神殺し

久手堅悠作

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神殺し

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息を切らしながら神社の鳥居をくぐると、僕はお守り売り場の前でしゃがみ込んだ。そして息を整え、巫女に話しかけようとしたらその前に彼女が口を開いた。

「君、呪われてるね」

「実は山奥にあった祠を壊してしまってから変なことが起こっているんです。お願いします! 助けてください!」

「無理。私はただ視えるだけの巫女だし。それよりも適任がいるでしょ?」

「適任?」

「祓い屋の弓削一真ゆげかずま

「あの人のところに行ったんですけど、呪いを解くには1000万かかると言われました」

「へー、あの子1000万で神殺ししようとしてたんだ。だいぶ狂ってるな。まぁ、半分混じってるしおかしくはないか。でも、1000万出せば助かるのに非情な親だね。可哀想。君の親は君のことを愛していないんだね」

「そ、そんなことないです。祖母が一人で僕を育てているので、お金がないだけです」

「じゃあ、私が助けてあげる。10万ぐらいは払えるよね?」

「え? お金取るんですか?」

「逆に聞くけど、なんで無償で人助けしないといけないの?」

「……聖職だから」

「理由になってないな。なんで私が金もらって仕事をするかわかる? そうしないと、客がつけあがるんだよ。ありがとうって言葉はお金とセットじゃないと価値がないの。第一、なんで知らない奴のために無償で、しかも命かけて働かないといけなんだよ」

「わかりました。10万払います」

「それじゃ、明日までに君の大事なものをこの神社に持って来るんだ。わかったかい?」

 次の日、僕は愛犬のラッキーを連れて神社に向かった。巫女は僕らの姿を見て呆れたようにこう言った。

「犬畜生と人間様の命の価値が同じなわけないだろう。バカなのか君は」

「じゃあ、僕はこれ以上何を捧げればいいんですか?」

「そんなの決まっているだろう? 君の祖母の命だ」

「嫌です! そんなの」

「仕方ない。じゃあ、代わりに君が死ぬしかないな」
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