70 / 73
幸せの増やし方
十七
しおりを挟む
駅の改札を出た弥生は、家への帰り道をトボトボと歩いていた。
頭の中では、執務室での光景と遣り取りがグルグルと回り続けている。
――今まで、一輝君のお部屋で『お友達』と会ったことなんてなかった。
というよりも、彼の個人的な知り合いそのものを、弥生は知らない。
――お付き合い、してるんだと思ってたんだけどな。
一輝との関係は、『恋人』と呼べるものだと思っていたのだ――弥生の方は。仕事の関係者でもないのに彼の執務室に入れるのは、『特別』だからだと思っていた。
けれど、他にも自分と同じように出入りできる女の子がいる。
ということは、つまり。
弥生は胸元をキュッと抑えた。
考えて、出てくる答えは、どうしても一つしかない。
なんだか、胸の奥がひりひりする。
「これって、やきもち、かな」
呟いて、小さく笑った。
丁度そのタイミングで、携帯電話が振動する。電車の中でマナーモードに切り替えたままだった。
ディスプレイに映し出された名前に、弥生は固まる。
それは、今、ものすごく逢いたくて、そして誰よりも一番逢いたくない人だった。
どんな話なのだろうか。
――もう、二度と会わない、とか……?
何度か深呼吸して、弥生は恐る恐る通話ボタンを押す。
「はい」
「弥生さん?」
耳元で囁くように、名前を呼ばれた。
きん、と胸が痛む。
二ヶ月ぶりに聞く、一輝の声だった。それだけで、涙がこぼれそうになる。彼は弥生に口を挟む間を与えず、言葉を重ねてきた。
「え? ……あのネックレス? うん……」
無意識に空いている手が上がり、胸元のネックレスに触れる。一輝からは幾つも贈り物をもらっているけれど、このネックレスは特別なものだった。彼への気持ちに気付くことになった出来事の、記念のようなものでもある。常に、肌身離さず身に着けていた。
一輝はほとんど弥生の返事を聞かずに、一方的にまくしたてて電話を切ってしまう。
結局、どんな話があるのかは判らず、心の中には不安が溜まるばかりだった。
「やっぱり……さよなら……?」
口に出すと、それが現実味を帯びてくる。
ほぼ惰性で足が動き、家は勝手に近付いてきた。角を曲がれば、もう、着いてしまう。まだ家族には会いたくないと思いながらも、道を曲がった。
と。
「大石」
思わず、その場で立ち止まった。
『大石金型製作所』という看板がかかっている門扉に寄りかかっていた人物が、彼女の姿を目にして身体を起こす。
「宮川さん……どうして、ここに?」
本当に、どうして、だ。弥生は呆気に取られて返す言葉もない。
けれど、宮川の方はホッとしたように頬を緩めて手を振ってくる。弥生は少し小走りに近寄って、彼を見上げて問いかけた。
「どうしたんですか?」
「それは、俺の台詞だって。今日、バイト休んだだろ? 今まで皆勤だったから、どうしたのかと」
「あ……今日は、ちょっと用事があって……」
言葉を濁す弥生を、宮川が見下ろす。その視線は、彼女の表情を窺っているような感じがした。
「ふうん。――少し話せるか?」
一瞬、断ろうかと思った。けれども、結局、弥生は頷きを返す。浮上しきらない気持ちのままで家族に会うよりは、他人の宮川の方がまだ気が楽な気がしたのだ。
それに、もしかしたら、このまま家にいて一輝を待つのが怖いという気持ちもあったかもしれない。
「じゃあ、近くの公園にでも行きましょうか」
そう言って、歩いて十分ほどのところにある公園に向けて、弥生は先に立って歩き出す。
どちらも何も言わず、ただ足を動かした。
公園の入口まで来て、弥生は思わず立ち止まる。
何年か前に、一輝や弟たちとこの公園の広場でピクニックをしたことがある。あれはまだ、彼と出会って間もない時分で。
――あの頃は、こんなふうに迷ったり悩んだりすることはなかったのに。
弟と同い年の一輝は全然子どもらしくなくて、弥生は何かをしてあげたいと思ったのだ。余計なお世話だったかもしれないけれど、もっと、何か『楽しい』と思えるようなことを体験して欲しかった。
礼儀正しい微笑みしか浮かべない彼に、もっとちゃんと笑って欲しかった。
それは、弟たちに感じるような気持ちと、同じものだったのだろうか。
――それとも、あの頃からもう一輝君のことは『特別』だったのかな。
判らないけれど、今でもやっぱり、彼には笑っていて欲しいと思う。
「どうした?」
動かない弥生に、数歩先に行っていた宮川が振り返った。
「あ、いえ……なんでもない、です」
小さくかぶりを振って、歩き出す。
宮川と並んで子どもたちの歓声が響く広場を抜け、やがて遊歩道の方にあるベンチに辿り着く。
そこに腰を下ろすと、待っていたかのように宮川が口火を切った。
「で、何があったんだ?」
「え? ……何って……」
「ごまかすなよ。何かあったんだろ? 顔に思いっきり出てる」
ジッと見下ろされて、思わず弥生は両手で頬を覆った。そんなことをしても、隠したことにはならないのだが。
「何も、ないですよ……?」
取り敢えず、そう言ってみる。が、その台詞は一蹴された。
「ウソつけ。自分の顔を鏡で見てみろよ」
弥生はグッと言葉に詰まる。
黙りこんだ彼女に、宮川が深く溜息をついた。
「また、あいつ絡みなんだろ? あの――新藤一輝の」
多分、つい、情けない顔になってしまったのだろう。
不意にその名前を出されてしまったから、取り繕う余裕がなかった。
一瞬宮川がギュッと眉間に皺を寄せて、弥生が、あ、と思った時は、もう遅かった。大きな手に腕を掴まれて広い胸に引き寄せられる。
「あ……ちょっと、待って……」
咄嗟に身をよじって逃れようとしたけれど、彼の力には全く歯が立たず、背後から抱きすくめられてしまった。腕まで閉じ込められて、振りほどこうにもびくともしない。
「宮川さん、放してください――!」
弥生がもがくほどに、それを押さえ込もうとするのか、彼の力は強くなった。
彼女を捉えたまま、宮川は呻くように言う。
「もっと楽な恋愛があるだろ? お前、どんどんつらそうになる一方じゃないか。最近、前のように笑えてないの、気付いてないんだろう? 何で、そこまでそいつに義理立てするんだよ」
――義理立て? この気持ちって、『義理』なの?
義理で、一輝の傍にいたいと思っているのだろうか?
義理で、彼に触れられたいと思っているのだろうか?
違う。
それは違うと思った。
「『義理』なんかじゃ、ないんです。一輝君の傍にいたいっていうのは、わたしのわがままなんです。一輝君の傍にいられるなら、つらいことなんて、ない。大変なことはあるけど、少しもつらくなんて……ッ」
彼女の言葉を遮るように、宮川の腕が締め付ける。
「俺なら、もっとお前を笑わせてやれる。もっと本来のお前でいさせてやれる……」
笑えるかもしれないけれど、それは、一輝がくれるものには敵わない。弥生が欲しいものとは、違う。
「宮川さん……宮川さんが嫌いとか、そんなんではないんです。ただ……わたしが、一輝君じゃないと、ダメなんです」
胸の前に回された彼の腕を、ギュッと掴む。
「なんで、そんなに……」
宮川の言葉に、弥生は小さく苦笑する。
「わたしもたくさん考えたんですけど、やっぱり解かりませんでした」
でも、自分の心が彼でないとダメだというのなら、仕方がないではないか。
「わたしは、やっぱり、一輝君と一緒にいたい……」
地面を見つめてポツリと零された、弥生の呟き。
それは、宮川と彼女自身の耳にしか届かないと思われた。
が。
「それを聞いて、安心しました」
その声。
弥生は、ハッと顔を上げる。
頭の中では、執務室での光景と遣り取りがグルグルと回り続けている。
――今まで、一輝君のお部屋で『お友達』と会ったことなんてなかった。
というよりも、彼の個人的な知り合いそのものを、弥生は知らない。
――お付き合い、してるんだと思ってたんだけどな。
一輝との関係は、『恋人』と呼べるものだと思っていたのだ――弥生の方は。仕事の関係者でもないのに彼の執務室に入れるのは、『特別』だからだと思っていた。
けれど、他にも自分と同じように出入りできる女の子がいる。
ということは、つまり。
弥生は胸元をキュッと抑えた。
考えて、出てくる答えは、どうしても一つしかない。
なんだか、胸の奥がひりひりする。
「これって、やきもち、かな」
呟いて、小さく笑った。
丁度そのタイミングで、携帯電話が振動する。電車の中でマナーモードに切り替えたままだった。
ディスプレイに映し出された名前に、弥生は固まる。
それは、今、ものすごく逢いたくて、そして誰よりも一番逢いたくない人だった。
どんな話なのだろうか。
――もう、二度と会わない、とか……?
