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第二章:大いなる冬の訪れ
フリージアの決意①
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フリージアは蒼い顔でジッと足元の腕を見つめている。
そんな彼女から視線を引きはがすようにしてオルディンは身を翻すと、足早にその場を離れた。遠くまでは行けない。だが、充分に頭を冷やすことができるほどには距離を置く必要があった。
やがて見えてきた村を囲む柵に両手を置き、オルディンは深く身体を折る。
吐きそうだった。
人を斬ったからではない。そんなことは慣れている。腕を斬り落とすどころか命を奪うことすら何の躊躇いもなくしてみせるだろう――フリージアの為ならば。
だが。
オルディンの脳裏に、先ほどのフリージアの姿が、表情が、よみがえる。
あんな彼女は、見たくなかった。
「他に、どうすりゃ良かったってんだよ」
王都グランディアでビグヴィルに事情を話して慌てふためく彼から薬を受け取り、待機していたラタに触れられた――と思ったら、あの場面だった。
おとなしくエイルの治療を受けている筈だったフリージアが、黒衣の男を相手に剣を振るっていた、あの場面。
オルディンの目の前でフリージアは地面に落ちていた長剣に足を取られ――気付いたら、彼は男の腕を斬り落としていた。手加減をしようなど、考える余裕はなかった。
腕を失くした男越しにオルディンを見上げた、呆然としたフリージアの眼差し。
血の気の引いた、凍り付いたような、フリージアの小さな顔。
彼女が愕然としていたのは、男が腕を失ったことに対してなのか、それとも、その酷い行為をオルディンが無造作に果たして見せたことに対してなのか。
オルディンは彼女がまだ幼かった頃によくそうしてやったように、抱き上げ、宥めてやりたい衝動に駆られたが、意思に反して身体はピクリとも動かせなかった。
「オル……」
彼の呪縛を解いたのは、微かに震えるフリージアの声だ。その視線から逃れるように彼女に背を向け、刺客二人を相手に奮戦しているロキスの元へと向かってやった。
相手の剣をへし折り、力任せに叩き伏せながら、オルディンの頭からはフリージアの大きく見開いた緑の目が離れなかった。
彼は確信する。
やはり彼女は戦うということがどういうことなのか、理解していない、と。その覚悟は全くできていないのだ、と。
戦となった時、相手を傷付けること、その命を奪うことに躊躇いを覚えていたら、失われるのはグランゲルドの兵の命であり――フリージアの命であるのだ。
フリージアが敵を殺さなければ、彼女の身体が傷付く。
だが、フリージアが敵を殺せば、彼女の心が傷付く。
どちらも、オルディンには許容し難いことだった。
ビグヴィルと会ってしまう前に、フリージアをこの国から遠ざけていれば良かった。彼女が何も知らされないうちに遠く離れた地に行ってしまえば、今の状況はなかった。
何度も繰り返した後悔を、オルディンはまた噛み締める。
フリージアの意志を尊重したいと思う。だが、同時に、自分の手の内に閉じ込めて何ものからも守ってやりたいとも思うのだ。
矛盾した二つの気持ちは、同じ強さで彼の中に存在し、せめぎ合う。どちらか一方であれば楽だったのに、どちらも捨てられない。
オルディンは柵を握り締め、地面に向けて大きく息を吐き出す。
と、背後で微かな足音と、馴染んだ気配。
それが誰かは判っていたが、オルディンはすぐには振り返ることができなかった。
いつも屈託なく彼に向けられる緑の眼差しに、ほんの少しでも陰りが差していたら――
「オル?」
名前を呼ばれ、彼は喉に何かが詰まったような息苦しさに襲われる。深い呼吸を繰り返し、そうして、ようやく彼女に向き直る。
フリージアが立っているのは、オルディンから優に十歩は離れた場所だった。その距離が今の彼女の気持ちを如実に表している気がして、彼は微かに目元を歪ませる。
「ごめん……ごめんね、オル」
何故かフリージアは、オルディンと目が合うなりそう言った。そうして、止めていた足をまた動かし始める。
近付いてきた彼女は、彼の手が届く距離で――いつもの位置で、立ち止まった。
その緑瞳に、暗いものはない。
微かに何かを案じるような色は見えるが、彼が恐れていたような陰りは存在しなかった。
オルディンは懐を探って小さな包みを取り出すと、彼女にズイと差し出す。
「何?」
鼻先に突き出されたものに、フリージアが眉根を寄せて首をかしげた。
「薬だ。さっさと飲め。エイルの治療はちゃんと受けていたのか?」
「あ、うん……さっきあいつらが襲ってくるまでは、ずっと、エイルが力を注いでくれてた」
「どこか体調の悪いところは? だるいとか、痛いとか」
「んん……特にない。全然平気、何ともない」
「そうか」
