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サラブレットを蹴飛ばす方法
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「じゃあ、あたしも失礼します」
「あ、ちょっと待って――美香さん、だったよね」
車に乗り込み走り去った弥生を見送って、頭を一つ下げて立ち去ろうとした美香を、伊集院は引き止めた。彼女が「何か?」と言いたげな眼差しで振り返る。
とても、冷ややかな眼差しで。
これまで――特に女性には――ちやほやされてきた伊集院にしてみたら、弥生にしろ美香にしろ、これほど無感動な目を向けられるのが納得いかない。一瞬鼻白んだが、気を取り直して笑みを浮かべた。
「あのさ、さっきの人、弥生ちゃんの彼氏? それにしちゃ、随分年食ってるようだったけど……」
本当はそうではない、彼女の相手は他にいるのだということは知っていたが、伊集院は試すようにそう問いかけた。
美香は、軽く首をかしげる。
「ああ……彼、ね」
そうして、小さく肩をすくめた。
「まあ、そんなようなものですよ」
答えとも言えないような曖昧なセリフを残し、彼女はさっさと伊集院に背を向けて立ち去ろうとする。が、何かを思い出したように振り返り、どこか人の悪い笑顔を伊集院に向けた。
「あの子に手を出そうとしても、無駄ですよ。彼氏、あの子にベタ惚れですから。絶対、手放しません。下手にちょっかい出したら、痛い目見ると思いますよ」
憐みの色さえちらつかせているような美香の眼差しに、伊集院はムッとするのをこらえて笑みを浮かべた。
「だけど、彼よりもいい男が目の前に現れたら、弥生ちゃんだってそっちに乗り換えるだろう?」
そう、そうならない筈がない。
冷徹で愛想のない、甘い言葉の一つも知らないようなガキではなく、女の扱いをよく知っているこの自分のような男が誘いをかければ。
あんな男慣れしていない、『女』にもなっていないような小娘など、あっという間にこの手の中に落ちてくるに違いない。
伊集院は、揺るぎない自信を持って、そう心の中で断言した。
――予想よりも手こずっていることは、否定しないが。
ふっと頭をよぎったそんな囁きは聞こえなかったことにした伊集院に、美香がにっこりと笑う。
「『彼よりもいい男』ですか?」
声のない彼女の笑みは、「どこにそんな人がいるのかしら」と言わんばかりだ。
「まあ、チャレンジするのはその人の自由ですからねぇ。そもそもあの子、彼氏のことしか目に入ってませんけどね。じゃ、失礼します」
暗に「視界に入ることすらできないだろう」と言い残し、彼女は今度こそスタスタと歩き去ってしまう。
取り残された伊集院の胸のうちには、微かな不安が芽生えていた。
――全然、相手にされてない……?
