49 / 133
第二章:大いなる冬の訪れ
穏やかなひと時①
しおりを挟む
秋も深まり、華やかな色の花々の代わりに紅や黄金色に染まった木々が鮮やかな彩りを見せてくれる王宮の中庭で、精緻な装飾が施された円卓をグルリと取り囲んだ面々は舌鼓を打つ。参席しているのはサーガにフリージア、オルディンにエイルだ。
「いかが? このお菓子は東の方の地域で食べられているものでしてよ」
「おいしいです。甘いのに、しょっぱいや」
フリージアの手の中にあるのは、手のひらほどの平べったい菓子だ。全体に塗られた塩よりももっと香ばしいしょっぱさと、まぶされている粒の大きな砂糖の甘さとが絶妙な調和を保っている。味は良いとして、この菓子は、噛み砕くのになかなか顎の力がいる。
「……ちょっと硬いけど、この歯ごたえが結構いいかも。エイル、大丈夫?」
問いながらフリージアがエイルに目を向けると、エルフィアの子どもはコクリと頷いた。ゆっくりながらも、ちゃんと食べられているようだ。
「料理人が申すには、木の実を一度粉にして練り、それにその地域特有の調味料を塗って、焼き上がり際に砂糖をまぶしているとか」
説明してくれた給仕に、フリージアは笑いかける。
「お菓子っていうと、甘いだけかと思っていたから、ちょっと新鮮」
「ふふふ、ゲルダ様も、お菓子が大好きでしたのよ。お屋敷の料理人が作るものだけでは満足なさらなくて、時々、街に出てつまみ食いされてらっしゃったわ。わたくしも何度か連れて行っていただきましたの」
「ええっ? 母さんってば、王妃様を連れ出したの?」
「まだ、わたくしが嫁ぐ前ですわ……お父様には、内緒でしたけれど」
目を丸くしたフリージアに、サーガがクスクスと笑う。
「母さんとサーガ様って、本当に仲が良かったんですね」
「ええ、幼馴染でしたの。ゲルダ様のお母様はあの方がお生まれになってすぐに亡くなってしまって。わたくしの母がとても気にかけていて、しょっちゅうロウグ家に様子を見に行っていましたのよ」
「小っちゃい頃からの友達なんですね」
「うふふ。幼い頃のゲルダ様は、それはそれは愛らしくて、いたずらで。その後は女神様のようでしたわ。お美して、お強くて――」
ふっと、サーガの目が遠くを見つめる。
きっと、フリージアには見えない面影を辿っているのだろう。その眼差しが王に向けられる時よりも熱いものを含んでいるように見えるのは、フリージアの気の所為か。
普段は明るく屈託のないサーガなのに、ゲルダの事を口にすると、こんなふうに微かにその目が曇る。彼女が亡くなってからもう二月以上が経ったのに、サーガの悲しみはまだ全く色褪せていないようだった。
そんなふうに悼んでいる王妃に、フリージアはその問いを投げようかどうしようか、迷う。けれど、彼女の『お茶会』に誘われるようになって七日間、毎日、「今日は訊こう」と思いつつ、なかなか口に出せずにいたのだ。
綺麗な薄緑色の茶を全て飲み干し、今日こそは、と、フリージアは覚悟を決める。
「あの、サーガ様」
フリージアの声にサーガは急に腕を引っ張られたかのように一つ二つ瞬きをすると、にっこりと微笑んだ。
「何?」
「あの……」
言い淀むフリージアに、サーガは少し首をかしげて待っている。
「えっと、ですね、母さんは――」
言いかけ、一つ唾を飲み、意を決する。
「母さんは、どうやって死んだんですか?」
言葉を飾らず切り込んだフリージアに、サーガは大きく一つ瞬きをした。
「フリージア?」
「母さんって、すごく強かったんですよね? ビグヴィル将軍から、賊に殺されたっていうことは聞きました」
サーガは笑みを消して、フリージアを見つめている。その視線を真っ直ぐに受け止めながら、続けた。
「オルが勝てない相手なんて、あたしは今まで見たことがないです。母さんは、そんなオルも負かしたことがあるって。そんな人が、何で、殺されたんですか?」
しばらくは、誰も何も言わなかった。中庭には、小鳥のさえずりと木々の梢がそよ風に揺れる音だけが響く。