何度か深呼吸して、弥生は恐る恐る通話ボタンを押す。
「はい」
「弥生さん?」
耳元で囁くように、名前を呼ばれた。
きん、と胸が痛む。
二ヶ月ぶりに聞く、一輝の声だった。それだけで、涙がこぼれそうになる。彼は弥生に口を挟む間を与えず、言葉を重ねてきた。
「え? ……あのネックレス? うん……」
無意識に空いている手が上がり、胸元のネックレスに触れる。一輝からは幾つも贈り物をもらっているけれど、このネックレスは特別なものだった。彼への気持ちに気付くことになった出来事の、記念のようなものでもある。常に、肌身離さず身に着けていた。
一輝はほとんど弥生の返事を聞かずに、一方的にまくしたてて電話を切ってしまう。
結局、どんな話があるのかは判らず、心の中には不安が溜まるばかりだった。
「やっぱり……さよなら……?」
口に出すと、それが現実味を帯びてくる。
ほぼ惰性で足が動き、家は勝手に近付いてきた。角を曲がれば、もう、着いてしまう。まだ家族には会いたくないと思いながらも、道を曲がった。
と。
「大石」
思わず、その場で立ち止まった。
『大石金型製作所』という看板がかかっている門扉に寄りかかっていた人物が、彼女の姿を目にして身体を起こす。
「宮川さん……どうして、ここに?」
本当に、どうして、だ。弥生は呆気に取られて返す言葉もない。
けれど、宮川の方はホッとしたように頬を緩めて手を振ってくる。弥生は少し小走りに近寄って、彼を見上げて問いかけた。
「どうしたんですか?」
「それは、俺の台詞だって。今日、バイト休んだだろ? 今まで皆勤だったから、どうしたのかと」
「あ……今日は、ちょっと用事があって……」
言葉を濁す弥生を、宮川が見下ろす。その視線は、彼女の表情を窺っているような感じがした。
「ふうん。――少し話せるか?」
一瞬、断ろうかと思った。けれども、結局、弥生は頷きを返す。浮上しきらない気持ちのままで家族に会うよりは、他人の宮川の方がまだ気が楽な気がしたのだ。
それに、もしかしたら、このまま家にいて一輝を待つのが怖いという気持ちもあったかもしれない。
「じゃあ、近くの公園にでも行きましょうか」
そう言って、歩いて十分ほどのところにある公園に向けて、弥生は先に立って歩き出す。
どちらも何も言わず、ただ足を動かした。
公園の入口まで来て、弥生は思わず立ち止まる。
何年か前に、一輝や弟たちとこの公園の広場でピクニックをしたことがある。あれはまだ、彼と出会って間もない時分で。
――あの頃は、こんなふうに迷ったり悩んだりすることはなかったのに。
弟と同い年の一輝は全然子どもらしくなくて、弥生は何かをしてあげたいと思ったのだ。余計なお世話だったかもしれないけれど、もっと、何か『楽しい』と思えるようなことを体験して欲しかった。
礼儀正しい微笑みしか浮かべない彼に、もっとちゃんと笑って欲しかった。
それは、弟たちに感じるような気持ちと、同じものだったのだろうか。
――それとも、あの頃からもう一輝君のことは『特別』だったのかな。
判らないけれど、今でもやっぱり、彼には笑っていて欲しいと思う。
「どうした?」
動かない弥生に、数歩先に行っていた宮川が振り返った。
「あ、いえ……なんでもない、です」
小さくかぶりを振って、歩き出す。
宮川と並んで子どもたちの歓声が響く広場を抜け、やがて遊歩道の方にあるベンチに辿り着く。
そこに腰を下ろすと、待っていたかのように宮川が口火を切った。
「で、何があったんだ?」
「え? ……何って……」
「ごまかすなよ。何かあったんだろ? 顔に思いっきり出てる」
ジッと見下ろされて、思わず弥生は両手で頬を覆った。そんなことをしても、隠したことにはならないのだが。
「何も、ないですよ……?」
取り敢えず、そう言ってみる。が、その台詞は一蹴された。
「ウソつけ。自分の顔を鏡で見てみろよ」
弥生はグッと言葉に詰まる。
黙りこんだ彼女に、宮川が深く溜息をついた。
「また、あいつ絡みなんだろ? あの――新藤一輝の」
多分、つい、情けない顔になってしまったのだろう。
不意にその名前を出されてしまったから、取り繕う余裕がなかった。
一瞬宮川がギュッと眉間に皺を寄せて、弥生が、あ、と思った時は、もう遅かった。大きな手に腕を掴まれて広い胸に引き寄せられる。
「あ……ちょっと、待って……」
咄嗟に身をよじって逃れようとしたけれど、彼の力には全く歯が立たず、背後から抱きすくめられてしまった。腕まで閉じ込められて、振りほどこうにもびくともしない。
「宮川さん、放してください――!」
弥生がもがくほどに、それを押さえ込もうとするのか、彼の力は強くなった。
彼女を捉えたまま、宮川は呻くように言う。
「もっと楽な恋愛があるだろ? お前、どんどんつらそうになる一方じゃないか。最近、前のように笑えてないの、気付いてないんだろう? 何で、そこまでそいつに義理立てするんだよ」
――義理立て? この気持ちって、『義理』なの?
義理で、一輝の傍にいたいと思っているのだろうか?
義理で、彼に触れられたいと思っているのだろうか?
違う。
それは違うと思った。
「『義理』なんかじゃ、ないんです。一輝君の傍にいたいっていうのは、わたしのわがままなんです。一輝君の傍にいられるなら、つらいことなんて、ない。大変なことはあるけど、少しもつらくなんて……ッ」
彼女の言葉を遮るように、宮川の腕が締め付ける。
「俺なら、もっとお前を笑わせてやれる。もっと本来のお前でいさせてやれる……」
笑えるかもしれないけれど、それは、一輝がくれるものには敵わない。弥生が欲しいものとは、違う。
「宮川さん……宮川さんが嫌いとか、そんなんではないんです。ただ……わたしが、一輝君じゃないと、ダメなんです」
胸の前に回された彼の腕を、ギュッと掴む。
「なんで、そんなに……」
宮川の言葉に、弥生は小さく苦笑する。
「わたしもたくさん考えたんですけど、やっぱり解かりませんでした」
でも、自分の心が彼でないとダメだというのなら、仕方がないではないか。
「わたしは、やっぱり、一輝君と一緒にいたい……」
地面を見つめてポツリと零された、弥生の呟き。
それは、宮川と彼女自身の耳にしか届かないと思われた。
が。
「それを聞いて、安心しました」
その声。
弥生は、ハッと顔を上げる。
0
お気に入りに追加
143
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
天才外科医は仮初の妻を手放したくない
夢幻惠
恋愛
ホテルのフリントに勤務している澪(みお)は、ある日突然見知らぬ男性、陽斗(はると)に頼まれて結婚式に出ることになる。新婦が来るまでのピンチヒッターとして了承するも、新婦は現れなかった。陽斗に頼まれて仮初の夫婦となってしまうが、陽斗は天才と呼ばれる凄腕外科医だったのだ。しかし、澪を好きな男は他にもいたのだ。幼馴染の、前坂 理久(まえさか りく)は幼い頃から澪をずっと思い続けている。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる