分裂体との距離が縮まっていく間にも俺は倒れんばかりに姿勢を低くしていき、スローモーションに映る視界の中で鞭が俺を両側から切り裂かんと動き始めた瞬間に俺は纏いを発動した。紫電のような勢いで超低空を滑走すると、俺の体は鞭の交差する点すら通過して奴の体の下に潜り込んだ。
「……ッ!!」
無言の気合を込めて長剣を頭上の体に叩きつける。纏いによって超加速された剣の一撃は比較的柔らかい下側の甲殻を容易く切り裂き、そしてそのまま上側の甲殻すら貫いていく。両手持ちに切り替えて剣を思い切り前方に倒しながら俺はムカデの体の下を通過しきり、奴の体は半ばから縦にぱっくりと裂けて動かなくなった。
あとはあの巨大なムカデを何とかして洞窟を出るだけ。体を起こして剣を振り払って逆手に持つと俺は接近を始めたムカデの本体に向かって疾走を始めた。ムカデの体は前半三分の一ほどが洞窟の壁から離れ、いつでも俺を仕留められるようにこちらに鎌首をもたげている。見た目の生理的嫌悪感とその巨体への原始的恐怖に足が止まりそうになるが、それらの拒否感すら押し殺して俺は纏いを発動させる。景色が瞬く間に後方に流れ、同時にどんどんとムカデの醜悪な顎肢が接近してくる。焦るな。あと二メートル……一メートル……、ここだ!
「飛べえええッ!!」
超加速されたままに地面を粉砕する勢いで踏み込むと、俺の体はまっすぐムカデの頭に向かって飛び出した。飛んで火にいる夏の虫だとでもいうような構図に、巨大ムカデも嬉々として俺に向かって牙を伸ばす。そして俺の体の軌道とムカデの迫る牙が交差し、俺の体をその鋭い得物が軽々と突き破る──寸前に、間に滑り込んだ左手の籠手と右手の長剣がそれらを防いだ。そのままの速度を維持して俺は牙を受け流しながらさらに上空に飛び出す。そしてぎりぎり俺の左手が到達点──外へとつながる穴の縁に引っ掛かった。体を振って穴を奥へと滑り込んだ直後、追跡する牙が縁のすぐ下、つまり俺の体がついさっきまであったところを掠めていった。
「助かった、のか……?」
辛くもムカデの魔の手を逃れて穴の奥へと走った俺の目に映ったのは、一筋の午後の光が洞窟の上部から差し込む、幻想的な、そして俺の最も欲していた光景だった。
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