臓腑の事だからその目で身体を切り開いて見るわけにもいかず、正確なところは判らない。だが、少なくとも、いつもの彼女のように見えた。
フリージアが受け取った包みを開く。中に入っているのは丸薬で、彼女はそれを摘まむと口の中に放り込んだ。
「――苦い……」
目いっぱい顔をしかめたフリージアに、オルディンは腰に下げた水袋を外して黙って渡した。中身は少ないが、薬を流し込める程度には残っている。
「一日三回、三日間飲め」
「ええ!? そんなに!?」
よほど苦かったと見えて、フリージアは渋面になる。
そうしている彼女は、あまりに普通の少女だった。他者を労わりこそすれ傷付けることなど頭の片隅にもなかった彼女を国と国との争いに巻き込んだことが、そもそもの間違いなのだ。
「なあ、もうやめようぜ」
「え?」
意図せずオルディンの口を突いて出た台詞に、フリージアがキョトンと彼を見上げてくる。エイルやソルがいたら見せない、幼げな表情だった。だが、それは本来の彼女相応の顔でもある。フリージアは、まだ十五歳なのだから。
オルディンは彼女のその細い両肩に手を置いて、緑の目を覗き込む。
「お前にはこんなゴタゴタ向いてねぇよ。今ので判っただろ? 戦になっても、お前は戦えない。ヒトの肉を裂いた時、どうだった? 今は二人……たった二人だけだ。戦になればそれが何十、何百になる。それに、お前自身が手を下さなくても、お前の命令で兵士が剣を振るう。戦になれば、どう転んでも、グランゲルドかニダベリルか、必ずどちらかの人間は傷付くし、死んでいくんだ。それに耐えられるのか?」
重ねた問いを、フリージアは真っ直ぐに彼を見つめたまま聞いている。その眼差しは揺らぎがなく、言葉を連ねても彼女の中にあるものが変わる見込みは薄かった。だが、それでもオルディンは続ける。
「このまま姿をくらましたらいい。スレイプにはここに戻るように言い含めておいたから、二、三日して竜笛を吹いたら音を聞き付けるだろう。どこかに隠れておいて、あいつが来たら遠くへ行くんだ」
それが何でもない事のように笑って見せたオルディンにも、フリージアは生真面目な顔を崩さない。
オルディンは待った――彼女が何か言葉を発するのを。
ひんやりとした秋の風が二人の間を吹き抜け、黄色くなり、瑞々しさを失いつつある梢の葉をカサリと揺らした。
オルディンの前で、フリージアは一度目を伏せ、そしてまた上げる。そこに、先ほどまで見られていた幼さは微塵も残っていない。緑の目は濃さを増し、彼が見慣れたフリージアよりも大人びて見えた。
「ごめんね、オル」
そう切り出したフリージアに、オルディンは小さく息をつく。放った言葉とは裏腹に、本当は、彼女の答えなど、判りきっていた。その筈なのに、ため息が漏れてしまうのはやはり止められない。
そんな彼女から視線を引きはがすようにしてオルディンは身を翻すと、足早にその場を離れた。遠くまでは行けない。だが、充分に頭を冷やすことができるほどには距離を置く必要があった。
やがて見えてきた村を囲む柵に両手を置き、オルディンは深く身体を折る。
吐きそうだった。
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だが。
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あんな彼女は、見たくなかった。
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オルディンの目の前でフリージアは地面に落ちていた長剣に足を取られ――気付いたら、彼は男の腕を斬り落としていた。手加減をしようなど、考える余裕はなかった。
腕を失くした男越しにオルディンを見上げた、呆然としたフリージアの眼差し。
血の気の引いた、凍り付いたような、フリージアの小さな顔。
彼女が愕然としていたのは、男が腕を失ったことに対してなのか、それとも、その酷い行為をオルディンが無造作に果たして見せたことに対してなのか。
オルディンは彼女がまだ幼かった頃によくそうしてやったように、抱き上げ、宥めてやりたい衝動に駆られたが、意思に反して身体はピクリとも動かせなかった。
「オル……」
彼の呪縛を解いたのは、微かに震えるフリージアの声だ。その視線から逃れるように彼女に背を向け、刺客二人を相手に奮戦しているロキスの元へと向かってやった。
相手の剣をへし折り、力任せに叩き伏せながら、オルディンの頭からはフリージアの大きく見開いた緑の目が離れなかった。
彼は確信する。
やはり彼女は戦うということがどういうことなのか、理解していない、と。その覚悟は全くできていないのだ、と。
戦となった時、相手を傷付けること、その命を奪うことに躊躇いを覚えていたら、失われるのはグランゲルドの兵の命であり――フリージアの命であるのだ。