やがて、サーガが小さく息をついた。
「ええ……ゲルダ様は、とても――とても、お強かったわ。この国の中で、一番」
「じゃあ、何故?」
サーガはその空色の目を一度伏せ、そして、再びフリージアに向ける。
「あれは、あの方がいつものように町へ出られた時でしたわ。本当に、いつものように、何一つ変わることのない、お出かけでしたの。……賊は、五名ほどだったと、聞いております。いつもの彼女でしたら、何ということはない、数」
たった、五名。
フリージアは胸中でその数を繰り返す。
本当に、『たった』だ。
オルディンだったら、剣も使わず叩き伏せることができるだろう。にもかかわらず後れを取るなど、賊はそんなに手練れだったのだろうか。
彼女のそんな考えが伝わったのか、サーガは緩く首を振った。
「いいえ、ゲルダ様には難しい相手ではありませんでしたわ。見ていた者は、いとも簡単にあしらっていた、と」
「でも、死んだ」
「ええ。町中だったことが、良くなかったわ……彼女は、飛び出してきた子どもを、庇ったの」
「子ども?」
「ええ。まだ、幼い子ども。三つか四つの、女の子だったと聞いていてよ。もしかしたら、賊はそれを見越していたのかもしれないわね。誰か民が危険な目に遭えば、あの方は必ず庇う、と。でなければ、昼日中、人の多い中で襲いはしないでしょうから。取り逃がしてしまって彼らの真意は判らないけれど、とにかく、ゲルダ様はその子を庇ったわ。そして、小さな傷を負ったの。本当に、小さなかすり傷」
「毒、か」
言葉を切ったサーガに続いて呟いたのは、オルディンだ。その眉間には深いしわが刻まれている。彼は知識が豊富だから、何か思い当たるようなものがあるのかもしれない。
サーガはオルディンに頷くと、続けた。
「ええ。遅効性のものでしたわ。何となくだるい、から始まった時、彼女は自分でもそんなことがあるのか、と笑ってらっしゃいました。ただ、体調が悪いだけだと思ってらしたのね。……気付いた時には、手遅れでした。その時には、もう、身体の中がボロボロで……三日間床に伏して、そして、亡くなりました。あなたの事を、皆に言い残して」
「そうなんだ……子どもを……」
フリージアは、呟く。と、不意に、頭と腕に、温もりを感じた。頭の上にあるのは、よく馴染んだ感触――温かくて大きなオルディンの手だ。そして腕に置かれたのは、小さなエイルのものだった。
「ありがと、大丈夫だよ」
フリージアはオルディンに笑いかけ、エイルの頭をくしゃくしゃと撫でる。
母が庇ったというその子の事を、フリージアは恨むことなどできなかった。多分、ゲルダのその行動を止めることなど、誰もできなかっただろう。その結果が死だと判っていたとしても、彼女だって、きっと止めやしない。
こうやって皆の中に散らばる母親の欠片を集めていると、フリージアの中に彼女の鮮やかな形が組み立てられ、動き出し始める。グランゲルドに来てから見せられたゲルダの肖像画はただの『絵』に過ぎなかったが、あれに、魂が吹き込まれていくような心持ちだった。
フリージアの中の母親として彼女を慕う気持ちは、やはり薄い。
多分、フリージアにとって、オルディンが母であり、父であり、兄であり、友であり――いや、それらをひっくるめてもまだ足りない大事なかけがえのない存在なのだ。彼女の中で、その位置は他の誰にも譲れない。
だから、母として、ではなく、人として、ゲルダと会って、話をしたいと思った。話をして、その為人を知りたいと思った。
「いかが? このお菓子は東の方の地域で食べられているものでしてよ」
「おいしいです。甘いのに、しょっぱいや」
フリージアの手の中にあるのは、手のひらほどの平べったい菓子だ。全体に塗られた塩よりももっと香ばしいしょっぱさと、まぶされている粒の大きな砂糖の甘さとが絶妙な調和を保っている。味は良いとして、この菓子は、噛み砕くのになかなか顎の力がいる。
「……ちょっと硬いけど、この歯ごたえが結構いいかも。エイル、大丈夫?」
