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第2章 王都フレンテと魔王の影
24話 森奥の怪物
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初めてのマナーゼンとしての魔物狩りから十日ほど経っただろうか。
ようやくこの街での生活にも慣れてきた俺は、毎日のように狩りをこなしながら、空いた時間で魔法について学んだり、街中を散策したりして過ごしていた。そんな生活の中で発見したことを振り返ってみよう。
まずいつも俺が狩りに行っている森についてだ。初めて狩りをしたときには、スネウフといった小型犬くらいの大きさの魔物しか出てこなかったが、これは狩りをしたのが森の浅いところだったかららしい。より奥深くに潜るほど巨大で危険な魔物がいると熟練のマナーゼンであるローガンさんが教えてくれた。慣れてきたとはいえ俺もまだまだ素人同然なので、森の奥には踏み入っていない。
次にここ王都フレンテにある施設について。街の中央にある王城から少し東に逸れたところに大きな図書館があった。四階建ての円柱型の建物だが、ドーナツかのように真ん中が一階から四階まで吹き抜けになっており、天井に空いた小さな窓から光が差し込む様子はきれいという表現を通り越してもはや神秘的だ。一階一階に、足元から手の届かないような高さまでおびただしい量の本が収められており、一生かかっても俺には読破しきれないだろう。この図書館を発見して以来、俺は元の世界への帰還方法を探るためにここを訪れては関連しそうな本を読んでいるが、未だにそれらしい記述は見つけられていない。
そして街の中で俺が特に気に入っているのが南東部の商店街だ。先日ギルドを訪れた俺に、ギルドのスタッフであるエナセラさんが森の奥に潜るなら防具を買っておいたほうがいいと言って勧めてくれたのが、この商店街にある防具屋だったのだ。その商店街は初めてこの街を訪れた時に行った出店の並ぶエリアとは趣向が異なり、より専門的なものが多く並んでいた。そこの防具屋で軽量の胸当てと盾代わりの左手用の籠手、あとは細々とした装備を購入した俺は、その後武器屋やら薬屋やら魔石屋やらファンタジー味溢れる店を見て回った。
そんなこんなで忙しない毎日を送る俺は、今日も今日とてギルドにやってきて、俺の担当になったエナセラさんに狩りの前に一声かけに来ていた。ギルドの方にも換金の準備があるので事前に声をかけるのが不文律となっているとのことである。
まずは受付用のカウンターに並んで、順番が来たらエナセラさんお願いします、と言って彼女を呼んでもらう。マナーゼンの母数の方がギルドスタッフよりも圧倒的に多いのでスタッフさんが応対中の時もあるが、そういう時は代理で別のスタッフさんが対応してくれる。今日は早い時間ということもあってあまりほかのマナーゼンが少ないのですぐにエナセラさんはやって来た。
「おはようございます。今日も狩りに行ってきます。多分日暮れまでには帰ります」
毎回帰りを伝えなければならないのは、ギルドで大まかな帰る時間を伝えることでマナーゼンの安否を確認するという仕組みがあり、姿が見えなければすぐに対処できるかららしい。
「おはようございます、ソウマ様。日暮れまで、ですね、了解いたしました。……あ、今日はもしかすると午後から雨が降るかもしれないのでお気をつけください」
そういってエナセラさんが横の壁に据えられた装置を示す。五百ミリリットルボトルくらいのサイズ感で、六角柱を上から真っ二つにしたような形の装置はどうやら魔道具であるようで、いつもは赤色に光っているそれが今日は淡く紫色に発光している。
「了解です。じゃあ行ってきます!」
午後から雨の可能性アリ、と心のメモに書き留めて、俺はエナセラさんに手を振ってギルドを後にした。
狩りを始めて四時間ほど経った頃だろうか。午前中に二匹の魔物を狩って昼食を取ったのち、ちょっとだけ冒険してみようと思って森の少し奥に進んで魔物を探していると、突如ぽつりと冷たい感覚が首筋に生じた。
「まずいな……。もう降ってきたのか」
空を見上げると木々の隙間から見える空はすでに暗くなっており、数秒後には森中に雨が葉を打つ音が溢れていた。視界が悪くなったり、音が聞こえづらくなったり、濡れた地面で足を滑らせたりと、魔物狩りと雨は基本的に相性が悪い。こんなことになるなら森の奥に行かずに午前中で切り上げて帰るべきだった。
