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彼女&彼Side
彼Side24 終業式の朝
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終業式当日。
式が終わった後の2時間めの後の休み時間に、職員室にいた。
「じゃあ、これが学校に提出する書類ね。詳しい事が決まった後でいいけど、なるべく早めに連絡して学校に郵送で送って。手続きとか夏休み明けに間に合わせたいし。荷物は全部持って帰れよ」
柴村が大きな封筒をハイと手渡す。
「あ、でも8月後半が予定日だから、もしかしたら早まった場合、休みもらうからなんか手続きの事で聞きたいことがあった時のため携帯教えとく」
「…予定日?」
「あ…言ってなかったけど、もうすぐ出産予定日なんだわ。奥さん」
「出産…え!?柴村って結婚してた!?」
「コラ、先生つけろ」
シッと指を口に当てた。
「クラスのヤツらには内緒な。先月、籍入れたばっかなんだよ」
聞いたら出来ちゃった結婚。
草食系と思っていたら結構やるな。
「マジっすか。奥さんどんな人?」
「ヒミツ」
柴村は意味ありげに笑った。
タレ目がますます垂れる。
「えー、いいじゃないすか」
俺がしつこく食い下がると柴村はちょっと考えて言った。
「…実は高校の時の同級生。卒業生だから、お前たちと同じ制服着て通ってたよ」
柴村も卒業生なんだ?
「もしかしたらお前たちの学年でも数年後結婚するヤツらがいるかもな?」
意味ありげに笑った。
封筒を受け取った時、柴村が「クラスのみんなには言ってないのか?」と聞いてきた。
もともと父親の事とかはクラスのみんなには言っていない。
わざわざ言って大袈裟にするつもりはなかった。事後報告でいい。
俺は首を振った。
「まぁ、夏休み明けみんなびっくりするだろうがなぁ…。いろいろ大変だろうけど、頑張ってこいよ。俺は応援してるぞ。夏休み中は部活で出て来てるから、なんかあったら携帯に電話して来い」
柴村はダンス部の顧問。
名前だけのゆるゆるの先生なので、ほとんど職員室で涼んでることだろう。
柴村にはいろいろ相談にのってもらった。
適当でゆるいけど、大切な相談事には親身になってくれて全然適当じゃなかった。
本当に感謝。
「飛行機何時だっけ?」
「12時です」
「じゃあもう行かないとな。気をつけて」
柴村が手を挙げる。
「ハイ、いろいろとお世話になりました」
俺は頭を下げて職員室のドアの方を振り返った時、佐藤と山林が立っていた。
プリントを抱えていた。
今から配る夏休みの課題だろう。
佐藤は俺を何か言いたげに見ていた。
柴村は山林たちに気が付いた。
「おー、ご苦労さん。そこで数えて、人数分あったら教室持って行って配って」
「あ、はい」
「…」
俺はそのまま視線を逸らしてドアの方に行こうとした。
「小林」
呼んだのは山林の方だった。
「…今から行くのか?」
山林や和幸には父親の事や東京に行く事は話していた。
あと村山にも。
「…ん」
「…気をつけてな」
俺は封筒を持ち上げて、ただそれだけ。
心配してくれてるのは分かったけど、佐藤がいたからあまり喋らなかった。
俺はそのまま教室に戻って、教科書とか体操服など置きっぱなしにしていたのをカバンに詰める。
「あれ、小林早退すんの?」
荒木が帰ろうとしてる俺に気づく。
「あぁ」
「ちょっとあんた置き勉しすぎ!」
パンパンになったカバンを見て笑う。
たしかに重たい。
最近勉強してなかった。
「じゃあね~」
「早退ってお前絶対サボりだろー!」
周りにいたクラスメイトが口々に言う。
俺は適当に答えて、さっさと教室を後にした。
靴箱まで降りて行くと、母親がすでに下にいた。
「荷物それで全部?」
「うん」
母は車で来ていたから、直接空港に行く事になった。
一応荷物はすでに車の中。
俺は校舎を出て、自分の教室あたりを見上げた。
すっげーいい天気。
今日も暑くなりそうだ。
佐藤は今頃教室で宿題を配ってるだろうか。
俺は踵を返して、母の後を歩き出した———。
式が終わった後の2時間めの後の休み時間に、職員室にいた。
「じゃあ、これが学校に提出する書類ね。詳しい事が決まった後でいいけど、なるべく早めに連絡して学校に郵送で送って。手続きとか夏休み明けに間に合わせたいし。荷物は全部持って帰れよ」
柴村が大きな封筒をハイと手渡す。
「あ、でも8月後半が予定日だから、もしかしたら早まった場合、休みもらうからなんか手続きの事で聞きたいことがあった時のため携帯教えとく」
「…予定日?」
「あ…言ってなかったけど、もうすぐ出産予定日なんだわ。奥さん」
「出産…え!?柴村って結婚してた!?」
「コラ、先生つけろ」
シッと指を口に当てた。
「クラスのヤツらには内緒な。先月、籍入れたばっかなんだよ」
聞いたら出来ちゃった結婚。
草食系と思っていたら結構やるな。
「マジっすか。奥さんどんな人?」
「ヒミツ」
柴村は意味ありげに笑った。
タレ目がますます垂れる。
「えー、いいじゃないすか」
俺がしつこく食い下がると柴村はちょっと考えて言った。
「…実は高校の時の同級生。卒業生だから、お前たちと同じ制服着て通ってたよ」
柴村も卒業生なんだ?
「もしかしたらお前たちの学年でも数年後結婚するヤツらがいるかもな?」
意味ありげに笑った。
封筒を受け取った時、柴村が「クラスのみんなには言ってないのか?」と聞いてきた。
もともと父親の事とかはクラスのみんなには言っていない。
わざわざ言って大袈裟にするつもりはなかった。事後報告でいい。
俺は首を振った。
「まぁ、夏休み明けみんなびっくりするだろうがなぁ…。いろいろ大変だろうけど、頑張ってこいよ。俺は応援してるぞ。夏休み中は部活で出て来てるから、なんかあったら携帯に電話して来い」
柴村はダンス部の顧問。
名前だけのゆるゆるの先生なので、ほとんど職員室で涼んでることだろう。
柴村にはいろいろ相談にのってもらった。
適当でゆるいけど、大切な相談事には親身になってくれて全然適当じゃなかった。
本当に感謝。
「飛行機何時だっけ?」
「12時です」
「じゃあもう行かないとな。気をつけて」
柴村が手を挙げる。
「ハイ、いろいろとお世話になりました」
俺は頭を下げて職員室のドアの方を振り返った時、佐藤と山林が立っていた。
プリントを抱えていた。
今から配る夏休みの課題だろう。
佐藤は俺を何か言いたげに見ていた。
柴村は山林たちに気が付いた。
「おー、ご苦労さん。そこで数えて、人数分あったら教室持って行って配って」
「あ、はい」
「…」
俺はそのまま視線を逸らしてドアの方に行こうとした。
「小林」
呼んだのは山林の方だった。
「…今から行くのか?」
山林や和幸には父親の事や東京に行く事は話していた。
あと村山にも。
「…ん」
「…気をつけてな」
俺は封筒を持ち上げて、ただそれだけ。
心配してくれてるのは分かったけど、佐藤がいたからあまり喋らなかった。
俺はそのまま教室に戻って、教科書とか体操服など置きっぱなしにしていたのをカバンに詰める。
「あれ、小林早退すんの?」
荒木が帰ろうとしてる俺に気づく。
「あぁ」
「ちょっとあんた置き勉しすぎ!」
パンパンになったカバンを見て笑う。
たしかに重たい。
最近勉強してなかった。
「じゃあね~」
「早退ってお前絶対サボりだろー!」
周りにいたクラスメイトが口々に言う。
俺は適当に答えて、さっさと教室を後にした。
靴箱まで降りて行くと、母親がすでに下にいた。
「荷物それで全部?」
「うん」
母は車で来ていたから、直接空港に行く事になった。
一応荷物はすでに車の中。
俺は校舎を出て、自分の教室あたりを見上げた。
すっげーいい天気。
今日も暑くなりそうだ。
佐藤は今頃教室で宿題を配ってるだろうか。
俺は踵を返して、母の後を歩き出した———。
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