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「あとがき」にかえて
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~大輔の場合~
荷物は後日、運び出すから、という向井に頷き、最小限の持ち物だけで、林の屋敷へ行った。
親父が何度も、永岡組から電話があったと言い、向井は挨拶だけをすませて、永岡へと走っていった。
親父は無言で自室にこもり、磯山と小春が、わんやわんやと酒の準備をしていた。
小春に、お前は呑めないだろうと釘を刺すと、「若よりも年上だもん」と訳の分からない嘘を、組み立ててきやがった。
久登が「もう若ではないだろう」と突っ込みを入れるが、お構いなしにはしゃいでいる。
母の携帯電話にも連絡を入れたが、留守電だった。
「お前は飲まないのか?」
久登に尋ねると「こいつらとは飲みたくない」と真顔で返された。
「出ていけ、と言わないんだな」
男の眼鏡が電気の光を、反射させる。
「好きにしろって、言っただろ?」
「ああ。俺は好きで、お前についていく、と決めた」
小春が酔っぱらって投げた皿が、こちらへ飛んでくる。
久登がそれを、腕で横へと払った。
壁に当たり、割れる皿。
「大丈夫か?」
「ああ、あいつらとは、長年の付き合いで、慣れているからな」
「小春~、もっと飲め飲め! 今日は祝いだかんな!」
「うひひひ。お酒いっぱい! しやわせ~!!」
「おい、そろそろやめさせないと。あのチビ、未成年なんだからさ」
俺の焦りに、久登がぽかんとし、ついで、口を押えて笑った。
「あの女から聞いてないのか? はは、これは傑作だ。頭も、やっかいな女に惚れられたもんだな」
「はっ? やっかいな女って、あのチビのことか? いやいや、あれは年齢的に、俺の許容範囲外だ」
って、今、俺のことを頭って言った?
久登が中指で眼鏡を上げる。
「さて、宴会組は宴会組で置いておいて、俺達は鬼門会の運営について話あおうか」
しまった。
酒を飲んどくんだった……。
荷物は後日、運び出すから、という向井に頷き、最小限の持ち物だけで、林の屋敷へ行った。
親父が何度も、永岡組から電話があったと言い、向井は挨拶だけをすませて、永岡へと走っていった。
親父は無言で自室にこもり、磯山と小春が、わんやわんやと酒の準備をしていた。
小春に、お前は呑めないだろうと釘を刺すと、「若よりも年上だもん」と訳の分からない嘘を、組み立ててきやがった。
久登が「もう若ではないだろう」と突っ込みを入れるが、お構いなしにはしゃいでいる。
母の携帯電話にも連絡を入れたが、留守電だった。
「お前は飲まないのか?」
久登に尋ねると「こいつらとは飲みたくない」と真顔で返された。
「出ていけ、と言わないんだな」
男の眼鏡が電気の光を、反射させる。
「好きにしろって、言っただろ?」
「ああ。俺は好きで、お前についていく、と決めた」
小春が酔っぱらって投げた皿が、こちらへ飛んでくる。
久登がそれを、腕で横へと払った。
壁に当たり、割れる皿。
「大丈夫か?」
「ああ、あいつらとは、長年の付き合いで、慣れているからな」
「小春~、もっと飲め飲め! 今日は祝いだかんな!」
「うひひひ。お酒いっぱい! しやわせ~!!」
「おい、そろそろやめさせないと。あのチビ、未成年なんだからさ」
俺の焦りに、久登がぽかんとし、ついで、口を押えて笑った。
「あの女から聞いてないのか? はは、これは傑作だ。頭も、やっかいな女に惚れられたもんだな」
「はっ? やっかいな女って、あのチビのことか? いやいや、あれは年齢的に、俺の許容範囲外だ」
って、今、俺のことを頭って言った?
久登が中指で眼鏡を上げる。
「さて、宴会組は宴会組で置いておいて、俺達は鬼門会の運営について話あおうか」
しまった。
酒を飲んどくんだった……。
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