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37〈現在・オーガスト視点〉
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朝日が昇った頃、小型ジェット機が浮島に着陸した。エニシが対応するために一人でジェットへと歩いて行った。家の中では、縁がアリサの荷物を整え、孤がアリサを呼ぶため、彼女の部屋のドアをノックした。
オーガストはその様子を複雑な気持ちで見ていた。いまだアリサとルイの三人で過ごすことを諦めきれないでいたのだ。
オーガストにとってアリサは家族のような存在だった。きっと、相手も同じ思いでいるはずだ。アリサが思い詰めているようなら、声をかける。ルイにはすでに了承を得ていた。あとは、アリサが頷いてくれたなら、この関係を保って生きられる。見逃してきた幸せを、今度はしっかり受け止め、相手に返すのだ。
オーガストが拳を握りしめたとき、アリサが肩に白いモモンガをのせて部屋から出てきた。俯いているから表情がわからない。足が勝手に前へ出た。アリサがこちらへと顔を上げる。
瞬間、オーガストは自分が間違っていることに、ようやく気が付いた。
アリサは穏やかな表情をしていた。ここ数日で、何かがあったのだ。
モモンガがアリサに頬ずりをする。アリサはモモンガに微笑みを向けた。
その仕草に、オーガストは目を伏せ、唇を伸ばした。
出会った当初から、アリサには苦労をかけてきた。彼女にとっては償いだったかもしれない。そうであってもなくても、オーガストには甘い蜜だった。この場所だけは自分を傷つけることはない。
アリサのことを考えようと思えば考えられたはずだ。それくらいの時間は共に過ごした。彼女の素性も、抱えていた痛みも。蔑ろにしてきた結果がこれだ。やり直す機会すら許されない。
誰かがそっと手に触れてくる。振り向くとルイがいた。
そうだ。俺にはまだ。
決意を込め、ルイの手を握りしめた。
視線を感じ、その方向へ首を曲げた。そこにはアリサの姿があったが、彼女はこちらを見てはいなかった。勘違いか、とオーガストは再び、ルイを視界に入れた。
オーガストはその様子を複雑な気持ちで見ていた。いまだアリサとルイの三人で過ごすことを諦めきれないでいたのだ。
オーガストにとってアリサは家族のような存在だった。きっと、相手も同じ思いでいるはずだ。アリサが思い詰めているようなら、声をかける。ルイにはすでに了承を得ていた。あとは、アリサが頷いてくれたなら、この関係を保って生きられる。見逃してきた幸せを、今度はしっかり受け止め、相手に返すのだ。
オーガストが拳を握りしめたとき、アリサが肩に白いモモンガをのせて部屋から出てきた。俯いているから表情がわからない。足が勝手に前へ出た。アリサがこちらへと顔を上げる。
瞬間、オーガストは自分が間違っていることに、ようやく気が付いた。
アリサは穏やかな表情をしていた。ここ数日で、何かがあったのだ。
モモンガがアリサに頬ずりをする。アリサはモモンガに微笑みを向けた。
その仕草に、オーガストは目を伏せ、唇を伸ばした。
出会った当初から、アリサには苦労をかけてきた。彼女にとっては償いだったかもしれない。そうであってもなくても、オーガストには甘い蜜だった。この場所だけは自分を傷つけることはない。
アリサのことを考えようと思えば考えられたはずだ。それくらいの時間は共に過ごした。彼女の素性も、抱えていた痛みも。蔑ろにしてきた結果がこれだ。やり直す機会すら許されない。
誰かがそっと手に触れてくる。振り向くとルイがいた。
そうだ。俺にはまだ。
決意を込め、ルイの手を握りしめた。
視線を感じ、その方向へ首を曲げた。そこにはアリサの姿があったが、彼女はこちらを見てはいなかった。勘違いか、とオーガストは再び、ルイを視界に入れた。
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