フリージアが敵を殺さなければ、彼女の身体が傷付く。
だが、フリージアが敵を殺せば、彼女の心が傷付く。
どちらも、オルディンには許容し難いことだった。
ビグヴィルと会ってしまう前に、フリージアをこの国から遠ざけていれば良かった。彼女が何も知らされないうちに遠く離れた地に行ってしまえば、今の状況はなかった。
何度も繰り返した後悔を、オルディンはまた噛み締める。
フリージアの意志を尊重したいと思う。だが、同時に、自分の手の内に閉じ込めて何ものからも守ってやりたいとも思うのだ。
矛盾した二つの気持ちは、同じ強さで彼の中に存在し、せめぎ合う。どちらか一方であれば楽だったのに、どちらも捨てられない。
オルディンは柵を握り締め、地面に向けて大きく息を吐き出す。
と、背後で微かな足音と、馴染んだ気配。
それが誰かは判っていたが、オルディンはすぐには振り返ることができなかった。
いつも屈託なく彼に向けられる緑の眼差しに、ほんの少しでも陰りが差していたら――
「オル?」
名前を呼ばれ、彼は喉に何かが詰まったような息苦しさに襲われる。深い呼吸を繰り返し、そうして、ようやく彼女に向き直る。
フリージアが立っているのは、オルディンから優に十歩は離れた場所だった。その距離が今の彼女の気持ちを如実に表している気がして、彼は微かに目元を歪ませる。
「ごめん……ごめんね、オル」
何故かフリージアは、オルディンと目が合うなりそう言った。そうして、止めていた足をまた動かし始める。
近付いてきた彼女は、彼の手が届く距離で――いつもの位置で、立ち止まった。
その緑瞳に、暗いものはない。
微かに何かを案じるような色は見えるが、彼が恐れていたような陰りは存在しなかった。
オルディンは懐を探って小さな包みを取り出すと、彼女にズイと差し出す。
「何?」
鼻先に突き出されたものに、フリージアが眉根を寄せて首をかしげた。
「薬だ。さっさと飲め。エイルの治療はちゃんと受けていたのか?」
「あ、うん……さっきあいつらが襲ってくるまでは、ずっと、エイルが力を注いでくれてた」
「どこか体調の悪いところは? だるいとか、痛いとか」
「んん……特にない。全然平気、何ともない」
「そうか」
臓腑の事だからその目で身体を切り開いて見るわけにもいかず、正確なところは判らない。だが、少なくとも、いつもの彼女のように見えた。
フリージアが受け取った包みを開く。中に入っているのは丸薬で、彼女はそれを摘まむと口の中に放り込んだ。
「――苦い……」
目いっぱい顔をしかめたフリージアに、オルディンは腰に下げた水袋を外して黙って渡した。中身は少ないが、薬を流し込める程度には残っている。
「一日三回、三日間飲め」
「ええ!? そんなに!?」
よほど苦かったと見えて、フリージアは渋面になる。
そうしている彼女は、あまりに普通の少女だった。他者を労わりこそすれ傷付けることなど頭の片隅にもなかった彼女を国と国との争いに巻き込んだことが、そもそもの間違いなのだ。
「なあ、もうやめようぜ」
「え?」
意図せずオルディンの口を突いて出た台詞に、フリージアがキョトンと彼を見上げてくる。エイルやソルがいたら見せない、幼げな表情だった。だが、それは本来の彼女相応の顔でもある。フリージアは、まだ十五歳なのだから。
オルディンは彼女のその細い両肩に手を置いて、緑の目を覗き込む。
「お前にはこんなゴタゴタ向いてねぇよ。今ので判っただろ? 戦になっても、お前は戦えない。ヒトの肉を裂いた時、どうだった? 今は二人……たった二人だけだ。戦になればそれが何十、何百になる。それに、お前自身が手を下さなくても、お前の命令で兵士が剣を振るう。戦になれば、どう転んでも、グランゲルドかニダベリルか、必ずどちらかの人間は傷付くし、死んでいくんだ。それに耐えられるのか?」
重ねた問いを、フリージアは真っ直ぐに彼を見つめたまま聞いている。その眼差しは揺らぎがなく、言葉を連ねても彼女の中にあるものが変わる見込みは薄かった。だが、それでもオルディンは続ける。
「このまま姿をくらましたらいい。スレイプにはここに戻るように言い含めておいたから、二、三日して竜笛を吹いたら音を聞き付けるだろう。どこかに隠れておいて、あいつが来たら遠くへ行くんだ」
それが何でもない事のように笑って見せたオルディンにも、フリージアは生真面目な顔を崩さない。
オルディンは待った――彼女が何か言葉を発するのを。
ひんやりとした秋の風が二人の間を吹き抜け、黄色くなり、瑞々しさを失いつつある梢の葉をカサリと揺らした。
オルディンの前で、フリージアは一度目を伏せ、そしてまた上げる。そこに、先ほどまで見られていた幼さは微塵も残っていない。緑の目は濃さを増し、彼が見慣れたフリージアよりも大人びて見えた。
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