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サラブレットを蹴飛ばす方法
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弥生は、困っていた。
ここ数日、毎日目にしている姿に気付き、どうしようかと足を止める。
「あれ、あの人またいるんだ」
弥生の心の声を代弁してくれたのは、友人の加山美香で、彼女が『また』と称したのは、伊集院蓮司と名乗る青年だった。
彼は、年の頃は二〇代半ばだろうか。高級そうだけれども派手派手しい真っ赤なツーシートのスポーツカーに、カジュアルだけれども仕立ての良さそうなブランド物の装い。
それはさながら鳩の群れの中に舞い降りた孔雀のようで。
レベルはそこそこだが庶民的な校風のこの大学では、彼は、はっきり言って、浮いている。
そんな彼が、弥生が帰る頃に合わせて、大学の正門で待ち構えているのだ――毎日。
最初に声を掛けられたのは、二週間ほど前――ゴールデンウィーク中に行なわれた学祭の最中だった。
弥生と美香が所属しているゼミではメイド喫茶を開いたのだけれども、伊集院と出会ったのはその時で、普通に、客とウェイトレスとしての出会いの筈だった。
メイドのコスチュームは二種類――クラシックな膝丈の正統派のものと、明らかに某電気街にいそうなものとが用意された。シックな古典的メイドに変身した美香に対して、選択肢もなく弥生にあてがわれたのは、後者の方だった。
注文を取りに行った弥生に、彼は、テーブルに肘をつき、爽やかに微笑んで言ったのだった。
「君、可愛いね」
と。
服装も服装だったので、ソレはやっぱり、小学生を可愛いと思うレベルなのだろうかと複雑な心中を隠しつつ、その時は笑顔を返してお終いになったのだけれども。
翌日から、何故かああやって、毎日弥生を待ち構えている。
「いい年して、そんなに暇なのかな」
美香の声に呆れたような響きが入るのも無理はない。大学生というにはトウが立っており、普通は何がしかの職に就いている年頃の筈だ。大学院生などの可能性もあるけれど、その割には豪勢な格好をしている。
どこかのボンボンなのか……。
―― 一輝君はあんなに働いているのにな。
ふと頭に浮かんだ大事なひとを想い、弥生は胸の中でポツリと呟く。
弥生の――恋人である一輝は、まだ十六歳だというのに、ずっと働き詰めだ。三月で二十歳になった彼女よりも、よほど社会慣れしている。
彼の方が何とかやりくりしてしばしば食事に連れて行ったりしてくれているけれど、一回一回の時間は短く、二時間取れたら御の字だった。寂しいな、とは思いつつも、仕事なのだから仕方がなく、それ以上は要求できない。
そんな多忙極まりない一輝に比べると、この伊集院という男性は一体何をしている人なのだろうかと不思議になる。
「で、アレ、どうするの?」
美香が弥生を見ながら訊いてくる。そこに微妙に呆れの色が混じっているのは、気のせいではないだろう。
「どうもしないよ。それに、今日は一輝君と約束してるし」
「あ、そうなんだ。結構久し振りじゃない?」
「うん」
多分、今、自分はものすごく幸せそうな顔をしているのだろうな、と自覚しつつ、弥生は頷いた。
「一輝君、ここのところずっと忙しかったから。学祭にも来られなかったし」
「ああ……橘さんだっけ? あの人がずいぶん写真を撮っていったよね」
美香がサラリと言ったその台詞に、弥生の反応は一拍遅れた。二、三歩進んでから足が止まり、そして、澄ました顔で隣を歩いている親友を見上げる。
「え、ウソ!?」
寝耳に水だった。
帰り際、彼が妙に満足そうだったのは、その為だったのか。
あんな恥ずかしい姿を記録に残されてしまっていることを知らされ、弥生の頬が熱くなる。
当然、一輝も見たに違いない。学祭を一緒に回れなかったのは残念だったけれども、あのメイド姿を見られずに済んだことは、ちょっとホッとしていたというのに。