木々や草をかき分けながら森を北上して街を目指していると、突然背後からこの雨の中でも聞こえるほどの地鳴り音が響いた。いつも狩っているスネウフのような小型の魔物は足音が大きいどころか、むしろ足音が小さいことが厄介なので、決して背後に迫る何かが小さくはないということだけは分かる。背中にぞわりと悪寒が走る。俺はどうやら何かとんでもない化け物に遭遇してしまったらしい。
「……ッ!」
ノーモーションから全力で走り出す。今後ろをつけてきている何かと戦っても、多分俺は勝てない。そう思わせるほどに奴からは尋常ではない威圧感が発せられていた。太い木の間を抜け、倒木を飛び越え、絡みつく蔓を払いのけて一直線に北を目指す。しかし、背後の何かも俺が逃げているとわかったや否や、先ほどより幾分軽い足音で走り始めた。恐らく俺をつけていた時は二足歩行、今俺を追いかけているのはより速度の出る四足歩行なのだろう。さすがは野生動物といったところか。しかし聞こえてくる足音のテンポがやけに速いのが違和感として引っかかる。
いつもなら太陽の方向でなんとなくの方角が分かるが、今は大雨が降っているため、数分走った頃にはもうどちらに行けば森を出られるのかさえ分からなくなっていた。まずい。この状況は非常にまずい。これ以上逃げ回ったとて無意味に体力を失うだけではないのか。というかむしろ奴の狙いはそれに違いない。さっきから追って気はするもの直接攻撃に転じるようなことはしてこない。じわりじわりと疲れさせ、抵抗できなくなったところを殺す気なのだろう。
そう思考を巡らせながら逃走していた時に、ついに恐れていたことが起こってしまった。森の中を疾走していた俺は、足元に伸びる木の根に足を取られて無様にも頭から転んでしまったのだ。いつかの森で大トカゲに追い詰められて木の根に躓いたことをフラッシュバックし、体が硬直しそうになる。しかし何とか我に返って、俺は立ち上がると腰に佩いた長剣を勢いよく引き抜いた。距離が縮まってしまったとなればもうできることは一つしか浮かばない。できるだけダメージを稼いでその隙に逃走することだけだ。覚悟を決めて背後を振り返った俺の目の前にあったのは、淡緑色の巨大な壁だった。
「は……?」
予想外の光景に思考が止まる。追いかけてきている魔物は獣だと勝手に想像していたが、今目前にあるのはどこをどう見ても哺乳類などのような柔らかさを感じさせない、見るからに硬そうで、かつ滑らかな材質の板を張り合わせたような壁。……いや、待て、これは壁ではない。その正体が分かった瞬間、俺は驚きと恐怖で一気に血の気が引いていくのが分かった。そう、これは壁などではない。これは壁ではなく甲殻だ。色が暗くて若干見づらいが、左右に暗緑色をした多関節の脚と一対の棍棒のような太い鋏が見える。ということはつまり……。
「こいつは……カニ……!?」
さっき板を張り合わせた壁のように見えていたものはカニの裏側の甲殻だったのだ。陸上でも生活できるカニというのは元の世界にも存在したはずだが、こんなに大きなものは見たことも聞いたこともない。足は二対と本物のカニよりも少ないが、その分体重を支えられるようにかなり太いそれが胴体から伸びているのが窺える。緑色の巨大なカニが目をぎょろぎょろと動かして大顎をしきりに開閉する。顔なんてついていないにもかかわらず、その姿が俺を追い詰めて嗤っているように見えた。
俺が身構えると同時にカニの巨大な鋏が大きく横に振られる。後ろの飛んで避けようと試みるが、その判断が一瞬遅かったのか、その巨体から繰り出されたとは到底思えないすさまじい速度で振りかぶられた右腕が俺の左肩から胸にかけてを痛撃した。車にはねられたかのような衝撃が全身を叩き、俺はぐるぐると回転しながら後方に吹き飛ばされた。背中から濡れた地面に激突し肺に残った空気がすべて吐き出され、口の中に鉄の味が広がる。体のあちこちがじんじんと痛むが、このまま倒れたままでは確実に次の攻撃が来るに違いないので我慢して立ち上がる他ない。長剣を杖代わりにして立ち上がると、俺は口内の血を吐き出して正面に刃を構えた。
しかし、俺が体勢を立て直した時にはすでに次の鋏が高く持ち上げられ追撃の体勢に入っていた。さきほどの失敗から避けるのは恐らく無理だと判断する。となればタイミングを合わせて剣を当てて軌道を逸らすしかない。無理やり呼吸を整えた俺は、右手に長剣を握りなおすと左中段に構えた。タイミングはかなりシビア。早すぎても当たらないし、遅すぎれば鋏の直撃をもろに食らうことになる。限界まで集中したことにゆっくりに見える視界の中で、ついに大岩のような左の鋏が振り下ろされた。まだだ……焦るな。スローモーションのように迫る鋏が視界を埋めていく。……今!!
