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彼side
1 生意気なクラスメイト ※
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———
「あんたみたいな適当なのが一番嫌い」
初めて女の子から面と向かって嫌いと言われた。
第一印象は生意気な女子、だった。
こっちの学校に転入してきてからは前の学校みたいに必死に塾に通って勉強もする事も無かった。
ゆるい授業に自由な校風。
住む事になる住所から近いというだけで、見学もせず転入先として決めた学校はびっくりするくらい楽で、みんな楽しそうだった。
ずっと男子校だった俺は、女子の制服が可愛くてラッキーと思った。
ずっと学ランだったから、ブレザーでネクタイ締めないといけないのがめんどくさいけど。
それにしてもこっちの地方の女の子は可愛い子が多い。
田舎だからスレてない感じがいい。
今まで男ばっかだったけど、すぐ隣の席にかわいい女子がいる。
それだけで新鮮で最高。
新しい学校の授業もそんなに難しくない。
試験前にチャチャっと復習すればいい。
余裕があったのでバイトも始めた。
それでもシフトが入ってる日も毎日、深夜まで大学受験対策で始めたネット配信講座を受ける日々。
いくら学校の授業が楽でも、夜遅くまで起きていると遅刻する事や授業中寝てしまう事が多々あった。
でも母親には無理言ってこっちに来させてもらったから、出来るだけ迷惑をかけたくない。
塾も勧められたけど、自分で勉強するのは嫌いじゃないし、ネット配信のオンライン学習で充分だと思った。
父が一応大学までは学費は出してくれるという話らしいが、どうなるか分からないし、出来るだけ今のうちからいろんな事にはお金はかけず貯めておきたい。
———転入してきて、初めての試験ではクラス一位だった。
前の学校でもうすでに習ったとこだったから、取れて当たり前だった。
貼り出された上位成績者の名前を見て、その女子は言った。
あんたみたいな適当なのが一番嫌い、と。
同じクラスの真面目な学級委員の女子。
しっかりしているが手厳しい。
ツンツンしていて、男子をほとんど呼び捨て。
全然媚びてない。
氷のような冷たい視線で、いつも塩対応。
男子の間では名字をもじって「甘い砂糖(佐藤)ではなく塩みたいな対応する」事から「シオ委員長」とか言われていた。
多分そんなしょーもない事言いだしたのは、クラスメイトの山林。
俺の事を面と向かって嫌いと言った彼女を猫みたいだなと思った。
いつもそっぽを向く全然なつかない猫。
授業中寝てばかりいる俺の事が適当に見えるんだろう。
ま、別にいいけどね。俺の方が成績いいし。
新しい学校では、東京という都会からの転入生というアドバンテージと自分の外見から女の子達には結構モテてることは自覚していた。
だけどその女子は、俺の外見を気に留めるどころか、事あるごとに目の敵にして、成績で負けてはおれを睨んでくる。
正直めんどくさいなぁと思った。
———次のテスト、その学級委員の女子に現文で負けた。
楽勝と思って試験一週間前でもバイトを入れてたから、当たり前の結果だったのかもしれない。
ついでに言うと他の教科でも別の男子に負けた。
気を抜いていた。
これではダメだ。
その時から次の試験では一週間前はバイトは入れず、きちんと勉強するようにした。
その甲斐あってか、毎回試験では上位をキープした。
しかし毎回、小テストの結果でさえも負けて悔しがる彼女の鼻を明かすのがちょっと楽しみになっていた。
毎回彼女に点数を聞く。
いつも冷めた表情で、男子を見下している彼女が俺に負けた時はその無表情が崩れて怒りが浮かぶ。
全然、学校では勉強してない風を装っている俺に苛立つ彼女の反応を見るのは、つまらない日々のいい暇つぶしになっていた。
彼女が俺に対してだけ怒った時はそれを隠そうとともせず、自分の感情にまっすぐで正直で、言葉も選ばず、ズバズバ言う。
小さい頃から家族や学校の人間関係で神経をすり減らしていた俺にとって分かりやすくて、駆け引きをしなくて済むのが楽だった。
最初はそう思っていた。
本当言うと自分のタイプは清楚な感じの子。
髪が長くて大人しい感じ。
好きだなと思う子は同じクラスにすぐ出来た。
その猫みたいな副委員長とも仲の良い、おとなしめのコ。
ガンガン押しまくって付き合えたけど、三ヶ月後、結局フラれた。
結構痛手だったけど、その子にはもともと好きなヤツがいたからしょうがない。
アッサリ身を引いた。
生まれた時点で持っているものは大体決まっている。
親が政治家、家が金持ち、スポーツ選手の遺伝子、芸術の才能を受け継ぐ家系。
自分自身で頑張ってもある程度限界がある。
物心ついた時には前の学校にはそんな同級生がたくさんいたから、うまく行かないことがあっても妬む事もなく、受け入れる術は身につけて育った。
今回も、自分では無理だなと思って身を引いた。
———二年生に進級した。
年度末の試験で成績が良かった俺が学級委員をやる羽目になった。
中学では生徒会の書記をしてたから、そういうリーダーシップを発揮するポジションはやろうと思えば出来る。
だけどもう優等生で目立ちたくはなかった。
印象がいいとハードルが高くてのちのち苦労する。
後の評価は落ちるばかりだ。
紆余曲折経て新天地では気ままなこの立ち位置を獲得したのに、もうそれを手離す気はなかった。
しかも一緒にペアでやることになったもう1人の委員は去年も学級委員をやってたあの猫みたいな彼女。
まぁ、いいや。
二年続けてしてるなら俺が何もしなくても出来るでしょ。
文系の特別進学クラスなので、コース変更がない限りほとんどクラスメイトの顔ぶれは変わらない。
元カノと、その子と付き合うことになった俺の友達も一緒のクラス。
また一年、あの二人を近くで見続けんのか…。
理系に転向すれば良かったかな。
二人がイチャついてんの見るのはいやだけど、しょうがない。
だけど他の女の子と遊んでみても、心にぽっかり空いた穴は埋まるどころか虚無感は募るばかり。
毎日つまらない。
そんな中、いつも俺には手厳しい真面目な学級委員の彼女の意外な一面を見ることになった。
『そんなに溜まってるなら抜いてあげようか』
『大丈夫、処女じゃないから』
どう見ても処女と思っていたお堅い女子から禁断のワードがポンポン出てくるから、いつもみたいな返しがすぐには出来なかった。
軽いチャラ男のキャラは板について来ていたはずだったのに、うまく返せない。
えぇと、持ちネタでなんかいいギャグあったか。
別に好きでもないのに詳しくなった芸人のフレーズがぐるぐる回る。
さっきのセリフが、今日午後の授業で古文の伊勢物語を朗読していたその同じ口から出たとは思えない。
『昔、男ありけり。女のえ得ましかりけるを…』
後ろで凛とした声で読んでいたその口が俺のモノを咥えている。
え。何この状況。
そんなん絶対にしそうな子じゃない。
臆する事なくそれを口に含み彼女に翻弄され、すぐイカされプライドが傷ついた。
いや、いつもはこんなに早くイカない。
きっと、いつも自分に噛み付いてくる猫みたいな彼女がいきなり擦り寄ってきた、想像できないこの状況に興奮したんだと思う。
いつもは男子を見下すような涼やかな瞳なのに、俺のを咥えて見上げる目は潤んでいて、その姿だけで数週間は脳内再生して抜けそうだった。
しかし一回出すと冷静になれた。
所謂、賢者タイムだ。
いや、このままでは帰れない。
やられたままでは終わらない。
いつもの調子を取り戻した。
その後、逆にいじめ返すとめっちゃ可愛く鳴いた。
…なんだ、普段真面目なのにこのギャップ。
いつもこんな事やってんのか。
女ってこえーな。
女の怖さにビビりつつ、処女じゃないなら気軽にやっちゃおうかと思ったら、彼女は一回しかした事がないという。
いや、待って。
それ、ほぼほぼ処女じゃん。
しかも好きな相手がいる。
その相手のためにセックス学ぶってどんだけ勉強熱心なの。
頑張る方向性、間違ってるだろ。
でも普段の彼女の真面目で、勉強や学ぶ事に対しての貪欲さを見ていたら、今回は勉強する対象が数学からセックスに移行しただけなんだと妙に納得した。
男心ももう少し学んだ方がいいけど。
そう思ったけど言わなかった。
実際やってみると最中は素直で甘えたがりで、普段のギャンギャン怒る声であんあん言われたらそれだけで爆発しそうだった。
必死に長く持つように耐えたけど、相性は良かった。
今までで一番くらい。
予想外に可愛くって抱きしめて余韻に浸りたいのに、終わった瞬間から向こうが男か、って言うくらいの冷たい態度。
しかもどいてとか言われるし。
女の子って終わっても腕枕してほしいとか、しばらくくっついときたいって言うんじゃないの?
あれは都市伝説なの?
経験人数もみんなが思うよりそんなに多いわけではなく、男子校が長かった俺には女心は全く分からない。
でも気持ち良かったか聞いたら、顔を赤らめて素直に「…うん」と答えた。
何、その素直さと可愛いさ。
普段からそうしとけばいいのに。
びっくりして黙ったら「何」っていつもみたいに睨まれた。
こえー。
さっきまでトロンとした目で見てたのに、今は目だけで殺されそう。
本当にそのギャップ、反則かよ。
分かりやすいハッキリした性格かと思いきや、何を考えているのかさっぱりわからない。
その頭の中覗いてみたい。
———彼女の好きなヤツを聞くと10歳も年上の大企業の会社員だった。
その会社なら27歳で年収500万くらいか。
バイトしても高校生じゃ太刀打ちできねーな。
ていうか、10歳下の女子高生に手ェ出すってヤバくない?
セーラー服好きのおっさんとか。
うちの高校ブレザーだけど。
さっき中途半端に脱がした体操服とスカートが蘇る。
明るいし裸を見られるのがイヤみたいだった。
でも結局半分以上脱がして普通におっぱいも見えるし、何より半分ほど着た状態の服が乱れて余計にイヤらしく見えるのに気づいてないのか、はたまた計算なのか?
俺は裸になって素肌で抱き合いたいけど。
何よりもその唇にキスしたい。
いつもきつくキュッと結んでいる長い髪をほどいて、その髪の隙間に指をいれて撫でて抱きしめてキスしたい。
けどしない。
始める前にキスNGを出された。
俺とはキスはしたくないのか。
あそこに入れるのはいいのに?
普通はエッチのが好きなやつとしかしたくないだろ。
でも彼女は好きなヤツに相手にしてもらえないから上手くなりたいという。
話を戻すと、まあ、そのロリコン・リーマンのおっさんのおかげで、俺は彼女とエッチできたという事になる。
興味がなかった——むしろめんどくさい女子だと思っていた彼女のその二面性と、性に関して学ぼうとする訳のわからない真面目さに惹きつけられた。
訳が分からないから知りたいと思った。
難解なパズルのように彼女の思考を解きたい。
こうしてみると、スッキリした切長の猫みたいな目も笑うとかわいい。
脱いだら痩せてるのに意外とおっぱいがあるのも好み。
デカすぎるのは嫌い。
圧が凄くて、自己主張が激しい気がして、牛みたいで萎える。
だから彼女のおっぱいの大きさは自分の好みにドンピシャで、姿勢もよくて凛としたその佇まいが単純に綺麗だと思った。
また彼女を鳴かせたい。
たくさん気持ち良くさせて、そのロリコンおっさんより俺とのエッチがいいって言わせたい。
とりあえずそのおっさんとは一回しかしてないみたいなので、回数だけでも上回っとこう。
俺は後ろから彼女を抱きしめた。
———2回目はすでに潤って、1回目の余韻が残っていたのか、佐藤は始めから乱れまくった。
普段のクールなイメージからは想像出来ないくらいエロかった。
何?ホントにそのギャップ。
一回やってタカが外れたのかというくらいすぐにイッてしまった。
いや確かに俺も頑張ったけど。
ちょっと待って、と何回も言うその唇をキスで塞ぎたかったけど、我慢して、代わりに抵抗しようと俺を押し返すその両手を押さえつけた。
大人しくなったので指を中に入れてかき混ぜて、もう片方の手で外側の敏感な部分の両方攻めた。
俺はまだイッてなかったから、ずっと佐藤の中に居たらもうやめてと言って泣いた。
やめるかよ。
こんなかわいい姿ずっと見ておきたい。
最初嘘泣きかと思ってたら、本当に泣いていたので、ちょっと興奮してしつこくやりすぎたと思った。
すごくヨガってたから嫌がってないと思ってたけど…実は本気の涙だったのか。
しまった、泣かせちゃった、と口を押さえて戸惑っていると気持ち良すぎて泣いてしまったのだと言う。
なんだ、その嬉しい答えは。
俺はにやけるのを必死に堪えて
「生意気な佐藤を泣かせるのってすげーいい気分」
と言った。
でも多分嬉しさは隠しきれていなかったように思う。
その直後、目をパチクリとさせた彼女からは腹を思い切り蹴られた。
「あんたみたいな適当なのが一番嫌い」
初めて女の子から面と向かって嫌いと言われた。
第一印象は生意気な女子、だった。
こっちの学校に転入してきてからは前の学校みたいに必死に塾に通って勉強もする事も無かった。
ゆるい授業に自由な校風。
住む事になる住所から近いというだけで、見学もせず転入先として決めた学校はびっくりするくらい楽で、みんな楽しそうだった。
ずっと男子校だった俺は、女子の制服が可愛くてラッキーと思った。
ずっと学ランだったから、ブレザーでネクタイ締めないといけないのがめんどくさいけど。
それにしてもこっちの地方の女の子は可愛い子が多い。
田舎だからスレてない感じがいい。
今まで男ばっかだったけど、すぐ隣の席にかわいい女子がいる。
それだけで新鮮で最高。
新しい学校の授業もそんなに難しくない。
試験前にチャチャっと復習すればいい。
余裕があったのでバイトも始めた。
それでもシフトが入ってる日も毎日、深夜まで大学受験対策で始めたネット配信講座を受ける日々。
いくら学校の授業が楽でも、夜遅くまで起きていると遅刻する事や授業中寝てしまう事が多々あった。
でも母親には無理言ってこっちに来させてもらったから、出来るだけ迷惑をかけたくない。
塾も勧められたけど、自分で勉強するのは嫌いじゃないし、ネット配信のオンライン学習で充分だと思った。
父が一応大学までは学費は出してくれるという話らしいが、どうなるか分からないし、出来るだけ今のうちからいろんな事にはお金はかけず貯めておきたい。
———転入してきて、初めての試験ではクラス一位だった。
前の学校でもうすでに習ったとこだったから、取れて当たり前だった。
貼り出された上位成績者の名前を見て、その女子は言った。
あんたみたいな適当なのが一番嫌い、と。
同じクラスの真面目な学級委員の女子。
しっかりしているが手厳しい。
ツンツンしていて、男子をほとんど呼び捨て。
全然媚びてない。
氷のような冷たい視線で、いつも塩対応。
男子の間では名字をもじって「甘い砂糖(佐藤)ではなく塩みたいな対応する」事から「シオ委員長」とか言われていた。
多分そんなしょーもない事言いだしたのは、クラスメイトの山林。
俺の事を面と向かって嫌いと言った彼女を猫みたいだなと思った。
いつもそっぽを向く全然なつかない猫。
授業中寝てばかりいる俺の事が適当に見えるんだろう。
ま、別にいいけどね。俺の方が成績いいし。
新しい学校では、東京という都会からの転入生というアドバンテージと自分の外見から女の子達には結構モテてることは自覚していた。
だけどその女子は、俺の外見を気に留めるどころか、事あるごとに目の敵にして、成績で負けてはおれを睨んでくる。
正直めんどくさいなぁと思った。
———次のテスト、その学級委員の女子に現文で負けた。
楽勝と思って試験一週間前でもバイトを入れてたから、当たり前の結果だったのかもしれない。
ついでに言うと他の教科でも別の男子に負けた。
気を抜いていた。
これではダメだ。
その時から次の試験では一週間前はバイトは入れず、きちんと勉強するようにした。
その甲斐あってか、毎回試験では上位をキープした。
しかし毎回、小テストの結果でさえも負けて悔しがる彼女の鼻を明かすのがちょっと楽しみになっていた。
毎回彼女に点数を聞く。
いつも冷めた表情で、男子を見下している彼女が俺に負けた時はその無表情が崩れて怒りが浮かぶ。
全然、学校では勉強してない風を装っている俺に苛立つ彼女の反応を見るのは、つまらない日々のいい暇つぶしになっていた。
彼女が俺に対してだけ怒った時はそれを隠そうとともせず、自分の感情にまっすぐで正直で、言葉も選ばず、ズバズバ言う。
小さい頃から家族や学校の人間関係で神経をすり減らしていた俺にとって分かりやすくて、駆け引きをしなくて済むのが楽だった。
最初はそう思っていた。
本当言うと自分のタイプは清楚な感じの子。
髪が長くて大人しい感じ。
好きだなと思う子は同じクラスにすぐ出来た。
その猫みたいな副委員長とも仲の良い、おとなしめのコ。
ガンガン押しまくって付き合えたけど、三ヶ月後、結局フラれた。
結構痛手だったけど、その子にはもともと好きなヤツがいたからしょうがない。
アッサリ身を引いた。
生まれた時点で持っているものは大体決まっている。
親が政治家、家が金持ち、スポーツ選手の遺伝子、芸術の才能を受け継ぐ家系。
自分自身で頑張ってもある程度限界がある。
物心ついた時には前の学校にはそんな同級生がたくさんいたから、うまく行かないことがあっても妬む事もなく、受け入れる術は身につけて育った。
今回も、自分では無理だなと思って身を引いた。
———二年生に進級した。
年度末の試験で成績が良かった俺が学級委員をやる羽目になった。
中学では生徒会の書記をしてたから、そういうリーダーシップを発揮するポジションはやろうと思えば出来る。
だけどもう優等生で目立ちたくはなかった。
印象がいいとハードルが高くてのちのち苦労する。
後の評価は落ちるばかりだ。
紆余曲折経て新天地では気ままなこの立ち位置を獲得したのに、もうそれを手離す気はなかった。
しかも一緒にペアでやることになったもう1人の委員は去年も学級委員をやってたあの猫みたいな彼女。
まぁ、いいや。
二年続けてしてるなら俺が何もしなくても出来るでしょ。
文系の特別進学クラスなので、コース変更がない限りほとんどクラスメイトの顔ぶれは変わらない。
元カノと、その子と付き合うことになった俺の友達も一緒のクラス。
また一年、あの二人を近くで見続けんのか…。
理系に転向すれば良かったかな。
二人がイチャついてんの見るのはいやだけど、しょうがない。
だけど他の女の子と遊んでみても、心にぽっかり空いた穴は埋まるどころか虚無感は募るばかり。
毎日つまらない。
そんな中、いつも俺には手厳しい真面目な学級委員の彼女の意外な一面を見ることになった。
『そんなに溜まってるなら抜いてあげようか』
『大丈夫、処女じゃないから』
どう見ても処女と思っていたお堅い女子から禁断のワードがポンポン出てくるから、いつもみたいな返しがすぐには出来なかった。
軽いチャラ男のキャラは板について来ていたはずだったのに、うまく返せない。
えぇと、持ちネタでなんかいいギャグあったか。
別に好きでもないのに詳しくなった芸人のフレーズがぐるぐる回る。
さっきのセリフが、今日午後の授業で古文の伊勢物語を朗読していたその同じ口から出たとは思えない。
『昔、男ありけり。女のえ得ましかりけるを…』
後ろで凛とした声で読んでいたその口が俺のモノを咥えている。
え。何この状況。
そんなん絶対にしそうな子じゃない。
臆する事なくそれを口に含み彼女に翻弄され、すぐイカされプライドが傷ついた。
いや、いつもはこんなに早くイカない。
きっと、いつも自分に噛み付いてくる猫みたいな彼女がいきなり擦り寄ってきた、想像できないこの状況に興奮したんだと思う。
いつもは男子を見下すような涼やかな瞳なのに、俺のを咥えて見上げる目は潤んでいて、その姿だけで数週間は脳内再生して抜けそうだった。
しかし一回出すと冷静になれた。
所謂、賢者タイムだ。
いや、このままでは帰れない。
やられたままでは終わらない。
いつもの調子を取り戻した。
その後、逆にいじめ返すとめっちゃ可愛く鳴いた。
…なんだ、普段真面目なのにこのギャップ。
いつもこんな事やってんのか。
女ってこえーな。
女の怖さにビビりつつ、処女じゃないなら気軽にやっちゃおうかと思ったら、彼女は一回しかした事がないという。
いや、待って。
それ、ほぼほぼ処女じゃん。
しかも好きな相手がいる。
その相手のためにセックス学ぶってどんだけ勉強熱心なの。
頑張る方向性、間違ってるだろ。
でも普段の彼女の真面目で、勉強や学ぶ事に対しての貪欲さを見ていたら、今回は勉強する対象が数学からセックスに移行しただけなんだと妙に納得した。
男心ももう少し学んだ方がいいけど。
そう思ったけど言わなかった。
実際やってみると最中は素直で甘えたがりで、普段のギャンギャン怒る声であんあん言われたらそれだけで爆発しそうだった。
必死に長く持つように耐えたけど、相性は良かった。
今までで一番くらい。
予想外に可愛くって抱きしめて余韻に浸りたいのに、終わった瞬間から向こうが男か、って言うくらいの冷たい態度。
しかもどいてとか言われるし。
女の子って終わっても腕枕してほしいとか、しばらくくっついときたいって言うんじゃないの?