「大丈夫、可愛かったよぉ? ミニスカメイド姿、彼も喜んでるんじゃない? サービス、サービス」
ニヤニヤと、ちょっと意地悪な笑い方で美香が言う。そう言われると、余計に顔に血が上ってしまう。
「もう! もっと早く教えてくれたら良かったのに!」
よりにもよって、これから会うぞ、という時に教えなくてもいいではないか。一輝の姿をまともに見られなくなってしまう。
「ゴメンねぇ、知ってるかと思ってた」
全然、申し訳なさそうな風情なく、美香が笑った。
――絶対、楽しんでる……。
それは間違いない。
恨みがましそうに見る弥生に、彼女が耳打ちする。
「ほら、アレ、こっち見てる。気付いたみたいだよ」
つられて視線を向けると、爽やかに笑いながら片手を上げる姿が目に入ってきた。そして彼は、そのまま真っ直ぐ弥生に向けて歩いてくる。
「弥生ちゃん、この後は暇?」
キレイに整った真っ白な歯並びを見せながら、伊集院がそう問いかけてくる。承諾してもらえると信じきっていそうな笑顔だけれども、その自信はどこから来るものなのか――弥生は、これまでの伊集院の誘いを全て断っているというのに。
「今日も、ちょっと……」
「そっかぁ。じゃ、明日は?」
「明日も、ちょっと……」
「なら、明後日」
「明後日も……」
「じゃあ、いつならいい?」
「えぇっと……」
いったい、いつまで続けるのかと思ってこっそりため息をついた弥生の視界に、見慣れた車が滑り込む。そこから出てきた姿に、ホッとした。
「あの、今日会う約束してた人が来ちゃったので……失礼します。じゃあね、美香ちゃん、また明日」
伊集院にはペコリと頭を下げ、美香には小さく手を振って、弥生は先ほど車から降り立った人の方へと駆け出した。
「橘さん!」
名前を呼ぶと、橘は軽く手を上げて応えてくれる。けれど、そのどこか鋭い視線は、弥生ではなく、彼女の背後に注がれているように見えた。
「橘さん?」
彼のもとに辿り着いて、弥生は小さく首を傾げる。橘はそんな彼女に気付いて、いつもの穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ、失礼しました。一輝様は会議が長引いてしまって……もう少し時間がかかりますので、先にお迎えにあがりました」
車の中を覗いた弥生の眼差しにがっかりした色が浮かんでしまったのか、橘が申し訳なさそうにそう付け加えた。
弥生は慌てて首を振る。
「あ、いいえ、お仕事ですもの。しょうがないです」
無理をしてではなく、心の底からそう思っている弥生に、橘は目を細くする。
「では、車へどうぞ。うまくすれば、私たちがお店に着く頃には、一輝様もいらっしゃっているかもしれません」
促されて、弥生は車に乗り込んだ。
走り出してしばらくすると、何か考え込んでいたような橘が口を開いた。
「先ほど、弥生さんとお話されていた方は……? 森口様とは違ったようですが」
森口、とは、弥生の男友達である。彼と間違えるような人がいたかしら、と頭を巡らせ、そして、思い当たって「ああ」と声をあげる。
「あの人は……伊集院さんとおっしゃってました。学祭の時に、お客様でいらっしゃったんですけど……」
伊集院の真意が解らない弥生は、そこで言葉を濁す。
「よく、お会いになられるのですか?」
「ええと、会うっていうか……」
「ああ、ちょっと語弊がありますね。弥生さんに会いに来られるのですか?」
「……よく、声を掛けられます」
「そうですか」
橘はそう呟くと、黙り込む。
「橘さん?」
「ああ、いえ。わずらわしくはないですか? 一輝様にご相談されては?」
「大丈夫です。一輝君は忙しいのに、こんなことで時間潰したくないです」
ニコッと笑って、弥生はそう受け流した。実際、『こんなこと』よりも話したいことはたくさんある。橘は彼女の返事にフッと頬を緩ませると、頷いた。
「そうですか……でも、お困りだったらおっしゃってくださいよ? 私でもいいですから」
「ふふ、一輝君に内緒で橘さんだけに相談したら、一輝君が拗ねちゃいますよ」