問いながらフリージアがエイルに目を向けると、エルフィアの子どもはコクリと頷いた。ゆっくりながらも、ちゃんと食べられているようだ。
「料理人が申すには、木の実を一度粉にして練り、それにその地域特有の調味料を塗って、焼き上がり際に砂糖をまぶしているとか」
説明してくれた給仕に、フリージアは笑いかける。
「お菓子っていうと、甘いだけかと思っていたから、ちょっと新鮮」
「ふふふ、ゲルダ様も、お菓子が大好きでしたのよ。お屋敷の料理人が作るものだけでは満足なさらなくて、時々、街に出てつまみ食いされてらっしゃったわ。わたくしも何度か連れて行っていただきましたの」
「ええっ? 母さんってば、王妃様を連れ出したの?」
「まだ、わたくしが嫁ぐ前ですわ……お父様には、内緒でしたけれど」
目を丸くしたフリージアに、サーガがクスクスと笑う。
「母さんとサーガ様って、本当に仲が良かったんですね」
「ええ、幼馴染でしたの。ゲルダ様のお母様はあの方がお生まれになってすぐに亡くなってしまって。わたくしの母がとても気にかけていて、しょっちゅうロウグ家に様子を見に行っていましたのよ」
「小っちゃい頃からの友達なんですね」
「うふふ。幼い頃のゲルダ様は、それはそれは愛らしくて、いたずらで。その後は女神様のようでしたわ。お美して、お強くて――」
ふっと、サーガの目が遠くを見つめる。
きっと、フリージアには見えない面影を辿っているのだろう。その眼差しが王に向けられる時よりも熱いものを含んでいるように見えるのは、フリージアの気の所為か。
普段は明るく屈託のないサーガなのに、ゲルダの事を口にすると、こんなふうに微かにその目が曇る。彼女が亡くなってからもう二月以上が経ったのに、サーガの悲しみはまだ全く色褪せていないようだった。
そんなふうに悼んでいる王妃に、フリージアはその問いを投げようかどうしようか、迷う。けれど、彼女の『お茶会』に誘われるようになって七日間、毎日、「今日は訊こう」と思いつつ、なかなか口に出せずにいたのだ。
綺麗な薄緑色の茶を全て飲み干し、今日こそは、と、フリージアは覚悟を決める。
「あの、サーガ様」
フリージアの声にサーガは急に腕を引っ張られたかのように一つ二つ瞬きをすると、にっこりと微笑んだ。
「何?」
「あの……」
言い淀むフリージアに、サーガは少し首をかしげて待っている。
「えっと、ですね、母さんは――」
言いかけ、一つ唾を飲み、意を決する。
「母さんは、どうやって死んだんですか?」
言葉を飾らず切り込んだフリージアに、サーガは大きく一つ瞬きをした。
「フリージア?」
「母さんって、すごく強かったんですよね? ビグヴィル将軍から、賊に殺されたっていうことは聞きました」
サーガは笑みを消して、フリージアを見つめている。その視線を真っ直ぐに受け止めながら、続けた。
「オルが勝てない相手なんて、あたしは今まで見たことがないです。母さんは、そんなオルも負かしたことがあるって。そんな人が、何で、殺されたんですか?」
しばらくは、誰も何も言わなかった。中庭には、小鳥のさえずりと木々の梢がそよ風に揺れる音だけが響く。
やがて、サーガが小さく息をついた。
「ええ……ゲルダ様は、とても――とても、お強かったわ。この国の中で、一番」
「じゃあ、何故?」
サーガはその空色の目を一度伏せ、そして、再びフリージアに向ける。
「あれは、あの方がいつものように町へ出られた時でしたわ。本当に、いつものように、何一つ変わることのない、お出かけでしたの。……賊は、五名ほどだったと、聞いております。いつもの彼女でしたら、何ということはない、数」
たった、五名。
フリージアは胸中でその数を繰り返す。
本当に、『たった』だ。
オルディンだったら、剣も使わず叩き伏せることができるだろう。にもかかわらず後れを取るなど、賊はそんなに手練れだったのだろうか。
彼女のそんな考えが伝わったのか、サーガは緩く首を振った。
「いいえ、ゲルダ様には難しい相手ではありませんでしたわ。見ていた者は、いとも簡単にあしらっていた、と」
