言の葉

上野たすく

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 真っ黒な空の下、一彰は宮下の肩を叩いた。
 一緒に帰ろうと切り出すと彼は目を細めた。
「嫌がらせかよ」
 突然そう吐かれて戸惑った。
「なんで来るんだよ、毎日毎日。お前、ねんざしてんだろ!」
 嫌がらせとは練習のことか、とやっと理解する。
「なんでって。それは」
「迷惑なんだよ。お前のせいで選手に借り出されるし。こんな形で話しかけられんのも」
 激しさは消えていたが、嫌悪感が滲み出ていた。
 お前は、と宮下が顔を顰める。
「相津知の面倒だけ見ていればいいんだよ」
「どういう意味だ?」
 宮下が鼻を鳴らす。
「言ったまんまだろ? あのかわいそうな女が犯罪者にならないように見張っていろってことさ」
 ドッドッドッドと鼓動が聞こえる。
「お前だってそのために一緒にいるんだろ? だってお前は」
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