弥生の言葉に、橘は口ごもる。確かに、その通りに違いなかったから。
二人は顔を見合わせて、小さく笑みを交わした。
ここ数日、毎日目にしている姿に気付き、どうしようかと足を止める。
「あれ、あの人またいるんだ」
弥生の心の声を代弁してくれたのは、友人の加山美香で、彼女が『また』と称したのは、伊集院蓮司と名乗る青年だった。
彼は、年の頃は二〇代半ばだろうか。高級そうだけれども派手派手しい真っ赤なツーシートのスポーツカーに、カジュアルだけれども仕立ての良さそうなブランド物の装い。
それはさながら鳩の群れの中に舞い降りた孔雀のようで。
レベルはそこそこだが庶民的な校風のこの大学では、彼は、はっきり言って、浮いている。
そんな彼が、弥生が帰る頃に合わせて、大学の正門で待ち構えているのだ――毎日。
最初に声を掛けられたのは、二週間ほど前――ゴールデンウィーク中に行なわれた学祭の最中だった。
弥生と美香が所属しているゼミではメイド喫茶を開いたのだけれども、伊集院と出会ったのはその時で、普通に、客とウェイトレスとしての出会いの筈だった。
メイドのコスチュームは二種類――クラシックな膝丈の正統派のものと、明らかに某電気街にいそうなものとが用意された。シックな古典的メイドに変身した美香に対して、選択肢もなく弥生にあてがわれたのは、後者の方だった。
注文を取りに行った弥生に、彼は、テーブルに肘をつき、爽やかに微笑んで言ったのだった。
「君、可愛いね」
と。
服装も服装だったので、ソレはやっぱり、小学生を可愛いと思うレベルなのだろうかと複雑な心中を隠しつつ、その時は笑顔を返してお終いになったのだけれども。
翌日から、何故かああやって、毎日弥生を待ち構えている。
「いい年して、そんなに暇なのかな」
美香の声に呆れたような響きが入るのも無理はない。大学生というにはトウが立っており、普通は何がしかの職に就いている年頃の筈だ。大学院生などの可能性もあるけれど、その割には豪勢な格好をしている。
どこかのボンボンなのか……。
―― 一輝君はあんなに働いているのにな。
ふと頭に浮かんだ大事なひとを想い、弥生は胸の中でポツリと呟く。
弥生の――恋人である一輝は、まだ十六歳だというのに、ずっと働き詰めだ。三月で二十歳になった彼女よりも、よほど社会慣れしている。
彼の方が何とかやりくりしてしばしば食事に連れて行ったりしてくれているけれど、一回一回の時間は短く、二時間取れたら御の字だった。寂しいな、とは思いつつも、仕事なのだから仕方がなく、それ以上は要求できない。
そんな多忙極まりない一輝に比べると、この伊集院という男性は一体何をしている人なのだろうかと不思議になる。
「で、アレ、どうするの?」
美香が弥生を見ながら訊いてくる。そこに微妙に呆れの色が混じっているのは、気のせいではないだろう。
「どうもしないよ。それに、今日は一輝君と約束してるし」
「あ、そうなんだ。結構久し振りじゃない?」
「うん」
多分、今、自分はものすごく幸せそうな顔をしているのだろうな、と自覚しつつ、弥生は頷いた。
「一輝君、ここのところずっと忙しかったから。学祭にも来られなかったし」
「ああ……橘さんだっけ? あの人がずいぶん写真を撮っていったよね」
美香がサラリと言ったその台詞に、弥生の反応は一拍遅れた。二、三歩進んでから足が止まり、そして、澄ました顔で隣を歩いている親友を見上げる。
「え、ウソ!?」
寝耳に水だった。
帰り際、彼が妙に満足そうだったのは、その為だったのか。
あんな恥ずかしい姿を記録に残されてしまっていることを知らされ、弥生の頬が熱くなる。
当然、一輝も見たに違いない。学祭を一緒に回れなかったのは残念だったけれども、あのメイド姿を見られずに済んだことは、ちょっとホッとしていたというのに。
「大丈夫、可愛かったよぉ? ミニスカメイド姿、彼も喜んでるんじゃない? サービス、サービス」