「でも、死んだ」
「ええ。町中だったことが、良くなかったわ……彼女は、飛び出してきた子どもを、庇ったの」
「子ども?」
「ええ。まだ、幼い子ども。三つか四つの、女の子だったと聞いていてよ。もしかしたら、賊はそれを見越していたのかもしれないわね。誰か民が危険な目に遭えば、あの方は必ず庇う、と。でなければ、昼日中、人の多い中で襲いはしないでしょうから。取り逃がしてしまって彼らの真意は判らないけれど、とにかく、ゲルダ様はその子を庇ったわ。そして、小さな傷を負ったの。本当に、小さなかすり傷」
「毒、か」
言葉を切ったサーガに続いて呟いたのは、オルディンだ。その眉間には深いしわが刻まれている。彼は知識が豊富だから、何か思い当たるようなものがあるのかもしれない。
サーガはオルディンに頷くと、続けた。
「ええ。遅効性のものでしたわ。何となくだるい、から始まった時、彼女は自分でもそんなことがあるのか、と笑ってらっしゃいました。ただ、体調が悪いだけだと思ってらしたのね。……気付いた時には、手遅れでした。その時には、もう、身体の中がボロボロで……三日間床に伏して、そして、亡くなりました。あなたの事を、皆に言い残して」
「そうなんだ……子どもを……」
フリージアは、呟く。と、不意に、頭と腕に、温もりを感じた。頭の上にあるのは、よく馴染んだ感触――温かくて大きなオルディンの手だ。そして腕に置かれたのは、小さなエイルのものだった。
「ありがと、大丈夫だよ」
フリージアはオルディンに笑いかけ、エイルの頭をくしゃくしゃと撫でる。
母が庇ったというその子の事を、フリージアは恨むことなどできなかった。多分、ゲルダのその行動を止めることなど、誰もできなかっただろう。その結果が死だと判っていたとしても、彼女だって、きっと止めやしない。
こうやって皆の中に散らばる母親の欠片を集めていると、フリージアの中に彼女の鮮やかな形が組み立てられ、動き出し始める。グランゲルドに来てから見せられたゲルダの肖像画はただの『絵』に過ぎなかったが、あれに、魂が吹き込まれていくような心持ちだった。
フリージアの中の母親として彼女を慕う気持ちは、やはり薄い。
多分、フリージアにとって、オルディンが母であり、父であり、兄であり、友であり――いや、それらをひっくるめてもまだ足りない大事なかけがえのない存在なのだ。彼女の中で、その位置は他の誰にも譲れない。
だから、母として、ではなく、人として、ゲルダと会って、話をしたいと思った。話をして、その為人を知りたいと思った。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜
シャチ
ファンタジー
タリム復興期を読んでいただくと、なんでミリアのお母さんがぶっ飛んでいるのかがわかります。
アルミナ王国とディクトシス帝国の間では、たびたび戦争が起こる。
前回の戦争ではオリーブオイルの栽培地を欲した帝国がアルミナ王国へと戦争を仕掛けた。
一時はアルミナ王国の一部地域を掌握した帝国であったが、王国側のなりふり構わぬ反撃により戦線は膠着し、一部国境線未確定地域を残して停戦した。
そして20年あまりの時が過ぎた今、皇帝マーダ・マトモアの崩御による帝国の皇位継承権争いから、手柄を欲した時の第二皇子イビリ・ターオス・ディクトシスは軍勢を率いてアルミナ王国への宣戦布告を行った。
砂糖戦争と後に呼ばれるこの戦争において、両国に恐怖を植え付けた一人の令嬢がいる。
彼女の名はミリア・タリム
子爵令嬢である彼女に戦後ついた異名は「狙撃令嬢」
542人の帝国将兵を死傷させた狙撃の天才
そして戦中は、帝国からは死神と恐れられた存在。
このお話は、ミリア・タリムとそのお付きのメイド、ルーナの戦いの記録である。
他サイトに掲載したものと同じ内容となります。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる