初体験

久手堅悠作

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初体験

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「私、月見バーガー食べるの初めて」

「へー、そうなんだ」

「というか、マックのハンバーガーを食べるのが初めて」

「マジ?」

「田舎生まれだからね。それに、18歳になるまで村の外に出たことがなかったの」

「そんなことある?」

「あるよ。私の住んでた村、女性は村の外に出ちゃダメだったの。そういう風習がある村だったんだ」

「ヤバい村じゃん。男尊女卑がえげつないね」

「ヤバいよね~。なんか村の女性が村の外に出たら、災害が起こるっていう変な迷信があってさ、本当馬鹿げてるよね~」

「え、じゃあ君はなんでここにいるの?」

「高校を卒業したと同時に、村から逃げ出して来たの」

「それ、大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないよ。だから深夜に村を出て、ヒッチハイクをしてここまで来たの」

「追っ手とかは来てないの?」

「来てないよ。多分、もう来ないんじゃないかなぁ」

「へ?なんで?」

「だってその村、私が出て行ってから3ヶ月後ぐらいに土砂崩れで村人全員死んじゃったから」
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