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幸せの増やし方
十三
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弥生は新藤商事の本社ビルの前に立ち、首を反らせてその最上階を見上げて握った拳に力を込めた。
数日前に、橘と連絡を取ったのだ。そして、何とか、一輝と会える算段を取りつけてもらった――彼自身には内緒で。
真正直に一輝に許可を取ってから逢おうとしても、きっとまた逃げられてしまう。
何度もチャレンジしてそれを思い知った弥生は、だから、正攻法は止めにした。
橘に頼み込んで頼み込んで、弥生の訪問を一輝には知らせずにいておいてくれることをようやく承諾してもらえたのは、昨日のこと。
もっとも、彼が渋っていたのは、一輝に内緒で事を進めるという『裏切り行為』を働いてしまうということにではなく、煮え切らない主が自分から動くように仕向けたかった、という理由からだったようだけれども。
「そうですね、そろそろ一輝様にも引導をお渡ししましょうか。あの方の行動をお待ちしていたら、お二人とも髪が白くなってしまいそうですからね。もう充分待って差し上げましたし、ここらが潮時でしょう。そうですね……十五時から会議なので、その隙に執務室に入っておいてください。弥生様が来られたことをうっかり知られると、また、お逃げになろうとするかもしれません。十六時からは一時間ほど予定を空けておきますので、思う存分お話しになってください」
計画を立てる橘の声がどことなく楽しそうに聞こえたのは、気のせいだろうか。
そんな疑問には目をつぶって、弥生はペコリと彼に頭を下げたのだった。
とにかく、一輝に会おう。そして、弥生の気持ちを聞いてもらわなければ。
もうじき一輝の誕生日なのに、このままではその大事な日にすら顔を合わせることができなくなる。
――そんなの、イヤ。
ちゃんと、面と向かってお祝いをしたい。
目と目を合わせて、直接声を聴いて、彼に触れて。
生まれてきてくれてありがとうと言って、彼に大好きだと伝えたい。
逢えてうれしい、逢えて幸せだと言葉と態度で教えたい。
――そう。だってわたしは、一輝君のことが大好きなんだもの。
この先進む道がどんなものになろうとも、彼と一緒がいいのだ。
「嫌いだって言われない限り、絶対に諦めないんだからね」
姿を見せようとしない相手にそう宣言し、弥生はガラス張りの自動ドアへと足を踏み出した。
受付の女性は弥生の顔を知っているから、通りすがりに会釈をすると、彼女たちは笑顔を返してくれる。
「今日はお一人ですか? 橘をお呼びしましょうか?」
「あ、いえ、上で待ち合わせてるんです」
まさかその橘からこっそり執務室に忍び込んでおけと言われているのだとは言えず、弥生は笑顔でごまかしながら足早に受付を通り過ぎる。
ロビーを抜けて、いつもは橘と使っている、執務室のある最上階に直接通じているエレベーターへ向かった。
中に入って扉が閉まると、ようやくホッと一息つける。
ドンドン上がっていくエレベーターの階数表示をヒタと見据えながら、弥生は頭の中で一輝に言いたいことを反芻した。絶対に言い忘れてはならないことは、一つだけだ。
でも、その一つを伝えられれば、きっと一輝も解かってくれる筈。
チン、と可愛らしい音と共にエレベーターが静止する。ドアが開くまでの間、数回の深呼吸を繰り返した。
手首をひっくり返して時計に目を落とせば、時刻は十五時三十分を少し過ぎたところだ。一輝は会議の真っ只中だろう。
廊下の突き当たりにある執務室までは、敢えてゆっくりと歩く。
重厚な扉を押し開けて。
執務室には、今、誰もいない筈だった。
その筈なのに、涼やかな声に迎えられた弥生は、ドアノブを掴んだ腕を伸ばし、一歩を踏み出した形で固まる。
「あら……どちら様? あいにく、新藤は不在ですの」
銀の鈴を震わせたような可憐な声がそう告げた。
ふわりと立ち上がったその優雅な立居振舞。
同性でも見惚れてしまうような綺麗な微笑みを浮かべて弥生を見つめているのは、一輝と同じ年頃ほどの、一人の少女だった。
少女――弥生は頭の中でそう表現して、そのそぐわなさにため息をつきそうになる。
確かに年齢、性別はそうなのだけれど、彼女には、ただの『少女』という単語は似つかわしくない。
今、弥生の前に立っているのは、一目見たら二度と忘れることができないような、美少女だった。
流れるような黒髪に、涼やかな眼差し。精巧な人形のような、美しさ。
――そこには、どこか一輝と共通する何かがある。
弥生は思わず息を呑んだ。
言葉もなく立ち竦んでいる彼女に、少女は軽く首をかしげる。
「一輝様にご令妹はいらっしゃらなかった筈ですわね。ああ、もしかして、橘様の? あの方も、今はお留守にしていらっしゃいますのよ。よろしければお紅茶などいかがでしょう?」
いそいそと立ち上がってほんの少しの迷いもなくお茶の準備を始めようとしている彼女は、とてもこの場に馴染んでいる。流れるような動きは、どこに何があるのかも、よく解かっているようだった。
彼女が何か勘違いをしていることには気付いたけれど、弥生にはそれを正す言葉を口にする余裕はなかった。
「あ、の……」
気後れしておずおずと声をかけた弥生に、彼女が艶やかに微笑む。
「あら、ごめんあそばせ。わたくし、綾小路静香と申します。一輝様と親しくさせていただいていますの」
「あ……大石、弥生です」
「まあ、お可愛らしいお名前。弥生様、どうなさいます? お待ちになります?」
そう問われても、弥生の頭はうまく働かない。
――この人は、誰なのだろう。一輝君と親しくって……?
「え、と、その……」
橘は、一輝が誰か女性とお付き合いを始めたとは言っていなかった。もしもそうなら、電話の時に何か一言ある筈だ。
ああ、だけど。
――なんだか、頭がうまく働かない。
「静香、さんは……一輝君の――?」
口ごもる弥生に、静香はぱちりと瞬きを一つした。
と思ったら、その綺麗な目がどこかいたずらっぽい笑みを含む。
「ああ、わたくしは、今後一輝様と末永くお付き合いさせていただくことになると思いますの。きっと、弥生様ともこれから何度もお会いすることになりますわ」
――末永くって……
やっぱり、そういう意味、なのだろうか。
弥生には、それ以上何かを考えることが、できなかった。
「あの……わたし……帰ります」
弥生はペコリと頭を下げると、元来た道を戻る。
扉が閉まる前にあの女性が声を発したのは耳に届いたけれど、弥生は立ち止まることができずにほとんど小走りでエレベーターに向かった。ドアが開くのももどかしく中へと乗り込むと、ぐったりと壁に身を持たせかけた。
エレベーターはどんどん下って、一輝との距離を広げていく。
一階に着く頃になって初めて、弥生の中に迷いが生じた。
こんなふうに逃げてしまったのは、間違いだったかもしれない。
予期せぬ静香の登場で心の奥底に押し込められていた理性が、ここに至ってようやく頭をもたげてそんなふうに語りかけてきた。
――ちゃんと、一輝君のお話も聴かなくちゃ。
そうすべきなのは、判っている。
でも、そうは思っても、あのままあそこに留まっていられなかった。
一輝のことは信じている。信じているけれど――もしかして。
弥生は、胸の中に真っ黒な何かが膨れ上がっていくのを抑えることができなかった。
数日前に、橘と連絡を取ったのだ。そして、何とか、一輝と会える算段を取りつけてもらった――彼自身には内緒で。
真正直に一輝に許可を取ってから逢おうとしても、きっとまた逃げられてしまう。
何度もチャレンジしてそれを思い知った弥生は、だから、正攻法は止めにした。
橘に頼み込んで頼み込んで、弥生の訪問を一輝には知らせずにいておいてくれることをようやく承諾してもらえたのは、昨日のこと。
もっとも、彼が渋っていたのは、一輝に内緒で事を進めるという『裏切り行為』を働いてしまうということにではなく、煮え切らない主が自分から動くように仕向けたかった、という理由からだったようだけれども。
「そうですね、そろそろ一輝様にも引導をお渡ししましょうか。あの方の行動をお待ちしていたら、お二人とも髪が白くなってしまいそうですからね。もう充分待って差し上げましたし、ここらが潮時でしょう。そうですね……十五時から会議なので、その隙に執務室に入っておいてください。弥生様が来られたことをうっかり知られると、また、お逃げになろうとするかもしれません。十六時からは一時間ほど予定を空けておきますので、思う存分お話しになってください」
計画を立てる橘の声がどことなく楽しそうに聞こえたのは、気のせいだろうか。
そんな疑問には目をつぶって、弥生はペコリと彼に頭を下げたのだった。
とにかく、一輝に会おう。そして、弥生の気持ちを聞いてもらわなければ。
もうじき一輝の誕生日なのに、このままではその大事な日にすら顔を合わせることができなくなる。
――そんなの、イヤ。
ちゃんと、面と向かってお祝いをしたい。
目と目を合わせて、直接声を聴いて、彼に触れて。
生まれてきてくれてありがとうと言って、彼に大好きだと伝えたい。
逢えてうれしい、逢えて幸せだと言葉と態度で教えたい。
――そう。だってわたしは、一輝君のことが大好きなんだもの。
この先進む道がどんなものになろうとも、彼と一緒がいいのだ。
「嫌いだって言われない限り、絶対に諦めないんだからね」
姿を見せようとしない相手にそう宣言し、弥生はガラス張りの自動ドアへと足を踏み出した。
受付の女性は弥生の顔を知っているから、通りすがりに会釈をすると、彼女たちは笑顔を返してくれる。
「今日はお一人ですか? 橘をお呼びしましょうか?」
「あ、いえ、上で待ち合わせてるんです」
まさかその橘からこっそり執務室に忍び込んでおけと言われているのだとは言えず、弥生は笑顔でごまかしながら足早に受付を通り過ぎる。
ロビーを抜けて、いつもは橘と使っている、執務室のある最上階に直接通じているエレベーターへ向かった。
中に入って扉が閉まると、ようやくホッと一息つける。
ドンドン上がっていくエレベーターの階数表示をヒタと見据えながら、弥生は頭の中で一輝に言いたいことを反芻した。絶対に言い忘れてはならないことは、一つだけだ。
でも、その一つを伝えられれば、きっと一輝も解かってくれる筈。
チン、と可愛らしい音と共にエレベーターが静止する。ドアが開くまでの間、数回の深呼吸を繰り返した。
手首をひっくり返して時計に目を落とせば、時刻は十五時三十分を少し過ぎたところだ。一輝は会議の真っ只中だろう。
廊下の突き当たりにある執務室までは、敢えてゆっくりと歩く。
重厚な扉を押し開けて。
執務室には、今、誰もいない筈だった。
その筈なのに、涼やかな声に迎えられた弥生は、ドアノブを掴んだ腕を伸ばし、一歩を踏み出した形で固まる。
「あら……どちら様? あいにく、新藤は不在ですの」
銀の鈴を震わせたような可憐な声がそう告げた。
ふわりと立ち上がったその優雅な立居振舞。
同性でも見惚れてしまうような綺麗な微笑みを浮かべて弥生を見つめているのは、一輝と同じ年頃ほどの、一人の少女だった。
少女――弥生は頭の中でそう表現して、そのそぐわなさにため息をつきそうになる。
確かに年齢、性別はそうなのだけれど、彼女には、ただの『少女』という単語は似つかわしくない。
今、弥生の前に立っているのは、一目見たら二度と忘れることができないような、美少女だった。
流れるような黒髪に、涼やかな眼差し。精巧な人形のような、美しさ。
――そこには、どこか一輝と共通する何かがある。
弥生は思わず息を呑んだ。
言葉もなく立ち竦んでいる彼女に、少女は軽く首をかしげる。
「一輝様にご令妹はいらっしゃらなかった筈ですわね。ああ、もしかして、橘様の? あの方も、今はお留守にしていらっしゃいますのよ。よろしければお紅茶などいかがでしょう?」
いそいそと立ち上がってほんの少しの迷いもなくお茶の準備を始めようとしている彼女は、とてもこの場に馴染んでいる。流れるような動きは、どこに何があるのかも、よく解かっているようだった。
彼女が何か勘違いをしていることには気付いたけれど、弥生にはそれを正す言葉を口にする余裕はなかった。
「あ、の……」
気後れしておずおずと声をかけた弥生に、彼女が艶やかに微笑む。
「あら、ごめんあそばせ。わたくし、綾小路静香と申します。一輝様と親しくさせていただいていますの」
「あ……大石、弥生です」
「まあ、お可愛らしいお名前。弥生様、どうなさいます? お待ちになります?」
そう問われても、弥生の頭はうまく働かない。
――この人は、誰なのだろう。一輝君と親しくって……?
「え、と、その……」
橘は、一輝が誰か女性とお付き合いを始めたとは言っていなかった。もしもそうなら、電話の時に何か一言ある筈だ。
ああ、だけど。
――なんだか、頭がうまく働かない。
「静香、さんは……一輝君の――?」
口ごもる弥生に、静香はぱちりと瞬きを一つした。
と思ったら、その綺麗な目がどこかいたずらっぽい笑みを含む。
「ああ、わたくしは、今後一輝様と末永くお付き合いさせていただくことになると思いますの。きっと、弥生様ともこれから何度もお会いすることになりますわ」
――末永くって……
やっぱり、そういう意味、なのだろうか。
弥生には、それ以上何かを考えることが、できなかった。
「あの……わたし……帰ります」
弥生はペコリと頭を下げると、元来た道を戻る。
扉が閉まる前にあの女性が声を発したのは耳に届いたけれど、弥生は立ち止まることができずにほとんど小走りでエレベーターに向かった。ドアが開くのももどかしく中へと乗り込むと、ぐったりと壁に身を持たせかけた。
エレベーターはどんどん下って、一輝との距離を広げていく。
一階に着く頃になって初めて、弥生の中に迷いが生じた。
こんなふうに逃げてしまったのは、間違いだったかもしれない。
予期せぬ静香の登場で心の奥底に押し込められていた理性が、ここに至ってようやく頭をもたげてそんなふうに語りかけてきた。
――ちゃんと、一輝君のお話も聴かなくちゃ。
そうすべきなのは、判っている。
でも、そうは思っても、あのままあそこに留まっていられなかった。
一輝のことは信じている。信じているけれど――もしかして。
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