あれは都市伝説なの?
経験人数もみんなが思うよりそんなに多いわけではなく、男子校が長かった俺には女心は全く分からない。
でも気持ち良かったか聞いたら、顔を赤らめて素直に「…うん」と答えた。
何、その素直さと可愛いさ。
普段からそうしとけばいいのに。
びっくりして黙ったら「何」っていつもみたいに睨まれた。
こえー。
さっきまでトロンとした目で見てたのに、今は目だけで殺されそう。
本当にそのギャップ、反則かよ。
分かりやすいハッキリした性格かと思いきや、何を考えているのかさっぱりわからない。
その頭の中覗いてみたい。
———彼女の好きなヤツを聞くと10歳も年上の大企業の会社員だった。
その会社なら27歳で年収500万くらいか。
バイトしても高校生じゃ太刀打ちできねーな。
ていうか、10歳下の女子高生に手ェ出すってヤバくない?
セーラー服好きのおっさんとか。
うちの高校ブレザーだけど。
さっき中途半端に脱がした体操服とスカートが蘇る。
明るいし裸を見られるのがイヤみたいだった。
でも結局半分以上脱がして普通におっぱいも見えるし、何より半分ほど着た状態の服が乱れて余計にイヤらしく見えるのに気づいてないのか、はたまた計算なのか?
俺は裸になって素肌で抱き合いたいけど。
何よりもその唇にキスしたい。
いつもきつくキュッと結んでいる長い髪をほどいて、その髪の隙間に指をいれて撫でて抱きしめてキスしたい。
けどしない。
始める前にキスNGを出された。
俺とはキスはしたくないのか。
あそこに入れるのはいいのに?
普通はエッチのが好きなやつとしかしたくないだろ。
でも彼女は好きなヤツに相手にしてもらえないから上手くなりたいという。
話を戻すと、まあ、そのロリコン・リーマンのおっさんのおかげで、俺は彼女とエッチできたという事になる。
興味がなかった——むしろめんどくさい女子だと思っていた彼女のその二面性と、性に関して学ぼうとする訳のわからない真面目さに惹きつけられた。
訳が分からないから知りたいと思った。
難解なパズルのように彼女の思考を解きたい。
こうしてみると、スッキリした切長の猫みたいな目も笑うとかわいい。
脱いだら痩せてるのに意外とおっぱいがあるのも好み。
デカすぎるのは嫌い。
圧が凄くて、自己主張が激しい気がして、牛みたいで萎える。
だから彼女のおっぱいの大きさは自分の好みにドンピシャで、姿勢もよくて凛としたその佇まいが単純に綺麗だと思った。
また彼女を鳴かせたい。
たくさん気持ち良くさせて、そのロリコンおっさんより俺とのエッチがいいって言わせたい。
とりあえずそのおっさんとは一回しかしてないみたいなので、回数だけでも上回っとこう。
俺は後ろから彼女を抱きしめた。
———2回目はすでに潤って、1回目の余韻が残っていたのか、佐藤は始めから乱れまくった。
普段のクールなイメージからは想像出来ないくらいエロかった。
何?ホントにそのギャップ。
一回やってタカが外れたのかというくらいすぐにイッてしまった。
いや確かに俺も頑張ったけど。
ちょっと待って、と何回も言うその唇をキスで塞ぎたかったけど、我慢して、代わりに抵抗しようと俺を押し返すその両手を押さえつけた。
大人しくなったので指を中に入れてかき混ぜて、もう片方の手で外側の敏感な部分の両方攻めた。
俺はまだイッてなかったから、ずっと佐藤の中に居たらもうやめてと言って泣いた。
やめるかよ。
こんなかわいい姿ずっと見ておきたい。
最初嘘泣きかと思ってたら、本当に泣いていたので、ちょっと興奮してしつこくやりすぎたと思った。
すごくヨガってたから嫌がってないと思ってたけど…実は本気の涙だったのか。
しまった、泣かせちゃった、と口を押さえて戸惑っていると気持ち良すぎて泣いてしまったのだと言う。
なんだ、その嬉しい答えは。
俺はにやけるのを必死に堪えて
「生意気な佐藤を泣かせるのってすげーいい気分」
と言った。
でも多分嬉しさは隠しきれていなかったように思う。
その直後、目をパチクリとさせた彼女からは腹を思い切り蹴られた。
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