ニヤニヤと、ちょっと意地悪な笑い方で美香が言う。そう言われると、余計に顔に血が上ってしまう。
「もう! もっと早く教えてくれたら良かったのに!」
よりにもよって、これから会うぞ、という時に教えなくてもいいではないか。一輝の姿をまともに見られなくなってしまう。
「ゴメンねぇ、知ってるかと思ってた」
全然、申し訳なさそうな風情なく、美香が笑った。
――絶対、楽しんでる……。
それは間違いない。
恨みがましそうに見る弥生に、彼女が耳打ちする。
「ほら、アレ、こっち見てる。気付いたみたいだよ」
つられて視線を向けると、爽やかに笑いながら片手を上げる姿が目に入ってきた。そして彼は、そのまま真っ直ぐ弥生に向けて歩いてくる。
「弥生ちゃん、この後は暇?」
キレイに整った真っ白な歯並びを見せながら、伊集院がそう問いかけてくる。承諾してもらえると信じきっていそうな笑顔だけれども、その自信はどこから来るものなのか――弥生は、これまでの伊集院の誘いを全て断っているというのに。
「今日も、ちょっと……」
「そっかぁ。じゃ、明日は?」
「明日も、ちょっと……」
「なら、明後日」
「明後日も……」
「じゃあ、いつならいい?」
「えぇっと……」
いったい、いつまで続けるのかと思ってこっそりため息をついた弥生の視界に、見慣れた車が滑り込む。そこから出てきた姿に、ホッとした。
「あの、今日会う約束してた人が来ちゃったので……失礼します。じゃあね、美香ちゃん、また明日」
伊集院にはペコリと頭を下げ、美香には小さく手を振って、弥生は先ほど車から降り立った人の方へと駆け出した。
「橘さん!」
名前を呼ぶと、橘は軽く手を上げて応えてくれる。けれど、そのどこか鋭い視線は、弥生ではなく、彼女の背後に注がれているように見えた。
「橘さん?」
彼のもとに辿り着いて、弥生は小さく首を傾げる。橘はそんな彼女に気付いて、いつもの穏やかな笑みを浮かべた。
「ああ、失礼しました。一輝様は会議が長引いてしまって……もう少し時間がかかりますので、先にお迎えにあがりました」
車の中を覗いた弥生の眼差しにがっかりした色が浮かんでしまったのか、橘が申し訳なさそうにそう付け加えた。
弥生は慌てて首を振る。
「あ、いいえ、お仕事ですもの。しょうがないです」
無理をしてではなく、心の底からそう思っている弥生に、橘は目を細くする。
「では、車へどうぞ。うまくすれば、私たちがお店に着く頃には、一輝様もいらっしゃっているかもしれません」
促されて、弥生は車に乗り込んだ。
走り出してしばらくすると、何か考え込んでいたような橘が口を開いた。
「先ほど、弥生さんとお話されていた方は……? 森口様とは違ったようですが」
森口、とは、弥生の男友達である。彼と間違えるような人がいたかしら、と頭を巡らせ、そして、思い当たって「ああ」と声をあげる。
「あの人は……伊集院さんとおっしゃってました。学祭の時に、お客様でいらっしゃったんですけど……」
伊集院の真意が解らない弥生は、そこで言葉を濁す。
「よく、お会いになられるのですか?」
「ええと、会うっていうか……」
「ああ、ちょっと語弊がありますね。弥生さんに会いに来られるのですか?」
「……よく、声を掛けられます」
「そうですか」
橘はそう呟くと、黙り込む。
「橘さん?」
「ああ、いえ。わずらわしくはないですか? 一輝様にご相談されては?」
「大丈夫です。一輝君は忙しいのに、こんなことで時間潰したくないです」
ニコッと笑って、弥生はそう受け流した。実際、『こんなこと』よりも話したいことはたくさんある。橘は彼女の返事にフッと頬を緩ませると、頷いた。
「そうですか……でも、お困りだったらおっしゃってくださいよ? 私でもいいですから」
「ふふ、一輝君に内緒で橘さんだけに相談したら、一輝君が拗ねちゃいますよ」
弥生の言葉に、橘は口ごもる。確かに、その通りに違いなかったから。
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