「はああッ!!」
渾身の一撃が振り下ろされた鋏の側面にクリーンヒットし、金属同士をぶつけたかのような音が響き渡った。同時に鋏に剣を打ち付けた瞬間、刀身からビキッという不吉な振動が伝わってくる。どうやら無茶な使い方をしたせいで剣にひびが入ったらしい。しかしここで力を緩めれば俺はこのカニの鋏の餌食だ。剣の頑丈さを信じて、というより祈りながら、俺は全身全霊の力をもって剣を振り抜いた。祈りが天に届いたか、長剣は折れることなくその役目を果たし、見事に鋏の殴打をいなして見せた。鋏が地面に叩きつけられ、鈍い轟音が鳴り響く。びりびりと痺れる右腕に構わず俺は全力でバックステップで巨大ガニとの距離を取った。こいつ、思った以上にリーチが長い。距離を取って飛び道具で攻撃するのが一番安全な攻撃手段だろうが、魔法では詠唱に時間がかかりすぎるし、あいにく今の俺は残念ながらそれに類するようなものを持ち合わせていない。……いや、一つだけ持っている。
荒い呼吸を強引に押しとどめて、俺は腰からもう一つの得物、短剣を引き抜いた。グアルドからもらった大切なものだが、命をかけたこの戦場においてはそんな悠長なことは言っていられない。狙うは奴の目玉。片方だけでも持っていければ逃げるチャンスは断然高くなる。カニが再び鋏を持ち上げ始めるのを待たずに俺は渾身の力で短剣を投げつけた。カニもこれに気付いたのだろう、右の鋏を急いで持ち上げて迫りくる短剣を防ごうとしたが、短剣の方が一瞬先に通過し狙い通り右の目玉に突き刺さった。短剣が目玉を抉った途端にカニの動きが激しくなり周りの木々を薙ぎ倒しだした。昔、甲殻類に痛覚があるのかという議論をどこかで目にしたことがあったが、この化け物が甲殻類だというのなら今この光景を目にした俺は迷いなく賛成派に立つことだろう。
カニが苦痛に苦しんでいる今しかチャンスはないと、俺は一目散に走り出した。人間の例に倣うなら、両目で見るのと片眼で見るのでは立体感覚に大きな違いがあるため、恐らくこの森を俺を追って走ることさえまともにできないはずだが、いやカニならば頭の中央にも目がついていたはずだからと不安がよぎる。しかし俺の懸念は実現することなく、よろよろと木々にぶつかりながら俺を追ってくるカニをちらりと見て、俺はさらに走る足に力を込めた。
雨はさらに勢いを増して降っており、もはや森を出ようとしているのか、逆に奥に突き進んでいるのか俺にもわからなかった。森からの脱出などはこのカニを撒いた後に考えればよい。
しかし俺の中には違和感がしこりのように残っていた。例えばあのカニが魔物を狩って食べるとして、さっきのような攻撃で果たして獲物を捕まえることが出来るだろうか。マナーゼンになったばかりの俺でさえ何とか対処することが出来たのだ。スネウフのようなすばっしこい魔物なんかは到底捕まえられないのではないか──。
そんなことを考えたその時だった。突然後ろでオレンジ色の光が煌めき、何かが俺に向かってすさまじい速度で飛んできた。避けなければ──。そう思った時には、高速で飛来したそれは俺の頭を掠めて前方の大木に激突する。そのまま飛行物体は木の幹にめり込んでいき、ついには倒壊させてしまった。これはまさかあのカニの遠距離攻撃か、と認識した瞬間ぐらりと体が傾く。大木をなぎ倒すほどの威力だったのだ、掠めたくらいでも十分にダメージがあるに決まっている。脳震盪を起こしてふらつく俺の目前に、再び巨大なカニが姿を現した。大雨の中で爛々と輝く目は俺に対するすさまじい怒気をはらんでいるように見えた。右の額から生暖かい血が流れるのが分かった。
「はぁ……はぁっ」
ぐにゃぐにゃと歪む視界の中でゆっくりと暗緑色のカニが迫ってきている。剣を抜いて正面に構えようとするもぐらぐらと切っ先が揺れて狙いが定まらない。何とかカニに焦点を合わせた時、そのカニの左の鋏がないことに気づいた。どうやら先ほどの巨大な弾丸はカニの鋏だったらしい。直前のオレンジの閃光と併せて考えるなら恐らく魔法的な処理が行われたのだろう。ということはまだ一発その破壊兵器をストックしているということなのだ。残りの右の鋏を奪わなければ安全な逃走は望めまい。
「はぁ、はぁ……ッ、かかって来いよッ!!」
自分を奮い立たせるように叫ぶと、俺は雨で滑る剣の柄をしっかりと握り直した。
こいつが元の世界のカニと同じような類だとするならば、節足動物的特徴を持っているはずなので関節は比較的柔らかいはずだ。そこを狙って一気に左の鋏を切り離すしかない。となれば一度鋏の攻撃を誘発する必要がある。
作戦を決めた俺は実行のためにあえてカニの方へ走り寄った。すると思惑通りに巨大なカニはその緑の鋏を持ち上げて俺を叩き潰さんと攻撃の準備に入る。さあ、三度目の迎撃だ。その色と相まって落石にように見える鋏の一撃を、今度はその場で回転しながら右斜め上から袈裟切りの要領で受けた。ちょうどカニの胴体と腕の間に俺がいることになる。またもやびしりと剣にひびが走る音が腕に伝わってくるが、恐怖心を勇気と気合で抑え込んでそのまま左下に払った。そして雨水を飛び散らせながら地面に激突した鋏の表面を滑らせ、空中で円のような軌道を描くと、俺は思い切り関節に向かって剣を振り下ろした。ガツン! という硬質な音を放って会心の一撃は鋏をカニから切り離す──ことはなかったが、腕の半分以上まで剣を食いこませた。腕に異物を刺しこまれてたまったものではないカニも俺を振り払わんと右腕をめちゃくちゃに振り回す。地面や近くの木に叩きつけられて体のあちこちから鈍い破壊音が聞こえてくるが、ここで手を離せば作戦は失敗に終わり、俺はこいつに捕食されてしまう。俺は死に物狂いで剣にしがみついて振り回しが終わるのを待ち続けた。
そして永久にも思える時間が過ぎた時、ついに疲れたように巨大なカニの動きが止まり腕がだらりと垂れ下がった。ここしかチャンスはない……! 俺は残存する力を振り絞って、剣をてこのように捻った。ぶちぶち……と関節の隙間から繊維がちぎれる音が聞こえてくる。
「いっけえええええッ!!」
雄たけびとともに剣を捻ると、ぶつり! と音を立ててついに巨大な鋏が右腕から断ち切られた。それと同時に、ガキン! という破砕音を響かせながら刃が中ほどからへし折れてしまった。いや、むしろここまでよく粘ってくれたと言えるだろう。こいつのおかげで何とか鋏を分断することが出来たのだ。
長剣だったものを腰の鞘に戻して立ち上がると、俺は踵を返して逃走を図った。全身から血が噴き出し、もはや歩いているのと変わらないほどの速度だったが、疲れ切った巨大ガニには追いかけるほどの体力は残っていないようだった。どうやらこいつはあまり体力がある方ではないらしい。あれだけ巨大な体を動かしているのだから当然と言えば当然だろう。しかし、体力が回復すればきっとすぐに俺を殺しに向かってくる。這い寄る死の感覚から逃れるように、俺は必死にカニの魔物から走り去った。
走っているうちにいつの間にか森を抜けたようで、遠くに街の壁が見えた。何とか助かったのだという安心感に意識を手放しそうになるが、まだ安心できるような場所ではない。雨が降る中血を垂れ流しながら一直線に街に駆けていく姿はとんでもないものだったとは思うが、そんなところまで気を遣う余裕はもはや存在しなかった。ただ生存本能が俺を街へ向かわせていた。
そして随分と時間が経って、俺はようやく街の門までやって来た。この時にはすでに二本の足で立つことすらままならず、ずるずると這うようにしてゆっくりと進んでいた。ここからギルドまで行けば何とか処置してもらえるだろう。だが、もう限界なようだ。あと少しで街に入れるというところで俺は力尽きてその場に倒れ伏した。もう指一本動かせない。次第に視界が黒く染まっていく中で、遠くから足早に走ってくる音が聞こえた気がした。
ようやくこの街での生活にも慣れてきた俺は、毎日のように狩りをこなしながら、空いた時間で魔法について学んだり、街中を散策したりして過ごしていた。そんな生活の中で発見したことを振り返ってみよう。
まずいつも俺が狩りに行っている森についてだ。初めて狩りをしたときには、スネウフといった小型犬くらいの大きさの魔物しか出てこなかったが、これは狩りをしたのが森の浅いところだったかららしい。より奥深くに潜るほど巨大で危険な魔物がいると熟練のマナーゼンであるローガンさんが教えてくれた。慣れてきたとはいえ俺もまだまだ素人同然なので、森の奥には踏み入っていない。
次にここ王都フレンテにある施設について。街の中央にある王城から少し東に逸れたところに大きな図書館があった。四階建ての円柱型の建物だが、ドーナツかのように真ん中が一階から四階まで吹き抜けになっており、天井に空いた小さな窓から光が差し込む様子はきれいという表現を通り越してもはや神秘的だ。一階一階に、足元から手の届かないような高さまでおびただしい量の本が収められており、一生かかっても俺には読破しきれないだろう。この図書館を発見して以来、俺は元の世界への帰還方法を探るためにここを訪れては関連しそうな本を読んでいるが、未だにそれらしい記述は見つけられていない。
そして街の中で俺が特に気に入っているのが南東部の商店街だ。先日ギルドを訪れた俺に、ギルドのスタッフであるエナセラさんが森の奥に潜るなら防具を買っておいたほうがいいと言って勧めてくれたのが、この商店街にある防具屋だったのだ。その商店街は初めてこの街を訪れた時に行った出店の並ぶエリアとは趣向が異なり、より専門的なものが多く並んでいた。そこの防具屋で軽量の胸当てと盾代わりの左手用の籠手、あとは細々とした装備を購入した俺は、その後武器屋やら薬屋やら魔石屋やらファンタジー味溢れる店を見て回った。
そんなこんなで忙しない毎日を送る俺は、今日も今日とてギルドにやってきて、俺の担当になったエナセラさんに狩りの前に一声かけに来ていた。ギルドの方にも換金の準備があるので事前に声をかけるのが不文律となっているとのことである。
まずは受付用のカウンターに並んで、順番が来たらエナセラさんお願いします、と言って彼女を呼んでもらう。マナーゼンの母数の方がギルドスタッフよりも圧倒的に多いのでスタッフさんが応対中の時もあるが、そういう時は代理で別のスタッフさんが対応してくれる。今日は早い時間ということもあってあまりほかのマナーゼンが少ないのですぐにエナセラさんはやって来た。
「おはようございます。今日も狩りに行ってきます。多分日暮れまでには帰ります」
毎回帰りを伝えなければならないのは、ギルドで大まかな帰る時間を伝えることでマナーゼンの安否を確認するという仕組みがあり、姿が見えなければすぐに対処できるかららしい。
「おはようございます、ソウマ様。日暮れまで、ですね、了解いたしました。……あ、今日はもしかすると午後から雨が降るかもしれないのでお気をつけください」
そういってエナセラさんが横の壁に据えられた装置を示す。五百ミリリットルボトルくらいのサイズ感で、六角柱を上から真っ二つにしたような形の装置はどうやら魔道具であるようで、いつもは赤色に光っているそれが今日は淡く紫色に発光している。
「了解です。じゃあ行ってきます!」
午後から雨の可能性アリ、と心のメモに書き留めて、俺はエナセラさんに手を振ってギルドを後にした。
狩りを始めて四時間ほど経った頃だろうか。午前中に二匹の魔物を狩って昼食を取ったのち、ちょっとだけ冒険してみようと思って森の少し奥に進んで魔物を探していると、突如ぽつりと冷たい感覚が首筋に生じた。
「まずいな……。もう降ってきたのか」
空を見上げると木々の隙間から見える空はすでに暗くなっており、数秒後には森中に雨が葉を打つ音が溢れていた。視界が悪くなったり、音が聞こえづらくなったり、濡れた地面で足を滑らせたりと、魔物狩りと雨は基本的に相性が悪い。こんなことになるなら森の奥に行かずに午前中で切り上げて帰るべきだった。
木々や草をかき分けながら森を北上して街を目指していると、突然背後からこの雨の中でも聞こえるほどの地鳴り音が響いた。いつも狩っているスネウフのような小型の魔物は足音が大きいどころか、むしろ足音が小さいことが厄介なので、決して背後に迫る何かが小さくはないということだけは分かる。背中にぞわりと悪寒が走る。俺はどうやら何かとんでもない化け物に遭遇してしまったらしい。
「……ッ!」
ノーモーションから全力で走り出す。今後ろをつけてきている何かと戦っても、多分俺は勝てない。そう思わせるほどに奴からは尋常ではない威圧感が発せられていた。太い木の間を抜け、倒木を飛び越え、絡みつく蔓を払いのけて一直線に北を目指す。しかし、背後の何かも俺が逃げているとわかったや否や、先ほどより幾分軽い足音で走り始めた。恐らく俺をつけていた時は二足歩行、今俺を追いかけているのはより速度の出る四足歩行なのだろう。さすがは野生動物といったところか。しかし聞こえてくる足音のテンポがやけに速いのが違和感として引っかかる。
いつもなら太陽の方向でなんとなくの方角が分かるが、今は大雨が降っているため、数分走った頃にはもうどちらに行けば森を出られるのかさえ分からなくなっていた。まずい。この状況は非常にまずい。これ以上逃げ回ったとて無意味に体力を失うだけではないのか。というかむしろ奴の狙いはそれに違いない。さっきから追って気はするもの直接攻撃に転じるようなことはしてこない。じわりじわりと疲れさせ、抵抗できなくなったところを殺す気なのだろう。
そう思考を巡らせながら逃走していた時に、ついに恐れていたことが起こってしまった。森の中を疾走していた俺は、足元に伸びる木の根に足を取られて無様にも頭から転んでしまったのだ。いつかの森で大トカゲに追い詰められて木の根に躓いたことをフラッシュバックし、体が硬直しそうになる。しかし何とか我に返って、俺は立ち上がると腰に佩いた長剣を勢いよく引き抜いた。距離が縮まってしまったとなればもうできることは一つしか浮かばない。できるだけダメージを稼いでその隙に逃走することだけだ。覚悟を決めて背後を振り返った俺の目の前にあったのは、淡緑色の巨大な壁だった。
「は……?」
予想外の光景に思考が止まる。追いかけてきている魔物は獣だと勝手に想像していたが、今目前にあるのはどこをどう見ても哺乳類などのような柔らかさを感じさせない、見るからに硬そうで、かつ滑らかな材質の板を張り合わせたような壁。……いや、待て、これは壁ではない。その正体が分かった瞬間、俺は驚きと恐怖で一気に血の気が引いていくのが分かった。そう、これは壁などではない。これは壁ではなく甲殻だ。色が暗くて若干見づらいが、左右に暗緑色をした多関節の脚と一対の棍棒のような太い鋏が見える。ということはつまり……。
「こいつは……カニ……!?」
さっき板を張り合わせた壁のように見えていたものはカニの裏側の甲殻だったのだ。陸上でも生活できるカニというのは元の世界にも存在したはずだが、こんなに大きなものは見たことも聞いたこともない。足は二対と本物のカニよりも少ないが、その分体重を支えられるようにかなり太いそれが胴体から伸びているのが窺える。緑色の巨大なカニが目をぎょろぎょろと動かして大顎をしきりに開閉する。顔なんてついていないにもかかわらず、その姿が俺を追い詰めて嗤っているように見えた。
俺が身構えると同時にカニの巨大な鋏が大きく横に振られる。後ろの飛んで避けようと試みるが、その判断が一瞬遅かったのか、その巨体から繰り出されたとは到底思えないすさまじい速度で振りかぶられた右腕が俺の左肩から胸にかけてを痛撃した。車にはねられたかのような衝撃が全身を叩き、俺はぐるぐると回転しながら後方に吹き飛ばされた。背中から濡れた地面に激突し肺に残った空気がすべて吐き出され、口の中に鉄の味が広がる。体のあちこちがじんじんと痛むが、このまま倒れたままでは確実に次の攻撃が来るに違いないので我慢して立ち上がる他ない。長剣を杖代わりにして立ち上がると、俺は口内の血を吐き出して正面に刃を構えた。
しかし、俺が体勢を立て直した時にはすでに次の鋏が高く持ち上げられ追撃の体勢に入っていた。さきほどの失敗から避けるのは恐らく無理だと判断する。となればタイミングを合わせて剣を当てて軌道を逸らすしかない。無理やり呼吸を整えた俺は、右手に長剣を握りなおすと左中段に構えた。タイミングはかなりシビア。早すぎても当たらないし、遅すぎれば鋏の直撃をもろに食らうことになる。限界まで集中したことにゆっくりに見える視界の中で、ついに大岩のような左の鋏が振り下ろされた。まだだ……焦るな。スローモーションのように迫る鋏が視界を埋めていく。……今!!
