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26 〈現在・アリサ視点〉

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「町の連中の反応が不思議?」
 地下の部屋にいたエニシに声をかける。縁がこちらへと来ようとし、エニシに止められた。エニシはアリサを一瞥し、画面に眉を歪める。
 アリサはエニシへと歩き、彼と同じように四角く切り取られた光景を見た。
「この辺りじゃ、同性同士の恋愛は汚らわしいとされているの。町の連中はルイの血を拒絶するでしょうね」
「わざとか」
「でしょうね」
 言うと、相手は作業を始めた。
 カチャカチャと何かを指で叩いている。
「お前の今後だが」
 振り返ったが、男は作業を続けた。
「四つ、選択肢をやる」
「尊大な言い方」
「契約したのは、お前だ」
「持ちかけたのは、そっちよ」
 エニシは答えず、立ち上がった。
 工具を手にし、鉄の板を組み立て始める。
「一つ」
 口を開いた相手に対して、アリサは溜息をつき、腕を組んだ。
「俺の血をえず、死を選ぶ」
 人の死を口にしたのに、声色に変化がない。アリサは鼻の上に皺を作った。
「二つ、ある国の王子に奉公する。三つ、血を受けとるだけの関わりに限定する。四つ」
 エニシがこちらを見据える。
 アリサは腕をほどいた。
 縁がエニシを窺うのがわかる。
 次の提案が、エニシの一番言いたいことだと感じたからだ。
「俺の一存では決められないが、選択肢として頭に入れておけ」
「前置きが長い」
「俺にとって、それだけの重みがあるからだ」
 エニシが息を吸う。
「この浮島で暮らす。それが四つ目の選択肢だ」
 アリサだけでなく、縁も呆けた。
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