そんな呟きが胸中をよぎっていく。
だが、次の瞬間、彼はイヤイヤと首を振った。断じて、そんなことはない筈だ。これまで、自分が声を掛けた女性は誰も皆、うっとりと目を輝かせていたではないか。
伊集院が笑顔で二言三言囁けば、彼女たちは千切れんばかりに尻尾を振る犬さながらに、他の何を捨てても彼についてくる。
彼を視界に入れない女など、存在しない。
――きっと、押しが足りないに違いない。
伊集院は作戦を練り直すことにする。
もっと積極的かつ直接的に迫れば、必ず大石弥生は彼のものになる。
「彼女の方が、鈍いだけさ」
彼の魅力に問題があるわけではない。
断じて。
そう自分自身を鼓舞する――今まで、伊集院がこれほどあからさまに女に言い寄ったことなどなかったという事実には目をつぶり。
先ほど弥生を迎えに来たのは、間違いなく、新藤一輝の秘書だった。常に主の傍から離れない男が直々に足を運ぶくらいだから、弥生が新藤一輝の想い人だということは確信した。
「何であんな女とも言えないようなのがいいのか……」
弥生の頭のてっぺんからつま先までを思い返し、伊集院はそう呟く。
調査によれば彼女はもう二十歳の筈だが、全くそうは見えない。
まあ、百歩譲れば『可愛い』とは言えるかも知れないが、どこからどう見ても、新藤商事の総帥の横に並ぶ者としては明らかにそぐっていなかった。
これまで、新藤一輝の身辺には、浮ついた噂は殆どなかった。時たまワイドショーで取り沙汰される事があったが、どれも間を置かずして、それを報じた報道機関から訂正と謝罪が発表されたのだ。
十五歳で新藤一輝が新藤商事の総帥の座におさまったとき、伊集院も含め、殆どの者が『お飾り』に過ぎないだろうと侮った。しかし、周囲の予想をよそに、あの少年は恐ろしいまでのキレ者ぶりを世間に見せ付けたのだ。しかも、賞賛に溺れることなく、妬みに怯むことなく、淡々と。
それは、十五歳とは思えない落ち着きぶりだった。
あれからもう二年近くになるが、彼に対する評価は上がりこそすれ、下ることはない。どうせ、その若さが物珍しいだけさ、と嘲笑っていた者の顔も、徐々に引きつってくる。
伊集院も、そのうちの一人だった。
優れた経営手腕にもムカつくが、何よりもその澄ました顔が気に食わない。
何かで顔を合わせる度につついてみたが、新藤一輝にはことごとく笑顔で受け流された。
礼儀正しく、他の者に向けているような穏やかな笑顔で。
せめて、イヤな顔の一つでも見せれば、伊集院もそこまでムキにはならなかったのに。
この伊集院蓮司が新藤一輝に追従するその他大勢と同じ扱いをされたのだ。
何か、彼を揺さぶれるような弱みがないものかと思っていたところに漂い始めたのが、彼の『想い人』の噂である。今回のこの『噂』は流布し始めてしばらく経つのだが、報道にはのらない代わりに、消えもしない。そこが妙に信憑性を持たせているのだ。
新藤商事の下請け工場の娘だということやら、年齢やらを辿っていって、到達したのが彼女――大石弥生である。
あの鉄面皮がどんな女を選んだのかと思ったら、アレだった。
正直言って、ガキ臭い。本当に二十歳なのかと、心底から疑った。
だが、どうやら噂はホンモノらしく、新藤一輝は多忙な時間を調整して、今日のようにしばしば逢瀬を重ねているようなのだ。
政財界の重鎮が新藤一輝との約束を取り付けようとして断られた時、彼は彼女と逢っていたという場面もしばしばだった。
間違いなく、大石弥生は新藤一輝の弱点だ。
一年以上、少なくない手間暇金をかけてようやく探り出した、唯一無二の弱点。
それほどまでに想っている相手を奪ってやったら、ヤツはどんな反応を見せるのだろうか。
その光景を思い浮かべて、伊集院は久しぶりに胸がすく様な感覚を覚えた。
彼が声を掛ければ自然と手の中に落ちてくるのが、女というものだ。
よし、やってやるぞと気合を入れて臨んだのだが。
――反応が、ない。
これ以上はないという程熱意を込めて、毎日通い詰めては秋波を送っているのに、弥生は全くノってこない。
――いや、そもそも、『そういう意味で』誘いをかけていることに気付いているのだろうか?
最近になって、そんな疑問が脳裏をよぎるようになってきた。
だが、伊集院はその都度それを振り払う。
「まさか、な」
あれほどあからさまにアプローチされていて、その意図に気付かないわけがない。普通は、気付く筈だ。新藤一輝だけでなく、その恋人にまで相手にされないという事態など、有り得る筈がない――彼的に。
この伊集院蓮司に言い寄られて喜ぶどころかそこはかとなく迷惑そうな素振りを見せているような気がするなどと、感じる筈がない。
「まさか、だよな」
伊集院は、もう一度、声に出して確かめる。その二度目の呟きに強さがないことには、気付かなかったことにした。
「あ、ちょっと待って――美香さん、だったよね」
車に乗り込み走り去った弥生を見送って、頭を一つ下げて立ち去ろうとした美香を、伊集院は引き止めた。彼女が「何か?」と言いたげな眼差しで振り返る。
とても、冷ややかな眼差しで。
これまで――特に女性には――ちやほやされてきた伊集院にしてみたら、弥生にしろ美香にしろ、これほど無感動な目を向けられるのが納得いかない。一瞬鼻白んだが、気を取り直して笑みを浮かべた。
「あのさ、さっきの人、弥生ちゃんの彼氏? それにしちゃ、随分年食ってるようだったけど……」
本当はそうではない、彼女の相手は他にいるのだということは知っていたが、伊集院は試すようにそう問いかけた。
美香は、軽く首をかしげる。
「ああ……彼、ね」
そうして、小さく肩をすくめた。
「まあ、そんなようなものですよ」
答えとも言えないような曖昧なセリフを残し、彼女はさっさと伊集院に背を向けて立ち去ろうとする。が、何かを思い出したように振り返り、どこか人の悪い笑顔を伊集院に向けた。
「あの子に手を出そうとしても、無駄ですよ。彼氏、あの子にベタ惚れですから。絶対、手放しません。下手にちょっかい出したら、痛い目見ると思いますよ」
憐みの色さえちらつかせているような美香の眼差しに、伊集院はムッとするのをこらえて笑みを浮かべた。
「だけど、彼よりもいい男が目の前に現れたら、弥生ちゃんだってそっちに乗り換えるだろう?」
そう、そうならない筈がない。
冷徹で愛想のない、甘い言葉の一つも知らないようなガキではなく、女の扱いをよく知っているこの自分のような男が誘いをかければ。
あんな男慣れしていない、『女』にもなっていないような小娘など、あっという間にこの手の中に落ちてくるに違いない。
伊集院は、揺るぎない自信を持って、そう心の中で断言した。
――予想よりも手こずっていることは、否定しないが。
ふっと頭をよぎったそんな囁きは聞こえなかったことにした伊集院に、美香がにっこりと笑う。
「『彼よりもいい男』ですか?」
声のない彼女の笑みは、「どこにそんな人がいるのかしら」と言わんばかりだ。
「まあ、チャレンジするのはその人の自由ですからねぇ。そもそもあの子、彼氏のことしか目に入ってませんけどね。じゃ、失礼します」
暗に「視界に入ることすらできないだろう」と言い残し、彼女は今度こそスタスタと歩き去ってしまう。
取り残された伊集院の胸のうちには、微かな不安が芽生えていた。
――全然、相手にされてない……?
そんな呟きが胸中をよぎっていく。
だが、次の瞬間、彼はイヤイヤと首を振った。断じて、そんなことはない筈だ。これまで、自分が声を掛けた女性は誰も皆、うっとりと目を輝かせていたではないか。
伊集院が笑顔で二言三言囁けば、彼女たちは千切れんばかりに尻尾を振る犬さながらに、他の何を捨てても彼についてくる。
彼を視界に入れない女など、存在しない。
――きっと、押しが足りないに違いない。
伊集院は作戦を練り直すことにする。
もっと積極的かつ直接的に迫れば、必ず大石弥生は彼のものになる。
「彼女の方が、鈍いだけさ」
彼の魅力に問題があるわけではない。
断じて。
そう自分自身を鼓舞する――今まで、伊集院がこれほどあからさまに女に言い寄ったことなどなかったという事実には目をつぶり。
先ほど弥生を迎えに来たのは、間違いなく、新藤一輝の秘書だった。常に主の傍から離れない男が直々に足を運ぶくらいだから、弥生が新藤一輝の想い人だということは確信した。
「何であんな女とも言えないようなのがいいのか……」
弥生の頭のてっぺんからつま先までを思い返し、伊集院はそう呟く。
調査によれば彼女はもう二十歳の筈だが、全くそうは見えない。
まあ、百歩譲れば『可愛い』とは言えるかも知れないが、どこからどう見ても、新藤商事の総帥の横に並ぶ者としては明らかにそぐっていなかった。
これまで、新藤一輝の身辺には、浮ついた噂は殆どなかった。時たまワイドショーで取り沙汰される事があったが、どれも間を置かずして、それを報じた報道機関から訂正と謝罪が発表されたのだ。
十五歳で新藤一輝が新藤商事の総帥の座におさまったとき、伊集院も含め、殆どの者が『お飾り』に過ぎないだろうと侮った。しかし、周囲の予想をよそに、あの少年は恐ろしいまでのキレ者ぶりを世間に見せ付けたのだ。しかも、賞賛に溺れることなく、妬みに怯むことなく、淡々と。
それは、十五歳とは思えない落ち着きぶりだった。
あれからもう二年近くになるが、彼に対する評価は上がりこそすれ、下ることはない。どうせ、その若さが物珍しいだけさ、と嘲笑っていた者の顔も、徐々に引きつってくる。
伊集院も、そのうちの一人だった。
優れた経営手腕にもムカつくが、何よりもその澄ました顔が気に食わない。
何かで顔を合わせる度につついてみたが、新藤一輝にはことごとく笑顔で受け流された。
礼儀正しく、他の者に向けているような穏やかな笑顔で。
せめて、イヤな顔の一つでも見せれば、伊集院もそこまでムキにはならなかったのに。
この伊集院蓮司が新藤一輝に追従するその他大勢と同じ扱いをされたのだ。
何か、彼を揺さぶれるような弱みがないものかと思っていたところに漂い始めたのが、彼の『想い人』の噂である。今回のこの『噂』は流布し始めてしばらく経つのだが、報道にはのらない代わりに、消えもしない。そこが妙に信憑性を持たせているのだ。
新藤商事の下請け工場の娘だということやら、年齢やらを辿っていって、到達したのが彼女――大石弥生である。
あの鉄面皮がどんな女を選んだのかと思ったら、アレだった。
正直言って、ガキ臭い。本当に二十歳なのかと、心底から疑った。
だが、どうやら噂はホンモノらしく、新藤一輝は多忙な時間を調整して、今日のようにしばしば逢瀬を重ねているようなのだ。
政財界の重鎮が新藤一輝との約束を取り付けようとして断られた時、彼は彼女と逢っていたという場面もしばしばだった。
間違いなく、大石弥生は新藤一輝の弱点だ。
一年以上、少なくない手間暇金をかけてようやく探り出した、唯一無二の弱点。
それほどまでに想っている相手を奪ってやったら、ヤツはどんな反応を見せるのだろうか。
その光景を思い浮かべて、伊集院は久しぶりに胸がすく様な感覚を覚えた。
彼が声を掛ければ自然と手の中に落ちてくるのが、女というものだ。
よし、やってやるぞと気合を入れて臨んだのだが。
――反応が、ない。
これ以上はないという程熱意を込めて、毎日通い詰めては秋波を送っているのに、弥生は全くノってこない。
――いや、そもそも、『そういう意味で』誘いをかけていることに気付いているのだろうか?
最近になって、そんな疑問が脳裏をよぎるようになってきた。
だが、伊集院はその都度それを振り払う。
「まさか、な」
あれほどあからさまにアプローチされていて、その意図に気付かないわけがない。普通は、気付く筈だ。新藤一輝だけでなく、その恋人にまで相手にされないという事態など、有り得る筈がない――彼的に。
この伊集院蓮司に言い寄られて喜ぶどころかそこはかとなく迷惑そうな素振りを見せているような気がするなどと、感じる筈がない。
「まさか、だよな」
伊集院は、もう一度、声に出して確かめる。その二度目の呟きに強さがないことには、気付かなかったことにした。
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