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「いいかげん、離れろ!」
抵抗するが、相手はびくともしない。
「おお、新鮮」
「小塚君、その人、教室に連れて行っていいわよ」
俺の意思は関係ないってか。
「ラッキー。飽きてたんだよな、抱かれるだけのΩ。教室ぬけてきて正解だったよ。でも、他の奴らにとられる前に」
シャツの中に手が入ってくる。
「やめろ! 警察に訴え」
キスをされた。
白石じゃない野郎に……。
呆然とする俺に、那須さんはくすりと笑った。
「先生、法律の講義は、抱かれながらでもできるんじゃありません? 費用はきちんとお支払いしますから、生徒に教えてあげてください」
舌が押し入ろうとしてくる。
気持ちわりぃ。
吐く。
小塚って野郎の舌が、また首を舐めてくる。
「俺は警察へ行くぞ!」
「男のΩは相手にされませんよ」
「けど、あんたらがやっていることを公にすることはできる!」
那須さんは首を傾げた。
「先生、Ωのあなたが言うことと、私達αの言うこと、世間はどちらを信じるとお思いです? それに」
那須さんが俺の目前でしゃがみ、こちらの腹に指をつけた。
爪がやけに尖っている。
「あることないこと公言すると喚く人を、私達が野放しにするとでも? うちにいる間、先生には毎日、生徒の相手をしてもらいます。泣こうが、気絶しようが、きっちりΩとしての仕事をしていただきます」
那須さんの切れ長の目が、さらに細くなる。
「先生のお腹の中にいるお子さん、何日もつでしょうね?」
純粋な恐怖。
小塚に顎を掴まれ、舌を吸われる。
膝がカクンと曲がった。
「さすが、Ω。淫乱な体ですね」
皮膚に那須さんの爪がめり込んでいく。
衣服がなければ、血が出ているレベルだ。
子どもを守りたいのに、小塚の腕力に敵わない。
「先生は白石君をお探しですか?」
キスをされたままの状態で、視線だけを那須さんに向けた。
「追い出したのに、ですか?」
勝手に、俺の瞳が揺れた。
「彼が一人で震えていたので、見かねて保護しました」
口腔を、小塚の舌が這い回る。
ぐぐぐぐっと、那須さんの爪が俺の腹を切り裂くように、横に線を書いていく。
「彼には、うちで働いてもらうつもりです。先生も番なら、主人の決めたことには、忠実でいてくださいね」
「那須さん、もういいっすか? 俺、そろそろ突っ込みたいです」
熱い息が頬にかかる。
那須さんの指が離れていく。
「お話が過ぎましたね、先生。また迎えに来ます。それまで、生徒の今後のため、力を貸してあげてくださいね」
抵抗するが、相手はびくともしない。
「おお、新鮮」
「小塚君、その人、教室に連れて行っていいわよ」
俺の意思は関係ないってか。
「ラッキー。飽きてたんだよな、抱かれるだけのΩ。教室ぬけてきて正解だったよ。でも、他の奴らにとられる前に」
シャツの中に手が入ってくる。
「やめろ! 警察に訴え」
キスをされた。
白石じゃない野郎に……。
呆然とする俺に、那須さんはくすりと笑った。
「先生、法律の講義は、抱かれながらでもできるんじゃありません? 費用はきちんとお支払いしますから、生徒に教えてあげてください」
舌が押し入ろうとしてくる。
気持ちわりぃ。
吐く。
小塚って野郎の舌が、また首を舐めてくる。
「俺は警察へ行くぞ!」
「男のΩは相手にされませんよ」
「けど、あんたらがやっていることを公にすることはできる!」
那須さんは首を傾げた。
「先生、Ωのあなたが言うことと、私達αの言うこと、世間はどちらを信じるとお思いです? それに」
那須さんが俺の目前でしゃがみ、こちらの腹に指をつけた。
爪がやけに尖っている。
「あることないこと公言すると喚く人を、私達が野放しにするとでも? うちにいる間、先生には毎日、生徒の相手をしてもらいます。泣こうが、気絶しようが、きっちりΩとしての仕事をしていただきます」
那須さんの切れ長の目が、さらに細くなる。
「先生のお腹の中にいるお子さん、何日もつでしょうね?」
純粋な恐怖。
小塚に顎を掴まれ、舌を吸われる。
膝がカクンと曲がった。
「さすが、Ω。淫乱な体ですね」
皮膚に那須さんの爪がめり込んでいく。
衣服がなければ、血が出ているレベルだ。
子どもを守りたいのに、小塚の腕力に敵わない。
「先生は白石君をお探しですか?」
キスをされたままの状態で、視線だけを那須さんに向けた。
「追い出したのに、ですか?」
勝手に、俺の瞳が揺れた。
「彼が一人で震えていたので、見かねて保護しました」
口腔を、小塚の舌が這い回る。
ぐぐぐぐっと、那須さんの爪が俺の腹を切り裂くように、横に線を書いていく。
「彼には、うちで働いてもらうつもりです。先生も番なら、主人の決めたことには、忠実でいてくださいね」
「那須さん、もういいっすか? 俺、そろそろ突っ込みたいです」
熱い息が頬にかかる。
那須さんの指が離れていく。
「お話が過ぎましたね、先生。また迎えに来ます。それまで、生徒の今後のため、力を貸してあげてくださいね」
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