「はああッ!!」
渾身の一撃が振り下ろされた鋏の側面にクリーンヒットし、金属同士をぶつけたかのような音が響き渡った。同時に鋏に剣を打ち付けた瞬間、刀身からビキッという不吉な振動が伝わってくる。どうやら無茶な使い方をしたせいで剣にひびが入ったらしい。しかしここで力を緩めれば俺はこのカニの鋏の餌食だ。剣の頑丈さを信じて、というより祈りながら、俺は全身全霊の力をもって剣を振り抜いた。祈りが天に届いたか、長剣は折れることなくその役目を果たし、見事に鋏の殴打をいなして見せた。鋏が地面に叩きつけられ、鈍い轟音が鳴り響く。びりびりと痺れる右腕に構わず俺は全力でバックステップで巨大ガニとの距離を取った。こいつ、思った以上にリーチが長い。距離を取って飛び道具で攻撃するのが一番安全な攻撃手段だろうが、魔法では詠唱に時間がかかりすぎるし、あいにく今の俺は残念ながらそれに類するようなものを持ち合わせていない。……いや、一つだけ持っている。
荒い呼吸を強引に押しとどめて、俺は腰からもう一つの得物、短剣を引き抜いた。グアルドからもらった大切なものだが、命をかけたこの戦場においてはそんな悠長なことは言っていられない。狙うは奴の目玉。片方だけでも持っていければ逃げるチャンスは断然高くなる。カニが再び鋏を持ち上げ始めるのを待たずに俺は渾身の力で短剣を投げつけた。カニもこれに気付いたのだろう、右の鋏を急いで持ち上げて迫りくる短剣を防ごうとしたが、短剣の方が一瞬先に通過し狙い通り右の目玉に突き刺さった。短剣が目玉を抉った途端にカニの動きが激しくなり周りの木々を薙ぎ倒しだした。昔、甲殻類に痛覚があるのかという議論をどこかで目にしたことがあったが、この化け物が甲殻類だというのなら今この光景を目にした俺は迷いなく賛成派に立つことだろう。
カニが苦痛に苦しんでいる今しかチャンスはないと、俺は一目散に走り出した。人間の例に倣うなら、両目で見るのと片眼で見るのでは立体感覚に大きな違いがあるため、恐らくこの森を俺を追って走ることさえまともにできないはずだが、いやカニならば頭の中央にも目がついていたはずだからと不安がよぎる。しかし俺の懸念は実現することなく、よろよろと木々にぶつかりながら俺を追ってくるカニをちらりと見て、俺はさらに走る足に力を込めた。
雨はさらに勢いを増して降っており、もはや森を出ようとしているのか、逆に奥に突き進んでいるのか俺にもわからなかった。森からの脱出などはこのカニを撒いた後に考えればよい。
しかし俺の中には違和感がしこりのように残っていた。例えばあのカニが魔物を狩って食べるとして、さっきのような攻撃で果たして獲物を捕まえることが出来るだろうか。マナーゼンになったばかりの俺でさえ何とか対処することが出来たのだ。スネウフのようなすばっしこい魔物なんかは到底捕まえられないのではないか──。
そんなことを考えたその時だった。突然後ろでオレンジ色の光が煌めき、何かが俺に向かってすさまじい速度で飛んできた。避けなければ──。そう思った時には、高速で飛来したそれは俺の頭を掠めて前方の大木に激突する。そのまま飛行物体は木の幹にめり込んでいき、ついには倒壊させてしまった。これはまさかあのカニの遠距離攻撃か、と認識した瞬間ぐらりと体が傾く。大木をなぎ倒すほどの威力だったのだ、掠めたくらいでも十分にダメージがあるに決まっている。脳震盪を起こしてふらつく俺の目前に、再び巨大なカニが姿を現した。大雨の中で爛々と輝く目は俺に対するすさまじい怒気をはらんでいるように見えた。右の額から生暖かい血が流れるのが分かった。
「はぁ……はぁっ」
ぐにゃぐにゃと歪む視界の中でゆっくりと暗緑色のカニが迫ってきている。剣を抜いて正面に構えようとするもぐらぐらと切っ先が揺れて狙いが定まらない。何とかカニに焦点を合わせた時、そのカニの左の鋏がないことに気づいた。どうやら先ほどの巨大な弾丸はカニの鋏だったらしい。直前のオレンジの閃光と併せて考えるなら恐らく魔法的な処理が行われたのだろう。ということはまだ一発その破壊兵器をストックしているということなのだ。残りの右の鋏を奪わなければ安全な逃走は望めまい。
