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第2章
24話
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「うっ……」
読まれてる、先回りして私の動きを封じようとしてるな? ならばっ、必殺可愛いくおねだり攻撃だっ!
「少しの時間ならお手伝いしてもいいでしょ? ねえ、ジェイク」
「ダメだ、今回は特にな。可愛いおねだりは、また今度別の機会に聞くから」
ちぇっ、バレてらぁ。ぷうっと膨れて不満そうにしてると、両頬に手を置かれ目線を合わせる角度に固定された。
「あまり聞き分けがないとキスするぞ?」
のえーーっ、街中でチューはダメですって!
これでもかっていうくらい目を見開いて、ふるふると首を振ると、ジェイクが意地悪そうな顏で「言うこと聞いてくれてありがとう」だとさ。
体良く丸め込まれて、その話しは終わりになった。
帰り際、王宮で何があるのかと聞いてみたが、軽いキスと頭ポンポンで適当に誤魔化されてしまった。
パキン、と固まったままジェイクを見送って、しばらくしてからハッと気づいたのよ、私の免疫の無さを利用されたってことに。
何か悔しーーいっ。どうにかしてジェイクにひと泡吹かせてやりたいって思ったけど……今の私じゃムリだな。しょうがない、素直に道場行って剣術の相手を探すとしましょ。
やり込められた不満を胸に、すごすごと家へと戻った。
「あれ? ニコラス、ずいぶん早い戻りじゃないの?」
広間のソファをみると、ニコラスが書類を広げてゆっくりとお茶を飲んでいる。
「ああ、姉上、お帰りなさい。明日から私、第二王子の身辺警護の担当なんです。その調整で、今日は早めに業務を終えてきたのですよ」
慌てて書類を片付けて、いそいそと立ち上がり、部屋に戻ろうとしている。
……何か怪しい。私に見せたくない書類っぽいわね、問い詰めてやろうっと。
階段に向かっていくニコラスに話しかけた。
「ねぇニコラス、その書類は明日からの業務について書かれてるの? まあ、私には関係ないから、概要を話しても外部に漏れるってこともないと思うけど?」
「いいえ、例え姉上でも、近衛の任務内容ですから。この書類は姉上が思ってるほど重要ではないので、気にしないでください」
書類を私の視線から外すように隠すと、急いで階段を上ろうとするニコラスに少しだけカチンときた。
ちょっとお、アンタそんないい訳する程、余計に怪しいって、わっかんないかなぁ。
先ほどジェイクに丸め込まれた鬱憤もあって、どうにか気持ちを満足させたい欲求に駆られるのよね。
やっぱ気になる、見せなさいよっ!
「ニコラスっ、待ちなさいってばっ!」
グイッと掴んだのは、ニコラスの制服のポケット部分だった。
急に後ろに負荷がかかったニコラスは、グラりと体が傾き、思いっきり階段から転げ落ちた。
「どぅおあーーーーっ!」「ニコラーーーースっ!」
ニコラスと私の声が重なり、同時にものすごい音が響いた。
慌てて家の使用人全員が広間に飛び出してくる。そしてその場にいた全員の目がニコラスに集まった……次の瞬間、蜂の巣を突いたような騒ぎになり、ニコラスは部屋に運ばれ、私は呆然とその様子を見てるだけ。少ししたら医者が飛んできた。ホントに飛んできたかも、っていうくらい素早い登場だった。
医者の診立てによれば、全身打撲と左足首の捻挫と脳しんとうを起こしてる、ということだ。
うっわあ、マズい、マズいよお。絶対お父様に怒られるーー。目を覚ましたらニコラスからも大目玉食らうよね、たぶん。いや、確実に。
とりあえず部屋に戻って静かにしてよっと。
私は今から透明人間に変身します。じゃあね。
読まれてる、先回りして私の動きを封じようとしてるな? ならばっ、必殺可愛いくおねだり攻撃だっ!
「少しの時間ならお手伝いしてもいいでしょ? ねえ、ジェイク」
「ダメだ、今回は特にな。可愛いおねだりは、また今度別の機会に聞くから」
ちぇっ、バレてらぁ。ぷうっと膨れて不満そうにしてると、両頬に手を置かれ目線を合わせる角度に固定された。
「あまり聞き分けがないとキスするぞ?」
のえーーっ、街中でチューはダメですって!
これでもかっていうくらい目を見開いて、ふるふると首を振ると、ジェイクが意地悪そうな顏で「言うこと聞いてくれてありがとう」だとさ。
体良く丸め込まれて、その話しは終わりになった。
帰り際、王宮で何があるのかと聞いてみたが、軽いキスと頭ポンポンで適当に誤魔化されてしまった。
パキン、と固まったままジェイクを見送って、しばらくしてからハッと気づいたのよ、私の免疫の無さを利用されたってことに。
何か悔しーーいっ。どうにかしてジェイクにひと泡吹かせてやりたいって思ったけど……今の私じゃムリだな。しょうがない、素直に道場行って剣術の相手を探すとしましょ。
やり込められた不満を胸に、すごすごと家へと戻った。
「あれ? ニコラス、ずいぶん早い戻りじゃないの?」
広間のソファをみると、ニコラスが書類を広げてゆっくりとお茶を飲んでいる。
「ああ、姉上、お帰りなさい。明日から私、第二王子の身辺警護の担当なんです。その調整で、今日は早めに業務を終えてきたのですよ」
慌てて書類を片付けて、いそいそと立ち上がり、部屋に戻ろうとしている。
……何か怪しい。私に見せたくない書類っぽいわね、問い詰めてやろうっと。
階段に向かっていくニコラスに話しかけた。
「ねぇニコラス、その書類は明日からの業務について書かれてるの? まあ、私には関係ないから、概要を話しても外部に漏れるってこともないと思うけど?」
「いいえ、例え姉上でも、近衛の任務内容ですから。この書類は姉上が思ってるほど重要ではないので、気にしないでください」
書類を私の視線から外すように隠すと、急いで階段を上ろうとするニコラスに少しだけカチンときた。
ちょっとお、アンタそんないい訳する程、余計に怪しいって、わっかんないかなぁ。
先ほどジェイクに丸め込まれた鬱憤もあって、どうにか気持ちを満足させたい欲求に駆られるのよね。
やっぱ気になる、見せなさいよっ!
「ニコラスっ、待ちなさいってばっ!」
グイッと掴んだのは、ニコラスの制服のポケット部分だった。
急に後ろに負荷がかかったニコラスは、グラりと体が傾き、思いっきり階段から転げ落ちた。
「どぅおあーーーーっ!」「ニコラーーーースっ!」
ニコラスと私の声が重なり、同時にものすごい音が響いた。
慌てて家の使用人全員が広間に飛び出してくる。そしてその場にいた全員の目がニコラスに集まった……次の瞬間、蜂の巣を突いたような騒ぎになり、ニコラスは部屋に運ばれ、私は呆然とその様子を見てるだけ。少ししたら医者が飛んできた。ホントに飛んできたかも、っていうくらい素早い登場だった。
医者の診立てによれば、全身打撲と左足首の捻挫と脳しんとうを起こしてる、ということだ。
うっわあ、マズい、マズいよお。絶対お父様に怒られるーー。目を覚ましたらニコラスからも大目玉食らうよね、たぶん。いや、確実に。
とりあえず部屋に戻って静かにしてよっと。
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