「はぁ、はぁ……ッ、かかって来いよッ!!」
自分を奮い立たせるように叫ぶと、俺は雨で滑る剣の柄をしっかりと握り直した。
こいつが元の世界のカニと同じような類だとするならば、節足動物的特徴を持っているはずなので関節は比較的柔らかいはずだ。そこを狙って一気に左の鋏を切り離すしかない。となれば一度鋏の攻撃を誘発する必要がある。
作戦を決めた俺は実行のためにあえてカニの方へ走り寄った。すると思惑通りに巨大なカニはその緑の鋏を持ち上げて俺を叩き潰さんと攻撃の準備に入る。さあ、三度目の迎撃だ。その色と相まって落石にように見える鋏の一撃を、今度はその場で回転しながら右斜め上から袈裟切りの要領で受けた。ちょうどカニの胴体と腕の間に俺がいることになる。またもやびしりと剣にひびが走る音が腕に伝わってくるが、恐怖心を勇気と気合で抑え込んでそのまま左下に払った。そして雨水を飛び散らせながら地面に激突した鋏の表面を滑らせ、空中で円のような軌道を描くと、俺は思い切り関節に向かって剣を振り下ろした。ガツン! という硬質な音を放って会心の一撃は鋏をカニから切り離す──ことはなかったが、腕の半分以上まで剣を食いこませた。腕に異物を刺しこまれてたまったものではないカニも俺を振り払わんと右腕をめちゃくちゃに振り回す。地面や近くの木に叩きつけられて体のあちこちから鈍い破壊音が聞こえてくるが、ここで手を離せば作戦は失敗に終わり、俺はこいつに捕食されてしまう。俺は死に物狂いで剣にしがみついて振り回しが終わるのを待ち続けた。
そして永久にも思える時間が過ぎた時、ついに疲れたように巨大なカニの動きが止まり腕がだらりと垂れ下がった。ここしかチャンスはない……! 俺は残存する力を振り絞って、剣をてこのように捻った。ぶちぶち……と関節の隙間から繊維がちぎれる音が聞こえてくる。
「いっけえええええッ!!」
雄たけびとともに剣を捻ると、ぶつり! と音を立ててついに巨大な鋏が右腕から断ち切られた。それと同時に、ガキン! という破砕音を響かせながら刃が中ほどからへし折れてしまった。いや、むしろここまでよく粘ってくれたと言えるだろう。こいつのおかげで何とか鋏を分断することが出来たのだ。
長剣だったものを腰の鞘に戻して立ち上がると、俺は踵を返して逃走を図った。全身から血が噴き出し、もはや歩いているのと変わらないほどの速度だったが、疲れ切った巨大ガニには追いかけるほどの体力は残っていないようだった。どうやらこいつはあまり体力がある方ではないらしい。あれだけ巨大な体を動かしているのだから当然と言えば当然だろう。しかし、体力が回復すればきっとすぐに俺を殺しに向かってくる。這い寄る死の感覚から逃れるように、俺は必死にカニの魔物から走り去った。
走っているうちにいつの間にか森を抜けたようで、遠くに街の壁が見えた。何とか助かったのだという安心感に意識を手放しそうになるが、まだ安心できるような場所ではない。雨が降る中血を垂れ流しながら一直線に街に駆けていく姿はとんでもないものだったとは思うが、そんなところまで気を遣う余裕はもはや存在しなかった。ただ生存本能が俺を街へ向かわせていた。
そして随分と時間が経って、俺はようやく街の門までやって来た。この時にはすでに二本の足で立つことすらままならず、ずるずると這うようにしてゆっくりと進んでいた。ここからギルドまで行けば何とか処置してもらえるだろう。だが、もう限界なようだ。あと少しで街に入れるというところで俺は力尽きてその場に倒れ伏した。もう指一本動かせない。次第に視界が黒く染まっていく中で、遠くから足早に走ってくる音が聞こえた気がした。
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